解凍 ソフト macの選び方|形式ごとの向き不向きを見る

解凍 ソフト macという検索は、たいてい2つのうちどちらかの場面で始まります。届いたファイルをダブルクリックしても開かない場面と、開けたのにファイル名が読めない記号の列になっている場面です。前者は対応形式の問題で、後者は文字コードの問題です。この2つは原因が別なので、1つの道具で両方が片付くとは限りません。ここでは、macOS標準がどこまで扱えるのかを実測で確かめたうえで、無料と有料の相場、選ぶときの判断軸、入れたあとに起きる不具合と注意点を順に整理します。

macOS標準がどこまで扱えるのかを先に確かめる

追加の道具を探す前に、いま手元のMacが何を扱えるのかを知っておくと、選択肢がかなり絞れます。macOSで圧縮ファイルを開いているのはアーカイブユーティリティという標準のアプリで、実体は /System/Library/CoreServices/Applications/Archive Utility.app にあります。このアプリが「自分はこの種類を扱う」と宣言している一覧は、アプリの情報ファイルから読み出せます。

macOS 27で実際に読み出すと、宣言されている種類にはZIP、tar、gzip、bzip2、xz、cpio、Z、uuencode、BinHex、MacBinary、xip、そして7zが入っていました。7zが標準側の一覧に入っているのは、少し前の解説記事の多くが書いていない点です。一方で、RARとLZHはこの一覧にありません。

コマンドラインも同じ状況です。which unrar 7z unar を実行すると、macOS 27ではいずれも見つかりません。標準で入っているのは unzip、tar、zip、ditto の4つで、RARやLZHを開く手段はコマンドラインにも用意されていません。

つまり、追加の道具が本当に必要になるのは次の場合に限られます。

  • RARで届く(設計事務所や海外の取引先から届く形式として今も残っている)
  • LZHで届く(日本国内の古い業務システムからの出力に残っている)
  • ファイル名が文字化けする
  • パスワード付きの書庫を作る側になる

この4つに当たらないのであれば、標準のアーカイブユーティリティで足ります。「Macには解凍ソフトが要る」という前提から入ると、必要のない道具を入れて拡張子の関連付けを奪われるだけになります。

相場を知る。無料と有料の境目はどこにあるか

解凍ソフトの価格は、機能の多さよりも「圧縮する側の機能を持つか」で分かれます。2026年9月26日時点で公開されている情報を並べると、次のようになります。

名前 価格 必要なmacOS 開ける形式 作れる形式
アーカイブユーティリティ 標準搭載 標準搭載 ZIP / 7z / tar / gzip / bzip2 / xz / cpio など ZIP
The Unarchiver 無料 10.13以降 ZIP / RAR / 7z / LZH / StuffIt / ISO など多数 なし
Keka サイトからは無料、Mac App Store版は有料 10.10以降 7z / ZIP / RAR / tar / DMG / ISO / LZMA など 7z / ZIP / tar / gzip / DMG / ISO など
BetterZip 一度払い 記載なし 30を超える形式 ZIP / 7z / DMG / tar / ISO など

The Unarchiverは開発元がMacPaw Way Ltdで、App Storeでの価格は0円です。公式サイトには「無料であり、これからも無料である」と書かれており、アプリ内課金もありません。対応形式はZIPとRARと7zはもちろん、StuffItやLZHのように今では見かけない形式まで含みます。ただし圧縮する機能は持たないため、送る側になる作業には使えません。

KekaはMac App Store版が1,000円で、公式サイトからのダウンロードは無料です。同じ開発者が同じアプリを2つの経路で配っていて、App Store版の代金は実質的に開発への支払いに当たります。こちらは圧縮側の形式が豊富で、7zやDMG、ISOまで作れます。

BetterZipは35ドルの一度払いで、月額の契約はありません。30日間の試用があります。書庫の中身を展開せずに一覧で見て、必要なファイルだけ取り出す使い方を前提にした作りです。

相場としては、開くだけなら0円、作る側も含めて揃えるなら1,000円から5,000円程度、書庫の中を頻繁に出入りする業務なら5,000円前後という並びになります。開くだけの用途に有料のものを買う必要はありません。

文字化けの正体は文字コードで、道具では直らないことがある

ここが解凍ソフトを選ぶ実質的な分かれ目です。Windowsで作られたZIPは、ファイル名をCP932(いわゆるShift_JIS)のバイト列で持っていることがあります。ZIPの仕様にはファイル名がUTF-8であることを示す印がありますが、古い圧縮ソフトはその印を立てません。

実際に、CP932でファイル名を入れたZIPをmacOS 27で展開して確かめました。標準の unzip で展開すると、請求書_2026年9月.pdf という名前は読めない記号の列になりました。ditto -x -k でも同じ結果でした。unzip -O CP932 のように文字コードを指定する書き方を試すと、使い方の説明が表示されて終わります。macOSに入っている unzip は「UnZip 6.00 of 20 April 2009」をAppleが改変したもので、文字コードを指定する引数を持っていません。

標準の手段では直せない、という事実がここで確定します。文字化けを解決したいなら、展開時に文字コードを指定できる道具が必要です。

The UnarchiverはMac用の圧縮・解凍ツールです。ZIPの他に、7z、Tar、LZHなどの主要な圧縮形式に対応しているソフトです。これをインストールしておけばどのような圧縮ファイルにも対応できます。設定画面で解凍先の指定や解凍するときのエンコーディングなども設定できる優れものです。 出典: pdf.wondershare.jp

ここで触れられているエンコーディングの設定が、文字化け対策の中身です。設定画面で日本語(Windows, CP932)を選んでおくと、印が立っていないZIPを開くときにその文字コードとして読みます。コマンドラインで済ませたい場合は、同じ開発元が配っている unar を使う手があります。Homebrewでは unar として配布されていて、2026年9月26日時点の版は1.10.8です。文字コードを指定する引数を持っているので、作業を手順に組み込めます。

注意したいのは、文字化けは「相手の圧縮ソフトが印を立てなかった」結果であって、こちらのMacの設定が悪いわけではないという点です。相手に作り直しを頼めるなら、そのほうが確実です。

逆方向の文字化けも起きる。Macで作ったZIPをWindowsで開く場合

送る側に立つと、同じ問題が逆向きに起きます。これも実測しました。macOSの zip コマンドで日本語のファイル名を含むZIPを作り、書庫の中身を調べると、ファイル名はUTF-8のバイト列で入っているのに、UTF-8であることを示す印は立っていませんでした。印が立っていないZIPを受け取ったWindows側は、ファイル名をCP932として読もうとするため、そこで文字化けします。

もう1つ、Macから送ったZIPで相手に不思議がられるのが __MACOSX というフォルダと ._ で始まるファイルです。これは拡張属性やリソースフォークを別ファイルに分けて格納したもので、macOS側では見えません。ditto -c -k --sequesterRsrc で書庫を作ると、実際に __MACOSX/._ファイル名 という形の項目が追加されました。同じ内容を zip -r で作った場合は追加されませんでした。

送る相手がWindowsなら、次の順で手を打つのが実際的です。

  • ファイル名を英数字だけにする(最も確実で、道具を選ばない)
  • zip -r -X で余計な属性を落とす
  • 7zやtar.gzのように、ファイル名をUTF-8として扱う形式を使う
  • 相手が特定の1社なら、あらかじめ開ける形式を聞いておく

フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある状態だと、この確認の手間が目に見えて減ります。書庫を作ってから中身の項目名を調べ、印が立っているかを確かめ、駄目なら作り直す、という往復が1つの画面で終わるためです。ファイル管理アプリに何が含まれるかはできることのページに整理されています。

選び方の判断軸を4つに絞る

比較記事は機能の一覧を並べがちですが、実際に選択を決めるのは次の4点です。

開く形式の範囲。 RARとLZHを開く必要があるかで、標準で足りるかどうかが決まります。7zは標準側の一覧に入っているため、7zだけを理由に道具を入れる必要はありません。

圧縮する側の機能。 受け取るだけなら不要です。送る側になるなら、パスワード付きZIPを作れるか、暗号化の方式を選べるかを確認します。ZipCryptoという古い方式はパスワードの強さに関係なく破られるため、AESを選べるものが望ましいです。

文字コードの指定。 取引先からWindows製のZIPが届く環境では、これが最優先になります。指定できない道具を選ぶと、届くたびに手作業が発生します。

関連付けの扱い。 入れた瞬間に、扱える形式すべての関連付けを奪う道具があります。ZIPだけは標準のまま使いたい場合に困るので、設定画面で関連付けを選べるかを見ておきます。

この4点以外の機能、たとえば圧縮率の細かい調整や書庫の分割は、必要になった時点で考えれば足ります。先回りして高機能なものを選ぶ理由にはなりません。

入れたあとに起きる不具合と、そのときの見どころ

道具を入れたあとに出る症状は、種類が限られています。

展開すると .cpgz ができて、それを開くとまた同じものができる。 これは書庫が壊れているか、途中で切れているかのどちらかです。ダウンロードし直すのが先で、道具を変えても直りません。ファイルの大きさを送り主の申告と照らし合わせると、切れているかどうかが分かります。

展開したフォルダの中身が空に見える。 書庫の中でフォルダに読み取りの権限が付いていない場合に起きます。ls -le で権限とアクセス権の一覧を見ると、モードとは別のアクセス権が付いていることがあります。

容量が急に減る。 展開すると元の書庫と中身の両方がディスクに残ります。数ギガバイトの書庫を扱ったあとは、書庫のほうを消したか確認する習慣を付けておくと安全です。

パスワードが通らない。 暗号化の方式が道具側で未対応の場合があります。RAR5の暗号化や、AESで暗号化されたZIPは、対応していない道具では鍵が合っていても開きません。この場合は対応形式の一覧を見直すのが正解で、パスワードを疑うのは後です。

料金や購入の形が気になる場合は、料金のページに費用の考え方を整理してあります。他のファイル管理アプリとの違いを先に見たい場合は他のファイル管理との比較が役に立ちます。

書庫を扱う作業を1つの窓にまとめると何が変わるか

ここまでの手順を並べ直すと、書庫を1つ受け取ってから片付けるまでに何回窓を行き来しているかが見えてきます。フォルダで書庫を見つけ、展開し、名前が読めるか確かめ、駄目ならターミナルで文字コードを指定して展開し、元の書庫を消す。この流れで最も時間を取っているのは、判断そのものではなく窓の切り替えです。

内部リンクの構成からも同じことが言えます。できること、比較、料金、よくある質問という4つの入口に分かれているのは、利用者が知りたいことがこの4種類に集まるからで、書庫の扱いはそのうち「できること」の一部に当たります。裏を返せば、解凍だけを担う道具を1つ増やしても、作業全体の往復の回数は変わりません。減るのは「開けない」という1つの症状だけです。

フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある形にすると、展開の結果を見ながら次のコマンドを打てるため、文字化けの確認と作り直しが1往復で終わります。よく尋ねられる点はよくある質問にまとめてあります。手元の環境で何をどこまで扱えるかを先に確かめてから、足りない分だけを足す。この順番を守るのが、解凍ソフト選びで無駄な出費と設定の巻き戻しを避ける一番の近道です。

よくある質問

macOS標準のままでは、どの形式が開けないのですか?

macOS 27のアーカイブユーティリティが扱うと宣言している形式にRARとLZHは含まれていません。ZIPや7z、tar、gzip、bzip2、xzは宣言に含まれているため標準のまま開けます。コマンドラインにもunrarや7zは入っていないので、RARとLZHが届く環境だけ追加の道具が必要になります。

無料のものと有料のものでは何が違いますか?

開く機能はほぼ差がなく、分かれ目は圧縮する側の機能です。The Unarchiverは無料ですが圧縮機能を持ちません。Kekaは公式サイトからは無料でMac App Store版は1,000円、7zやDMGを作れます。BetterZipは35ドルの一度払いで、書庫を展開せずに中を出入りする使い方に向いています。

ファイル名が記号の列になるのは設定が間違っているからですか?

Macの設定の問題ではありません。Windowsの古い圧縮ソフトが、ファイル名がUTF-8であることを示す印を立てないまま書庫を作ったことが原因です。macOS標準のunzipには文字コードを指定する引数がないため直せません。展開時に文字コードを指定できる道具を使うか、相手に作り直しを頼むのが確実です。

Macで作ったZIPをWindowsに送ると文字化けします。防ぐ方法はありますか?

ファイル名を英数字だけにするのが最も確実です。macOSのzipコマンドはUTF-8のバイト列を入れるものの、UTF-8であることを示す印を立てないため、受け取った側がCP932として読んで崩れます。余計な属性を落とすzip -r -Xを使い、可能なら7zやtar.gzのようにUTF-8を前提とする形式を選んでください。

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