ファイル名の一括変更の代わりになるもの|名前から外せる情報

ファイル名の一括変更を調べる場面は、たいてい「名前が揃っていないせいで探せない」ところから始まります。ただ、揃えたい情報の多くは、名前ではない場所に置いたほうが後々楽になります。この記事は、名前に詰め込んでいる情報を分解して、どれを別の場所へ移せるか、どれが名前でないと成り立たないかを分けます。改名の手順そのものではなく、改名する量を減らす話です。

名前が長くなるのは、名前に4つの仕事をさせているから

散らかったフォルダのファイル名を並べてみると、1つの名前が同時に4つの役目を負っていることが分かります。いつのものかを示す日付。何の仲間かを示す分類。どの段階かを示す版数。それに、中身を一言で表す見出し。この4つが区切り記号でつながって、60文字を超える名前ができあがります。

長い名前そのものは害ではありません。問題は、4つの役目が1本の文字列に同居しているせいで、1つ直したいときに全体を書き換える必要が出る点です。分類の呼び方を変えたら全部の名前を直す。年度の区切りを変えたら全部の名前を直す。一括変更をかけたくなる場面のかなりの部分が、この構造から生まれています。

役目を分けると、直す範囲が狭くなります。日付は元から記録されている値を読めばよく、分類は名前の外に置けます。版数は仕組みに持たせられる場面があります。名前に残すのは、中身の見出しだけという状態が上限に近い形です。

日付は、名前から外せることが多い

日付を名前の先頭に置く習慣は、一覧を並べたときに順序がそろうという1点のために生まれています。並べ替えの列を「作成日」か「変更日」に切り替えれば、同じ結果が名前を触らずに得られます。Finderのリスト表示なら列の見出しをクリックするだけで、書き込みは何も発生しません。

写真や動画は、さらに別の場所に日付を持っています。撮影した日時はファイルの中の情報として記録されているため、名前を見なくても撮影順に並びます。スキャンした書類も、機種によっては同じ情報を持ちます。ここで注意が要るのは、コピーや編集の途中でこの情報が失われる経路があることです。いったんスクリーンショットとして撮り直した画像には、元の撮影日は残りません。

ここで1つ確かめておく点があります。名前の中の日付と、記録されている作成日が食い違っているファイルは珍しくありません。過去の書類をあとからスキャンした場合、作成日はスキャンした日になります。名前の日付が中身の日付を指しているなら、並べ替えの列に切り替えた瞬間に順序が変わります。外す前に、その日付がいつを指しているのかを数件だけ確かめます。

日付を名前に残すべき場面もはっきりしています。他人に渡すファイル、印刷して紙になるもの、それに数年後に別の仕組みで読み込む可能性があるものです。手元の並べ替えは環境に依存しますが、名前は相手の環境でも同じように見えます。残す場合の書き方はYYYY-MM-DDの形にそろえると、文字として並べた順序と時間の順序が一致します。

分類はタグと保存場所に移せる

「請求書」「契約」「打ち合わせ」といった分類の語を名前の中に入れているなら、その部分はタグで置き換えられます。タグは複数付けられるため、1つのファイルが2つの分類にまたがる場合も表現できます。名前の中では、この「またがり」を書こうとした瞬間に長さが倍になります。

タグ付けの手数も、まとめて処理する前提なら軽く済みます。Finderでファイルを選んだ状態でControl+1からControl+7までのキーを押すと、よく使うタグを付け外しできます。Control+0を押すとそのファイルのタグが全部外れます。名前の一括変更のように結果を確認しながら進める必要はなく、間違えたらもう一度同じキーを押せば戻ります。

保存場所も分類の受け皿です。ただし、フォルダは1つのファイルを1か所にしか置けないため、またがる分類には向きません。フォルダで分けるのは、二度と混ざらない大きな区分だけに絞り、細かい区分はタグに任せる。この分担にすると、フォルダの階層が浅くなり、一括変更をかけたくなる場面自体が減ります。

タグに移すときの注意は、語の数を増やしすぎないことです。名前の中の分類語をそのまま全部タグにすると、サイドバーが埋まって選ぶ手間が名前を打つ手間と変わらなくなります。実際に絞り込みに使っている語だけを残す形にして、7つまでに収めておくと、キー操作だけで付け外しが完結します。この上限は、Finderのショートカットメニューに並べられる数と一致しています。

もう1つ、タグは名前と違って中身に書き込まれる情報ではありません。ファイルに付属する属性として保存されるため、経路によっては落ちます。圧縮して送る、別の形式のドライブへコピーする、外部のサービスへアップロードして落とし直す。こうした往復を挟むとタグが消えていることがあるので、消えて困る情報はタグに置かない判断が要ります。

版数は、名前の外へ出せる場合と出せない場合がある

名前の末尾に付く「_final」「_v2」「_修正後」の類は、一括変更の対象として上位に来ます。同じ内容のファイルが世代ごとに増えるため、件数が膨らみやすいからです。

手元で編集を続けている書類なら、版数を名前に書かずに済む経路があります。iCloud Driveに置いた書類は保存のたびに履歴が残り、アプリのメニューから過去の状態に戻せます。テキストやコードを扱うなら、版の管理そのものを別の仕組みに任せる選択もあります。どちらの場合も、名前に付いているのは最新版かどうかの印だけになり、世代分のファイルが並ぶ状態そのものが消えます。

出せないのは、版ごとに相手へ渡している場合です。先方が「_v2」を受け取って手元で開いている以上、こちらでその版を消したり名前を変えたりすると、会話が噛み合わなくなります。渡した版の名前は固定し、手元の作業ファイルとは別のフォルダに置く。この線引きをしておくと、一括変更をかけてよい範囲が自動的に決まります。

判断しにくいのは、渡したかどうかが分からない古いファイルです。この場合は名前を変えず、送信済みのメールを検索して、添付の名前と突き合わせます。名前を変えたあとでは、この照合ができなくなります。

探すためだけの改名は、検索条件に置き換わる

名前を揃える目的が「あとで探すため」だけなら、探し方の側を変える手があります。macOSの検索は、名前だけでなく書類の中身、種類、期間、タグを条件にできます。条件を組んだ検索結果は保存でき、サイドバーから開けば、その条件に当てはまるファイルが常に最新の状態で並びます。

この形にすると、実体は動かず、名前も変わりません。条件を間違えても表示が変わるだけで、ファイルには何も起きません。一括変更で名前を書き換える操作は、間違えたときに同じ間違いが全件に適用されますが、検索条件は何度作り直しても損失が出ません。

限界もあります。検索は自分のMacの中で完結する仕組みなので、ファイルを誰かに渡した時点で効かなくなります。フォルダごと圧縮して送った先では、相手は名前しか見ません。渡す予定のあるファイルは、渡す直前にだけ名前を整える。手元で使う間は触らない。この使い分けが、改名の総量をいちばん減らします。

改名でしか解けない場面

代わりが効かない場面もあります。次のどれかに当てはまるファイルは、名前を整える以外の方法がありません。

  • 他人に渡すもの。相手の環境にはタグも検索条件も届かない
  • 印刷して紙にするもの。ヘッダーに出るのは名前だけ
  • Webに載せるもの。名前がそのままURLの一部になる
  • 連番で扱う素材。動画編集や写真の書き出しでは、並び順を名前で決めている
  • 機械が読み込むもの。名前の形式を前提にした取り込みは珍しくない

この5つに当てはまるファイルだけを一括変更の対象にすると、扱う件数が大きく減ります。3,000件のダウンロードフォルダのうち、この条件に入るのは実際にはごく一部です。

判断に迷ったときは、そのファイルが今後Macの外に出るかどうかだけを見ます。外に出ないなら、名前は自分が読めれば足ります。外に出るなら、相手の環境で何が見えるかを想像して決めます。相手がWindowsを使っているなら、大文字と小文字の区別が効かない場面があり、似た名前のファイルが同じ場所に置けないことがあります。この一点だけでも、渡す前に名前を見直す理由になります。

代わりの手段を並べて比べる

手段 解決すること 間違えたときの戻し方 他人に渡ったあとも効くか
名前の一括変更 見分け・並び順・受け渡し 直後の取り消しのみ 効く
Finderのタグ 分類・またがる分類 同じキーで外す 効かない
保存場所 大きな区分 移動し直す フォルダごと渡せば効く
並べ替えの列 時間順の一覧 列を戻す 効かない
保存した検索条件 条件に合うものの一覧 条件を直す 効かない
デスクトップのスタック 見た目の整理 設定を戻す 効かない

表の右端の列が判断の軸になります。渡す予定が無いファイルは、右端が「効かない」手段で足ります。渡す予定があるものだけ、名前を整える工程に進みます。

名前に残すなら、形式の制約を先に確かめる

名前に残すと決めた部分は、後から直さずに済む形にします。macOSには文字としての制約があり、Appleのユーザガイドは次のように書いています。

数字と、ほとんどの記号を使用できます。コロン(:)は使用できません。また、ピリオド(.)で始まる名前は付けられません。一部のアプリでは、ファイル名に半角のスラッシュ(/)を使用できないこともあります。 出典: support.apple.com

実務では、この制約よりも受け渡し先の都合が厳しくなります。空白は取り込み処理で分割されることがあり、全角の記号は環境によって表示が崩れます。連番は桁を先にそろえないと、10件を超えた時点で並び順が壊れます。3桁の連番にしておけば、999件までは同じ並びが保たれます。

区切り記号は2種類までにします。日付と見出しの間にアンダースコア、語の中にハイフン、という程度の使い分けなら、あとから機械的に分解できます。区切りが3種類以上混ざると、一括変更の条件を書くときに例外の処理が増えます。

窓を分けずに、対象を絞るところまでを1か所で

ここまでの判断は、どれも「対象を絞る」作業に集約されます。フォルダの中身を眺めて件数を数え、条件に当てはまるものを抜き出し、抜き出した一覧に対してだけ名前を整える。この流れの途中で、フォルダの窓とターミナルとAIへの相談を行き来していると、絞り込んだはずの一覧が別の窓に取り残されます。

フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある配置では、絞り込んだ結果がそのまま次の操作の対象になります。どの情報を名前から外せるかをAIに相談するときも、実際のファイル名の一覧がその場にあるかどうかで、返ってくる提案の具体性が変わります。

この配置で扱える範囲はできることにまとまっています。2画面型やタグ管理に寄せた道具など、別の考え方で同じ問題を解いている製品との違いは他のファイル管理との比較で並べられます。費用は料金、細かい疑問はよくある質問にあります。日本語以外を含む名前を扱う場合の対応状況は対応言語で確認できます。

いま試すなら、手元のフォルダから名前の長いファイルを10件選んで、名前の中の情報を4つに分解してみることです。日付と分類が消せると分かった時点で、一括変更をかける件数はかなり減ります。

よくある質問

日付を名前から外すと、あとで困りませんか?

手元で使う分には困りません。Finderのリスト表示で作成日か変更日の列を押せば同じ順序になります。困るのは他人に渡したときと印刷したときで、相手の画面には名前しか出ません。渡す予定のあるファイルだけ、渡す直前に日付を足す進め方が手数を抑えられます。

タグは名前の代わりになりますか?

分類の部分は置き換えられます。1つのファイルに複数のタグを付けられるため、名前では長くなる「またがる分類」を短く表せます。ただしタグは自分のMacとiCloudの中で効く仕組みなので、ファイルを送った先では見えません。受け渡しが前提のものは名前側に残します。

結局、一括変更をかけるべきファイルはどれですか?

他人に渡すもの、印刷するもの、Webに載せるもの、連番で並び順を決める素材、名前の形式を前提に取り込まれるものの5つです。この条件に入らないファイルは、名前を触らずタグと検索条件で足ります。対象を絞るだけで、作業量と失敗の範囲が同時に小さくなります。

連番を付けるときに気をつけることはありますか?

桁を先にそろえることです。1、2、3と付けると、10件を超えた時点で文字としての並び順が1、10、11、2の形に崩れます。3桁にそろえておけば999件まで同じ並びが保たれます。区切り記号も2種類までに絞ると、あとから機械的に分解しやすくなります。

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