Macでrarに圧縮する|相手の環境で開けるかを先に決める
mac rar 圧縮で検索して最初に当たる壁は、道具が見つからないことではありません。Macに入っている圧縮の機能ではrarが作れないと分かったあと、そもそもrarで渡す必要があるのかどうかを決めていないまま、入れる道具を探し始めてしまうことです。この記事では、rarを選ぶ理由がある場合の手順と、zipのままで済む場合の見分け方を、決める順番に並べます。
Macの標準の圧縮は、拡張子がzipになる
FinderでファイルをControlキーを押しながらクリックすると、ショートカットメニューに「圧縮」が出ます。ここから作れるのはzipだけで、形式を選ぶ画面は出てきません。Appleの案内も、できあがるファイルの名前で説明しています。
1つの項目を圧縮すると、圧縮ファイルには元の項目の名前に拡張子「.zip」が付いた名前が付けられます。複数の項目を同時に圧縮すると、圧縮ファイルには「アーカイブ.zip」という名前が付けられます。 出典: support.apple.com
つまり、rarで渡す必要があるなら、道具を1つ追加することになります。ここで先に決めておく点が1つあります。相手が求めているのは本当にrarなのか、それとも「圧縮して送ってほしい」だけなのか。指定がzipでも構わない条件なら、この記事の残りは要りません。
rarを選ぶ理由として実際に成り立つのは、次の3つの場合です。
- 受け取る側のシステムがrarしか受け付けない
- すでにrarで分割されたファイルの一部を差し替える必要がある
- 修復記録を付けた状態で渡すことが取引先との取り決めになっている
このどれにも当たらない場合は、zipか7zのほうが相手の手間が少なくなります。rarを開くには相手の側にも道具が要るためです。
Macで作れるかどうかは、公式の配布物を見れば決まる
Macではrarに圧縮できないという説明は、いまでもよく見かけます。解凍のアプリを入れても圧縮はできないので、そこで行き止まりになった記録が多く残っているためです。
配布元を直接見ると、事情が分かります。RARの開発元は、Windows向けのGUI版とは別に、コマンドで動く版をmacOS向けに配布しています。公式のダウンロードページには、Appleシリコン向けとIntel向けの2つが並んでおり、いずれも版は 7.23 です。次の版として7.30のベータも同じページに置かれています。
rarファイルの圧縮するアーカイバで「WinRAR」があります。今回は「WinRAR for Mac」というコンソール(ターミナルからコマンド実行で利用)のダウンロードと使い方について解説していきます。 出典: aprico-media.com
画面から操作するアプリを探していると見つからず、ターミナルで動かす前提のものだと分かると見つかる。これが「できない」と「できる」が両方出てくる理由です。
- 画面をクリックして作る方法: macOS向けには用意されていない
- ターミナルでコマンドを打って作る方法: 公式に配布されている
先にこの区別を付けておくと、アプリを探し回る時間が要らなくなります。
RAR for macOS を入れる手順
配布されているのは圧縮された1つの書庫で、インストーラは付いていません。開くと rar と unrar の2つの実行ファイルと、説明のテキストが出てきます。
curl -O https://www.rarlab.com/rar/rarmacos-arm-723.tar.gz
tar xzf rarmacos-arm-723.tar.gz
cd rar
./rar
最後の1行で版と著作権の表示が出れば、動く状態です。Appleシリコンのmacなら arm の付いたもの、Intelのmacなら x64 の付いたものを選びます。どちらか分からない場合は、Appleメニューの「このMacについて」で確かめます。
どこからでも打てるようにしたい場合は、実行ファイルを PATH の通った場所に置きます。置き場所を変えても動きますが、後で版を上げるときに古いものが残りやすいので、置いた場所は記録しておくほうが楽です。
初回の実行でmacOSが確認のダイアログを出すことがあります。ダウンロードした実行ファイルに対する標準の確認で、システム設定のプライバシーとセキュリティの画面から許可すると通ります。
圧縮の打ち方と、指定しなかったときに選ばれるもの
基本の形は、追加を意味する a に続けて、作る書庫の名前と、入れるファイルを並べるだけです。
./rar a 納品.rar ./素材/
何も指定しない場合に何が選ばれるのかを知っておくと、後の調整が楽になります。手元で作った書庫の中身を技術情報付きで一覧すると、形式は RAR 5、圧縮の方法は標準の設定が使われていることが表示されます。圧縮の強さは 6 段階あり、指定を省くと真ん中の標準が選ばれます。
- 0: 圧縮しない。中身をそのまま入れる
- 1: 最も速い。縮みは小さい
- 3: 標準。指定を省いたときに使われる
- 5: 最も縮む。時間は一番かかる
動画や写真のように、すでに圧縮されている中身を束ねるだけなら、0を指定したほうが時間が短くなり、できあがるファイルの大きさもほとんど変わりません。テキストやログをまとめる場合は5にすると差が出ます。
フォルダを丸ごと入れるとき、書庫の中に手元のフォルダの並びまで入ってしまうことがあります。上の階層を落として中身だけを入れたい場合は、基準のフォルダを除く指定を添えます。特定のファイルを除きたい場合は、除外の指定を並べます。
分割とパスワードと修復記録
rarを選ぶ理由になりやすいのが、この3つです。いずれもコマンドに指定を1つ足すだけで足ります。
分割は大きさを指定します。単位を付けずに数字だけを書くと千バイト単位として扱われるので、単位の文字は書いたほうが読み違いが起きません。小数も使えるので、1.5ギガバイトのような指定も通ります。
./rar a -v1.5g -rr5 -hp 納品.rar ./素材/
パスワードの指定は2種類あります。中身だけを隠すものと、ファイルの名前や大きさまで隠すものです。後者を選ぶと、パスワードなしでは書庫の中に何が入っているかの一覧すら見られません。取引先に渡す資料で、ファイル名そのものが伏せる対象になっている場合は、こちらを選びます。
修復記録は、書庫の一部が壊れたときに直せるようにするための余分な情報です。付けた分だけファイルは大きくなります。受け渡しの経路が不安定な場合や、長く保管する場合に効きます。
- 分割: 送る経路に容量の上限があるとき
- ファイル名まで隠す指定: 中身の一覧も見せたくないとき
- 修復記録: 保管が長いとき、経路が不安定なとき
パスワードをコマンドに直接書くと、シェルの履歴に残ります。履歴を残したくない場合は、パスワードの文字を書かずに指定だけを付けて、その場で入力を求める形にします。
分割した書庫を渡すときの注意もあります。分割されたファイルは全部そろっていないと開けないため、受け取る側が1つ取りこぼすと最初からやり直しになります。送る本数と、受け取った本数を照合できるようにしておくと、その手戻りが消えます。書庫を分割したうえで修復記録も付ける場合は、分割ごとに修復用の巻を別に作る指定も選べます。長期の保管を前提にした受け渡しでは、こちらのほうが効きます。
もう1つ、束ねるときに効く指定が「まとめて1つの流れとして圧縮する」ものです。似た形の小さいファイルが大量にある場合、これを付けると縮み方が大きく変わります。同梱の説明でも、多数の小さく似たファイルを追加するときに圧縮率が大きく上がると書かれています。引き換えに、後から中の1本だけを取り出す処理が遅くなり、書庫が壊れたときの影響範囲も広がります。後から中身を差し替える予定があるなら選ばないほうが無難です。
40日間の試用と、その後の扱い
配布物には使用条件のテキストが同梱されています。試用の期間がそこに書かれており、期間を過ぎた後も使い続ける場合は購入が必要になる形です。
期間は 40 日間です。年に数回しか使わない作業であっても、日数は使った日ではなく経過で数える書き方になっているため、業務で継続して使うなら期間内に判断することになります。
一方で、解凍の側は事情が違います。同じ配布物に含まれている unrar は、解凍だけを担当する部品として別に扱われており、条件のテキストでも圧縮の部分とは分けて書かれています。解凍しかしないのであれば、この後の節で挙げる無料のアプリで足ります。
判断の分かれ目は、rarを作る作業がこの先も続くかどうかです。1回だけの納品なら試用の期間で終わります。毎月続くなら、費用として見込んでおくか、相手にzipや7zで受け取れるかを一度確かめるか、どちらかになります。
解凍だけなら、無料のアプリで足りる
受け取ったrarを開くだけであれば、選択肢は2つあります。どちらも費用はかかりません。
The Unarchiver は解凍に的を絞ったアプリで、公式サイトの対応形式の一覧では、rarについて暗号化されたものと分割されたものの両方に対応すると書かれています。配布されている版は 4.3.9 で、macOS 10.13以降で動きます。
Keka は圧縮と解凍の両方を扱うアプリです。公式サイトで作れる形式として挙げられているのは 7Z、ZIP、TAR、GZIP、BZIP2、XZ、LZIP、DMG の8つで、rarはこの一覧に入っていません。解凍には対応しているので、受け取る側の道具としては使えます。
- 受け取って開くだけ: The Unarchiver か Keka
- 7zやzipで作りたい: Keka
- rarで作りたい: コマンド版のRAR
この整理を先に済ませておくと、アプリを入れた後で「圧縮の項目にrarが出てこない」という行き止まりを踏まずに済みます。
形式を決めるときに見る3つの点
最後に、rarとzipと7zのどれを選ぶかを、相手の環境から決める形に並べます。
| 見る点 | zip | 7z | rar |
|---|---|---|---|
| Macで標準で作れる | 作れる | 追加の道具が必要 | 追加の道具が必要 |
| Macで標準で開ける | 開ける | 追加の道具が必要 | 追加の道具が必要 |
| Windowsで標準で開ける | 開ける | 追加の道具が必要 | 追加の道具が必要 |
| 作る側の費用 | かからない | かからない | 試用の後に必要 |
| 分割して渡す | 道具によって可 | できる | できる |
この表の見方は1つだけです。相手が何も入れずに開けるのはzipだけで、それ以外を選ぶなら、相手にも道具を入れてもらう前提になります。指定が無いのにrarを選ぶ理由は、ここからは出てきません。逆に、指定がrarであるなら、この記事の手順で作れます。
圧縮の作業で時間を取られているのは、どこか
コマンド自体は1行です。それでも1本あたり数分かかるのは、渡すファイルを集める段と、できあがった書庫を確かめる段が、別の窓で起きているからです。
Finderでフォルダを開いて対象を選び、ターミナルに切り替えてパスを打ち、圧縮して、またFinderに戻って大きさを見る。この行き来が積み上がります。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある作りを選ぶと、開いているフォルダの場所でそのままコマンドが打てるので、パスの打ち直しと窓の切り替えが消えます。
ファイル管理の側にどういう機能が入っているかはできることにまとめてあります。大きな書庫を作っている間に席を離れることが多いなら、iPhone・iPadから続きをで、出先の端末から自分のMacの処理をどう見るかを説明しています。
他のファイル管理との違いを先に見ておきたい場合は他のファイル管理との比較が近道です。費用の区切り方は料金に書かれており、残った疑問はよくある質問の側で答えが付いています。
決める順番をもう一度並べると、相手の指定がrarなのかを確かめる、公式のコマンド版を入れる、既定のままで作って大きさを見る、分割とパスワードと修復記録の必要を足す。この4段で、渡す形は決まります。
よくある質問
Macの標準の機能でrarに圧縮できますか?
できません。Finderのショートカットメニューにあるのはzipを作る項目だけで、形式を選ぶ画面は出てきません。rarで作る場合は、開発元がmacOS向けに配布しているコマンド版を追加します。Appleシリコン向けとIntel向けで配布物が分かれています。
画面をクリックして操作できるアプリはありませんか?
macOS向けにはコマンドで動く版が配布されています。画面から操作するアプリを探すと見つからないため、できないという説明が残りやすい部分です。解凍だけなら The Unarchiver や Keka が画面から使えますが、これらで作れる形式にrarは含まれていません。
費用はかかりますか?
同梱されている使用条件では、40日間の試用の後は購入が必要になる形で書かれています。解凍を担当する部分は別扱いになっているため、受け取って開くだけであれば無料のアプリで足ります。作る作業が続くかどうかで判断が変わります。
zipではなくrarを選んだほうがよい場面はどこですか?
受け取る側がrarを指定している場合、すでにrarで分割されたものを差し替える場合、修復記録を付けた状態で渡す取り決めがある場合の3つです。指定が無いのであればzipのほうが相手の手間は少なく、相手は追加の道具なしで開けます。