mac ファイル管理アプリの選び方|働き方と権限で分ける
mac ファイル管理アプリを探して一覧を眺めると、どれも似た機能が並んでいて選べません。原因は、一覧が機能の有無で作られているからです。実際に使い勝手を決めているのは機能の数ではなく、そのアプリがMacの中でどう常駐し、どんな権限を要求し、macOSの更新にどれだけ耐えるかという部分です。ここを軸にすると候補は4種類に整理でき、自分の作業に要るものが1種類か2種類に絞れます。
ファイル管理アプリと呼ばれるものは、4つの働き方に分かれる
同じ「ファイル管理」という棚に、性質のまったく違うものが並んでいます。見分ける基準は、常駐するかどうかと、ユーザーの操作を待つのか自分から動くのかの2点です。
| 働き方 | 動くきっかけ | 要求する権限 | 更新で壊れやすい部分 |
|---|---|---|---|
| 窓を持つ閲覧型 | 人が開いたとき | ディスクへのアクセス | 表示まわりの見た目 |
| 常駐して監視する自動化型 | ファイルが増えたとき | フルディスクアクセスとバックグラウンド実行 | 監視の仕組みそのもの |
| メニューバー常駐の補助型 | 人が呼び出したとき | 画面や自動化の許可 | メニューバーの仕様変更 |
| コマンド型 | 人がコマンドを打ったとき | 実行するシェルの権限 | ほぼ壊れない |
上から下へ行くほど、要求する権限は下がり、更新への強さは上がります。ここに費用の話は入っていません。価格帯と働き方は独立していて、無料の常駐型も、有料のコマンド型もあります。選ぶときにまず決めるのは価格ではなく、Macの中に常駐するものを増やしてよいかどうかです。
それぞれの型が実際に引き受けている仕事も、はっきり分かれています。窓を持つ閲覧型は、2つの場所を並べて見比べる作業と、たくさんの項目から目的のものを選び出す作業を速くします。常駐して監視する自動化型は、決めた条件に合うファイルが増えたときに、移動や改名を人の手を借りずに実行します。メニューバー常駐の補助型は、クリップボードの履歴やパスの取得のように、いま開いているアプリを離れずに済ませたい小さな操作を引き受けます。コマンド型は、数百件をまとめて同じ規則で処理する作業に向きます。この4つは競合しておらず、必要なら組み合わせて使うものです。逆に言えば、1つのアプリに4つ全部を期待すると、どれも中途半端な評価になります。
常駐を増やす判断は、思っているより重い判断です。常駐するアプリは起動のたびに立ち上がり、ディスクの変更を監視し続け、macOSのメジャー更新のたびに互換性を確認する対象になります。3つ入れると、毎年の更新のたびに3つとも確認することになります。閲覧型とコマンド型は、使うときだけ開けばよいので、この保守の対象になりません。
入れる前に確認する権限は3つ
インストール直後に許可を求められるものは、あとから性質が分かりにくくなります。求められた瞬間に、何を渡しているのかを把握しておいてください。
- フルディスクアクセス。書類やダウンロードだけでなく、メールやメッセージの保存場所を含む全域が読めるようになる。重複ファイルの検出や、全域を対象にした検索を売りにするアプリはこれを求める
- Finder機能拡張。右クリックのメニューやツールバーにボタンを追加する仕組み。便利な反面、macOSの更新で挙動が変わりやすい層でもある
- バックグラウンド実行とログイン項目。常駐して監視する型はここに登録される。システム設定の「一般」から一覧を確認でき、不要になったものはここで止められる
判断の目安は単純です。その権限を渡して得られる機能を、実際に週1回以上使うかどうか。使わないなら渡さないほうが安全で、あとから必要になった時点で許可すれば足ります。特にフルディスクアクセスは、一度渡すと範囲を絞れません。重複検出のように一度きりの作業のために渡した権限が、その後もずっと有効なまま残るのはよくある形です。作業が終わったら外す、という手順まで決めておくのが実務的です。
標準機能でどこまで届くかを先に測る
アプリを足す前に、macOSがすでに持っている機能で片付く範囲を確認しておくと、候補が大きく減ります。次の4つは、追加のインストールなしで使えます。
1つ目はスマートフォルダです。ファイルメニューの「新規スマートフォルダ」から、種類・更新日・サイズなどの条件を組んで保存すると、条件に合うものが常に集まる仮想フォルダができます。「90日以上前にダウンロードした項目」のような掃除用の条件を保存しておくと、週1回の作業から準備の手間が消えます。
2つ目は一括の名称変更です。複数のファイルを選んでControlキーを押しながらクリックし、「名称変更」を選ぶと、テキストの置き換え、テキストの追加、フォーマットの変更という3方式が使えます。既定の接頭辞を外して案件名を前に足す、という2手で、たいていの山は片付きます。
3つ目はパスによる移動です。移動メニューの「フォルダへ移動」を使うと、ターミナルで得たパスをそのまま貼って開けます。
パスの始点がコンピュータのフォルダ構造の最上レベルであることを示すには、パス名の先頭にスラッシュ(/)を入力します。 出典: support.apple.com
同じページには、一部だけ入力した候補をTabキーで確定できることも書かれています。この2つを覚えるだけで、階層をクリックでたどる回数がはっきり減ります。
4つ目はストレージの管理です。システム設定のストレージから、容量を占めている種別の内訳が確認でき、大きなファイルの一覧も出せます。容量を空けるのが目的なら、専用のアプリを買う前にここで足りることがほとんどです。
この4つを試したうえで、それでも残る不満を書き出してください。書き出した不満が「同じ操作を何百件にも当てたい」なら足すべきはコマンド型で、「気づいたら勝手に片付いていてほしい」なら自動化型です。「見比べるのが遅い」なら閲覧型で、「いま開いているアプリを離れたくない」なら補助型になります。不満を先に言葉にしておくと、機能表を上から読む必要がなくなります。逆に、不満を言葉にしないまま一覧を眺めると、どのアプリも良さそうに見えて決まりません。
有料と無料の差は、機能ではなく保守の継続性
同じ働き方の中で比べると、有料と無料の機能差は年々小さくなっています。無料で公開されているものにも、圧縮の展開、転送の待ち行列、拡張の仕組みまで揃っているものがあります。差がはっきり出るのは、macOSのメジャー更新の直後です。
費用の形は3種類あり、それぞれ数年後の姿が違います。買い切りに更新期間が付く形は、期間が切れても手元の版は動き続け、新しいmacOSに合わせた版だけが届かなくなります。一度きりの支払いは、無償で受け取れる更新の範囲が製品ごとに違うので、そこだけ確認が要ります。無料と公開されているものは支払いの問題を消す代わりに、開発が続いているかという別の問いに置き換わります。
判断材料として見るべきは、直近1年の更新履歴です。最新のmacOSに対応した版が出ているか、公開されている変更履歴に日付が入っているか。この2つは価格ページより雄弁で、しかも無料で確認できます。価格帯の違いは、たいていの人にとって作業時間1時間分にも届きません。価格で選ぶ理由はほとんどないと考えて差し支えありません。
試用の期間の使い方にも注意が要ります。多くのアプリが14日から30日の試用を用意していますが、この期間を機能の探索に使うと判断が残りません。確かめるべきは3つに絞れます。毎日開いているフォルダを開いたときの表示速度、キー割り当てを自分の指に合わせて変更できるか、外部ディスクやネットワークボリュームを繋いだときの挙動です。この3つは初日に分かり、機能表からは分かりません。逆に、機能表に書かれていることは初日に確かめる必要がありません。
系統ごとに何を解いているかの整理は他のファイル管理との比較にまとめてあります。二画面型が速くしているのは移動の側で、探すことや中身を判断することはまた別の系統が受け持つ、という線引きが確認できます。
同期フォルダとバックアップの上で動かすときの注意
ファイル管理アプリを入れる場所と、同期の対象になっている場所が重なると、原因の分かりにくい不具合が起きます。とくに次の2つは事前に確認する価値があります。
1つ目は、iCloudのデスクトップと書類を有効にしている場合です。この設定が入っていると、デスクトップと書類の実体はホームフォルダの中ではなく、iCloud用の保管場所の下にあります。一覧に出ていても手元に降りていないファイルがあり、最初に触れた時点で取得が始まります。全域を走査するタイプのアプリを動かすと、意図しない大量のダウンロードが走ることがあるのはこのためです。
2つ目は、リポジトリと同期フォルダの重なりです。同期のクライアントとバージョン管理は、どちらも同じディレクトリを監視して書き込みます。リポジトリの内部データは小さなファイルが大量に並ぶ構造で、同期の衝突がもっとも起きやすい形です。作業中のリポジトリを同期の対象外に置いておくと、切り分けに時間を取られる種類の破損をまとめて避けられます。
コピーの挙動も確認しておいてください。macOSの標準では、フォルダへドラッグすると移動になり、Optionキーを押しながらだとコピーになります。
項目を元の場所に保持したまま、フォルダにコピーする: 項目を選択し、Optionキーを押したまま、項目をフォルダにドラッグします。 出典: support.apple.com
この既定を反転させているアプリがあり、そこが事故のもとになります。試用の初日に、小さなテスト用フォルダで移動とコピーと削除の挙動を確かめ、取り消しが効くかどうかまで見ておいてください。
残るのは、窓と窓のあいだの往復
働き方を決め、権限を絞り、標準機能で届く範囲を差し引くと、最後に残る作業がはっきりします。フォルダを見る窓と、コマンドを打つ窓と、ファイルの中身について判断する窓の、あいだの往復です。閲覧型のアプリを入れ替えても、この往復の回数は変わりません。むしろFinderが残るぶん、窓は1つ増えます。
この往復は1回あたりが短いので、記録されません。一覧を見て、パスをコピーして、別の窓に貼って、コマンドを打ち、結果を確かめにまた戻る。1回20秒で1日30回なら、体感には残らないまま毎日10分が消えます。ここに効くのがフォルダとターミナルとAIが同じ窓にある配置で、一括のリネームや変換が、いま画面に出ているフォルダに対してそのまま走ります。パスをコピーする工程が速くなるのではなく、消えます。この配置で扱える範囲はできることに整理してあります。
順序としては、まず半日だけ、パスをコピーした回数と同じフォルダを2つ目の窓で開き直した回数を数えてください。回数が少なければ、必要なのは閲覧型か補助型で、標準機能の見直しだけで済むこともあります。回数が多ければ、どの閲覧型を選んでも窓の数は減らないので、判断の軸そのものが変わります。作業の続きを手元の端末で受け取る運用まで含めるなら、切り替えの実際がiPhone・iPadから続きをに、費用と対応環境の詳細は料金にまとまっています。
よくある質問
ファイル管理アプリを入れる前に確認すべき権限は?
フルディスクアクセス、Finder機能拡張、バックグラウンド実行とログイン項目の3つです。とくにフルディスクアクセスは一度渡すと範囲を絞れず、書類やダウンロードだけでなくメールやメッセージの保存場所まで読めるようになります。週1回以上使う機能でなければ渡さず、必要になった時点で許可するほうが安全です。
無料のアプリと有料のアプリで機能に大きな差はある?
同じ働き方の中では差は年々小さくなっています。無料でも圧縮の展開や転送の待ち行列、拡張の仕組みまで揃っているものがあります。差が出るのはmacOSのメジャー更新への追随なので、価格ページより直近1年の更新履歴を見るほうが確実です。
標準のFinderだけで足りる場合はある?
容量を空ける、条件で集める、まとめて名前を変える、パスで直接移動する、といった作業は標準機能で完結します。スマートフォルダ、一括の名称変更、フォルダへ移動、システム設定のストレージの4つを試して、それでも残った不満に対してだけアプリを足すと、候補が大きく減ります。
iCloudのデスクトップと書類を使っている場合の注意点は?
実体がホームフォルダの中ではなくiCloud用の保管場所の下に置かれるため、一覧に出ていても手元に降りていないファイルがあります。全域を走査するタイプのアプリを動かすと、意図しない大量のダウンロードが始まることがあります。作業中のリポジトリは同期の対象外に置いておくと、同期の衝突による破損を避けられます。