Macの無料ファイル管理アプリ|無料が変わる4つの関門

mac file manager freeで検索すると、アプリの名前が並んだ一覧が出てきます。ところが実際に使い始めてから効いてくるのは、その一覧に書かれていない要素です。どこから落としたか、ディスクのどこまで見えるか、そもそも初回に開けるか、次のmacOSでも動くか。この4つはアプリの機能表ではなくmacOSの仕組みが決めていて、同じソフトでも入手経路が違えば結果が変わります。先にこの仕組みを読んでおくと、候補は自然に短くなります。

同じアプリが、片方では無料で片方では有料

分かりやすい例がCyberduckです。公式サイトから落とせば無料で、オープンソースとして配られ、インストール後に寄付の案内が出ます。10米ドル以上を寄付すると、その案内を消す登録キーが届く仕組みです。同じアプリがMac App Storeにも並んでいて、こちらは日本のストアで4,000円、米国のストアで23.99米ドルの有料購入になります。

これは不誠実な話ではありません。ライセンス上そうすることが認められていて、ストアでの販売は、無料で配られているソフトに対価を払う経路の1つとして機能しています。ここから分かるのは、「無料」がソフトの性質ではなく入手経路の性質だということです。ストアの検索結果だけを見て比較表を作ると、どこかの行の値段を必ず間違えます。

逆向きの形もあります。Commander Oneは本体が無料で、追加機能がPRO Packとして29.99米ドル(Mac1台)で売られ、15日間試せます。そのうえで開発元自身が、App Store版は自社サイトのPRO版と比べて制限があると案内しています。ここは読み飛ばさないほうがよい箇所です。同じ名前でも、ストア版と直接ダウンロード版は同じ製品ではありません。

入手経路 そこでの「無料」の意味 落とす前に見る点
開発元の公式サイト ライセンス上の無料。寄付で支えている場合がある 署名と公証を受けたビルドかどうか
Mac App Store 無料・有料・アプリ内課金つき無料のいずれか 直接版と比べて欠けている機能がないか
Homebrew Cask 開発元の配布物を包んだもの 上の2つのどちらを指しているのか

App Storeに並べる条件が、ファイル管理アプリの形を決める

App Storeでの配布には、ファイル管理アプリに強く効く条件が1つあります。macOSアプリをMac App Storeで配布するには、App Sandboxを有効にしなければならない、とAppleの開発者向け資料に明記されています。

サンドボックスの中のアプリは、自分の入れ物の外を最初は見られません。外に出るには、ビルド時に宣言した権限を使うか、利用者がシステムのダイアログでフォルダやファイルを選ぶ必要があります。多くの種類のアプリではこの制約が表に出ませんが、ディスク全体を歩き回るのが仕事のファイル管理アプリでは、設計の中心を左右します。

結果として現れる違いは、製品をまたいで共通しています。フォルダへのアクセスを何度も聞かれる。許可はパスではなく参照として保持されるため、フォルダを移動させると切れる。任意のコマンドを実行する機能は制限されるので、内蔵ターミナルはストア版には無いか、縮小された形になる。ほかのアプリのデータ領域には、専用の権限がない限り触れない。

同じ名前のアプリでストア版と直接版が違うのは、商売上の都合で機能を削っているからではありません。同じコードが、違う規則の下で動いているためです。

選ぶ側から見ると、判断はどちらが優れているかではなく、何を優先するかになります。ストア版は購入も再インストールもApple側の仕組みに乗るので、Macを買い替えたときの手間が小さく、支払いの記録も1か所にまとまります。直接版は、外部ボリュームやほかのアプリの領域まで踏み込む使い方に向いています。毎日の作業がプロジェクトのフォルダの中で完結するならストア版の制約はほとんど表に出ませんし、ディスク全体を横断するならストア版では物足りなくなります。

許可のダイアログが、見える範囲を決めている

サンドボックスの有無とは別に、現行のMacにはもう1つの層があります。特定のフォルダを守るプライバシーの仕組みです。アプリが「デスクトップ」「書類」「ダウンロード」や外部ボリュームを最初に覗こうとした瞬間、macOSが利用者に直接たずねます。ここで断ったり、作業中に何気なく閉じたりすると、そのアプリはディスクの一部しか見えない状態で動き続けます。

症状は特徴的で、しかも読み違えやすいものです。無料のファイル管理アプリが一見動いているのに、Finderでは中身が見えるフォルダが空に見える。コピーが権限のエラーで止まり、パーミッションをいくら直しても変わらない。ここで「無料アプリだから壊れている」と結論づけて、また別のアプリを探し始めるのが一番もったいない流れです。直す場所は「システム設定」の「プライバシーとセキュリティ」にある「ファイルとフォルダ」で、以前の返事はそこで取り消せます。

もっと広い権限が「フルディスクアクセス」です。これは与える前に一度考える価値があります。許可すると、そのアプリは利用者が読めるものをすべて読めるようになり、メールやメッセージの保存領域、バックアップまで含まれます。ディスク全体を索引したり比較したりする道具には妥当な取引ですが、プロジェクトのフォルダを2つ扱うだけの道具には割に合いません。判断の基準は、そのアプリが何もしていないときに何をしているのかです。

「開発元を確認できません」で止まったとき

3つ目の関門は、ここまでの話より前、初回起動の瞬間に来ます。

また、macOS Catalina以降では、デフォルトで、ノータリゼーション(公証)を受けることがソフトウェアに義務付けられました。そのおかげで、既知のマルウェアが含まれていないソフトウェアだけがMacで実行されるという安心感が生まれます。 出典: support.apple.com

デベロッパIDで署名され公証を受けたアプリは、確認を1回はさむだけで開きます。署名も公証もないアプリは、先に進む方法が書かれていない警告で止まります。

回り道は隠されているわけではなく、意図的に一手多くしてあります。一度開こうとしたあとで「システム設定」の「プライバシーとセキュリティ」を開くと「このまま開く」が現れ、そこで確認するとそのアプリだけが例外として記録されます。同じ画面には、そもそもどこからのアプリを許可するかの設定もあり、App Storeのみか、App Storeと確認済みの開発元か、を選べます。

無料のダウンロードについて考えるべきは、それが3つの状態のどれなのかです。公証済みの無料アプリは普通のインストールです。署名のない無料アプリは判断であり、正直に言えば、機械の検査を通していない相手を自分の責任で信用する、という判断になります。名前の知れたプロジェクトなら妥当ですが、まとめサイト経由で見つけたビルドでは話が変わります。

動かなくなる日は、アーキテクチャが決める

無料のソフトがmacOSで役目を終えるときの形は決まっていて、派手な壊れ方はしません。開発が緩み、止まり、それでも数年は動き続けます。最後に止めるのはバグではなく、アーキテクチャや土台の移行です。

確認は2つ、それぞれ1分で終わります。アプリの「情報を見る」か「システム情報」のアプリケーション一覧を開き、種類の欄を読みます。Intelと表示されていれば変換を通して動いているということで、最後にビルドし直された時期の目安になります。次に、最新版の日付を、紹介記事ではなく開発元のページで確かめます。現行のアーキテクチャが出るより前に作られたまま止まっているファイル管理アプリは、今日問題なく起動していても猶予の中にいます。

もう1つ、ディスクの深いところに触るアプリでは見ておく指標があります。インストール時に再起動や機能拡張の承認を求めるものは、通常のアプリの境界の外にある仕組みに依存しています。そこはmacOSの更新のたびに手入れが要る場所で、無料で配られているものほど、その負担に耐えきれずに止まりがちです。

どちらの確認も、良い悪いを判定するものではありません。止まるまでにどれくらいの猶予があるかを知るためのもので、無料のアプリが日々の作業を支えているときほど、そこが効いてきます。

すでに入っている無料の道具

新しく何かを落とす前に、手元のMacがシェルから何をできるのかを知っておく価値があります。ここに挙げるものは費用がかからず、追加の許可もほぼ要らず、提供が終わることもありません。

mdfindはSpotlightと同じ索引に問い合わせるコマンドで、-onlyinで探す範囲を1つのフォルダに絞り、-nameでファイル名だけを対象にし、-countで一覧の代わりに件数を返します。mdlsはファイルが持っているメタデータを全部並べるので、索引に何が入っているのかをそのまま確認できます。open -R はパスをFinderで開いて選択状態にします。qlmanage -p はクイックルックをコマンドから開きます。sftpはクライアントを入れずに転送を担当します。足りないものはHomebrewで足せます。

日本語を扱うときに1つだけ癖があります。Macのファイル名は、濁点や半濁点を別の文字として持つ形で保存されることがあり、見た目が同じでもコピーして貼り付けた文字列と一致しないことがあります。mdfindやgrepで日本語のファイル名が引っかからないときは、条件の書き方ではなくこの違いが原因のことがあるので、名前の一部だけを短く指定して試すと切り分けが早く済みます。

効きが変わるのは組み合わせ方です。検索の結果をopen -R に渡せば、打ち直さずに窓へ持っていけます。よく使う条件をシェルの関数にしておけば、説明に一文かかる検索が単語1つになります。どちらもソフトを増やさないという意味で、最も厳密な無料です。

正直に言えば、これはファイル管理アプリではありません。探す・開く・見る・送るという部品の集まりで、どの窓を使っていても隣に置けます。「Finderの検索が思うように効かない」が本当の不満なら、この4つのコマンドを覚えるほうが、2つ目の窓を増やすより解決する範囲は広くなります。

値段より先に決まってしまうこと

比較していくと、どこかで値段の話ではなくなります。ここまでに出た無料のものも有料のものも、形は同じだからです。ファイルを見る窓があり、コマンドを打つ別のターミナルがあり、中身についてAIに聞くさらに別の場所がある。時間はその3つの間でパスを運ぶことに使われていて、無料のアプリ同士を選び直しても、占めている位置が同じである限り変わりません。

別の形は、フォルダとシェルと相談相手を1つの窓の裏に置くことです。運ぶ手間そのものを減らす方向で、運び手の値段を下げる方向ではありません。項目ごとの違いは他のファイル管理との比較に並べてあり、窓を1つにまとめた場合に何ができるのかはできることにまとめてあります。先に金額を知りたい場合は料金を見てください。

いま入っているアプリについて確かめる点は3つです。App Storeと開発元のどちらから来たビルドか。必要なフォルダの許可を持っているか。情報を見るの種類の欄が、現行のアーキテクチャで動いていることを示しているか。無料のファイル管理アプリへの不満は、この3つでかなりの部分が説明できます。3つとも問題なくて、それでも作業が重いなら、原因は値段ではなく窓の数のほうです。

よくある質問

同じアプリなのに、公式サイトでは無料でApp Storeでは有料なのはなぜですか?

「無料」がライセンスの話で、配布経路ごとの値段の話ではないためです。オープンソースのアプリは、開発元が無料で配りながら、ストアに有料で並べることが認められています。Cyberduckは日本のストアで4,000円ですが、公式サイトからのダウンロードは無料です。中身のコードは同じものです。

無料アプリでフォルダの中身が空に見えます。壊れているのですか?

ほとんどの場合は不具合ではなく、プライバシーの許可を断った結果です。macOSは「デスクトップ」「書類」「ダウンロード」や外部ボリュームを最初に読むときに確認を出し、断った返事はそのまま残ります。「システム設定」の「プライバシーとセキュリティ」にある「ファイルとフォルダ」から取り消せます。

App Store版と公式サイト版は同じものですか?

同じとは限りません。App Storeでの配布にはApp Sandboxが必要で、利用者が明示的に選ばない限りアプリが触れる範囲が制限されます。そのためストア版はフォルダの許可を頻繁に求め、コマンドを実行する種類の機能が制限されがちです。開発元が自社サイトで違いを明記している場合もあるので、入れる前に読んでおくと確実です。

公証を受けていない無料アプリを開くのは危険ですか?

Appleが公証済みソフトに対して行う自動検査を通っていない状態なので、通常の裏づけがありません。macOSは「プライバシーとセキュリティ」の「このまま開く」で通す道を残していて、確認するとそのアプリが例外として記録されます。つまり開発元を自分の判断で信用することになります。素性の知れたプロジェクトなら妥当ですが、配布元がはっきりしないビルドでは避けたほうが無難です。

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