Macのゴミ箱を空にする|消える範囲を決めてから実行

Macのゴミ箱を空にする操作は、うまくいくときは1回のクリックで終わります。詰まるのは、全部消えたのに1件だけ残る場合か、進捗の表示が途中で止まる場合か、閉じたはずのアプリに使用中だと言われる場合です。この3つは原因が別で、それぞれに対応する手当てがあります。先に押さえておきたいのは、Appleの説明が「ゴミ箱から消去された項目は、完全に削除され、使用できなくなります」と明記している点です。ここから先の操作はどれも戻せません。だから押し方より先に、どこまでが消える範囲なのかを決める必要があります。

ゴミ箱に入れた時点では、まだ削除されていない

そもそもゴミ箱という場所は、削除を実行する場所ではなく、削除の判断を保留する場所です。Appleの説明も「まず項目をDockの『ゴミ箱』にドラッグしますが、『ゴミ箱』を空にするまで項目は削除されません」と、2段構えであることを最初に書いています。

一般向けの解説でも同じ整理がされています。

パソコンでファイルを削除すると、一時的に「ゴミ箱」へ移動しますが、実際にはまだストレージ内に残っている状態です。 出典: nttdocomo-ssw.com

この2段構えには、はっきりした利点と欠点があります。利点は、誤って捨てた直後に取り戻せることです。ゴミ箱を開いて対象を選び、「ファイル」>「戻す」を選ぶと、元あった場所へ返ります。ドラッグして別の場所に置き直すより確実で、どこにあったかを思い出す必要もありません。

欠点は、空にするまで容量が空かないことです。ストレージの残りを増やすつもりで大きなファイルをゴミ箱に入れても、その時点では1バイトも減っていません。「削除したのに空き容量が変わらない」という相談のほとんどは、この段階で止まっているだけです。

もう1つの欠点は、保留の期間が長くなるほど中身が分からなくなることです。数か月ぶりに開いたゴミ箱に何十件も並んでいると、1件ずつ確かめる気力が続かず、結局まとめて削除するか、そのまま放置するかの二択になります。どちらも判断を保留した意味がありません。空にする頻度を決めておくほうが、結果として安全側に寄ります。

空にする方法は4つあり、消える範囲が違う

Finderには複数の入口が用意されています。普段は結果が同じなので気になりませんが、1件が詰まったときに差が出ます。

方法 操作 ほかと違う点
ボタン Dockのゴミ箱をクリックし、Finderウインドウ右上の「空にする」 一覧にあるもの全部が対象。警告が出る
メニュー 「Finder」>「ゴミ箱を空にする」、または Shift+Command+Delete ウインドウを開かずに実行できる
警告なし Option+Shift+Command+Delete、または Option を押しながら「空にする」 確認のダイアログが出ない
1件だけ ゴミ箱の中で対象を Control キーを押しながらクリックし「すぐに削除」 ほかの項目はそのまま残る

Appleのキーボードショートカットの一覧では、Command+Delete が「選択した項目をゴミ箱に入れる」、Shift+Command+Delete が「ゴミ箱を空にする」、Option+Shift+Command+Delete が「確認のダイアログを表示せずにゴミ箱を空にする」と定義されています。3つ目は取り消しの機会がまったく無くなるため、日常的に使う組み合わせではありません。

実務で効くのは4行目の「すぐに削除」です。1件が原因で全体が止まっているとき、残りを1件ずつ削除していけば、問題が起きているファイル名を特定できます。全体を空にする操作を何度も試すより速く、何が残っているのか分からない状態を抜けられます。ゴミ箱の中で右クリックし、「すぐに削除」を選んで、警告が出たら「削除」をクリックする。この順で進めます。

1件だけ残るときに見る4つの原因

残る理由は、ほぼ次の4つに収まります。手を動かす前に見分けられます。

  • 使用中。何かのプロセスがそのファイルを開いたままです。開いているのは、そのファイルを作ったアプリとは限りません。プレビュー、索引を作る常駐の仕組み、別のデスクトップに残っている書類のウインドウなどが該当します。lsof はパスを渡すと、そのファイルを使っているプロセスを一覧で返すため、漠然としたエラーをアプリ名まで詰められます。

  • ロック。これは権限ではなく、ファイルに付いたフラグです。次の節で扱います。

  • 権限。ゴミ箱は利用者ごとに分かれています。別のアカウントから来た項目や、システム側の場所から移動した項目は、いまのアカウントでは削除できない所有者になっていることがあります。Appleのロック解除の手順にも、管理者の名前とパスワード、あるいは Touch ID か Apple Watch での認証が必要になる場合が書かれています。求められたら、その項目がこの型に当たります。

  • 見た目と中身が違う。「復元されたファイル」というフォルダと、iCloud Driveから入れた項目は、通常のファイルと違う動きをします。どちらも後の節で扱います。

4つのうち、最初の2つで大半が説明できます。逆に言えば、この2つを確かめずにターミナルで強制的に削除すると、原因が分からないまま同じことが繰り返されます。次に同じ症状が出たときに、また同じ時間を使うことになります。

「ロック」はファイルのフラグで、名前が付いている

Finderの表示は「ロック」ですが、実体はファイルフラグの1つで、uchg(ユーザ変更不可)という名前が付いています。

画面からの手順は短いです。対象を選び、「ファイル」>「情報を見る」を選ぶか Command-I を押して、「ロック」のチェックボックスの選択を解除します。チェックボックスが操作できない状態なら、鍵のアイコンをクリックし、管理者の名前とパスワードを入力するか、Touch ID か Apple Watch で認証します。なお、ロックされた項目をゴミ箱に入れる時点でも確認が出ます。「続ける」を押して入れているため、ロックされたまま中に残っていることがあります。

件数が多いときは、コマンドで見たほうが速いです。ls -lO はファイルフラグを長い形式の出力に含める指定で、どのファイルにどのフラグが付いているかを一覧で確かめられます。フラグを変えるのは chflags で、説明書のキーワード一覧は、Finderでは見分けが付かない2つを区別しています。uchg は所有者か特権利用者が設定・解除でき、解除は nouchg です。schg(システム変更不可)は特権利用者だけが変更できます。schg が付いたファイルは、通常のロック解除の操作では外れません。

この違いを先に知っていると、無駄な試行が減ります。バックアップから復元した直後や、読み取り専用のディスクから複製した直後は、フォルダごとロックが付いていることがあります。chflags には -R でディレクトリの階層をまとめて処理する形が用意されていて、説明書の例はフォルダ以下のフラグを一度に外す書き方を示しています。ただし同じ説明書は、.* のようなワイルドカードが親ディレクトリへのリンクに意図せず一致する危険にも触れています。範囲を広げる操作は、対象を1つ指定して結果を見てから広げるのが順序です。

「復元されたファイル」は、削除したファイルではない

再起動した後にゴミ箱の中へ「復元されたファイル」というフォルダが現れると、削除に失敗したように見えます。実際は逆です。Appleの説明では、これはmacOSのアプリが使う一時ファイルであり、通常はアプリが不要になった時点で自分で削除するもので、アプリが予期せず終了すると削除できないまま残る、と書かれています。次に再起動したとき、macOSがそれらをゴミ箱へ移します。

ここから2つのことが分かります。1つは、中身はたいてい破棄して問題ないということです。Appleの案内も、扱いに迷う場合は開発元に確認するようにと書いています。もう1つは、この現象が出続けるならゴミ箱の問題ではないということです。予期せぬ終了が起きるたびに現れるため、同じフォルダが何度も湧いてくるのは、どこかのアプリが落ちている合図です。

必要なものが混ざっていた場合は、空にする前にゴミ箱の外へドラッグして取り出せます。取り出す判断が付かないファイルを、念のためとして残し続けると、次の再起動でまた同じ名前のフォルダが増えて区別が付かなくなります。日付で見分けられるうちに処理するほうが確実です。

Finder設定で決められること、決められないこと

自動で削除させる指定と、警告を出すかどうかの指定は、どちらも「Finder」>「設定」の「詳細」パネルにあります。

「30日後にゴミ箱から項目を削除」を選ぶと、ゴミ箱が保管場所ではなく、直近30日間だけを持つ入れ替わりの場所になります。有効にする前に読んでおきたいのは、Appleの注記です。自動で削除された項目は完全に削除され、使用できなくなると書かれていて、削除される瞬間に確認は出ません。そのうえで、Time Machineのバックアップを作るか、ストレージデバイスに控えを保存しておくことが勧められています。

「ゴミ箱を空にする前に警告を表示」は確認のダイアログです。外すとすべての実行が無言になります。中間の選び方として、警告は残したまま、確認が要らない回だけ Option キーを押しながら実行する方法があります。安全側の仕組みを残したまま、手数だけ減らせます。

一方で、Finder設定では決められない範囲もあります。iCloud Driveからゴミ箱に入れた項目は、Finder設定に関係なく30日後に自動的に消去されます。それより早く空にすることはできますが、遅らせることはできません。Finderの一覧では、ローカルのファイルと同じ見え方で並ぶため、画面を見ても区別が付きません。ゴミ箱を一時的な置き場として使っている場合、この期限は事実上の締め切りになります。その期限を過ぎたものは、Macの側では扱えません。Appleは、iCloud Driveから削除した項目の復元先として iCloud.com の機能を案内しています。

ターミナルで削除する場合の損得

rm はゴミ箱を通さずに削除するコマンドで、止まったゴミ箱の相談では定番の回答です。何ができて何ができないのかを、説明書の記述で確かめておきます。

移動ではなく削除なので、取り消しも「戻す」もありません。-f は権限にかかわらず確認なしで削除を試みる指定で、そのまま貼られた1行によく含まれています。打ち間違いがそのまま損失になるのもこの指定です。-i は1件ごとに確認し、-I は4件以上か再帰的な削除のときに1回だけ確認します。説明書は -I を「はるかに邪魔にならないが、ほぼ同じ水準の保護を与える」と評しています。-x は再帰的な削除でマウントポイントを越えない指定で、外付けディスクを接続しているときに効きます。

誤解されやすい点が2つあります。rm はシンボリックリンク自体を削除し、リンク先のファイルは削除しません。そして /、.、.. を削除しようとするのはエラーとして扱われます。

広く信じられている話を崩すのは -P です。かつては削除前にファイルの中身を上書きする指定でしたが、いまの説明書には「このフラグは効果がない。4.4BSD-Lite2との後方互換のためだけに残されている」と書かれています。つまり現在のMacでは、Finderからでもターミナルからでも、削除は中身の上書きを伴いません。本当に復元不能にしたいなら、削除コマンドではなくディスク全体の暗号化と鍵の破棄が対象になります。なお rm もロックは越えられません。フラグが付いていれば止まるので、話は chflags に戻ります。

判断と実行が別の窓に分かれているという問題

ここまでの手当ては、どれも同じ形をしています。一覧で対象を見て、パスを写し取り、ターミナルでフラグや開いているプロセスを確かめ、また一覧に戻って結果を見る。作業そのものは短く、時間を食うのは往復です。

工程を数えると、実際に打つ回数より窓を切り替える回数のほうが多くなります。ファイル名に空白や日本語が含まれていれば、写し取るだけで手が止まります。AIに聞いて手順を確かめる場合は、さらに窓が1つ増えます。ここで効くのは、短いコマンドを覚えることではなく、フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある状態にして、一覧で選んだ対象をそのままコマンドに渡し、出力を同じ画面で読めるようにすることです。

ターミナルを内蔵したファイル管理で、一覧の表示、プレビュー、Gitの状態、コマンドパレットまでが何を担うのかはできることに一覧があります。標準のFinderや、ノート用・コード用のアプリと役目がどう分かれるのかは他のファイル管理との比較に、勝てない領域まで含めて表で整理されています。Macに置いたまま出先から作業の続きを確かめる使い方はiPhone・iPadから続きをが該当し、Mac単体で使う範囲の費用の考え方は料金、導入前に迷いやすい点はよくある質問にまとめられています。

ゴミ箱を空にする手順は、macOSの世代が変わってもほとんど動いていません。変わったのは、iCloud Driveのように設定の外で期限が決まる項目が増えたことと、原因を確かめるために開く窓の数です。前者は覚えれば済みます。後者だけが、いまも作業時間を押し上げたまま残っています。

よくある質問

ゴミ箱を空にできず「使用中」と言われます。どうすればよいですか?

どこかのプロセスがそのファイルを開いたままです。作ったアプリとは別の常駐の仕組みが握っている場合もあります。lsof にそのファイルのパスを渡すと、使用しているプロセスが分かります。該当のアプリを終了するか、再起動すれば解放されます。

1件だけを削除して、ほかは残したい場合はどうしますか?

ゴミ箱を開き、対象を Control キーを押しながらクリックして「すぐに削除」を選び、警告で「削除」をクリックします。ほかの項目はそのまま残ります。全体が止まっている原因のファイルを特定する手としても、これが一番速いです。

「ロック」のチェックボックスは何を設定しているのですか?

uchg というユーザ変更不可のファイルフラグです。所有者か特権利用者が解除でき、「情報を見る」でチェックを外すか chflags nouchg で外します。似たフラグの schg はシステム変更不可で、特権利用者だけが変更できるため、通常の操作では外れません。

ゴミ箱を空にすると、中身は復元できなくなりますか?

Appleは完全に削除され使用できなくなると案内しています。ただし中身が上書きされるわけではありません。上書きする指定だった rm -P は、現在の説明書で効果がないと明記されています。復元不能にしたい場合に効くのは、削除の手順ではなくディスク全体の暗号化です。

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