Macのディスクユーティリティ|消す前に何を選ぶかを決める

Macのディスクユーティリティを開く状況は、たいてい落ち着いていません。外付けが認識されない、起動が途中で止まる、新しいドライブを使い始めたい。ところが画面には複数の階層が並び、押せるボタンと押せないボタンが混ざっています。このアプリは操作の種類ごとに前提が違い、どれを選ぶかで戻せるかどうかが変わります。何をしたいのかを先に決めてから触る順番で整理します。

1つの窓に、性質の違う4つの役目が入っている

ディスクユーティリティが受け持つ範囲は、Appleのユーザガイドの目次を見ると4つに分かれています。1つ目はストレージデバイスの診断と修復です。2つ目は消去と再フォーマットで、こちらは中身が失われます。3つ目はパーティションの作成やAPFSボリュームの追加と削除です。4つ目はディスクイメージで、作成、別のフォーマットへの変換、サイズの変更、ディスクへの復元が並びます。

この4つは、失敗したときの重さがまったく違います。診断はデータを変えません。修復は管理情報に手を入れます。消去と再フォーマットは戻せません。パーティションの操作は、条件によって既存のボリュームを巻き込みます。同じ窓に並んでいるため、目的を決めずに触ると、直したいだけの場面で消去のボタンに手が届いてしまいます。

4つ目のディスクイメージは、性格が他と少し違います。物理的なドライブではなく、1つのファイルをボリュームのように扱う仕組みで、目次には作成、別のフォーマットへの変換、サイズの変更、そしてディスクへの復元が並んでいます。資料をまとめて渡すときや、同じ構成を複製したいときの受け皿になります。ここだけは既存のドライブを消さずに試せるため、階層の見え方や名前の付き方を確かめる練習の場としても使えます。

作業の前提として、Appleは1つの条件を示しています。

破損したファイルを復元する必要ができた場合や、ディスクユーティリティで修復不能なエラーが見つかった場合に備えて、必ずデータの最新バックアップを作成しておいてください。 出典: support.apple.com

この一文は、修復が失敗しうる操作だと認めている記述でもあります。控えを先に取ってから始めるという順番は、手間ではなく前提として扱われています。

開き方が2つあり、起動ディスクを触るなら復旧から

通常の開き方は、アプリケーションフォルダのユーティリティフォルダの中にあるディスクユーティリティをダブルクリックする方法です。外付けドライブやディスクイメージを扱うだけなら、こちらで足ります。

起動ディスクそのものを修復する場合と、Macが最後まで起動しない場合は前提が変わります。Appleの手順では、macOS復旧から起動し、ユーティリティの一覧が出たらディスクユーティリティを選んで「続ける」を押す形になっています。動作中のボリュームは修復の対象にしにくいという事情があり、これはコマンド側の説明とも一致します。diskutil のマニュアルには、修復では多くの場合で対象のボリュームをマウント解除できる状態にする必要があり、動作中のボリュームに対する修復は対応していないと書かれています。

復旧から使った場合は、終わり方も決まっています。ディスクユーティリティを終了し、Appleメニューから再起動を選びます。ここを飛ばして電源を切ると、途中で止まった状態の判断が付きにくくなります。

下取りや売却、譲渡を前提にした消去は、さらに別の道具が案内されています。Appleシリコン搭載機と、IntelプロセッサにApple T2セキュリティチップを組み合わせた機種では、消去アシスタントを使う形です。ディスクユーティリティから起動ディスクを消す手順は、その条件に当たらない場合の道になります。

First Aidは下から上へ、1段ずつ当てる

診断の実行には順番があります。まず「表示」メニューから「すべてのデバイスを表示」を選びます。これでサイドバーに、起動ディスクを先頭にしてストレージデバイスが並び、各デバイスの下にコンテナとボリュームが入る形になります。Appleの例では、起動ディスクの下にコンテナが1つ、その下にボリュームが2つ並ぶ構成が示されています。

当てる順番は下からです。修復したいデバイスについて、最初にそのデバイスの一番下のボリュームを選び、First Aidのボタンかタブを押して「実行」を選びます。終わったら、サイドバーで1つ上の項目を選んでもう一度実行します。これを繰り返して、ボリュームを順に上へ進み、次にコンテナ、最後にデバイス本体へ当てます。

途中でボタンが灰色になって押せない項目が出ます。Appleの手順では、その項目については飛ばしてよいと書かれています。ディスクのロックを解除するためにパスワードを求められた場合は、管理者のパスワードを入力します。押せないボタンを押そうとして詰まる時間が、ここで最も生まれやすい部分です。

階層をまたいで当てる理由は、下層の仕組みが先に検証されるためです。diskutil のマニュアルには、対象のボリュームそのものより先に、下層のストレージシステム、たとえばAPFSやCore Storageが検証または修復されると書かれています。ボリューム1つだけを見て終わりにすると、原因が下の層に残ります。

直らないと出たときの分かれ道

First Aidで修復不能なエラーが見つかった場合、Appleの案内はディスクユーティリティでの消去、つまりフォーマットへ進む形になっています。ここが分かれ目です。消去すれば構造は作り直せますが、中身は失われます。控えが無い状態でこの案内に従うと、直す作業が消す作業に変わります。

もう1つの症状は、サイドバーにデバイスが出てこない場合です。Appleの説明では、Macかストレージデバイスの修理が必要な可能性があるとされ、その前に試すこととして、Macをシステム終了し、必須ではないデバイスをすべて外してもう一度試す手順が挙げられています。外付けの場合は、ケーブル、接続、電源を確認します。

ここで判断を分けるのは、症状の種類です。管理情報の不整合なら修復で直る見込みがあります。認識されない、異音がする、書き込みが途中で止まるといった状態では、繰り返し読ませる操作自体が状態を悪くしうるため、扱いを分けて考えることになります。同じ操作を何度も試す前に、控えの有無を先に確かめる順番が無駄がありません。

消去の前に決めるのは、方式とフォーマットと名前

消去に進む場合、決める項目は3つです。Appleの手順では、サイドバーで対象のデバイスを選び、「方式」のポップアップメニューからGUIDパーティションマップを選びます。このメニューが使えない場合は、階層の最上位にあるデバイスを選べていない、という切り分けが案内されています。ボリュームを選んだまま方式を変えようとして詰まる例が多い部分です。

次に「フォーマット」を選びます。選べる形は用途で決まります。Appleの案内では、APFSはmacOS 10.13以降の既定で、暗号化や大文字と小文字の区別が要らない場合はそのままのAPFSを選ぶ形です。Windowsと共用するなら、MS-DOS(FAT)は32GB以下のボリューム向け、exFATはそれを超えるボリューム向けという使い分けが示されています。

最後に名前を入力し、「消去」を押して「完了」で終わります。作業そのものは数分で終わりますが、押した後に戻す道はありません。Appleも重要事項として、保存したいファイルがある場合は消去の前に別のストレージデバイスへコピーするよう書いています。

セキュリティオプションは、出ない場合がある

消去の画面には「セキュリティオプション」というボタンがあります。押せる状態なら、スライダで消去したデータを上書きする回数を選べます。Appleの案内では、この確実な消去のオプションは一部のタイプのストレージデバイスにだけ使えるもので、ボタンが押せない場合はそのデバイスでは実行できないと整理されています。

ソリッドステートドライブでは、このオプションは使えません。代わりにAppleが挙げているのは、使い始めるときにFileVault暗号化を有効にすることを検討する、という考え方です。上書きで消す前提ではなく、最初から読めない状態で保存しておく前提に切り替える形です。譲渡や売却を視野に入れるなら、後から手を打つより最初の設定で決めておくほうが確実になります。

画面で詰まったら、同じ処理を文字で確かめる

ディスクユーティリティの操作は、diskutil というコマンドと対応しています。画面のボタンが押せない理由や、何がどの階層にあるのかを確かめたいときは、文字の出力のほうが分かりやすい場面があります。

マニュアルで対応が付く操作はいくつもあります。診断は verifyVolume、修復は repairVolume です。ディスク全体を消して新しいパーティション構成を作るのが eraseDisk、既存のパーティション上にボリュームを作り直すのが eraseVolume、同じ形式と同じ名前で作り直すのが reformat です。選べるフォーマットの名前とその略称は listFilesystems で一覧できます。マニュアルには JHFS+ や MS-DOS のような略称が、正式な名前の別名として用意されていると書かれています。

コマンド側にも同じ前提が付きます。消去の操作には対象のディスクの所有権が必要で、修復では下層の媒体が書き込み可能でなければなりません。画面で押せないボタンの理由が、コマンドの説明として文章で書かれている、という関係です。GUIだけで粘る前にマニュアルを1度読むと、詰まりの原因が短時間で分かります。

構造を見る窓と、操作する窓が分かれている

ディスクユーティリティの作業で時間を食うのは、操作そのものではなく確認です。どのボリュームにどのフォルダが入っているかをFinderで見て、階層の構造をディスクユーティリティで見て、詰まったらマニュアルを読み、コマンドの出力をターミナルで確かめます。控えを取る作業も、別のフォルダを開いて進めます。

工程を数えると、手を動かす回数より窓を切り替える回数のほうが多くなります。どのボリュームを選ぶかを間違えると戻せない操作があるだけに、確認の往復は増えます。AIに手順を確かめる場合は窓が1つ増えます。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある状態なら、対象のボリュームの中身を一覧で見ながら、同じ画面で diskutil の出力を読み、控えの置き先をその場で決められます。

ターミナルを内蔵したファイル管理で何がどこまでできるのかはできることに一覧があり、標準のFinderや他のアプリとの違いは他のファイル管理との比較に整理されています。出先から自宅のMacの状態を確かめる使い方はiPhone・iPadから続きをが該当し、費用の考え方は料金、導入前に迷いやすい点はよくある質問にまとめられています。

ディスクユーティリティの画面は10年以上ほとんど変わっていません。変わったのは、扱う対象がコンテナとボリュームの2段になったことと、消去の前提がSSDに寄ったことです。どちらも、押す前にどの階層を選んでいるかを確かめれば避けられる話に収まります。

よくある質問

First Aidはどの項目から実行すればよいですか?

一番下のボリュームから始めて、1段ずつ上へ進みます。ボリュームを順に当ててからコンテナ、最後にデバイス本体という順番です。下層のAPFSやCore Storageが先に検証される作りのため、ボリュームだけを見て終わると原因が下の層に残ります。ボタンが灰色で押せない項目は、その項目を飛ばして次へ進みます。

起動ディスクを修復したいのですが、普通に開いてもできません。

動作中のボリュームは修復の対象にしにくいためです。macOS復旧から起動し、ユーティリティの一覧でディスクユーティリティを選んで進めます。終わったらディスクユーティリティを終了し、Appleメニューから再起動します。Macが最後まで起動しない場合も同じ経路になります。

外付けHDDのフォーマットはどれを選べばよいですか?

Macだけで使うならAPFSが既定です。Windowsと共用する場合は、32GB以下のボリュームならMS-DOS(FAT)、それを超えるならexFATという使い分けがAppleの案内に示されています。方式はGUIDパーティションマップを選びます。方式のメニューが選べないときは、ボリュームではなく階層の最上位のデバイスを選び直します。

「セキュリティオプション」が押せません。故障でしょうか?

故障ではありません。上書きによる確実な消去は一部のタイプのストレージデバイスにだけ使えるもので、押せない場合はそのデバイスでは実行できないという意味です。ソリッドステートドライブでは使えないため、Appleは使い始めるときにFileVault暗号化を有効にすることを検討するよう案内しています。

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