Default Folder Xの代わりになるもの|手放してよい機能
「Default Folder Xの代わりになるもの」を探している段階で詰まっているのは、保存ダイアログの操作そのものではないことが多い。ファイルを置く場所、コマンドを打つ場所、AIの返事を読む場所が別々の窓に散っていて、そのあいだを行き来する手が止まっている。この記事では、Default Folder Xがいま担っている機能を層に分けて数え、そのうち手放してよいものと、手放すと痛いものを切り分ける。読み終えたときに「同じ道具を探す」のか「窓の数を減らす」のか、どちらへ進むかを決められる状態を目標にする。
代わりを探し始める理由は、だいたい3つに分かれる
同じ検索語でたどり着く人の事情は、大きく3通りある。1つ目は費用で、バージョンが上がったときに追加の支払いが必要になったケース。開発元のSt. Clair Softwareは、2023年3月1日より前にDefault Folder Xを購入した利用者には6.x系へのアップグレード料がかかると案内しており、2022年9月1日以降の購入なら9.95ドル、それより前の購入なら19.95ドルと公開している。新規の単体ライセンスは39.95ドル、2本以上まとめると1本あたり34.95ドルで、試用期間は30日間。金額として大きいわけではないが、同じ道具を何年も更新し続けるかどうかを一度考える契機になる。
2つ目は、macOSの更新に合わせた挙動の変化。ファイルダイアログに手を入れる仕組みは、OSの側の作りに依存する。アクセシビリティや画面収録の許可を求められる回数が増えたり、メニューバーのアイコンが出なくなったりといった話が出てくるのは、OSが守りを固めている裏返しでもある。
3つ目が、仕事の中身そのものが変わったケース。ターミナルでエージェントを動かし、その生成物をフォルダで確かめ、チャットの履歴をまた別の窓で追う。こうなると、開く保存するの1回を速くしても全体の手数は減らない。3つ目に当てはまるなら、探すべきものはDefault Folder Xの類似品ではなく、窓の構成そのものを変える道具になる。
Default Folder Xがいま担っている範囲を、機能ごとに数える
代わりを選ぶ前に、いまどの機能に助けられているのかを分解しておく。公開されている機能説明とFAQから拾えるのは、次の範囲だ。
- ナビゲーションアシスタント。最近使ったフォルダ、お気に入り、いま開いているFinderウィンドウへ、ツールバーとメニューバーから階層メニューでたどる
- キーボード起点のQuick Search。Command+Shift+Spaceで検索窓を出し、数文字打って最近の項目を呼び出す
- Finderクリック。開いているFinderウィンドウをクリックすると、ダイアログの現在位置がそのフォルダへ移る
- ダイアログ内でのファイル操作。情報を見る、複製する、名前を変える、削除するといった操作をダイアログから行う
- アプリごとの既定フォルダの記憶。同じ場所に保存し続けるアプリでは、最初からそのフォルダが開く
- Finderウィンドウ下部のドロワーと、メニューバーアイコンへのドラッグによる移動
対応範囲も事実として押さえておきたい。現行は6.3で、対応OSはmacOS 10.13から27まで。IntelとApple Siliconの両方でネイティブに動く形は5.5以降で、6.3はmacOS 27にも対応すると開発元が明言している。古い環境向けには5.7.8、10.12と10.11向けには5.6.6が残されている。
Default Folder X enhances the Open and Save dialogs in all Carbon and Cocoa applications, so it should appear in all macOS-native applications. 出典: stclairsoft.com
つまり効き方はアプリの作りに左右される。QtやJavaのような他のプラットフォームと共通の枠組みで作られたアプリは、macOSのアクセシビリティの仕組みを十分に使わないことがあり、開発元も電子書籍管理のCalibreを例に、利用者によっては動かない場合があると書いている。除外リストに登録して回避する手順まで案内されている点は、乗り換え先を選ぶときの比較軸になる。手元で毎日使うアプリがネイティブかどうかで、この種の道具の価値は変わる。
候補は「どの層を置き換えるのか」で分けて考える
代わりになるものを1つの列に並べても決まらない。置き換わる層が違うからだ。層ごとに整理すると、残る手間が見えてくる。
| 層 | 置き換わるもの | 残る手間 |
|---|---|---|
| macOS標準の機能だけで済ませる | サイドバー、タグ、よく使う項目、Command+Shift+Gでのパス移動 | アプリごとの既定フォルダの記憶と、ダイアログからのファイル操作は戻らない |
| 検索とランチャーの道具を足す | 名前を打って目的のファイルへ飛ぶ動き | 保存ダイアログの中身は素のままで、保存先の選び直しは残る |
| Finderの代わりになるファイル管理アプリ | 二画面での移動、まとめての名前変更、詳細な一覧表示 | ダイアログ自体への介入はしないものが多く、ターミナルは別の窓に残る |
| ターミナルを内側に持つファイル管理アプリ | フォルダの操作とコマンドの実行、AIとのやり取りを1つの窓に集める | ダイアログの拡張とは考え方が違うため、既存の操作の癖を組み替える必要がある |
自分の詰まりが「保存先を選ぶ1回」なのか「窓を行き来する1日の合計回数」なのかで、選ぶ層が変わる。前者なら同じ層の道具を探すのが早い。後者なら、層を変えないかぎり体感は変わらない。
手放してよい機能と、手放すと痛い機能
すべてを再現しようとすると候補が消える。実際には、OSの側に吸収された機能と、まだ差が残る機能がある。
手放しても痛みが小さいのは、macOSが自分で持つようになった動きだ。隠しファイルの表示はその代表で、開発元もFAQで、ダイアログでCommand+Shift+ピリオドを押すのはDefault Folder Xの機能ではなくmacOSのファイルダイアログの標準の挙動だと明記している。ファイル名の入力欄の広さや、お気に入りの並べ替えといった快適さも、乗り換え先の作りによっては別の形で満たせる。
痛みが大きいのは3つ。アプリごとの既定フォルダの記憶、Finderクリック、そして最近使ったフォルダを横断して呼び出す動きだ。この3つは、ダイアログという共通の入口に割り込むからこそ成立している。ダイアログに手を入れない道具に乗り換えるなら、同じ体験は戻らないと割り切って、別のやり方で手数を削る前提に立つ。たとえば作業中のフォルダをターミナルと共有しておき、保存先を選ぶ回数そのものを減らす組み方がある。
判断の順序は決めやすい。まず1週間、自分が実際に使った機能だけを書き出す。次に、その一覧のうちOSの標準で代替できる行を消す。残った行が乗り換え先に求める条件になる。頭の中で機能表を突き合わせるより、この方法のほうが短時間で終わる。
乗り換える前に確かめる4つの条件
候補が絞れたら、入れ替える前に次の4点を確かめる。どれも後から効いてくる。
1つ目は権限。ファイルダイアログや他のアプリの窓に触る道具は、アクセシビリティ、フルディスクアクセス、場合によっては画面収録の許可を求める。Default Folder Xはこの点を公開しており、ダイアログがダークモードかどうかの判定やメニュー操作の隠し込みのために画面の画像を使うが、画像はRAMにのみ置かれ、ファイルには保存せず、使用後すぐ破棄すると説明している。乗り換え先が何のためにどの権限を要求するのか、同じ水準で説明しているかを見る。
2つ目は対応OSの幅。手元のmacOSが上がったときに追従する速さは、そのまま使い続けられる年数になる。現行6.3がmacOS 10.13から27までを1本で見ている形は、上限だけでなく下限の広さも情報になる。
3つ目は、うまく働かないアプリを外せる仕組みがあるかどうか。除外リストがあれば、相性の悪い1本のために全体をあきらめる必要がなくなる。
4つ目は設定の持ち出し。Default Folder Xは設定の保存先を公開しており、ユーザーのライブラリ内のPreferencesにあるcom.stclairsoft.DefaultFolderX5.plistと、Application Support内の同名のフォルダをコピーすれば別のMacへ移せる。削除も5.x系と6.x系ならアプリを終了してゴミ箱へ移すだけで済む。この2点が明示されている道具は、試して戻す判断がしやすい。逆に、置き場所が公開されていない道具は、試用のたびに手元の状態が読めなくなる。
同じ層で探すなら、見るべきは更新の履歴と説明の細かさ
ダイアログを速くする層のまま別の道具を探す場合、機能表の項目数は決め手にならない。OSの内側に踏み込む道具は、macOSが変わるたびに直し続けなければ止まるからだ。見るべきは3つある。macOSの新しい版が出たあと、どれくらいで対応版が出ているか。うまく動かないときの原因と手順が、どこまで具体的に公開されているか。そして、症状ごとの切り分けが利用者に開かれているか。
この観点でDefault Folder Xを見ると、FAQには症状別の手順がかなり細かく載っている。メニューバーにアイコンが出ないときはシステム設定のメニューバーの項目を見る、ノッチのあるMacBookではアイコンが隠れることがある、権限の記録が壊れたときはターミナルから該当の項目を初期化して再起動する、といった具合だ。マウス操作を拡張する別のアプリの設定が原因でダイアログ上の表示が消えることまで書かれている。乗り換え先を選ぶときに、同じ水準の情報が公開されているかどうかは、後の詰まり方を大きく変える。
もう1つの見方として、クラウドと同期するフォルダの扱いがある。Default Folder Xは同期フォルダを監視して、そこに現れた項目を最近使ったものの一覧へ加える。1人で複数のMacを使う場合は便利に働くが、共有フォルダで他の人の変更が流れ込むと一覧が埋まる。設定で同期サービスごとに切れる形になっている。候補の道具が最近使った項目をどう集めるのかは、チームで共有しているフォルダが多い人ほど先に確かめておきたい点だ。
窓の数を数えると、選ぶものが変わる
ここまでの整理で分かるのは、Default Folder Xの代わりになるものを探す作業が、実は2つの別の問いに分かれているという点だ。1つはダイアログの操作をどう速くするか。もう1つは、ファイルとコマンドとAIのあいだの移動をどう減らすか。前者は同じ層の道具で解決する。後者は層を変える話になる。
後者に当てはまる人向けに、フォルダの一覧とターミナル、AIとのやり取りを1枚の画面にまとめる作りのファイル管理アプリが出てきている。何ができるのかを機能単位で並べたできることを見ると、置き換わるのはダイアログではなく作業場所そのものだと分かる。ObsidianとCursorを並べて使っている状態から何が変わるのかを具体的に書いた他のファイル管理との比較は、いま行き来している2つのアプリの役割が1つに収まるのかを判断する材料になる。
もう1つ、窓の数と同じくらい効くのが「席を離れたあと」の扱いだ。動かしっぱなしのエージェントが確認を待って止まっている状況は、机に戻るまで進まない時間をそのまま生む。外出先のiPhoneやiPadから自宅のMacの続きを触る使い方をまとめたiPhone・iPadから続きをは、待ち時間そのものを削る方向の答えになる。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある状態を前提にすると、移動中に返せる内容が増える。
費用の考え方も先に見ておくと迷わない。買い切りか継続かでアップグレードの扱いが変わるため、料金の形は乗り換えの総額に直結する。試すときの前提条件、たとえば対応するmacOSの下限やアカウント登録の要否はよくある質問にまとめられている。対応する表示言語の一覧は対応言語で確かめられる。
最後に、決め方をひとつだけ挙げる。1週間のうち、ファイルを探すために止まった回数と、ターミナルとフォルダを行き来した回数を、別々に数えてみる。前者が多ければダイアログを速くする道具を選ぶ。後者が多ければ、窓の数を減らすほうへ動く。同じ検索語から出発しても、この2つの数字で進む先は変わる。
よくある質問
Default Folder Xは有料ですが、代わりを探すと安く済みますか?
単体ライセンスは39.95ドル、2本以上で1本あたり34.95ドルで、試用は30日間です。金額だけで比べると差は小さく、判断を分けるのは料金より対応OSの幅と権限の扱いです。買い切りか継続かでアップグレード時の負担が変わるので、数年分の総額で比べてください。
macOS標準の機能だけで代わりになりますか?
隠しファイルの表示やパスを打っての移動はmacOSの標準の機能なので、そのまま置き換わります。一方でアプリごとの既定フォルダの記憶、開いているFinderウィンドウをクリックして移動する動き、最近使ったフォルダの横断は標準機能では戻りません。この3つを日常的に使っているかどうかが分かれ目です。
乗り換えると設定をやり直すことになりますか?
Default Folder X側の設定は保存先が公開されており、ユーザーのライブラリ内のPreferencesにあるplistとApplication Support内のフォルダをコピーすれば別のMacへ移せます。削除も5.x系と6.x系はアプリを終了してゴミ箱へ移すだけです。元に戻せる状態を作ってから試すと、判断が早くなります。
どのアプリでも同じように動きますか?
開発元は、CarbonとCocoaで作られたmacOSネイティブのアプリでは動くと説明しています。QtやJavaなど他のプラットフォームと共通の枠組みで作られたアプリでは、うまく動かない例としてCalibreが挙げられています。毎日使うアプリがネイティブかどうかで、この種の道具の効き方は変わります。