MacBook Proのファイル整理|持ち出す前提で置き場所を決める
how to organize files on macbook pro で調べて出てくる手順の多くは、実のところ「パソコンのファイル整理」の一般論です。階層を決め、名前の規則を決め、週に一度片づける。どれも間違ってはいませんが、ノートにしか無い前提が抜けています。ケーブルを抜いた瞬間に、外付けディスクも社内の共有フォルダも消えるという前提です。机の上では完璧に回る置き場所の設計が、移動中には半分しか使えない。ここを先に織り込むかどうかで、続く整理の意味がかなり変わります。
ノートにしかない制約は2つある
据え置きのMacなら、つないだディスクはすべて常設として扱えます。どこに置いても検索に出るし、別のディスクを指すエイリアスも常に解決します。ノートでは、その前提が一日のうち何時間かだけ成り立ちます。
だから「持ち出せるかどうか」は、細かい話ではなく設計の軸になります。すべてのフォルダは「何もつないでいない状態で開けるか」という問いに答えを持っている必要があり、答えが「開けない」なら、それは散らかっているのではなく単に手元に無いだけです。手元にあるものと無いものを同じ枝の中に混ぜると、いちばん困る場面でリンクが切れます。
もう1つの制約は静かですが効いてきます。ノートの内蔵ストレージは購入時に決まり、あとから足せません。「全部ローカルに置く」という据え置き向けの助言は、そのまま持ち込めないということです。考えるべきは全部を収める方法ではなく、どの範囲を手元に置き、その範囲をどう入れ替えるかになります。
この2つは同じ結論を指します。フォルダの形を決める前に、持ち出すものと置いていくものの線を引く。線が引けていれば、新しいフォルダを作るときにどちら側かは迷わず決まります。
分類より先に「持ち出せるか」で分ける
つい、最上位を取引先や案件や年で分けたくなります。ノートの場合、その分け方は1段下に置き、上には持ち出せるかどうかを置くほうが安定します。
現実的な形は根が2つです。片方は進行中の仕事だけを入れ、内蔵ディスクに置き、サイズが一目で分かる程度に小さく保ちます。もう片方は完了した仕事と資料を入れ、外付けやサーバーに置き、増え続けても気にしません。それぞれの中の分け方はまったく同じにしておきます。同じ名前のフォルダが両側にあるので、案件を片づけるときの操作が「移す」だけで済み、置き場所を考え直す作業が発生しません。
進行中の定義は、判断ではなく規則にします。「直近3か月に触ったもの」「未入金の請求が残っているもの」のように、中身を開かなくても判定できる条件が向いています。ファイルを読まないと決められない規則は運用されず、運用されない規則は無いのと同じです。
逆向きの移動も同じくらい大事です。手元の根が小さいまま保たれるのは、片づけが安いからです。両側の構造をそろえておくと、移す先のフォルダが最初から同じ名前で存在します。片づけたい瞬間に何も考えなくていい状態を先に作っておく、というのがこの設計の狙いです。
外付けを外した瞬間に壊れるもの
macOSの便利な機能のいくつかは、すべてが手元にある前提で作られています。外した状態での挙動は機能ごとに違います。
| 機能 | 外付けを外したときの挙動 |
|---|---|
| 外付け上のファイルへのエイリアス | 元の場所を選び直す画面が出る、または解決しない |
| その外付けを範囲にしたスマートフォルダ | エラーではなく、結果が空になる |
| 最近使った項目、アプリの履歴 | 項目は残るが、開こうとすると失敗する |
| Spotlightの検索 | 外した側の中身は検索対象にならない |
| ターミナルで作ったシンボリックリンク | パスそのものが存在しない扱いになる |
いちばん危ないのは、空になるスマートフォルダです。空の結果は答えに見えます。本当の意味は「該当が無い」ではなく「該当を持つディスクが鞄の中にある」です。範囲を特定のディスクではなく「このMac」にしておくと、問題が消えるわけではありませんが、少なくとも黙って空を返す状態は避けられます。
対処は単純で、ディスクをまたぐ参照を減らすことです。手元の案件が資料側の何かを必要とするなら、その期間だけコピーを持ってくるほうが安全で、案件が終わったらコピーを消すところまでを片づけの手順に含めます。線をまたぐ参照は、いつか必ず切れる参照です。
手元にあるように見えて、中身が無いファイル
クラウドが絡むと、もう1種類の「無い」が生まれます。しかも見た目は普通のファイルです。iCloud Driveのストレージ最適化や、他のサービスのオンデマンド機能を使っていると、あまり触らないファイルの実体だけが手元から外され、名前とサイズとアイコンだけが残ります。開いた瞬間にダウンロードが始まります。
Finderで手作業をしている分にはほとんど気づきません。自動処理では話が別です。フォルダを順に読むスクリプトは、触ったファイルの数だけダウンロードを誘発します。全文検索は手元にある分しか当たりません。バックアップの取り方によっては、中身ではなく実体の無い状態を写してしまうこともあります。
移動中に困るのもここです。新幹線や飛行機の中で開こうとしたときに初めて実体が無いと分かる、という順番になりやすい。出先で触る可能性のあるフォルダは、出発前に一度開いておくか、最適化の対象から外しておくのが確実です。予定が決まっているなら、前日の夜に該当フォルダを開いて一巡させるだけで、当日に待たされる場面はかなり減ります。
機能が悪いという話ではありません。境界を意図して置くべきだ、という話です。コマンドで処理するフォルダ、索引を作るフォルダ、ローカルにバックアップするフォルダは最適化の外に置く。取り出せればよい資料は中に置く。両方を同じ枝に混ぜると、その枝について言えることが何も無くなります。信用してよいフォルダかどうかは、ファイル名の横に雲の状態を示す印が出ているかどうかで見分けられます。
Finderでもターミナルでも通る名前
ノートの名前の規則は、読み手が複数います。Finderが表示し、ターミナルが受け取り、他の環境とやり取りするために別形式で初期化した外付けが受け入れるかどうかも関わります。
上限として知っておきたいのは255文字です。ファイル名やフォルダ名の1つの区切りに使える長さで、余裕があるように見えますが、取引先と案件と書類の種類と日付を全部つなぐ規則を作ると、意外に近づきます。使えない文字もあります。
コロン(:)などの句読点を含む一部の文字は、フォルダ名には使えません。エラーメッセージが表示された場合は、別の名前を使用してください。 出典: support.apple.com
そのうえで、摩擦を減らす習慣が3つあります。日付が意味を持つものは、年・月・日の順を先頭に置く。文字として並べ替えたときに時系列になり、Finderでもターミナルの ls でも同じ順に並びます。先頭にピリオドを置かない。ピリオドで始まる名前は、Finderでもシェルでも隠しファイル扱いになります。そして空白を使うかどうかを最初に一度だけ決める。空白を含む名前はコマンドに渡すたびに引用符か退避が要るので、混在させると後で打つコマンドの半分が書き直しになります。
厳密なテンプレートは要りません。小さな問いにいつも同じ答えを返すこと、それだけで、片づいて見えるだけの階層と、検索で当たる階層の差が出ます。
トラックパッドのドラッグを減らす
ノートでの入力装置はトラックパッドです。そして2つの窓の間でファイルをドラッグする操作は、片づけの手順の中でいちばん高くつく動作です。ここを減らすほうが、フォルダを1つ増やすより効きます。
覚えるのは3つで足ります。command + C でコピーしたあと option + command + V を押すと、複製ではなく移動になります。2つの窓を並べる必要がなくなります。shift + command + G で「フォルダへ移動」の入力欄が開き、パスを打つか貼るだけで目的地に着きます。サイドバーをたどるクリックが消えます。タグは control + 1 から control + 7 でよく使うものを付け外しでき、control + 0 で全部外せます。
キーの操作に慣れるまでは、既存のフォルダを開く手間のほうが大きく感じるかもしれません。判断の材料は、同じ操作を1日に何回するかです。案件が動いている週なら、ファイルを移す操作は1日に何十回も発生します。1回あたり数秒の差でも、トラックパッドで正確な位置に落とす緊張の分を含めると、体感の差はもっと大きくなります。
取り出す側は保存した検索に任せます。
Mac上で条件を満たすファイルを追加、変更、または削除すると、スマートフォルダ内のファイルのリストが自動的にアップデートされます。 出典: support.apple.com
これがあるから、ノートの階層は浅くて構いません。フォルダはファイルがどこに存在するかを決めるもので、バックアップの対象や持ち出しの可否に効きます。スマートフォルダは何を一緒に見るかを決めるもので、こちらは週単位で変わります。1つの構造に両方を担わせようとすると、1年後に誰も辿れない深い階層ができあがります。
月に一度の点検
ノートの整理は決まった方向に崩れます。手元の根が太っていくのです。片づける側の手順が飛ばされるからで、これは意志の問題ではなく、片づけが後回しにしても困らない作業だからです。短い点検を定期的に挟むと早い段階で気づけます。
見るのは3か所です。手元の作業用の根のサイズが横ばいかどうか。システム設定のストレージの画面で、実際に増えているのが何か。そして資料側に、直近で終えた案件が届いているかどうか。
バックアップも同じ理由で点検の対象に入ります。机の上にしか置いていないバックアップ先は、机に戻った時間の分しか書き込まれません。最後にバックアップが取れた日付を見るのは数秒で、フォルダの形では分からないことに答えてくれます。まだ資料側へ移していない仕事が、手元の1台にしか無い状態かどうか、という問いです。
同じ窓にまとめる道具から見えること
点検で見つかったものは、結局は「移す」という動作になります。そして移す作業は、ドラッグであると同時にコマンドでもあります。まとめて名前を整える、日付で振り分ける、容量の大きいものだけ資料側へ送る。この手の処理は、フォルダを見ている窓ではなく、別の窓で行われるのが普通です。
フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある作りは、この往復を前提から外す方向の設計です。片づけている場所と、片づけるための命令を打つ場所が分かれていないと、点検そのものが軽くなります。具体的に何ができるのかはできることに整理されていて、フォルダの操作と処理の実行を同じ画面で続けられる点が中心です。机を離れたあとの続きをどう扱うかについては、iPhone・iPadから続きをが、移動中に確認と指示だけを済ませる形をまとめています。
ノートの整理で決めることは、突き詰めれば1つです。持ち出すものと置いていくものの線をどこに引くか。線が決まれば、階層も、名前も、点検の頻度も、その線から自動的に決まります。決まらないまま階層だけを作り直すと、半年後にまた同じ作業をすることになります。
よくある質問
進行中の案件は内蔵ディスクと外付けのどちらに置くべきですか?
進行中は内蔵ディスクです。ケーブルを抜いた状態で確実に開けるのは内蔵だけだからです。完了した案件や容量の大きい資料は外付けが向いています。両側のフォルダ名をそろえておくと、片づけるときの操作が移すだけで済み、置き場所を考え直す必要がなくなります。
スマートフォルダが急に空になるのはなぜですか?
特定の外付けを範囲にした保存済みの検索は、そのディスクを外していると結果が空になります。エラーではなく空の一覧が返るため、該当が無いのか、ディスクが無いのかが画面からは区別できません。ファイルが消えたと判断する前に、対象のディスクがつながっているかを先に確かめてください。
ファイル名の長さに上限はありますか?
1つの区切りにつき255文字までです。あわせて、コロンなど一部の句読点はフォルダ名に使えないことがAppleの説明に書かれています。取引先と案件と書類の種類と日付をつなぐ規則は、思ったより早く上限に近づくので、要素の数を先に決めておくと安全です。
ストレージの最適化を使うと整理に影響しますか?
フォルダの構造は変わりませんが、手元に実体があるかどうかが変わります。最適化が有効だと、あまり触らないファイルは名前だけを残して中身が外され、開いた時点でダウンロードされます。コマンドで処理するフォルダや、ローカルにバックアップするフォルダは、最適化の対象外に置いたほうが扱いやすくなります。