Dropoverがうまくいかないとき|確かめる順番

Dropoverがうまくいかないとき、症状の見た目だけでは原因が絞れません。シェルフが出ない、ショートカットが効かない、移動したはずがコピーになっている。この3つはどれも「壊れている」ように見えますが、公式の資料をたどると、そのうち大半は設定か仕様の範囲に収まります。ここでは公式のFAQとヒント集、Mac App Storeの記載で確かめられる範囲に絞って、確かめる順番を組み立てます。

最初に確かめるのは、版と動作条件

症状を切り分ける前に、版と条件を見ます。理由は、実際に直っている不具合があるからです。Mac App Storeに記載されている5.3.1の更新内容には、外部からの連携で作られたシェルフが「Purchase Dropover Pro」のボタンを出して、それ以降のドラッグを受け付けなくなる問題の修正が挙がっています。連携の例として、システムの「Add to Dropover」やAlfredが名指しされています。

同じ版では、古いmacOSで処理の入力を表示したときに落ちる問題も直っています。状況メッセージとInstant Actionsのアイコンが背景に埋もれて見えにくくなる問題の修正も入っています。つまり「操作を受け付けない」「落ちる」「表示が見えない」のいずれも、版が古いままだと説明がつく症状です。

動作条件も同時に見ます。Mac App Storeの記載では、必要なのはmacOS 13.0以降です。容量は39.1MBで、提供元はTappable Softwareです。配布はMac App Storeだけで、公式のFAQには、App Store以外での配布は現時点で行っていないと書かれています。外部から落としたものを入れている場合は、まずそこを疑います。

この順番にする理由は単純です。設定を1つずつ見直すより、App Storeで更新の有無を見るほうが早く終わります。

シェルフが出ないときは、入口ごとに原因が違う

シェルフを出す道は5通りあり、出ない原因も入口ごとに分かれます。まず、どの入口で出ないのかを確かめます。

  • ポインタを振っても出ない。感度の設定と、除外アプリの設定を見る
  • キーボードショートカットで出ない。割り当てが変わっていないかを設定で見る
  • メニューバーのアイコンに落としても出ない。アイコンが表示されているかを見る
  • ノッチに落としても出ない。設定の「Shelf Activation」で「Drop to Notch」が入っているかを見る
  • ターミナルから渡しても出ない。open -a Dropover -- /path/to/file の書き方と、渡したパスの実在を見る

このうち、原因として見落とされやすいのは除外アプリの設定です。振っても出したくないアプリを個別に指定できる作りになっているため、特定のアプリの上でだけ出ない、という症状が起きます。すべてのアプリで出ないのか、1つのアプリの上だけで出ないのかを先に見分けると、ここに当たります。

感度の設定も同じ性質です。振る動作をどれくらいで認識するかを調整できるので、感度が低い側に寄っていると、普通に振ったつもりでは反応しません。逆に高すぎると、意図しない場面で出ます。

ノッチの入口は、既定で入っているとは限りません。設定の「Shelf Activation」にある項目を明示的に入れる必要があると、公式のヒント集に書かれています。ノッチだけが反応しない場合は、ここを見れば終わります。

ショートカットが効かないのは、シェルフが選ばれていないから

これがいちばん多い誤解です。ショートカットには2種類あり、いつでも使えるものと、シェルフが選ばれているときだけ使えるものに分かれています。後者が効かないのは、壊れているからではありません。

Shelf shortcuts only work when a shelf is active. Click a shelf first, or press ⌥⇧S to select one of the visible shelves. 出典: dropoverapp.com

対象のシェルフを決める手順は2つです。シェルフをクリックするか、Option、Shift、Sを同時に押します。後者を押すと、見えているシェルフに番号が振られるので、その番号のキーを押すと対象が決まります。決まったあとに、閉じる、隠す、処理を走らせるといったキーが通ります。

シェルフが複数出ているときに「ショートカットが効かない」と感じるのは、この番号付けを経由していないためです。1枚しか出ていない場合でも、直前に別のアプリをクリックしているとシェルフから焦点が外れています。

割り当てそのものを疑う前に、この順番を確かめます。FAQには、どのショートカットも設定で有効と無効を切り替えられ、別のキーの組み合わせに割り当て直せると書かれています。意図せず無効にしている場合もあるので、焦点の確認で直らなければ設定を見ます。

移動したはずがコピーになる、の理由はボリューム

シェルフから引き出したときの挙動が期待と違う、という症状には、はっきりした説明があります。既定の動きが行き先によって変わるためです。

状況 既定の動き 変えるキー
同じディスクの中へ引き出す 移動 Optionでコピー
別のボリュームやディスクへ引き出す コピー Commandで移動

同じMacの中で使っているうちは移動になり、外付けディスクやネットワークの置き場へ引き出した瞬間にコピーに変わります。この切り替わりはmacOSのFinderと同じ考え方なので、アプリ側の不具合ではありません。コピーになるときはドラッグ中に「+」の印が出ると公式のFAQに書かれているので、落とす前に確かめられます。

常にコピーにしたい場合は、設定の「Shelf Interaction」の詳細にある、引き出すときは常にコピーする、という項目を入れます。逆に、コピーではなく移動にしたいのに動かない場合は、Commandを押しながら引くか、この項目が入っていないかを見ます。

もう1つ、引き出したあとにシェルフが消えることを不具合と受け取る場合があります。Shiftを押しながら引き出すとシェルフが残る、という動きが用意されています。同じものを複数の場所へ落としたいときは、この形になります。

シェルフの中身が消えるのは、仕様の範囲

シェルフに入れておいたものが無くなる、という症状は、この道具の設計から直接出てきます。シェルフが持っているのはファイルそのものではなく、ファイルへの参照だけです。公式のFAQには、Finderからシェルフへドラッグしても、コピーも移動も行わず参照だけを保持すると明記されています。

このため、次の場合はシェルフの中身が指す先を失います。元のファイルを別の場所へ移した場合、名前を変えた場合、削除した場合です。アプリやMacを再起動した場合も、一時的な置き場として扱われている以上、そこに置いたつもりのものは残りません。

閉じたシェルフは最大10件まで開き直せますが、これは履歴の閲覧ではなく再表示です。ディスク上に元が無いものは戻りません。長く置いておきたいものは、留め置く操作で明示的に残します。留め置いたシェルフには題名を付けられるので、複数を並べても見分けが付きます。

中身だけ空にしたい場合の操作も用意されています。Optionを押しながら閉じるボタンを押すと、シェルフを閉じずに中身を空にできます。「閉じたら消えた」と「空にしたつもりが閉じた」を混同していると、症状の見え方が変わります。

アップロードについても同じ考え方です。FAQには、シェルフに乗せた時点ではアップロードは走らず、アップロードや共有の操作を明示的に選んだときだけ送られると書かれています。置いただけで上がってしまった、という症状であれば、Instant Actionsのアイコンに直接落ちていないかを見ます。

3秒の待ちと、購入の案内が出る不具合は別物

シェルフを操作する前に待たされる、という症状は2つに分かれます。切り分けを間違えると、必要のない支出をします。

1つは仕様です。FAQには、ダウンロードは無料で14日間は制限がなく、期間が切れたあとはシェルフを操作する前に3秒の待ちが入ると書かれています。自動で請求されることはなく、アプリは動き続けます。待ちを外すのが有料版で、アプリ内課金1回の買い切りです。

もう1つは不具合です。5.3.1で直った症状は、連携から作られたシェルフが購入を促すボタンを出して、ドラッグを受け付けなくなるものでした。待つのではなく、操作そのものが通らないのがこちらです。待てば動くなら仕様、待っても受け付けないなら版を上げる、という切り分けになります。

購入したのに制限が残る場合は、引き継ぎの話になります。復元の条件は、購入したときと同じiCloudアカウントでログインしていることです。購入画面の「Restore Purchases」から戻します。FAQには復元の手順の案内と、うまくいかないときの切り分けの案内が別々に置かれています。仕事用と個人用でApple IDを分けている場合、どちらで買ったかを取り違えていることが原因になりがちです。

画面が英語のまま直らないのは、設定では直らない

日本語にならないという症状は、設定を探しても終わりません。FAQで対応言語として挙げられているのは英語、ドイツ語、オランダ語、簡体中国語の4つで、日本語は含まれていません。既定ではシステムの優先言語に合わせる作りなので、日本語環境のMacでは英語の画面が出ます。

macOSにはアプリごとに言語を決める設定があるため、対応している4つの範囲では切り替えられます。日本語に切り替える設定は、アプリ側にもmacOS側にもありません。これは不具合ではなく、現時点の対応範囲です。

スクリーンショットがシェルフに出ないという症状も、設定の範囲で説明がつきます。フォルダを見張る機能には、スクリーンショットだけ、特定の拡張子だけ、といった絞り込みが設定できるためです。絞り込みが意図と違っていれば、新しいファイルが入っても出ません。あわせて5.3.1では、macOSがスクリーンショットの情報を書き込むまでに時間がかかる場合の検出が改善され、HDRのスクリーンショットにも対応しています。出ないときは、ここでも版が効きます。

確かめる順番を、窓の数から見直す

ここまでの順番を並べ直すと、次のようになります。版と動作条件、入口ごとの設定、シェルフの焦点、行き先のボリューム、参照であるという仕様、支払いの状態、対応言語です。この7つで、公式に記載のある症状はほぼ説明がつきます。

順番として版を先に置く理由は、確認にかかる時間がいちばん短いからです。設定を1つずつ見直す作業は、原因が版にあった場合まるごと無駄になります。

そのうえで、見直す価値があるのはもう1つ上の層です。ドラッグの途中に置き場が必要になるのは、出発地と行き先を同じ画面に出せないからです。置き場の設定を細かく直しても、窓を行き来する回数そのものは減りません。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある作りは、その回数のほうを減らす方向の答えです。

どこまでを1つの窓で扱えるのかはできることに整理してあります。役割を絞った道具との立ち位置の違いは他のファイル管理との比較に、日本語の画面があるかどうかを含む言語の対応は対応言語にまとめてあります。症状が設定で直るなら直せば済みますが、同じ症状に何度も戻ってくるなら、置き場の数より窓の数を見るほうが早く終わります。

よくある質問

ポインタを振ってもシェルフが出ません。どこを見ればよいですか?

すべてのアプリで出ないのか、特定のアプリの上でだけ出ないのかを先に見分けます。1つのアプリの上でだけ出ない場合は、振っても反応させないアプリを指定する設定に入っている可能性があります。全部で出ない場合は、振る動作の感度の設定を見ます。あわせてメニューバーのアイコンに落とす方法でシェルフが出るかを試すと、入口の問題か本体の問題かが切り分けられます。

シェルフのショートカットだけが効きません。

シェルフが選ばれていない状態だと、シェルフ用のショートカットは通りません。公式のFAQには、シェルフをクリックするか、Option、Shift、Sを押して見えているシェルフを選ぶよう書かれています。押すとシェルフに番号が振られるので、その番号のキーで対象が決まります。決まったあとに、閉じる、隠す、処理を走らせるキーが通ります。

シェルフに入れておいたファイルが消えました。戻せますか?

戻せません。シェルフが持っているのはファイルそのものではなく参照だけで、元のファイルを移動したり名前を変えたり削除したりすると、指す先を失います。閉じたシェルフは最大10件まで開き直せますが、これは再表示であってディスク上に無いものは戻りません。長く置いておきたいものは留め置く操作で明示的に残す形になります。

シェルフを操作する前に3秒待たされます。不具合ですか?

14日間の試用期間が切れたあとの仕様です。公式のFAQには、期間後もアプリは動き続け、変わるのはシェルフを操作する前に3秒の待ちが入る点だけだと書かれています。待たされるが動くなら仕様で、待っても操作を受け付けないなら別の症状です。後者は5.3.1で修正された不具合に当たる可能性があるため、App Storeで版を確かめます。

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