フォルダの自動振り分けの費用|無料でできる範囲

フォルダの自動振り分けにいくらかかるのかを調べると、無料でできるという説明と、専用の道具を買うべきだという説明が同時に出てきます。どちらも間違いではありません。macOSには振り分けの仕組みが最初から入っていて、追加の支払いなしで移動も改名も組めます。その上で有料の道具が売れているのは、無料の範囲では時間のほうを支払うことになるからです。ここでは、無料でどこまで届くのか、有料の値段には何が含まれているのかを、公開されている価格をもとに並べます。

追加の支払いなしで使える範囲は、想像より広い

まず、macOSに同梱されていて追加費用がかからないものを並べます。いずれもシステムの一部として入っているため、購入も登録も不要です。

仕組み 費用 ファイルを動かすか
デスクトップのスタック 0円 動かさない
保存済み検索(スマートフォルダ) 0円 動かさない
Finderのタグ 0円 動かさない
フォルダアクション 0円 動かす
Automator 0円 動かす
ショートカット 0円 動かす
常駐の設定ファイルによる監視と定時実行 0円 動かす
シェルのコマンドと標準の検索コマンド 0円 動かす

下半分の5つは、実際にファイルを別の場所へ移す仕組みです。つまり「振り分けを自動化するために、まず何かを買う」必要はありません。

フォルダアクションには見本のスクリプトが同梱されていて、/Library/Scripts/Folder Action Scripts/ の下に13本置かれています。画像の回転や形式の変換、項目が追加されたときの通知といった内容で、設定用のアプリは /System/Library/CoreServices/Applications/Folder Actions Setup.app にあります。ショートカットのほうは画面で組み立てられるうえ、shortcuts run というコマンドで外から呼び出せるため、常駐の仕組みと組み合わせられます。

無料の範囲で足りるかどうかを分ける線は、機能の有無ではありません。条件を自分の言葉で書けるかどうかです。

同梱の仕組みで届かない部分も、はっきりしています。1つは条件の一覧が画面に並ばないことです。書いた規則は設定ファイルやスクリプトの中に散らばるため、いま何本動いているのかを確かめるには自分で探しに行く必要があります。もう1つは、動かす前に結果だけ見る機能が用意されていないことです。移動の命令を書き換えて表示だけにする、という手当てを自分で挟むことになります。3つ目は、失敗したときの記録です。どの規則がどのファイルに当たったのかを残すには、その記録を書く処理も自分で足します。

この3つは、あとから効いてきます。規則が数本のうちは頭の中に入っているので困りませんが、十数本を超えたあたりで「いま何が動いているのか分からない」状態になり、そこで手入れが止まります。

有料の道具に払っているのは、条件を書く時間

代表的な有料の道具の価格を、販売ページで確認できる実額で並べます。いずれも月額ではなく買い切りです。

道具 価格 内容
Hazel 6 42米ドル 1ライセンス
Hazel 6 ファミリーパック 65米ドル 同一世帯の5人まで
Hazel 6 アップグレード 20米ドル 旧版からの移行
Keyboard Maestro 11 36米ドル 1ライセンス
Keyboard Maestro 11 アップグレード 25米ドル 旧版からの移行
organize 0円 オープンソースのコマンド行ツール

Hazelは2026年時点でバージョン6が販売中で、提供元はNoodlesoft, LLCです。販売ページには試用版の案内も置かれています。ファミリーパックは私的な世帯向けという条件が明記されています。

Keyboard Maestroは購読ではないことが販売ページに書かれています。

Keyboard Maestro 11 is a one-time purchase. No subscription, you can purchase it now for US$36 plus applicable tax and use version 11 indefinitely. 出典: keyboardmaestro.com

organizeは無料で配布されているコマンド行のツールです。公式の文書には、Hazelのようなアプリに対するコマンド行の代替として位置づける説明が置かれています。設定はYAMLで書き、organize sim で実際には動かさずに結果だけ確かめられます。

3つを並べると、値段の差は機能の数ではなく入口の作りに対応しています。画面で条件を組み立てられるものに価格が付き、自分で設定ファイルを書くものが無料になっています。

買い切りの表示価格には、次の版が入っていない

ここが見落とされやすい点です。Hazelにも Keyboard Maestro にもアップグレード価格が別立てで用意されています。これは、次のメジャー版が出たときに追加の支払いが発生しうることを意味します。

Hazelのアップグレードは20米ドル、Keyboard Maestroは25米ドルです。何年に1回メジャー版が出るかは提供元の判断なので、将来の負担額を先に確定させることはできません。判断材料として言えるのは、購読型ではないため使い続けている限り追加の支払いが自動で起きることはない、という点だけです。

もう1つ、価格に含まれないものがあります。macOSのメジャー更新に対する追従です。振り分けの仕組みはファイルへのアクセス権限に依存しているため、権限の扱いが変わると設定を見直す必要が出ます。有料の道具はこの追従を提供元が行いますが、それがどの版まで無償で続くかは、購入時点では確定していません。

数年単位で見たときの合計額は、この前提を置けば計算できます。Hazelを新規に買い、そのあいだにメジャー版が1回出て乗り換えたとすると、42米ドル20米ドルで合計62米ドルです。Keyboard Maestroなら36米ドル25米ドル61米ドルになります。同じ世帯で複数台使うなら、Hazelのファミリーパック65米ドル5人まで含むため、1台あたりの単価は下がります。乗り換えない選択もできるので、この合計は上限ではなく目安として扱います。

支払う前に試せる点も、判断材料になります。Hazelの販売ページには試用版へのリンクと返金の方針が置かれていて、Keyboard Maestroも試用を用意しています。振り分けの規則は、自分のフォルダに当ててみるまで有用かどうか分かりません。ダウンロードして手元の散らかったフォルダで数日走らせてから決めるほうが、価格表を比べるより結論が早く出ます。

無料で済ませた場合に、代わりに払うもの

無料の範囲だけで組む選択には、金額以外の負担が付きます。分けて数えると3つです。

  • 最初に条件を書く時間。どの拡張子をどこへ送るか、日付は作成日と変更日のどちらを見るか、同名のファイルが先にいたらどうするかを、すべて文章として書き下ろす作業です
  • 壊れたときに直す時間。macOSの更新後に動かなくなった場合、原因が権限なのか、書き方なのか、監視の取りこぼしなのかを自分で切り分けます
  • 思い出す時間。半年後に条件を足そうとしたときに、自分が書いた設定を読み直すところから始まります

有料の道具が肩代わりしているのは、主に1つ目と3つ目です。条件が画面に一覧で並んでいるため、書くときも読み直すときも短く済みます。2つ目については、どちらを選んでも完全には消えません。

逆に、無料の範囲が向いている条件もはっきりしています。振り分けの規則が5本以内に収まり、それ以上増える予定がなく、すでにコマンド行での作業に慣れている場合です。この条件に当てはまるなら、支払う理由が薄くなります。

もう1点、価格表からは読み取れない負担があります。ここに挙げた有料の道具は、いずれも米ドル建てで販売されています。日本から購入する場合、実際の支払額は決済時の為替と、カード会社の手数料、それに課税の扱いによって上下します。表示価格をそのまま円に置き換えた金額では済まないので、比較の段階では「数十ドル台の買い切り」という粒度で扱い、正確な金額は決済画面で確認するのが確実です。年額の予算に組み込むような性質の支出ではありません。

支払うかどうかの判断を先送りにする方法もあります。無料の範囲で規則を3本だけ書いて1か月動かし、そのあいだに「足したくなった規則」を書き留めておく形です。1か月で足したくなった数がゼロなら、有料の道具を買っても使う場面がありません。逆に十本を超えて出てくるなら、条件を一覧で管理できる道具の価格に見合う時間が確実に浮きます。この1か月は、どちらに転んでも無駄になりません。

費用を決める前に、対象のフォルダを数える

価格表を見比べるより先にやると無駄が減るのが、いま散らかっているフォルダの中身を数えることです。数えるのは2つだけで足ります。

1つ目は、拡張子の内訳です。実際にダウンロードフォルダが膨らんだ1台のMacで数えると、png が197件、pdf が165件、csv が137件と続き、写真は jpeg が57件、jpg が42件、heic が37件の3つに割れていました。この分布が偏っているほど、少ない規則で大半を片付けられます。

2つ目は、取得元の情報が付いているファイルの割合です。同じ台では、1,062件のうち取得元が記録されていたのは383件で、割合は36%でした。スクリーンショット、AirDropで受け取ったもの、外部ディスクから複製したものには付きません。「どのサイトから来たか」で仕分ける規則に価値を感じて有料の道具を選ぶ場合、この割合が低いと期待した効果が出ません。

この2つを数えた結果、規則が数本で済むと分かれば無料の範囲で完結します。十数本以上になりそうで、しかも条件が入り組むなら、画面で組み立てられる道具の価格に見合うだけの時間が浮きます。

数える対象を1つのフォルダに絞るのも大切です。ダウンロード、デスクトップ、書類のすべてを同時に片付けようとすると、規則の本数が最初から膨らみ、どの道具を選んでも維持できません。いちばん散らかっている1つだけを対象にして、そこで規則が何本必要になるかを見る。この1つで足りるなら、他のフォルダにも同じ判断が使えます。費用の見積もりは、いちばん重いフォルダ1つ分から始めるのが実際的です。

同じ窓に置くと、費用の内訳が変わる

ここまでの費用は、すべて「振り分けの規則を書いて維持する」ことにかかる費用でした。実際の負担にはもう1つ、規則を試すときの往復が含まれます。条件を1行足すたびに、フォルダの窓で結果を見て、ターミナルで中身を確かめ、設定の画面へ戻ります。この往復が挟まる限り、規則を細かく育てる作業は続きません。

フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある作りは、この往復を前提から外すためのものです。どこまでを1つの窓で扱えるかはできることに整理してあります。金額の考え方は料金に、他の道具との立ち位置の違いは他のファイル管理との比較にまとめてあります。

支払うかどうかを決める材料としては、価格表の比較より、上で挙げた2つの数を取るほうが早く結論に着きます。規則が少なくて済む分布なら、無料の範囲で足ります。

よくある質問

フォルダの自動振り分けに月額の費用はかかりますか?

macOSに同梱されている仕組みだけで組む場合は、月額も初期費用もかかりません。有料の道具についても、Hazelと Keyboard Maestro はいずれも買い切りで販売されており、購読ではないと販売ページに明記されています。ただし次のメジャー版に移る際は、別途アップグレード価格が設定されています。

無料の範囲だけで、ファイルの移動や改名まで自動化できますか?

できます。フォルダに項目が追加されたことをきっかけにスクリプトを走らせる仕組み、常駐の設定で場所を監視したり一定間隔で走らせたりする仕組み、ショートカットをコマンド行から呼び出す仕組みが標準で入っています。費用はかかりませんが、条件と例外処理を自分で書く時間はかかります。

有料の道具を買うべきかどうかは、何で判断すればよいですか?

規則の本数と、条件の入り組み方で判断すると外しにくくなります。規則が5本以内で増える予定がなく、コマンド行での作業に慣れているなら無料の範囲で足ります。十数本以上になり、日付や取得元や名前の一部を組み合わせる条件が必要なら、画面で組み立てられる道具の価格に見合う時間が浮きます。

Hazelの価格と提供形態はどうなっていますか?

2026年時点でバージョン6が販売中で、1ライセンスが42米ドル、同一世帯の5人まで使えるファミリーパックが65米ドル、旧版からのアップグレードが20米ドルです。提供元はNoodlesoft, LLCで、販売ページには試用版の案内も置かれています。購読ではなく買い切りの形態です。

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