Commander Oneがうまくいかないとき|確かめる順番
Commander Oneが思ったとおりに動かないとき、多くの人が最初に再インストールを試します。ところが公開されている解説を読むと、報告の多い症状のほとんどはアプリ側の欠陥ではなく、macOSの権限、入れた版の違い、つないだ機器側の設定、認証の4つのどれかに原因があります。この記事では、その4つを見る順番と、それぞれで何を確かめるかを整理します。順番を守ると、原因の切り分けは数分で終わります。
最初に確かめるのは権限。macOS 10.15から仕様が変わった
外付けドライブが見えない、ネットワークドライブが出てこない、一部のフォルダを開くとエラーになる。この系統は、ほぼすべてがフルディスクアクセスの未設定です。
macOS 10.15以降、Appleは他社製アプリからのファイルアクセスを段階的に絞り込みました。ファイル管理アプリは仕事の性質上、ユーザーのあらゆる場所を読む必要があるため、この制限に真正面から当たります。開発元の案内でも、正しく動かせるための手段はフルディスクアクセスの付与であると明記されています。
Starting from macOS 10.15 Apple has tightened security measures and introduced restrictions on third-party apps. So if you want Commander One to do its job properly and you do not want to face incorrect work of the app, giving "Full Disk Access" permission is the right way to solve this issue. 出典: help.electronic.us
設定はシステム設定のプライバシーとセキュリティからフルディスクアクセスを開き、アプリケーションフォルダから対象のアプリをドラッグして追加します。macOS 13より古い場合は、左下の鍵のアイコンを押してシステムのパスワードを入れないと一覧を変更できません。アプリ側から権限の要求画面を出す経路も用意されています。
ここで注意する点が1つあります。権限を与えた後は、アプリを起動し直さないと反映されないことがあります。設定した直後に一覧が変わらなくても、それだけで失敗と判断しないでください。
次に見るのは、入れた版が何か
「機能が見当たらない」「メニューに項目が無い」という系統は、不具合ではなく版の違いです。ここを飛ばすと原因を延々と探すことになります。
Mac App Storeから入れた版では、Appleのサンドボックスの制約により、次の7つが動きません。コマンドライン、ターミナルエミュレータ、プロセスの終了、iOS機器のマウント、管理者権限での再起動、F1からF12のシステム設定の上書き、ローカルドライブの取り出しです。開発元自身が、Mac App Store版と公式サイト版は機能の集合が異なる別製品であると書いています。
もう1つの版の違いは、無料版とPRO Packです。FTPやSFTP、Amazon S3、Dropbox、Google Drive、OneDriveといった接続と、MTP機器とiOS機器のマウント、そして内蔵ターミナルはPRO Pack側の機能です。無料のまま使っていて接続先が追加できない場合、これは不具合ではありません。どちらの版を入れたかが分からなくなっている場合の確認方法はできることの分類が参考になります。
3番目は機器側。Androidとカメラがつながらないとき
MTP機器が一覧に出てこない症状は、原因が機器側かMac側の別アプリにあることがほとんどです。確かめる項目が多いので、上から順に潰します。
- 使っているUSBケーブルがデータ転送に対応しているか。充電専用のケーブルでは認識されない
- アプリの環境設定の拡張機能の欄で、MTP Devicesが有効になっているか
- Macにつないだ後に、端末側でMTPを有効にしたか
- 端末の開発者向けオプションで、USBデバッグが有効になっているか。Android 7を載せたSamsungの端末では必須と案内されている
- MTPを使う他のアプリがMacに入っていないか。Android File Transfer、Samsung Kies、Samsung Smart Switchなどが該当する
- 写真アプリ、iPhoto、イメージキャプチャが起動していないか。接続時に自動で立ち上がる設定であれば解除する
- Google Backup and Sync(旧称Google Drive)が入っている場合、USB機器を扱う設定を切る
MTPを使う他のアプリが常駐していると、プロトコルの性質上、先に掴んだ側が機器を占有します。Commander Oneはそうしたアプリを見つけると通知を出します。Samsung Smart Switchを消す場合は、配布されているインストーラを入れ直してUninstall.appを実行し、Macを再起動する手順が案内されています。
もう1つ知っておくとよい挙動があります。MTP機器へのコピーを途中で中止すると、その機器はそのままでは扱えなくなります。この場合は、USBケーブルを物理的につなぎ直す必要があります。アプリの再起動では戻りません。
4番目はキーの割り当て。F1からF12が効かないとき
2画面のファイル管理アプリは、コピーや移動をF5やF6に割り当てる伝統的な作りをしています。ところがMacでは、これらのキーは既定で画面の明るさや音量に割り当てられています。ここが噛み合わないと、アプリのキー操作が一切効かないように見えます。
手順は2段です。まずアプリ側で「F1からF12のシステム設定を無視する」を有効にし、アプリを起動し直します。これを有効にすると警告が出るので、システム設定を開くボタンからプライバシーとセキュリティのアクセシビリティに進み、一覧の中の対象アプリに許可を与えます。macOS 13より古い場合は、ここでも鍵のアイコンを押してパスワードが必要です。
以前は動いていたのに急に効かなくなった場合は、順番が変わります。アクセシビリティの一覧から対象アプリをマイナスのボタンでいったん削除し、アプリを起動し直してから、上の手順をやり直します。権限の登録が壊れている状態を消してから作り直す形です。これはmacOSの更新後に起きやすい症状です。
なお、Mac App Store版ではこの「F1からF12のシステム設定を無視する」自体が存在しません。上の手順を探しても見つからない場合、原因は不具合ではなく版の違いです。
管理者権限での再起動が途中で止まるとき
管理者権限でアプリを再起動する機能が、正しく動かない場合があります。開発元も既知の問題として扱っていて、回避策が3段で案内されています。
1段目は、同じ操作をもう一度行うことです。アプリが終了したまま起動し直さない場合、この操作を繰り返すと立ち上がることがあります。2段目はMacの再起動です。3段目は、ターミナルから直接起動する方法です。標準のターミナルを開き、sudoを付けてアプリケーションフォルダ内の実行ファイルを指定し、管理者のパスワードを入力します。
この機能を日常的に使っている場合は、そもそも本当に必要かを一度見直すと手間が減ります。管理者権限が要る操作は年に数回で、そのたびにターミナルで1行打つほうが速い場面もあります。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある作りであれば、この切り替え自体が発生しません。
最後に認証。接続が無いMacで起きること
有料版を使っていて、突然機能が無効になる、認証を求められるという症状があります。これは認証の仕組みによるものです。
有効化にはインターネット接続が必要で、その後もライセンスの確認のために背景で再認証が走ります。社内でインターネットに出られないMacや、長期間オフラインで使っているMacでは、ここで止まります。この場合はオフラインの手順が用意されています。アプリから認証情報のファイルを書き出し、それを別のインターネットにつながるMacへ持って行き、開発元の認証ページに読み込ませて、返ってきたファイルを元のMacで取り込みます。この手順の中で使うアドレスには旧社名のドメインが残っているため、案内の画面に出るアドレスをそのまま使います。
無料版も背景で認証を行いますが、こちらは認証コードの入力が不要で、統計のためだけに行われると説明されています。無料版を使っていて認証コードを求められた場合は、状況が想定と違うことになるので、版の確認に戻ります。
動きが重い、途中で固まるとき
権限でも版でもなく、単に遅いという症状は、原因の置き場所が違います。ここは版の履歴を見ると当たりが付きます。
直近で修正が入っているのは3か所です。1つ目は、macOS 26でドラッグ操作の後に動作が遅くなり固まる症状で、3.17で修正されています。同じ版ではクイックルックによる表示の不具合も直っています。2つ目は、ファイル数の多いフォルダを開いたときの速度で、3.11で改善されました。3つ目はRARの展開時のメモリ使用量で、3.16で改善されています。
つまり、重いと感じている内容が上の3つのどれかに当てはまるなら、設定を触る前に版を上げるのが先です。使っているのがMac App Store版の場合、審査を挟むぶん公式サイト版より公開が数日から数週間遅れることがあるため、サイト側の履歴で修正済みでも手元にまだ届いていない場合があります。
最新版でも変わらない場合は、切り分けの対象を2つに絞ります。片方のパネルに開いているフォルダの中身の数と、常時つないでいるリモート接続の数です。どちらも、一覧を作り直すたびに負荷が掛かる部分です。接続を1つずつ切って様子を見ると、どの経路が重さを生んでいるかが分かります。
症状から原因層を引く
ここまでを1つの表にまとめます。再インストールを試す前に、この表で層を特定します。
| 症状 | 見る層 | 最初に確かめること |
|---|---|---|
| 外付けやネットワークのドライブが見えない | 権限 | フルディスクアクセスの一覧に入っているか |
| メニューに機能が無い | 版 | Mac App Store版か、無料版のままか |
| Androidやカメラが出てこない | 機器 | ケーブル、拡張機能の有効化、他の転送アプリの常駐 |
| コピー中止後に機器を扱えない | 機器 | ケーブルをつなぎ直したか |
| F1からF12が効かない | 権限と版 | アクセシビリティの登録を作り直したか |
| 管理者権限での再起動が止まる | 既知の問題 | 再実行、Macの再起動、ターミナルからの起動 |
| 機能が急に無効になる | 認証 | インターネット接続と、オフライン認証の手順 |
| 動きが重い、固まる | 版 | 最新版か、フォルダの件数と接続の数 |
この表で層が決まれば、あとはその層の中だけを見ればよく、アプリの再インストールは最後まで出番がありません。実際、アンインストールの手順として案内されているのはアプリケーションフォルダからゴミ箱へ移してゴミ箱を空にするだけで、設定を作り直す効果は限定的です。
版の履歴を見ると、修正の傾向も分かります。ここ1年ではmacOS 26への対応が進み、ドラッグ操作の後に固まる症状やクイックルックでの表示、SFTPサーバへのアップロード時の不具合が順に直されています。症状が最新版でも続くかどうかは、更新してから判断すると切り分けが1つ減ります。道具ごとの前提の違いは他のファイル管理との比較に、料金の形は料金に、離席中の作業の続け方はiPhone・iPadから続きをにまとめてあります。表示言語の切り替えで表記が変わる箇所は対応言語を、その他の疑問はよくある質問を参照してください。
よくある質問
外付けドライブやネットワークドライブが見えないのはなぜですか?
フルディスクアクセスが与えられていない場合がほとんどです。macOS 10.15以降、他社製アプリからのファイルアクセスに制限が入ったためで、システム設定のプライバシーとセキュリティからフルディスクアクセスを開き、対象のアプリを追加します。設定後はアプリを起動し直してから確認してください。
メニューにターミナルやプロセスの終了が見当たりません。不具合ですか?
不具合ではなく、入れた版の違いです。Mac App Store版はAppleのサンドボックスの制約で、コマンドライン、ターミナルエミュレータ、プロセスの終了、iOS機器のマウント、管理者権限での再起動、F1からF12の上書き、ローカルドライブの取り出しの7つが使えません。無料版のままの場合は、これらがPRO Pack側にあるためです。
AndroidのスマートフォンがMTPで認識されません。何を見ればよいですか?
上から順に、ケーブルがデータ転送対応か、環境設定の拡張機能でMTP Devicesが有効か、端末側でMTPと開発者向けオプションのUSBデバッグが有効か、Android File TransferやSamsung Smart Switchなど同じプロトコルを使うアプリが常駐していないか、写真アプリやイメージキャプチャが自動起動していないかを確かめます。
コピーを途中で止めたら、その機器を扱えなくなりました。
MTPの仕様上、転送を中止した後は、その機器を続けて扱えなくなることが案内されています。アプリを再起動しても戻りません。USBケーブルを物理的に抜き差ししてつなぎ直すのが復旧の手順です。転送中の中止は避け、必要なら転送の対象を分けて実行してください。