ファイル名の一括変更の手順|着手前に決める4つと、当てる順番

ファイル名の一括変更は、操作そのものは数クリックで終わります。それなのに着手してから終わるまでに時間がかかるのは、手を動かす前に決めておくべきことが決まっていないまま、画面を開いてしまうためです。実行の画面に入ってから名前を考え始めると、対象の選び直しと規則の作り直しが交互に発生します。ここでは、最初に決める4つと、それを当てていく順番を整理します。順番を守ると、やり直しはほぼ起きません。

崩れるのは操作ではなく段取りで、原因は先に名前を考えること

作業が長引くとき、起きていることはだいたい同じです。フォルダを開き、ファイルを全部選び、名称変更の画面を出し、そこで初めて「そういえばこのファイルは対象外だった」と気づく。選択をやり直し、また画面を出し、今度は「日付は先頭と末尾のどちらに置くか」で止まる。この往復が続きます。

正しい順番は、対象を確定してから名前を考える形です。対象が決まっていない状態で名前の型だけを作ると、その型が全部のファイルに当てはまるのかを判断できません。逆に、対象が42件と確定していれば、その42件の現在の名前を見ながら型を作れます。段取りは次の4段階です。

段階 やること 終わったと言える条件
対象の確定 変えるものを1箇所に集めて数える 件数が数字で言える
型づくり 変更後の名前の書式を決める 1行の文字列として書ける
試行 少数に当てて結果を見る 変更後の名前を目で確認した
展開 残りに広げて突き合わせる 実行前後の件数が一致した

この4段階のうち、飛ばされやすいのは3番目です。時間の節約になるように見えますが、失敗したときの復旧に入る時間のほうが長くなります。件数が50件を下回る作業でも順番は変わりません。少ないほど試行の手間が小さいので、飛ばす理由がなくなります。

段階ごとに終わりの条件を数字で決めておくのは、途中で判断がぶれないようにするためです。「だいたい集まった」「たぶん合っている」で次に進むと、最後の突き合わせで食い違いが出たときに、どの段階に戻ればよいのかが分からなくなります。件数と型の1行が手元にあれば、戻る先が一意に決まります。

段階1では、対象を作業用のフォルダに集めてから数える

最初にやることは、名前を変える対象を1箇所に集めることです。元の場所で選択したまま実行すると、隣にある関係のないファイルを巻き込む余地が残ります。対象だけが入っているフォルダを作れば、選択の誤りという失敗の種類そのものが消えます。

集め方は対象の性質で決まります。

  • 場所で決まるもの(特定のフォルダの中身)は、そのフォルダを丸ごと複製する
  • 種類で決まるもの(.pngだけ、.pdfだけ)は、Finderの検索で種類を指定し、結果を新しいフォルダにコピーする
  • 期間で決まるもの(8月に作ったもの)は、検索条件に作成日を足してから同じようにコピーする
  • 中身で決まるもの(請求書と書いてあるもの)は、本文の検索で絞ってからコピーする

集め終えたら件数を確認します。Finderのウインドウ下部に項目数が出ます。この数字を控えておくと、最後の突き合わせに使えます。控えずに進めると、途中で何件かが消えていても気づけません。

集める際は、移動ではなくコピーを使ってください。元の場所に原本が残っていれば、規則を当て直したくなったときに最初からやり直せます。ディスクの空きが厳しい場合を除けば、複製の手間は10秒程度です。

集める前に、名前を他から参照されているものを外す

対象を集める作業には、集めないものを決める工程が含まれます。ファイル名は、そのファイル単体の属性ではなく、他の場所から呼び出される住所として使われていることがあります。名前を変えた瞬間に、呼び出し側が行方不明になります。

外すべき対象は、種類で見分けられます。

  • Webページやスライドから参照されている画像。相対パスで呼ばれていると、名前を変えた時点で表示が欠けます
  • 動画や音声の編集データが読み込んでいる素材。編集アプリの側は名前で素材を探すため、次に開いたときに再リンクを求められます
  • プログラムのソースが読み込んでいるファイル。読み込みの記述は自動では追随しません
  • システムに付属する項目と、ホームフォルダ。Appleのユーザガイドも、これらの名前は変更しないよう明記しています

判断に迷うものは、いったん対象から外して別のフォルダに置いてください。名前を変えないまま残っていても困りませんが、参照が切れた状態を後から見つけて直す作業は、元の一括変更より重くなります。

アプリのパッケージやフォルダごと名前を変える場合も同じです。中身を参照している設定ファイルがあると、フォルダ名の変更だけで動かなくなることがあります。対象をファイルに限定し、フォルダの名前は別の作業として扱うと、切り分けが楽になります。

段階2では、変更後の名前を1行の型として書き出す

対象がそろったら、変更後の名前を文章ではなく型として書きます。頭の中で決めた状態のまま実行に入ると、途中で判断がぶれます。テキストエディタに1行書くだけで十分です。

たとえば次のような形です。

  • 20260911_kanda_見積_v2.pdf
  • 20260911_kanda_議事録.md

この1行を書く作業の中で、決めなければならないことが自然に4つ出てきます。日付の位置と桁、識別子に使う文字、内容を表す語、区切り文字です。どれも後から変えると全件の作り直しになるため、ここで決め切ります。

区切り文字は、アンダースコアかハイフンのどちらかに統一してください。混在していると、あとで名前の一部を狙って置き換えるときに位置を掴めなくなります。日付は区切り記号を入れない8桁にしておくと、名前順に並べただけで時系列になります。

識別子は、正式な社名や案件名をそのまま使わないほうが扱いやすくなります。長い名前は表示で切れますし、社名が変わったときに全件を作り直すことになります。4文字から8文字程度の短い記号を決めて、対応表を1枚作っておく形が現実的です。

型が書けたら、現在の名前と並べて見比べます。現在の名前に残っている情報のうち、型に入らないものが出てきたら、その情報は捨ててよいのかを判断します。ここで「捨てたくない」と思ったものがあれば、型に枠を足すか、そのファイルを対象から外します。

段階3では、少数に当てて変更後の名前を目で見る

型が決まったら、いきなり全件に当てません。作業用フォルダの中から20件ほどを選び、そこにだけ実行します。Macの標準機能では、選択した項目をControlキーを押しながらクリックし、ショートカットメニューから名称変更を選ぶと、置き換え、追加、書式の作り直しのいずれかを選ぶ画面が出ます。

この段階で確かめるのは3つです。

  • 拡張子が残っているか。置き換える文字列に点が含まれていると、拡張子まで巻き込まれることがあります
  • 同じ名前になったファイルがないか。型の要素が足りないと、別のファイルが同じ名前に着地します
  • 意図した順序で番号が振られているか。番号は、実行した時点でウインドウに表示されている並び順に従います

確認は名前の一覧を見るだけでは足りません。2件3件を実際に開いて、中身が名前どおりかを見てください。名前だけを見ていると、対象の絞り込みを間違えて別の案件のファイルが混ざっていても気づけません。

問題が見つかったら、型に戻って直します。この段階での手戻りは20件分で済みます。

段階4では、残りに広げてから件数を突き合わせる

試行で問題がなければ、残りに同じ規則を当てます。実行が終わったら、段階1で控えた件数と、いまフォルダに入っている件数を比べます。

数が減っていた場合、同じ名前になったファイルが上書きされた可能性があります。この場合は作業用フォルダを捨てて、原本から作り直してください。型の要素が足りていないので、通し番号か時刻を足す必要があります。

数が合っていれば、名前順に並べ替えて全体を眺めます。時系列に並んでいるか、想定していない位置に来ているファイルがないかを見ます。ここまで終えてから、作業用フォルダの中身を本来の置き場所へ移します。原本は、しばらく置いておいてから捨てるほうが安全です。

標準機能で届かない場合に、何を足すか

条件が複雑になると、選択だけでは対象を絞れなくなります。「名前の中の日付部分だけを別の書式に直す」「フォルダごとに違う識別子を付ける」といった要求は、選択したもの全部に同じ規則を当てる仕組みでは表現できません。

このとき足す選択肢は2つあります。1つは、Macに標準で入っている自動化の道具です。Appleはその位置づけを次のように説明しています。

Automatorでは、自動化を設定するのに複雑なプログラミング言語やスクリプト言語の知識は必要ありません。カスタムワークフローを作成して、Macに作業をしてもらうことができます。 出典: support.apple.com

同じページには、作ったワークフローをショートカットアプリに読み込めることも書かれています。決まった処理を繰り返し使う予定があるなら、この経路で残しておくと次回の段取りが短くなります。

もう1つはターミナルです。条件が入れ子になる場合、コマンドで一覧を作ってから変換する形のほうが速く済みます。ただし、この経路には取り消しの機能がありません。実行の前に、変更前と変更後を並べた一覧を出力して目で見る工程を必ず挟んでください。作業用フォルダの複製に対して実行していれば、失敗しても複製を捨てるだけで終わります。

どちらを足すかは、同じ作業を今後も繰り返すかどうかで決まります。1回きりなら手順書を作る手間のほうが大きく、月に何度も起きるなら仕組みにする価値があります。

決めた規則を、次回も使える場所に置く

一括変更が毎回つらいのは、前回決めた型を覚えていないためです。同じ判断を毎回やり直しているので、毎回同じだけ時間がかかります。

段階2で書いた1行を、対象のフォルダの中にテキストとして残してください。識別子の対応表も同じ場所に置きます。この2つがあれば、次にファイルが溜まったときは段階1と段階3だけで終わります。

さらに進めるなら、名前を付ける機会を保存の瞬間に移す方法があります。書き出すときに型どおりの名前を付けておけば、一括変更そのものが不要になります。一括変更は、過去に溜まった分を畳むための作業であって、これから増える分に対する解ではありません。

実行と確認を同じ画面で終わらせる

この手順で時間を食うのは、実行そのものではなく、段階3と段階4の確認です。一覧を見る窓、コマンドを打つ窓、変更案を作らせる窓が分かれていると、確認のたびに窓の切り替えが入ります。2回の切り替えが、対象を絞り直すたびに繰り返されます。

フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある状態なら、一覧を見ながら条件を絞り、その場で変更案を作り、結果を同じ画面で確かめる流れになります。ファイル管理アプリ側でどこまで担えるのかはできることに整理されています。他の道具と比べたうえで決めたい場合は他のファイル管理との比較を、費用の目安は料金を見てください。判断に迷う点はよくある質問にまとまっています。

次に変えるべきことは1つに絞れます。まだ型を1行で書き出していないのであれば、それを先に書いてください。対象の絞り込みも試行も、型が決まっていなければ始まりません。

よくある質問

ファイル名の一括変更は、何から手を付ければよいですか?

対象を1箇所に集めて件数を数えるところからです。名前をどうするかを先に考えると、その型が全部に当てはまるのかを判断できず、選択と規則の作り直しが交互に発生します。対象が確定していれば、現在の名前を見ながら型を作れるため、判断が一度で済みます。

試行はどのくらいの件数でやればよいですか?

20件程度が目安です。この数なら、変更後の名前を一覧で全部目視でき、問題が見つかったときの手戻りもその範囲に収まります。名前の一覧を見るだけでなく、2件か3件を実際に開いて中身が名前どおりかも確かめてください。対象の絞り込みの誤りは、名前だけ見ていても分かりません。

実行後に件数が減っていました。どうすればよいですか?

同じ名前になったファイルが上書きされた可能性が高いです。作業用フォルダの中身は捨てて、残してある原本から作り直してください。原因は型の要素が足りないことなので、通し番号か時刻を足してから当て直します。原本をコピーで作っておくと、この復旧が数十秒で終わります。

毎月同じ作業が発生します。手順を短くできますか?

決めた名前の型と識別子の対応表を、対象のフォルダにテキストで残しておくと、次回は対象を集める作業と試行だけで済みます。繰り返す頻度が高いなら、Macに標準で入っている自動化の道具でワークフローにして、ショートカットとして呼び出せる形にしておく方法もあります。

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