外付けドライブの整理とは|3つの作業が同じ名前で呼ばれている
外付けドライブの整理という言葉で検索したとき、探しているものは人によって違います。内蔵ディスクの空きが足りないので外へ出したい人、外へ出したはずのファイルが見つからない人、ドライブが壊れたら困ると気づいた人。この3つは目的が別で、打つ手も別です。同じ言葉で呼ばれているせいで、途中から目的がすり替わって手が止まります。ここでは、その3つの切り分けと、macOSが外付けボリュームを扱うときに実際に何が起きるのかを、手元で測った値をもとに整理します。
同じ言葉が指している3つの作業
外付けドライブの整理と呼ばれている作業を分解すると、目的が3つに分かれます。どれを今やっているのかを決めないと、作業の終わりが決まりません。
| 目的 | 終わりの条件 | 主に触る場所 |
|---|---|---|
| 内蔵の空きを作る | 必要な空き容量に届く | 内蔵ディスクから外付けへの移動 |
| 探せるようにする | 目的のファイルに一手で届く | 外付けの中の階層と名前 |
| 消えないようにする | 同じものが2箇所以上にある | 複製先の用意と検証 |
3つ目が混ざると特に厄介です。空きを作るために外付けへ移した時点で、そのファイルは1箇所にしかない状態になります。内蔵から消したのだから当然ですが、移動の作業中はそこまで意識が向きません。空けることと守ることは、同時に進むと逆を向きます。
作業に入る前に、今回はどれをやるのかを1つ選んでください。空けるなら必要な容量を数字で決める。探せるようにするなら、どの入口から探すかを決める。守るなら、複製先を先に用意する。3つを一度にやろうとすると、どの条件も満たさないまま時間だけが過ぎます。
外付けは棚ではなく、1本の経路として扱われる
Finderのサイドバーに出てくるドライブの見た目は、内蔵のフォルダと変わりません。ただし実際には、接続した外付けボリュームは /Volumes/ の下に名前で生えます。ボリューム名が My Drive 2026 なら、経路は /Volumes/My Drive 2026 です。
ここが後から効いてきます。ボリューム名に空白や記号が入っていると、ターミナルで触るときに毎回引用符やエスケープが必要になり、スクリプトに書いたときも壊れやすくなります。日本語のボリューム名も同じで、経路として打つ場面で手間が増えます。整理を始める前に名前を決め直しておくと、あとの全部が楽になります。
いま接続されているものを確かめるだけなら、次の2つで足ります。
diskutil list
diskutil info /Volumes/ボリューム名
diskutil info は、そのボリュームの形式、所有権が有効かどうか、空き容量を返します。所有権が無効なボリュームでは、ファイルの所有者とアクセス権が実際のものと違って見えます。共有のために意図的にそうしている場合もあるので、まず現状を読むところから始めます。
形式によって、持ち運べるものが変わる
外付けドライブで最初に効いてくるのが形式です。macOSのディスクユーティリティが用意している選択肢は、diskutil listFilesystems で一覧できます。APFS、APFS(大文字と小文字を区別)、Mac OS Extended(ジャーナリング)、exFAT、MS-DOS(FAT)などが並びます。
exFAT: 32 GBを超えるWindowsボリュームに使用します。 出典: support.apple.com
Windowsと共用するならexFAT、Macだけで使うならAPFS、という分け方が一般的です。問題は、この選択が見た目に出ないまま、ファイルの持ち物を変えてしまう点です。
exFATでフォーマットしたボリュームに、Finderのタグが付いたファイルを1つコピーすると、隣に ._ で始まる同名のファイルができます。手元で確かめると、大きさは4,096バイトでした。中身は、exFATが持てない情報、つまり拡張属性やタグの入れ物です。macOS側から見れば元のタグはちゃんと読めますが、ドライブの中のファイル数は増えます。
さらに、この双子はファイルだけでなくフォルダにも付きます。テスト用のexFATボリュームに小さな階層を作って数えたところ、見えている項目7個に対して ._ で始まる隠しファイルが5個できていました。同じ内容をAPFSのボリュームに置いたときは、隠しファイルは1つもできません。ファイル数で棚卸しをしているときに、数が合わない原因はたいていこれです。
濁点のあるファイル名は、形式によって形が変わる
日本語のファイル名を扱うなら、もう1つ知っておく価値があります。「が」のような濁点付きの文字は、1文字として持つ形(合成済み)と、「か」と濁点の2文字に分けて持つ形(分解)の2通りで書けます。画面上はどちらも同じに見えます。
同じ名前をこの2つの形で作ろうとすると、何が起きるか。APFSのボリュームでは、最初に作ったときの形がそのまま残り、あとから別の形で同じ名前を書くと、同じファイルとして上書きされます。exFATのボリュームでは、保存される名前が分解された形に寄せられました。つまり、exFATの外付けを経由したファイルは、名前の中身が行きと帰りで変わることがあります。
Mac同士でやり取りしている限りは表に出ません。表に出るのは、そのファイルをクラウドストレージに上げたときや、Linuxのサーバに送ったときです。検索しても引っかからない、同じ名前のフォルダが2つ並ぶ、といった形で現れます。
大文字と小文字については、APFSの既定もexFATも区別しません。Report.txt と report.txt を続けて作ると、後から書いたほうの中身で1つのファイルになります。区別するボリュームから区別しないボリュームへ移すときは、この衝突で静かにファイルが減ります。
外付けは、つながっていない時間のほうが長い
内蔵のフォルダとの決定的な違いがここです。外付けボリュームは、取り外せば /Volumes/ から消えます。ケーブルを抜いた、スリープから復帰した、ハブの電源が落ちた。どれでも同じ状態になります。
この前提が抜けていると、整理した結果が壊れます。よくあるのが、内蔵側に近道を置いて外付けの中身を参照する形にしたときです。ターミナルで作るシンボリックリンクは、経路の文字列をそのまま覚えています。ボリューム名を変えた時点でも、取り外している間でも、そのリンクは行き先を失います。Finderで作るエイリアスは、経路だけでなくボリュームとファイルの識別子を覚えているため、名前を変えたあとでも追いかけ直せる場面があります。同じ「近道」でも、壊れ方が違います。
書類の中から外付けのファイルを参照している場合も同じです。編集ソフトが読み込んだ素材、音源の読み込み先、写真の元データの置き場。これらは外付けが外れている間、行方不明として扱われます。整理の途中でフォルダ名を変えると、次にそのソフトを開いたときにまとめて切れます。参照されている可能性がある置き場は、名前を変える前に洗い出しておいてください。
取り外すときは、Finderで取り出すか、diskutil unmount /Volumes/ボリューム名 を使います。書き込みの途中で電源が落ちる形の取り外しは、そのとき書いていたファイルだけでなく、ボリューム全体の管理情報を傷めることがあります。整理の作業はまとまった量の書き込みが続くので、ここは特に急がないほうが安全です。
Finderで検索しても出てこないのは、索引が無いから
外付けに移した直後に「あるはずのファイルが検索で出ない」と感じるのは、たいてい索引の話です。Spotlightの索引はボリュームごとに作られ、そのボリュームの中に .Spotlight-V100 として置かれます。索引が無ければ、名前で検索しても中身で検索しても出てきません。
状態は1行で確かめられます。
mdutil -s /Volumes/ボリューム名
Indexing enabled. なら索引はあり、Indexing disabled. なら作られていません。手元でテスト用のボリュームを2つ作って確かめたところ、どちらも初期状態では索引が作られていませんでした。索引を作るなら mdutil -i on /Volumes/ボリューム名 を実行しますが、その分の領域と、初回の走査にかかる時間は、そのドライブが負担します。
索引を作らない選択もあります。その場合は、名前で探す前提に切り替えて、階層と命名でたどり着けるようにしておく必要があります。索引に頼るのか、階層に頼るのか。この判断を先にしておかないと、どちらも中途半端になって、結局Finderの窓を何枚も開いて探すことになります。
消したのに空きが増えないのは、ゴミ箱がそのドライブにあるから
外付けのファイルをゴミ箱へ入れても、そのドライブの空きは増えません。データはそのボリュームの中の .Trashes という隠しフォルダへ移るだけで、同じドライブの上に残り続けます。ゴミ箱を空にするまで解放されません。
空けるつもりで何時間も作業したのに残り容量が変わらない、という詰まり方は、ほぼこれです。取り外す前にゴミ箱を空にする。これを手順の最後に固定しておくと、次から悩まなくなります。
バックアップ用のドライブは、整理の対象にしない
もう1つ、混ざりやすいのがバックアップ用のドライブです。
Time Machineは、AirMac Time Capsule、SMB(Server Message Block)またはAFP(Apple Filing Protocol)経由でTime Machineに対応しているネットワーク接続ストレージ(NAS)デバイス、Macに直接接続している外部ストレージデバイス(USBドライブやThunderboltドライブなど)で使用できます。 出典: support.apple.com
バックアップ先として使っているボリュームの中身は、世代ごとの記録として管理されています。容量が足りないからといって中のファイルを手で消したり並べ替えたりすると、記録としての一貫性が崩れます。空きが足りないなら、保存先のドライブを分けるか、対象から外すフォルダを設定する側で調整します。
整理してよいドライブと、触らないドライブ。ここを分けておくのが、3つの目的を混ぜないための具体的な線引きです。
いま何に時間を取られているかを数える
ここまでの詰まりどころを並べると、共通点があります。形式を確かめるのはターミナル、ファイルを動かすのはフォルダの窓、名前の付け直しはまた別の場所。1回の整理で、窓を何回行き来しているかを数えてみてください。
道具を替える判断は、そのあとで構いません。容量のグラフが綺麗に出る道具を探す前に、測ることと動かすことが同じ場所にあるかどうかを見たほうが、効き方が大きくなります。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある形にすると、この行き来そのものが消えます。どの操作が1つの窓に入るのかはできることにまとまっていて、他の道具との作りの違いは他のファイル管理との比較で軸ごとに並べています。
外付けの整理は、一度やって終わる作業ではありません。続けられる形かどうかを判断するなら、費用の考え方をまとめた料金と、導入前に出てくる疑問を集めたよくある質問が判断の材料になります。移す作業の途中で出先から中身を確かめたい場合は、iPhone・iPadから続きをに、同じ環境を手元の端末から開く方法があります。
よくある質問
外付けドライブはAPFSとexFATのどちらでフォーマットすべきですか?
Macだけで使うならAPFS、Windowsと共用するならexFATが基準になります。exFATは拡張属性を直接持てないため、タグの付いたファイルを置くと ._ で始まる隠しファイルが一緒に作られ、項目数が増えます。共用の予定が無いのにexFATを選ぶ理由は少ないので、用途を決めてから選んでください。
外付けのファイルを消したのに空き容量が増えません。なぜですか?
ゴミ箱へ入れただけの状態だからです。外付けボリュームのゴミ箱は、そのドライブの中の .Trashes という隠しフォルダに置かれ、ゴミ箱を空にするまでデータは残ります。取り外す前にゴミ箱を空にする手順を、作業の最後に固定しておくと確実です。
外付けのファイルがSpotlightの検索で出てきません。設定はどこですか?
そのボリュームに索引が作られていない可能性があります。mdutil -s /Volumes/ボリューム名 で状態を確認し、Indexing disabled. と出たら索引がありません。mdutil -i on で作成できますが、索引の領域と初回の走査時間はそのドライブが負担します。索引を作らない場合は、階層と命名で探せる形にしておく必要があります。
Time Machineのドライブを整理してもよいですか?
中のファイルを手で消したり移動したりする対象にはしないでください。バックアップ用のボリュームは世代ごとの記録として管理されているため、手で触ると記録の一貫性が崩れます。容量が足りない場合は、保存先のドライブを分けるか、バックアップの対象から外すフォルダを設定する側で調整します。