Commander Oneの代わりになるもの|手放してよい機能

Commander Oneの代わりを探し始めると、候補が十数本出てきて、どれも「2画面でFinderより速い」と書いてあります。それを1本ずつ試すと1週間が消えます。代わりを選ぶ作業が長引く理由は、候補が多いからではなく、いま何の代わりを探しているのかが自分でも分かれていないからです。この記事では、1本のアプリに詰め込まれている仕事を6つに分けて、そのうちどれを手放してよいのかを決める順番を示します。

2画面のファイル管理アプリは、6つの仕事を1本に詰めている

Commander Oneを日常的に開いている人でも、使っている機能は全体の一部です。公式の説明を読むと、このアプリが引き受けている仕事は次の6つに分かれます。

  • 2画面でのコピーと移動、名前の付け替え
  • ZIPやRARなどの書庫の中をフォルダのように歩く
  • FTPやSFTP、クラウドの保管庫をドライブとして扱う
  • AndroidやカメラなどのMTP機器、iOS機器の中身を開く
  • 動いているプロセスを一覧して終了させる
  • 窓の中でシェルのコマンドを打つ

この6つのうち、無料のまま使えるのは上の2つ(2画面とZIP、ローカルとネットワークのドライブ)までです。残りはPRO Packと呼ばれる有料側に置かれています。

Commander One PRO Pack supports Media Transfer Protocol (MTP) for working with external MTP devices (/media folder). It also allows browsing iOS device's contents (the Document directory) to edit/remove/compress files and transfer data between iOS device and Mac. 出典: help.electronic.us

つまり「Commander Oneの代わり」と言ったとき、無料のまま2画面だけを使ってきた人と、PRO Packを買ってMTP機器を毎日つないでいる人とでは、探しているものがまったく違います。候補の多さに疲れる前に、自分がどちらなのかを決めるほうが早く終わります。

主な候補の買い方と金額を並べる

金額の形が候補ごとに違うので、先に並べておきます。買い切りか、更新の年数が付いた買い切りか、月額かで、比べ方が変わるためです。

アプリ 買い方 金額 試用
Commander One PRO Pack 買い切り 1台29.99ドル / 5台99.99ドル 15日
ForkLift 4 買い切り(更新1年込み) 個人19.95ドル / 家族29.95ドル / 5台69.95ドル 無料試用あり
Transmit 5 買い切り 45ドル 7日
Path Finder 定期購入またはライセンスキー 公開ページに金額の記載なし 30日
Marta 無料(支援は任意) 0円 制限なし
muCommander 無料・オープンソース 0円 制限なし
Setapp経由 月額 会員は月14.99ドルから、単体は月7.99ドルから 7日

Commander OneのPRO Packは29.99ドルの買い切りで、定期購入ではありません。5台まで使えるチームライセンスが99.99ドル、50台を超える規模は個別見積もりになります。ForkLift 4は更新の年数で値段が分かれていて、更新1年込みが19.95ドル、2年込みが34.95ドルです。Setapp経由という道もあり、こちらは会員をやめた時点で使えなくなる代わりに、月7.99ドルからの単体購読も選べます。料金の形が道具ごとにどう違うかは料金にも整理してあります。

2画面のコピーだけが目当てなら、候補は一気に増える

上の6つのうち最初の1つだけが目的なら、選択肢は多く、しかも無料のものが実用に耐えます。

ForkLift 4は2画面に加えて、左右のフォルダを比べて片方向または双方向で揃える同期機能を持ちます。gitの状態をファイル一覧の中に表示し、追加やコミット、プッシュまで窓の中で行えます。表示言語は日本語を含む12言語です。iCloud経由でお気に入りを複数のMacの間で同期する仕組みもあります。

Martaは全体がSwiftで書かれたアプリで、ZIPの読み書きに加えてRAR、7Z、XAR、TAR、ISO、CAB、LZHなどを開けます。入れ子になった書庫の中まで辿れる点が特徴で、Luaで書く拡張の仕組みも公開されています。作者が公開している範囲では、収集するデータはないと明記されています。

muCommanderはオープンソースで、macOSのほかWindowsやLinuxでも同じものが動きます。最新版は1.6.2で、公開は2026年5月14日です。FTP、SFTP、SMB、NFS、HTTP、Amazon S3、Hadoop HDFS、Bonjourに対応していて、リモート接続の幅だけで見ると有料アプリに並びます。Javaの実行環境を同梱しているぶん、配布物の大きさは170MB台になります。

手放しにくいのは、端末の接続と書庫の書き込み

逆に、代わりが見つかりにくい仕事もあります。2つあります。

1つはMTP機器の接続です。AndroidのスマートフォンやデジタルカメラをUSBでつないだとき、macOSは素のままではその中身を扱えません。Googleが配っていたAndroid File Transferのような専用アプリを別に入れるのが一般的な手順で、ファイル管理アプリの片方のパネルに端末を出せるものは限られます。Commander OneはこれをPRO Pack側で引き受けています。撮影や録音のデータを毎回取り出して整理している人にとっては、ここが乗り換えの障害になります。

もう1つは書庫への書き込みです。開くだけなら無料のアプリで足りますが、書庫の中に直接フォルダを作る、書庫から書庫へファイルを移す、書庫の中のファイルだけを消す、といった操作まで求めると候補が減ります。Commander Oneの場合、ZIPは無料の側で読み書きでき、7ZIPやTGZ、tar.bz2、tar.xzはPRO Pack側です。RARとISOは開くほうだけがPRO Pack側に置かれています。

一方、プロセスの一覧と終了は、macOSに最初から入っているアクティビティモニタで同じことができます。ここは手放してよい部類です。

窓の中でコマンドを打つ仕事は、外部ターミナルを開くのとは別物

比較記事でいちばん混同されるのがこの項目です。同じ「ターミナル」という言葉が、2つの違う機能に使われています。

Commander Oneの内蔵ターミナルは、窓の下側にあるコマンド行にそのまま打ち込む形で、Ctrl+Oで本体を呼び出します。PRO Packでのみ使えます。ただしコマンドが効くのはローカルだけで、FTPサーバ側では実行されません。この制約は公式の解説に明記されています。

ForkLift 4にあるのは「Open in Terminal」で、こちらは現在のパスを渡して外部のターミナルアプリを開く機能です。Terminal、iTerm、Hyper、Kitty、Warp、Ghosttyのいずれかを指定できます。窓が2つに増えることは変わりません。Martaは内蔵のターミナルを持ち、パネル側のディレクトリとターミナル側のカレントディレクトリを双方向で同期します。

つまり「ターミナルが使える」という一行だけでは、窓が増えるのか減るのかが判別できません。乗り換え候補を比べるときは、この行を必ず開いて確かめる必要があります。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある状態を求めているのか、それともパスを渡して外部アプリを開ければ充分なのかで、選ぶものが変わります。この観点を含めた機能の一覧はできることにまとめてあります。

リモート接続は、サービス名ではなくプロトコルで見る

クラウドや社内サーバにつなぐ用途で乗り換えを考えている場合、対応サービスの名前を並べた一覧を見比べても判断できません。実際には、使えるかどうかを決めているのはプロトコルだからです。

Commander Oneの解説には、一覧に名前が出ていないサービスをどの接続方式でつなぐかの対応表が公開されています。NextCloudとownCloudはWebDAV、ShareFileやLive Drive、WD My CloudはFTP、WasabiやDigitalOcean Spaces、MinIO、Ceph、Google Cloud StorageはAmazon S3互換の設定でつなぐ、という形です。つまり「対応サービス一覧にうちの保管庫が載っていない」ことと「つなげない」ことは別です。

この見方に切り替えると、乗り換え先の評価も変わります。muCommanderはFTP、SFTP、SMB、NFS、HTTP、Amazon S3、Hadoop HDFSに対応しているので、S3互換の保管庫はそのまま届きます。ForkLift 4はSFTP、FTP、WebDAV、Amazon S3、Backblaze B2、Google Drive、OneDrive、Dropbox、SMB、AFP、NFSに対応し、複数のサーバに同時につないでサーバ間でドラッグして移せます。Transmit 5は転送に特化した作りで、価格は45ドル、試用は7日、動作にはmacOS 13.0以降が必要です。

なお、macOS標準のFinderにも「サーバへ接続」があり、FTPでつなぐこと自体はできます。ただしCommander Oneの製品ページ自身が、この方法は閲覧のみで書き込みができないと明記しています。無料で済ませたい場合、Finderで足りるのは見るだけの用途に限られます。

手放す機能から決めると、候補は2本に絞れる

代わりを探すときの順番を逆にします。「何ができるアプリを探すか」ではなく「何を手放すか」から決めます。

まず、直近の1週間で自分が実際に行った操作を6つの仕事に振り分けます。振り分けた結果、上の4つ目(MTP機器とiOS機器)と6つ目(窓の中のコマンド)に印が付かなければ、無料のアプリで足ります。4つ目だけに印が付くなら、専用の転送アプリを1本足すほうが安く済む場合があります。6つ目に印が付いた人だけが、有料のファイル管理アプリを比べる意味があります。

次に、印が付いた仕事について、いま何回窓を切り替えているかを数えます。ファイルの窓からターミナルの窓へパスを渡した回数、端末をつないでから目的のフォルダに辿り着くまでのクリック数です。この2つの数字が出れば、候補は自然に2本程度に絞れます。金額の差は年に数十ドルですが、切り替えの回数は1日あたりで効いてきます。

最後に、乗り換えの判断を鈍らせる要素を1つ外しておきます。使い慣れたキー操作です。2画面のファイル管理アプリはどれもキーボード中心の設計で、コピーや移動、名前の付け替えに割り当てられたキーが製品ごとに違います。乗り換え直後の1週間は、どのアプリに移っても遅くなります。ここで「やはり元のほうが速かった」と判断すると、6つの仕事の振り分けをやり直すことになります。速さを比べるのは、キー割り当てを自分の手に合わせ終えてからにします。ForkLift 4もMartaも、操作へのキー割り当てを自分で変えられる仕組みを持っています。

複数のファイル管理アプリを同じ軸で並べた表は他のファイル管理との比較に置いてあります。手元のMacを離れている間に続きを進めたい場合の考え方はiPhone・iPadから続きをに、表示言語の対応状況は対応言語にまとめました。乗り換えの前に出てくる細かい疑問はよくある質問にも並べてあります。

よくある質問

Commander Oneをやめると、どの機能が真っ先に困りますか?

MTP機器とiOS機器の接続です。AndroidのスマートフォンやカメラをUSBでつないだとき、macOSは素のままでは中身を扱えないため、別の転送アプリが必要になります。逆にプロセスの一覧と終了は、macOS標準のアクティビティモニタでそのまま代替できます。

無料で使える2画面のファイル管理アプリはありますか?

あります。Martaは無料で、ZIPの読み書きとRARや7Zなどの展開に対応し、内蔵ターミナルも持ちます。muCommanderはオープンソースで、FTPやSFTP、SMB、Amazon S3などのリモート接続に対応します。どちらもmacOS向けの配布物が公式サイトに置かれています。

ForkLiftとCommander Oneでは、料金の考え方がどう違いますか?

Commander OneのPRO Packは1台29.99ドルの買い切りで、同じバージョン内の更新は無料です。ForkLift 4は更新の年数が値段に含まれる形で、個人向けが更新1年込み19.95ドル、2年込み34.95ドルです。年数が過ぎた後も使い続けられますが、その先の更新は別扱いになります。

乗り換えを決める前に、何を測っておけばよいですか?

直近1週間で、ファイルの窓からターミナルの窓へパスを渡した回数と、機器をつないでから目的のフォルダに着くまでのクリック数です。この2つが分かれば、必要なのが無料アプリなのか有料アプリなのかがはっきりします。金額の差より、1日あたりの切り替え回数のほうが効いてきます。

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