AIに資料を要約させる|手元のフォルダのまま読ませる段取り
ai 資料 要約で調べていて出てくるのは、ほとんどがツールの一覧です。ところが実際に詰まる場所は、ツールの選択ではなく手前にあります。手元のフォルダに散っている資料を、どの形にして、どこまで渡すかを決めていないから、貼り付けた瞬間に切り落とされる。ここでは道具の紹介ではなく、Macのフォルダに置いたままの資料を要約に回すための段取りを、材料づくりと渡し方と受け取り方の3つに分けて整理します。
要約できないと感じる原因は3つに分かれる
要約がうまくいかないときの原因は、性質の違う3つに分類できます。混ぜて考えている限り、どのツールに乗り換えても同じ壁に当たります。
1つ目は材料の問題です。資料がPDFや書類の形式のままで、文字として取り出せていない。スキャンした紙の資料なら、そもそも文字が入っていないこともあります。 2つ目は分量の問題です。一度に渡せる量に上限があり、超えた分は黙って切り落とされます。前半だけを読んだ要約が返ってくるのは、この場合です。 3つ目は指示の問題です。何のために要約するのかを伝えていないため、当たり障りのない縮小版が返ってくる。決裁のために結論と金額を知りたいのか、経緯を追いたいのかで、残すべき文は変わります。
この3つのうち、道具の乗り換えで片付くのは2つ目だけです。1つ目と3つ目は手元の段取りで決まります。だからツールの比較記事を何本読んでも改善しない、という状態が生まれます。
無料で足りる場面と、足りない場面
無料の範囲で済むかどうかは、資料の性質で決まります。会員登録なしで使える要約ツールも公開されていて、一定の文字数までなら貼り付けるだけで結果が返ります。
「User Local 自動要約ツール(文章要約AI)」は、無料で利用できるAI要約ツールです。会員登録やログイン等は不要で、サイトにアクセスして要約したい文章をテキストボックスに入力することで自動的に要約できます。ChatGPTやClaudeを活用したAI要約サービスが利用でき、英語・中国語の翻訳要約にも対応しています。要約したい文章は5万文字まで一括入力できますが、文字数がそれ以上の文章を要約したい場合は分割して入力する必要があります有料版は用意されていませんが、使っている中で追加してほしい機能や、気になる点があれば運営側に要望を送ることができます。 出典: ricoh.co.jp
貼り付ける形で足りるのは、1本の資料が読み切れる長さで、社外に出しても差し支えない中身のときです。判断の分かれ目は3つあります。取引先の名前や金額が入っているか、資料が複数のファイルにまたがっているか、同じ処理を毎週繰り返すか。1つでも当てはまるなら、貼り付けの運用は続きません。
有料のサービスを検討するのは、長さの上限を上げたいときよりも、扱いの取り決めを文書で欲しいときです。おすすめの1本を探すより先に、自分の資料が社外に出せるものかを決めるほうが、選択肢がはっきりします。
選ぶときに見るポイントは3つでよい
ツールの比較表には十数項目が並びますが、実務で効くのは次の3つです。
- 入力の上限が文字数なのか、ファイル単位なのか。文字数で決まるなら、手元で分ける前提の運用になります。
- 受け取る形式が選べるか。箇条書きなのか、見出しごとの要約なのか、原文のどこから取ったかが分かるのか。あとで原文に戻る必要がある資料では、参照が付くかどうかが効きます。
- 送ったものが学習に使われるかどうかの明記。ここは規約の文面で確かめる項目で、画面の説明文だけでは足りません。
参考になるのは、Appleが自社の連携について公開している説明の細かさです。ChatGPTの機能拡張についてAppleは、IPアドレスがChatGPTから見えない状態になっていること、リクエストと応答を保存しないことが求められていること、モデルの改善や学習に使わないことも求められていることを明記しています。ただしChatGPTのアカウントでサインインしている間は、そのアカウント側の設定とOpenAIの方針が適用されるとも書かれています。同じ機能でも、サインインしているかどうかで扱いが変わるわけです。この粒度で書かれているかを、他のサービスを見るときの基準にできます。
材料を作る。書類の形式から本文だけを取り出す
Macには、書類の形式を変換するコマンドが最初から入っています。要約に回す前に、本文だけの状態にしておくと、分量の見積もりも分割も一気に楽になります。
textutil -convert txt 資料.docx
このコマンドは、txt、html、rtf、rtfd、doc、docx、wordml、odt、webarchiveの形式を相互に変換します。複数のファイルをまとめて1本にすることもできます。
textutil -cat txt -output まとめ.txt 第1章.docx 第2章.docx 第3章.docx
画面に出すだけなら、書き出さずに標準出力へ流す指定もあります。会議の議事録が週ごとに別ファイルで積み上がっている場合、1本に連結してから文字数を数えると、分割の設計がその場でできます。
注意すべきは、変換した時点で表組みや図の情報が落ちることです。数字が表の中にある資料では、変換後の本文を一度目で追って、必要な数値が残っているかを確かめる手間が要ります。落ちてしまう資料は、変換ではなく元のままで渡す判断になります。
どの資料を渡すかを決める。対象を先に絞る
フォルダを丸ごと渡す発想は、上限にも費用にも跳ね返ります。Macの索引に問い合わせるコマンドで、対象を絞ってから渡すほうが確実です。
mdfind -onlyin ~/Documents/案件A "kMDItemTextContent == '検収'"
このコマンドは、Spotlightが作った索引に問い合わせて、条件に合うファイルのパスを返します。フォルダを限る指定と、ファイル名だけを探す指定、件数だけを数える指定が用意されています。件数を先に数えれば、渡す量が見積もれます。
索引に頼る方法なので、索引が作られていない場所は対象外になります。外付けドライブやクラウドの同期フォルダで結果が出ないときは、そのフォルダの中身がMacに降りてきているかを先に確かめることになります。中身がない状態のファイルは、名前では見つかっても本文では引っかかりません。
この2つのコマンドを組み合わせると、「案件Aの資料のうち、検収という語が入っているものだけを本文に変換して連結する」という段取りが、画面を行き来せずに組めます。要約の質が上がるのは、多く渡したときではなく、要るものだけを渡したときです。
PDFから文字が取れないときに確かめること
PDFを開いて文字を選べない場合、原因は2つに絞られます。Appleの案内では、テキスト選択のツールが選ばれていない場合と、テキストを選んだりコピーしたりする前にパスワードの入力が必要な場合が挙げられています。前者はツールを切り替えるだけ、後者はインスペクタを開いてパスワードを入れる操作です。
この2つに当てはまらないときは、そのPDFに文字が入っていない可能性が高くなります。紙をスキャンした画像がページに貼られているだけの状態です。この場合、変換のコマンドを通しても空の結果が返ります。画像から文字を読む処理を先に挟む必要があり、Macには写真の中の文字を扱う機能が用意されています。
順番を守ることが大事です。文字が取れない資料をそのまま要約に渡すと、何も返ってこないのか、読めていないのかの区別がつきません。選べるかどうかを先に1回確かめれば、その後の時間が無駄になりません。
Mac標準の要約と、外へ出す線引き
社外に出したくない資料を扱うなら、Mac自身が持っている機能で足りる場面があります。Appleの案内では、選択したテキストをControlキーを押しながらクリックして作文ツールを開くと、「要約」または「要点」を選んで要点だけをまとめられると説明されています。校正や書き直しも同じ場所にあり、書き直しではフレンドリー、プロフェッショナル、簡潔のいずれかを指定できます。
この機能が使える場所は、Appleの純正アプリに限られません。他社製のアプリやウェブサイトを含め、文章を入力するほとんどの場所で利用できると書かれています。ただしApple Intelligenceは一部の言語または地域では使用できず、使用制限が適用される場合があるとも明記されています。手元で試して出ないときは、設定ではなく地域と言語の条件を先に確かめる順番になります。
外のサービスへ出すかどうかの線引きは、資料ごとに決めておくほうが運用が続きます。金額や取引先の名前が入っているものは手元の機能まで、公開済みの資料や自分で書いた下書きは外のサービスも可、という2段でも十分です。判断を毎回やり直すから、面倒になって全部を同じ扱いにしてしまいます。
長い資料は、分けて渡して最後に合わせる
上限を超える資料を1度に渡すと、前半だけの要約が返ります。実務で使われている手は分割です。
たとえば、1万字を超える資料を要約する場合、セクションごとに要約すると精度が上がります。分割して要約した結果を最後に統合すれば、全体の流れを保ったまま簡潔な要約を作成可能です。また、AIの処理が途中で止まってしまうトラブルも防げるでしょう。 出典: jp.sansan.com
分ける単位は文字数ではなく、見出しにするのが要点です。文字数で機械的に切ると、話の途中で分断されて、前後の繋がりが要約から消えます。見出しごとに切れば、1本ずつの要約が独立して読める形になり、最後に並べるだけで全体の流れが残ります。
分割した結果を統合するときは、要約の要約を作るのではなく、見出しと要約を並べた一覧をまず作るほうが失敗が少なくなります。並べた時点で重複と矛盾が目に見えるので、そこから縮めれば落ちるものが分かります。順番を逆にすると、何が落ちたのか追えなくなります。
メリットが出るのは繰り返す処理だけ
要約を機械に任せて楽になるのは、同じ形の資料を繰り返し処理するときです。毎週届く報告書、毎月の請求の明細、定例の議事録。形が決まっているものは、変換と絞り込みと渡し方を一度組めば、次回からは同じ手が使えます。
逆に、1回きりの長い資料を要約させる場面では、段取りを組む時間のほうが長くつきます。この場合は自分で読んで、迷った箇所だけを聞くほうが速く終わります。3回以上繰り返す見込みがあるかどうかが、段取りを組むかどうかの目安になります。
注意点をもう1つ。要約された文章をそのまま社内の資料に貼ると、原文に戻れなくなります。どのファイルのどこから取ったのかを、要約と一緒に残しておく運用にしておくと、後から数字を確かめる必要が出たときに追えます。
フォルダとターミナルとAIを同じ窓に寄せる
ここまでの段取りは、フォルダを見る作業とコマンドを打つ作業とAIに渡す作業の行き来でできています。どのファイルを渡すか選び、形式を変換し、文字数を数え、渡して、返ってきたものを原文と突き合わせる。窓が3つに分かれていると、この往復の回数がそのまま作業時間になります。
フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある状態なら、対象のファイルを選んだまま変換のコマンドを打ち、その結果をその場で渡して、返ってきた要約を原文の隣で読めます。要約の精度は渡すものの選び方で決まるので、選ぶ場所と渡す場所が近いほど、質と速さの両方が上がります。
道具の側で何ができるかはできることに、FinderやほかのファイルAppとの違いは他のファイル管理との比較にまとめられています。出先のiPhoneから自宅のMacに置いた処理の続きを見る使い方はiPhone・iPadから続きを、費用の目安は料金にあります。表示に使える言語は対応言語、判断に迷いやすい点はよくある質問に整理されています。
いま変えるとよいのは、資料を2つに分けておくことです。手元の機能までに留めるものと、外のサービスに出してよいもの。この線を先に引いておけば、資料を開くたびに迷う時間が消えます。
よくある質問
無料の要約ツールだけで実務に足りますか?
資料が1本で読み切れる長さで、社外に出しても差し支えない中身なら足ります。取引先の名前や金額が入っている、複数のファイルにまたがっている、同じ処理を毎週繰り返す。このどれかに当てはまる場合は、貼り付けの運用は続きません。手元で完結する機能と、規約を確かめた有料のサービスに分けて考えてください。
PDFを渡しても要約が返ってきません。何を確かめればよいですか?
まずそのPDFで文字が選べるかを確かめてください。選べない場合、Appleの案内ではテキスト選択のツールが選ばれていないか、パスワードの入力が必要な場合が挙げられています。どちらでもないなら、紙をスキャンした画像が貼られているだけで文字が入っていない可能性があります。
長い資料はどこで分けるのが正解ですか?
文字数ではなく見出しで分けてください。文字数で機械的に切ると話の途中で分断され、前後の繋がりが要約から消えます。見出しごとに切れば1本ずつが独立して読める形になり、最後に並べるだけで全体の流れが残ります。統合するときは、見出しと要約を並べた一覧を先に作ると重複と矛盾が見えます。
社外に出したくない資料はどう扱えばよいですか?
Mac自身が持つ機能の範囲で済ませる選択があります。選択したテキストをControlキーを押しながらクリックして作文ツールを開き、「要約」または「要点」を選ぶ手順が公開されています。ただしApple Intelligenceは一部の言語や地域では使えないと明記されているため、手元で出ないときは設定より先に条件を確かめてください。