フォルダの自動振り分けがうまくいかないとき|確かめる順番
昨日まで動いていたフォルダの自動振り分けが、今日は動かない。あるいは、10件中3件だけ移動して残りが置き去りになる。こうしたときに設定画面を開いて条件をいじり始めると、たいてい遠回りになります。原因は条件ではなく、その手前の層にあることが多いからです。ここでは、症状の種類から原因の層を絞り、上から順に確かめる手順を並べます。
まず症状を3つに分ける
自動振り分けの不調は、次の3つのどれかに当てはまります。混ぜて考えると切り分けが進みません。
- 1件も動かない
- 一部だけ動いて、残りが置き去りになる
- 動くが、行き先や結果が想定と違う
1件も動かない場合、原因は仕組みそのものか、許可のどちらかです。条件は関係ありません。一部だけ動く場合は、対象の範囲か、ファイルの状態の差です。結果が違う場合だけが、条件の書き方の問題です。設定画面の条件を触ってよいのは3つ目のときだけで、1つ目と2つ目で条件を変えると、直ったかどうかの判断が付かなくなります。
順番1: 仕組み自体が止まっていないか
macOS 26のショートカットアプリのフォルダのオートメーションには、システム側が自動で無効にする条件があります。どちらも設定を壊したわけではないのに動かなくなるので、最初に確かめる価値があります。
1つ目は、対象のフォルダをゴミ箱に移動したときです。フォルダがゴミ箱に移されたためオートメーションが無効になった、という趣旨の表示が出ます。フォルダを作り直した場合も同じで、名前が同じでも別のフォルダなので結び付きは戻りません。
2つ目は、対象のフォルダが大きくなりすぎたときです。フォルダの最大サイズは10,000項目で、これを超えると、上限を超えたためオートメーションが無効になった、という表示とともに止まります。ダウンロードフォルダを対象にしている場合、ここに引っかかるのは珍しいことではありません。古い項目を別の場所へ退避して件数を落とすと、また動くようになります。
3つ目は無効化ではありませんが、見落としが多い点です。オートメーションの実行方法には、すぐに実行と、実行の前に尋ねるの2つがあります。後者になっていると、通知が出て人が許可するまで動きません。通知を後回しにしているあいだは、止まっているように見えます。
順番2: 対象の場所が、そもそも対象外になっていないか
指定できない場所があります。フォルダのオートメーションは、ゴミ箱を指定できません。外部ドライブも指定できません。外付けSSDの中を整理する設定を作ろうとしてうまくいかない場合、設定の書き方ではなく仕様の問題です。
iCloud Driveの中を対象にしている場合は、別の落とし穴があります。ストレージを最適化する設定が入っていると、しばらく開いていないファイルの実体は端末から取り除かれ、名前の先頭にドットが付いた小さな代理の項目だけが残ります。見た目はファイルがあるように見えますが、中身を読む条件は当たりません。実体を降ろしてから動かすか、iCloud Driveの外を対象にするかのどちらかになります。
サブフォルダの扱いも確かめます。フォルダのオートメーションにはサブフォルダを無視する指定があり、これが入っていると、1階層下に置かれたファイルは対象になりません。ブラウザによっては、まとめてダウンロードしたファイルをサブフォルダに入れることがあり、そこだけ置き去りになります。
順番3: 許可が落ちていないか
自動振り分けはデスクトップやダウンロードや書類のフォルダに触る仕組みなので、macOSの許可が要ります。この許可は、OSのアップデート後やアプリの入れ替え後に落ちることがあります。
確かめる場所はシステム設定のプライバシーとセキュリティで、ファイルとフォルダの欄に、どのアプリがどの場所に触れるかが並んでいます。ここで該当するアプリの項目がオフになっていれば、条件が正しくても1件も動きません。ターミナルから動かすスクリプトの場合は、スクリプトそのものではなく、それを起動している側のアプリに許可が要ります。ターミナルアプリに許可が付いているかを見ます。
もう1つ、フルディスクアクセスの欄も確かめます。ファイルとフォルダの欄に項目自体が出てこないときは、アプリが一度も許可を求めていないか、求めた時点で拒否されている状態です。いったん許可を外して付け直すと、次の実行で改めて尋ねられます。
順番4: ファイルが「できあがる前」に動いていないか
一部だけ動く症状で最も多いのがこれです。ブラウザは受信が終わるまでのあいだ、一時的な名前でファイルを置きます。Chromeなら .crdownload、Safariなら .download が付いた項目です。追加された瞬間に反応する設定だと、この途中の項目に対して条件を当ててしまい、拡張子が一致しないので素通りします。受信が終わって正式な名前に変わるとき、それは追加ではなく名前の変更なので、追加をきっかけにしている設定では二度と当たりません。
回避の仕方は3つあります。1つ目は、追加ではなく変更をきっかけにすること。2つ目は、動き出す前に少し待つ手順を挟むこと。3つ目は、即時をやめて時刻で回すことです。大きなファイルを日常的に扱うなら、3つ目が確実です。
順番5: 条件の当たり方を1件ずつ確かめる
ここまでで原因が見つからなければ、条件の問題です。よく外れるのは次の4つです。
- 拡張子の大文字と小文字(写真ファイルが大文字で付いている)
- 名前に入った全角のスペースや丸括弧
- 作成日と更新日の取り違え(ダウンロードしたファイルの作成日は、手元に来た日とは限らない)
- 複数の条件をすべて満たすのか、どれか1つでよいのかの指定
確かめ方は、動かなかったファイルを1件だけ取り出して、条件を1つずつ外していく方法です。どの条件を外した時点で当たるようになったかで、原因が特定できます。条件を足しながら直そうとすると、当たる理由も外れる理由も分からなくなります。
日付の条件は特に外れやすいので、個別に見ておきます。ダウンロードしたファイルの作成日は、相手側で作られた日がそのまま入っていることがあり、手元に届いた日とは一致しません。3日以内に届いたものを対象にする条件を作成日で書くと、何年も前の日付が入ったファイルは全部外れます。届いた日で絞りたいなら、追加された日時を見る条件を使うか、更新日で代用します。
名前に含まれる文字も、画面では見分けが付きません。全角のスペース、全角の丸括弧、末尾に紛れ込んだ空白。これらは表示上ほとんど同じに見えるのに、条件としては別の文字です。ターミナルで対象のフォルダの一覧を出し、名前をそのまま見比べると、どこが違うのかが分かります。
直ったかどうかを、毎回同じ方法で確かめる
切り分けの途中で設定を変えたら、その都度、同じやり方で動作を確かめます。確認の方法が毎回違うと、直ったのかたまたま動いたのかが分かりません。
手順は決めておきます。対象のフォルダに、条件に確実に当たるテスト用のファイルを1件置きます。名前は日時を入れておくと、何回目の試行かがすぐ分かります。置いてから結果が出るまでの時間も見ておきます。即時に動く設定なら数秒、時刻で回しているなら次の実行までは動きません。ここを混同して「動かない」と判断しているケースも少なくありません。
テスト用のファイルは、実際に困っているファイルと同じ種類のものを複製して使います。中身が空のテキストファイルで試すと、拡張子の条件は当たっても、サイズや中身を見る条件は当たりません。動いたときと動かないときで何が違うのかを揃えるために、材料は本物に寄せます。
確認が終わったら、テスト用のファイルは片付けます。移動先に残したままにすると、次の試行のときに同じ名前で衝突し、置き換えが起きて結果が読めなくなります。ここまでを1つの手順として書き留めておくと、次に不調が出たときも同じ精度で確かめられます。
フォルダアクションが動かない場合は、別の系統を見る
Automatorで作ったフォルダアクションは、ショートカットのオートメーションとは別の仕組みで動いています。Apple のユーザガイドは、ワークフローの作り方を次のように説明しています。
Automatorワークフローを作成するには、作成したいワークフローのタイプを選択してから、そのワークフローにアクションを追加します。 出典: support.apple.com
確かめる場所は3つです。設定用のアプリは /System/Library/CoreServices/Applications/ の中にあり、ここでフォルダアクション自体が有効になっているか、対象のフォルダに結び付いているかを見ます。自分で書いたスクリプトの置き場所は、ホームフォルダの Library/Scripts/Folder Action Scripts です。そして実際に監視している常駐の仕組みは /System/Library/CoreServices/ の中にあり、ログアウトしている間は動きません。
自分でスクリプトを書いてファイルの変化を監視している場合も、取りこぼしは起こり得ます。macOS付属の説明書には、この種の監視は取りこぼす可能性があり、動いた時点でファイルが整った状態である保証もないという趣旨の注意が書かれています。安定して動かしたいなら、監視ではなく時刻で回す構成に寄せるほうが結果が読めます。
消えたように見えるときは、移動先の同名ファイルを疑う
結果が違う症状の中で、いちばん焦るのが「移動したはずのファイルが見つからない」というものです。多くの場合、実際には移動先に同じ名前のファイルがあって、置き換わっています。Finderでも、同じ名前のファイルを含むフォルダを重ねたときに選べるのは中止か置き換えかの2つだけで、自動で名前を変えて両方残す動きはしません。振り分けの道具側も、既定で置き換えになっているものがあります。
再発を防ぐなら、移動の記録を残す設定にします。日時と、元の場所と、移動先をテキストに追記しておくだけで、次からは探す時間がほぼゼロになります。記録が残せない仕組みを使っているなら、移動先をゴミ箱ではなく、日付の付いた退避用フォルダにしておくと、上書きが起きても1世代は残ります。
切り分けの往復を減らす
ここまでの手順は、Finderで場所を確かめ、システム設定で許可を見て、ターミナルで拡張属性やファイルの実体を調べ、また設定画面に戻る、という往復の繰り返しです。原因が1つ見つかるたびに窓が変わるので、切り分け自体に時間が取られます。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある作りは、この行き来を前提から外すためのものです。どこまでを1つの窓で扱えるのかはできることにまとめてあります。
他の方式のファイル管理と何が違うのかは他のファイル管理との比較に、導入前に出やすい疑問はよくある質問に載せています。費用の考え方は料金にまとめてあります。
不調が直ったあとに1つだけやっておくとよいことがあります。今回どの層に原因があったかを1行で書き残すことです。仕組みが止まっていたのか、許可だったのか、条件だったのか。次に同じ症状が出たとき、その1行があるだけで確かめる順番が変わります。自動振り分けは動いている間は見えない仕組みなので、記録がないと毎回ゼロから切り分けることになります。
よくある質問
昨日まで動いていたのに、急に動かなくなりました。何から見ますか?
対象のフォルダの件数と、そのフォルダを作り直していないかを先に見ます。フォルダのオートメーションは対象が10,000項目を超えると無効になり、フォルダをゴミ箱に入れた場合も無効になります。どちらも設定を触っていなくても起きるので、条件を見直す前にここを確かめます。
一部のファイルだけ移動されないのはなぜですか?
ダウンロードの途中で反応している可能性が高いです。受信中のファイルは .crdownload や .download といった一時的な名前で置かれ、拡張子の条件に当たりません。正式な名前に変わるのは名前の変更であって追加ではないため、追加をきっかけにしている設定では当たらないままになります。
外付けドライブの中を対象にできません。設定が間違っていますか?
設定の問題ではありません。macOS 26のフォルダのオートメーションは、外部ドライブを対象に指定できない仕様です。外付けの中を自動で整理したい場合は、常駐する市販アプリを使うか、時刻で動くスクリプトを用意する形になります。
移動したはずのファイルが見つかりません。どこを探しますか?
移動先に同じ名前のファイルがなかったかを確かめます。置き換えの設定になっていると、古いほうが残らずに消えたように見えます。Time Machineを使っているなら移動先のフォルダを過去の時点で開くと戻せます。再発を防ぐには、移動の記録を残す設定に変えておきます。