Macのディスクユーティリティの復元|丸ごと写す機能の使い道

「mac ディスク ユーティリティ 復元」で検索してたどり着いた人の多くは、うっかり消した書類を取り戻す画面を探している。ところがディスクユーティリティの「復元」ボタンは、消えたファイルを掘り出す機能ではない。あるボリュームの中身を、別のボリュームへ丸ごと写す機能である。ここを取り違えたまま押すと、残しておきたかったデータのほうが消える。この記事では、この「復元」が何をする機能なのか、消したファイルを取り戻したいときはどこを見るのか、そして丸ごと写す目的で使うときの手順を、Appleの公開資料で確かめられる範囲だけで整理する。

ディスクユーティリティの「復元」が実際にしていること

Appleのディスクユーティリティユーザガイドは、この機能の役割をそのまま書いている。

ボリュームを別のボリュームに復元できます。あるボリュームから別のボリュームに復元すると、元のボリュームの正確なコピーが作成されます。 出典: support.apple.com

同じページには警告も並んでいる。あるボリュームを別のボリュームへ復元すると、復元先のボリューム上にあるファイルはすべて消去される。つまりこの操作は、コピー元を守り、コピー先を捨てる操作である。日本語の「復元」という語からは、時間を巻き戻す印象を受ける。だが画面がしているのは、上書きの一種であって、巻き戻しではない。

この機能の性質は、macOSに最初から入っているコマンドの説明とも一致する。asrコマンドのマニュアルは、自身を「Apple Software Restore」と名乗り、ディスクイメージをボリュームへ効率よくコピーする道具だと述べている。さらに、中間のディスクイメージを介さずにボリュームを正確に複製できるとも書かれている。ディスクユーティリティの「復元」は、この考え方をそのまま画面にしたものだと理解しておくと、押す前に手が止まる。

消したファイルを取り戻したいときに見る場所

探している機能が「消した書類を取り戻すこと」なら、ディスクユーティリティはそもそも担当ではない。見る順番は決まっている。

  • ゴミ箱を開く。Finderの設定で「30日後にゴミ箱から項目を削除」を有効にしていると、30日を過ぎた項目は自動で消える。まずここを確かめる
  • Time Machineのバックアップを持っているなら、対象のフォルダを開いた状態でTime Machineに入り、日付をさかのぼる
  • APFSのスナップショットが残っていれば、そこから戻せる場合がある。ディスクユーティリティにはスナップショットを一覧する画面がある
  • 書類がiCloud Driveやほかのクラウドにあったなら、そのサービス側の履歴を見る

この4つのうちどれも当たらないときに初めて、市販の復旧ソフトや業者の話になる。「復元」ボタンとは無関係の道である。この混同は昔からあり、公開されている質問板でも、この機能がディスクイメージを書き戻すためのものであって、いわゆるファイル復元ソフトとは関係がないと説明されている。

その「復元」はディスクイメージファイル, つまり dmg ファイルを復元するためのもので圧縮/解凍の「解凍」のようなものです。いわゆる「ファイル復元ソフト」とは関係ありません。 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

復元を実行する前に決めておく3つのこと

丸ごと写す目的で使うと決めたなら、押す前に3つを紙に書き出しておく。画面の中でコピー元とコピー先が隣り合って並ぶため、名前だけを見て取り違える事故が起きやすい。

1つ目は、どちらが残る側かである。ディスクユーティリティの画面では、先にサイドバーで選ぶのがコピー先、つまり消去される側になる。あとから「復元」ポップアップメニューで選ぶほうがコピー元である。感覚と逆に感じる人が多いので、選ぶ順番そのものを覚えておく。

2つ目は、コピー先に残しておきたいものが無いかである。外付けドライブを写し先にする場合、そのドライブの中身は残らない。必要なファイルは先に別のボリュームへ移しておく。

3つ目は、コピー元のバックアップである。Appleのサポート記事は、修復や復元に取りかかる前提としてバックアップを求めている。

破損したファイルを復元する必要ができた場合や、ディスクユーティリティで修復不能なエラーが見つかった場合に備えて、必ずデータの最新バックアップを作成しておいてください。 出典: support.apple.com

ディスクユーティリティで復元する手順

Appleのユーザガイドが示している流れは短い。ボリュームどうしを写す場合は次のとおりである。

  1. 「アプリケーション」フォルダの中の「ユーティリティ」フォルダから、ディスクユーティリティを開く
  2. メニューバーで「表示」から「すべてのデバイスを表示」を選ぶ。この指定をしないと、写し先にしたいボリュームが一覧に出ないことがある
  3. サイドバーで、写し先のボリュームを選ぶ。ここで選んだボリュームが消去される
  4. ツールバーの「復元」をクリックする
  5. 「復元」ポップアップメニューから、写し元にしたいボリュームを選ぶ
  6. 「復元」をクリックし、終わったら「完了」をクリックする

途中で止めないこと、外付けのケーブルに触らないこと、ノートならば電源につないでおくこと。この3点は画面には出ないが、失敗の原因として並ぶ。ボリュームの容量が大きいほど時間がかかるため、途中で画面が動かないように見えても待つ。 写す作業は数十分から数時間に及ぶことがある。所要時間は容量と接続の速さでほぼ決まるため、進捗バーが長く止まって見えても、ケーブルを抜いたり電源を落としたりしないほうがよい。途中で切れると、写し先は元の中身も新しい中身も揃っていない状態で残る。その状態から拾えるものはほとんどない。作業を始める前に、終わるまで触らずに置ける時間帯を選んでおく。

ディスクイメージをディスクに復元する場合

dmgファイルとして受け取った内容を、ドライブへそのまま書き戻す使い方もある。ディスクユーティリティのユーザガイドには「ディスクイメージをディスクに復元する」という別の項目が用意されていて、写し元にディスクイメージを指定する形になる。インストーラや検証用の環境を配る場面では、この使い方のほうが本来の用途に近い。

注意点は、ディスクイメージを開いてファイルをコピーする操作とは別物だという点である。ファイルを取り出したいだけならダブルクリックでマウントして、必要なものをドラッグすればよい。「復元」を使うと、書き戻し先のボリュームは丸ごと置き換わる。取り出しなのか、置き換えなのか。目的をどちらか一つに決めてから画面を開く。

写し先のフォーマットとパーティション方式をそろえる

写し先のドライブが新品だったり、Windows用に売られていた品だったりすると、そのままでは写せないことがある。ディスクユーティリティが対応しているファイルシステムの種類は公開されていて、macOS 10.13以降の既定はAPFSである。Windowsとやり取りするためのMS-DOS(FAT)とexFATも選べるが、この2つはWindowsボリューム用で、MS-DOS(FAT)は32 GB以下、exFATは32 GBを超える場合にあてるものとして案内されている。

パーティション方式も3種類が示されている。IntelプロセッサでもAppleシリコンでも、Macで使うなら「GUIDパーティションマップ」を選ぶ。「マスターブートレコード」はWindows機との互換のため、「Appleパーティションマップ」はPowerPC世代の古いMacとの互換のための選択肢である。写し先を先に消去してフォーマットしておくと、復元の途中で止まる原因を一つ減らせる。フォーマットの選択肢の意味は、Appleのファイルシステムフォーマットの説明にまとまっている。

起動ディスクが相手のときはmacOS復旧から

いま起動しているボリュームを、自分自身の上から写すことはできない。macOSが動いている最中は、そのボリュームが使用中だからである。asrコマンドのマニュアルにも、写し元は消去を伴う複製のためにはマウント解除できる状態か読み出し専用でマウントされている必要があり、起動中のルートファイルシステムは対象にできないと書かれている。

起動ディスクを相手にするなら、macOS復旧から起動する。復旧の画面でユーティリティの一覧が出たら、ディスクユーティリティを選んで「続ける」をクリックする。Appleシリコン搭載のMacでは電源ボタンを押し続けて起動オプションを出し、Intel搭載のMacでは起動時に特定のキーを押し続ける。機種ごとの手順はAppleのサポート記事に載っている。手元のMacがどちらかを先に確かめておくと、当日に迷わない。

First Aidと復元のどちらを先に試すか

読み出しが怪しい、ファイルが開けない、ボリュームがときどき見えなくなる。こうした症状のときは、順番を間違えないほうがよい。まずFirst Aidである。First Aidはボリュームの管理情報の食い違いを検査して直す機能で、データを消さない。ここで直ることがあるなら、写す必要はない。

First Aidが通らない、あるいは修復不能と表示されたときに、初めて「別のボリュームへ写す」という選択が出てくる。ただしその段階でも、最初に写すのは健全な側から怪しい側へではなく、怪しい側から健全な側へである。壊れかけたドライブから救い出すのが目的だからである。順番を逆にすると、残っていたデータを上書きしてしまう。

同じ仕組みをターミナル側から見る

ディスクユーティリティは、下で動いている仕組みの前面にある画面である。ターミナルを使う人であれば、同じことがコマンドの層でどう見えているかを知っておくと、画面の挙動が読める。

ボリュームの名前とデバイス名の対応はdiskutil listで並ぶ。写す操作そのものはasrが担い、マニュアルには、この処理にはroot権限が必要だと明記されている。またdiskutil unmountのマニュアルには、システム内のDisk Arbitrationが異議を取り下げるまで数秒以上かかることがあり、多くの場面では最大1分で失敗として戻ると書かれている。画面上で「ボリュームをマウント解除できません」と出るとき、裏側で起きているのはこれである。

コマンドの挙動を確かめるのに、いきなり本番のドライブで試す必要はない。manページを開いて読むだけで、引数の意味と危険な組み合わせは分かる。読んでから押す、という順番が守れるかどうかが、この機能を安全に使えるかどうかの分かれ目になる。

画面を行き来している時間についての考察

ここまでの手順を踏むとき、多くの人は3つの窓を行き来している。ドライブの中身を見るFinder、diskutilやmanを叩くターミナル、そして手順やエラー文を調べるブラウザである。窓を移るたびに、いまどのボリュームを選んでいたのかを目で確かめ直すことになり、この確かめ直しがコピー元とコピー先の取り違えを生む。

この行き来を減らす作り方をしているファイル管理アプリもある。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある構成なら、ドライブの階層を見ながら同じ画面でコマンドの結果を確かめられる。何ができる構成なのかはできることのページに一覧がある。Finderや既存のエディタと何が違うのかを整理したページが他のファイル管理との比較で、判断の材料としてはこちらが早い。

長い復元の途中で席を離れたいこともある。手元を離れても状況を見たい場合の作りについてはiPhone・iPadから続きをにまとめられている。費用の考え方は料金に、導入前に引っかかりやすい点はよくある質問に整理されている。画面の言葉をどの言語で扱えるかは対応言語で確かめられる。道具を替えるかどうかは別の判断だが、少なくとも「どの窓で何を見ていたか分からなくなる」という失敗の型は、道具の配置で減らせる部分がある。

よくある質問

ディスクユーティリティの復元で、間違って消したファイルを取り戻せますか?

取り戻せません。この機能はボリュームの中身を別のボリュームへ丸ごと写すもので、消えたファイルを探す機能ではありません。消した書類を戻したいときは、ゴミ箱、Time Machineのバックアップ、APFSのスナップショット、クラウド側の履歴の順に確かめてください。

復元で消えるのは、コピー元とコピー先のどちらですか?

消えるのはコピー先です。サイドバーで先に選んだボリュームがコピー先になり、その中身はすべて消去されます。あとから「復元」ポップアップメニューで選ぶほうがコピー元です。選ぶ順番が感覚と逆なので、実行前に残す側の名前を確かめてください。

起動ディスクを復元したいのに、選べないのはなぜですか?

起動中のボリュームは使用中のため、そのままでは写せません。macOS復旧から起動して、復旧の画面でディスクユーティリティを選んでください。起動オプションの出し方はAppleシリコン搭載機とIntel搭載機で違うので、手元の機種の手順を先に確かめておくと迷いません。

First Aidと復元は、どちらを先に実行すればよいですか?

First Aidが先です。First Aidは管理情報の食い違いを検査して直す機能で、データを消しません。ここで直るなら写す必要はありません。修復不能と表示された場合に限り、怪しいボリュームから健全なボリュームへという向きで写します。向きを逆にすると残っていたデータを上書きします。

記事一覧へ戻る