Ghosttyとは|Macのターミナルとしての良さと設定の考え方

Ghosttyで検索する人の多くは、すでにMac標準のターミナルかiTerm2を使っていて、乗り換える価値があるのかを知りたいところで手が止まっている。結論を先に書くと、Ghosttyは「速さ」「機能」「Macらしい操作感」の3つを同時に狙った無料のターミナルで、設定をほとんど書かなくても使い始められる。ただし設定は文字で書くファイルが基本なので、画面から項目を選んで変えたい人は、その前提を知ったうえで判断したい。この記事では、公式の資料で確かめられる事実だけを並べ、入れ方から設定の考え方、乗り換えを決める基準までを順に整理する。

Ghosttyがいま注目されている背景

ターミナルの選び方は、ここ数年で変わってきた。以前はサーバーに入るための道具で、開発者でなければ触らないものだった。いまはAIのコーディング支援をコマンドラインで動かす人が増え、長い出力を流しながら別の作業を並べる時間が伸びている。表示が遅い、ウインドウの分割が扱いにくい、といった小さな不満が、1日の中で何度も積み重なるようになった。

Ghosttyは、HashiCorpの共同創業者として知られるMitchell Hashimoto氏が個人のプロジェクトとして始めたターミナルだ。ソースコードはGitHubで公開され、ライセンスはMITになっている。GitHubのスター数は6万を超え、READMEには「毎日数百万の人と機械に使われている安定したソフト」という趣旨の記載がある。最新の安定版は1.3系で、Macでは公式が署名と公証を済ませたアプリを配布している。

公式の説明では、既存のターミナルは「速さ」「機能の多さ」「OSに馴染んだ見た目」のうち2つまでしか選べなかった、という問題意識が出発点になっている。GhosttyはmacOSの画面部分をSwiftで書き、AppKitとSwiftUIを使っている。描画にはMetalを使い、フォントの扱いはCoreTextに任せている。見た目がMacのほかのアプリと揃っているのはこのためだ。

Macへの入れ方と、最初に確かめること

入れ方は2つある。1つは公式サイトのダウンロードページからdmgを落とし、アプリケーションフォルダへドラッグする方法だ。もう1つはHomebrewを使う方法で、コマンド1行で入る。Homebrewのcaskは有志が保守していて、公式のdmgをそのまま包み直したものだと公式の資料に書かれている。

brew install --cask ghostty インストールに成功すると以下の画面が出ます。 出典: zenn.dev

動く環境は、公式のダウンロードページにmacOS 13(Ventura)以降と書かれている。Apple シリコンとIntelの両方で動くユニバーサル版なので、機種を選んで落とし分ける必要はない。入れたあとに最初に確かめたいのは3つだ。

  • いつものシェル(多くの場合はzsh)がそのまま起動するか
  • 日本語の入力と表示が崩れないか
  • 普段使っているコマンドやAIのコーディング支援が、標準のターミナルと同じように動くか

この3つが通れば、日常の作業はそのまま移せる。逆にどれかで引っかかる場合は、設定を足す前に、標準のターミナルと並べて同じ操作をしてみると原因を切り分けやすい。

設定ファイルの置き場所と書き方の基本

Ghosttyの設定は、文字で書く設定ファイルが基本になる。公式の資料には、将来は画面からの設定も加える予定だと書かれており、現時点では文字の設定ファイルが主な手段だ。置き場所はホームフォルダの.config/ghostty/の下で、ファイル名はconfig.ghosttyになる。バージョン1.2.3より前はconfigという名前だったので、古い記事の手順と名前が違って見えても慌てなくてよい。Mac専用の置き場所として、ライブラリのApplication Support配下も読み込まれる。

書き方は「キー = 値」を1行ずつ並べるだけだ。行頭に#を付けるとコメントになり、空行は無視される。値を空にするとその項目は初期値に戻る。書き換えたあとは、Macではコマンド+シフト+カンマで設定を読み直せる。項目によっては、新しく開いたウインドウにだけ効くものや、アプリの再起動が要るものがある。

設定の考え方として、公式は「まず何も設定せずに使ってみてほしい」と書いている。JetBrains Monoというフォントが組み込まれ、アイコン表示に使うNerd Fontsの記号も最初から入っている。前のターミナルの設定を全部移そうとする前に、何も書かずに1日使い、不満が出たところだけ足していくほうが、設定ファイルが短く保てる。

テーマとフォントを変える手順

見た目で最初に変えたくなるのは配色とフォントの大きさだろう。Ghosttyには数百の配色テーマが最初から入っていて、設定ファイルにtheme = の1行を書けば切り替わる。どんなテーマがあるかは、ghostty +list-themes というコマンドで一覧できる。この配色は、iTerm2向けに作られた配色集から毎週取り込まれているので、iTerm2で使っていた配色の名前がそのまま見つかることが多い。

フォントの大きさはfont-sizeで指定する。小数も書けるので、Retinaの画面で半端な大きさに合わせたいときにも調整できる。フォントそのものを変えたいときはfont-familyを使う。背景を少し透かしたいならbackground-opacity、文字と窓の縁の間に余白を入れたいならwindow-padding-xといった具合に、変えたいことと項目名がほぼ1対1で対応している。

手順としては次の順が無理がない。

  1. テーマを1つ決め、theme の1行だけを書いて読み直す
  2. 文字の大きさを決め、font-size を足す
  3. 余白と透明度は、1週間使ってから必要なら足す

全部を一度に変えると、どの行が効いているのか分からなくなる。1行足すごとに読み直して確かめるのが、結局いちばん早い。

標準のターミナルやiTerm2との違い

Mac標準のターミナルは追加の導入が要らず、設定も画面から選べる。iTerm2は長く使われてきた高機能なターミナルで、画面の分割やホットキーで呼び出すウインドウ、細かいプロファイルの切り替えを画面から設定できる。どちらも無料で使える点はGhosttyと同じだ。

Ghosttyの違いは、速さとMacらしさを両立させようとしている点にある。公式のREADMEには、Ghosttyは高速で知られるターミナルと同じ水準にあり、標準のターミナルやiTerm2と比べるとかなり速い、という趣旨の記載がある。ただしこの数字は開発元自身の説明で、どの作業で差が出るかは使い方によって変わる。大量のログを流す作業が多い人ほど違いを感じやすく、コマンドを1行ずつ打つ使い方では差を感じにくい。

操作の面では、タブ、画面の分割、複数ウインドウがMacの部品で作られている。Quick Lookや、パスワード入力中にほかのアプリから入力を覗かれないようにするmacOSの仕組み、再起動後のウインドウ復元にも対応している。画面の上から降りてくる呼び出し型のウインドウ(クイックターミナル)もあるが、既定のキーは割り当てられていないので、設定でtoggle_quick_terminalにキーを割り当てる必要がある。

タブと画面分割の基本操作

Ghosttyを入れてすぐ試したいのが、タブと画面の分割だ。Macでの既定のキーは、Macのほかのアプリと同じ考え方で割り当てられている。新しいタブはコマンド+T、右に分割するのはコマンド+D、下に分割するのはコマンド+シフト+Dだ。分割した画面の間を移るには、コマンド+左角かっこと右角かっこで前後に切り替えられる。コマンド+オプション+矢印キーで、上下左右の方向を指定して移ることもできる。

分割の使いどころは、作業を「見張る画面」と「打つ画面」に分けることだ。たとえば左でAIのコーディング支援やビルドを走らせ、右でファイルの中身を確かめたり、別のコマンドを打ったりする。1つの窓の中で完結するので、ウインドウを切り替えて探す手間が減る。

キーの割り当ては設定ファイルで変えられる。書き方は keybind = キー=動作 の形で、たとえば既定では割り当てのないクイックターミナルも、この形で好きなキーに結び付けられる。既定の割り当てを全部確かめたいときは、ghostty +list-keybinds --default というコマンドで一覧を出せる。前のターミナルで指に馴染んだキーがある場合は、一覧を見てから、ぶつかるものだけを書き換えるとよい。

乗り換えを決めるときのポイント

乗り換えるかどうかは、機能の一覧ではなく、自分の1日の作業で決めたい。次のどれかに当てはまるなら、試す価値は高い。

  • 長い出力を流すことが多く、表示の遅さが気になっている
  • 設定を文字のファイルで管理し、複数のMacで同じ状態にしたい
  • 分割やタブの見た目を、Macのほかのアプリと揃えたい

逆に、画面の設定項目を1つずつ選んで変えるほうが落ち着く人や、iTerm2のプロファイル切り替えやトリガーのような細かい機能を毎日使っている人は、急いで移る理由は少ない。どちらも無料なので、Ghosttyを入れて1週間並べて使い、どちらの窓を開く回数が多かったかで決めるのが確実だ。

もう1つ見落としやすいのが、ターミナルの外にある手間だ。ターミナルをどれだけ速くしても、ファイルを探すのはFinder、AIへの相談は別のアプリ、という形のままだと、窓を行き来する回数は変わらない。フォルダの場所をターミナルに渡すためにパスをコピーし、結果のファイルをFinderで開き直す往復が、1日に何十回も起きている人は多い。

ターミナルとフォルダを行き来する手間から考える

ここまでの内容を、作業の流れ全体から見直してみる。ターミナルを選ぶ話は、実際には「どこで手が止まっているか」の話でもある。Ghosttyに替えて速くなるのは、コマンドを打ってから結果が表示されるまでの部分だ。一方で、Finderで目的のフォルダを探し、その場所でターミナルを開き、できたファイルを確かめるためにまたFinderへ戻る、という往復は、ターミナルを替えても残る。

この往復を減らす道具として、フォルダとターミナルとAIを1つの窓に並べるファイル管理アプリがある。どんな操作が1つの窓で済むのかはできることにまとまっていて、Finderやほかのファイル管理との違いは他のファイル管理との比較で見比べられる。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある形にすると、いま見ているフォルダでそのままコマンドを打ち、結果をその場で確かめられる。

費用の考え方は料金に整理されている。画面の表示言語が気になる場合は対応言語で確かめられる。AIのコーディング支援を長く走らせて、席を外している間に続きを見たい場合はiPhone・iPadから続きをの説明が参考になる。細かい疑問はよくある質問にまとまっている。Ghosttyでターミナル自体を速くすることと、ターミナルの前後にある往復を減らすことは、別々に効く対策だ。どちらで時間を失っているのかを、まず1日数えてみるところから始めたい。

よくある質問

Ghosttyは無料で使えますか?

無料で使えます。Ghosttyはオープンソースのターミナルで、ライセンスはMITです。有料のプランや機能の制限はなく、Mac版は公式サイトのダウンロードページから署名と公証の済んだアプリを入手できます。Homebrewを使っている場合は、brew install --cask ghostty の1行でも入れられます。

GhosttyはどのバージョンのmacOSで動きますか?

公式のダウンロードページには、macOS 13(Ventura)以降が必要と書かれています。Apple シリコンとIntelの両方で動くユニバーサル版なので、機種ごとに落とし分ける必要はありません。古いmacOSを使っている場合は、先にOSの更新ができるかを確かめてください。

Ghosttyの設定ファイルはどこにありますか?

ホームフォルダの .config/ghostty/ の下にある config.ghostty が基本の置き場所です。バージョン1.2.3より前は config という名前でした。Macでは、ライブラリのApplication Support配下も読み込まれます。書き換えたあとは、コマンド+シフト+カンマで読み直せます。

iTerm2から乗り換えるときに注意することはありますか?

設定の方法が違う点に注意がいります。iTerm2は画面から項目を選んで設定しますが、Ghosttyは文字の設定ファイルが基本です。配色はiTerm2向けの配色集から取り込まれているため、同じ名前のテーマが見つかることが多いです。まず両方を1週間並べて使い、普段の作業で困る点が無いかを確かめてから移ると安全です。

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