重複ファイルの整理の代わりになるもの|手放してよい機能

重複ファイルの整理の代わりになるものを探しはじめる理由は、だいたい2つです。専用アプリの料金が、年に1回しかしない作業に対して高く見えたか、自動で選ばれた削除候補が信用できなかったか。どちらの場合も、判断に必要なのは道具の比較表ではありません。専用アプリが引き受けている仕事を分解して、そのうち自分に必要な部分がどれなのかを見ることです。分解すると、手放してよい機能と、手放すと事故になる機能がはっきり分かれます。

専用アプリの仕事は、4つの工程に分かれている

重複ファイルの整理と呼ばれている作業は、1つの機能ではありません。性質の違う4つの工程が順番に並んでいます。

1つ目は探す工程です。指定した範囲のファイルを走査して、比較できる形の情報に変えます。ここで何を比べるかで結果が変わります。名前だけを比べるのか、大きさも見るのか、中身を要約した値まで取るのか。

2つ目は見分ける工程です。集めた情報を突き合わせて、どれとどれが同じなのかを判定します。完全に同じファイルを見つけるのは機械的な照合で済みますが、似ているだけのもの、たとえば角度違いの写真や解像度違いの書き出しを「同じ」と扱うかどうかは、判定の設計の話になります。

3つ目は選ぶ工程です。同じだと判定された組のうち、どれを残してどれを消すかを決めます。ここだけが判断で、残りの3つは計算です。

4つ目は消す工程です。ゴミ箱へ移すのか、その場で消すのか、置き換えとして別の仕組みを使うのか。

代わりの道具を探すとき、多くの人は1つ目と2つ目だけを見て比べます。ところが時間を食っているのは3つ目で、料金の差が出ているのも3つ目です。ここを分けずに比べると、安い道具に替えて作業時間が増える、という結果になります。

代わりの候補を、4つの工程に当てて並べる

手元で使える候補を、どの工程まで引き受けるかで並べると次のようになります。

候補 探す 見分ける 選ぶ 費用
写真アプリの重複表示 ライブラリ内 写真と動画に特化 統合の操作あり 標準機能
標準のコマンド 範囲を自分で指定 中身の要約値で照合 自分で決める 標準機能
無料のアプリ 範囲を指定 複数の判定方式 一覧から手で 無料
ファイル管理アプリの内蔵 選んだフォルダ内 完全一致 一覧から手で アプリ代に含む
専用アプリ 広い範囲 似ているものも 自動選択あり 有料

この並びで見ると、専用アプリだけが持っているものは「広い範囲を一度に」と「似ているものの判定」と「自動での選択」の3つに絞られます。逆に言えば、この3つが要らない作業なら、専用アプリを外しても工程は欠けません。

範囲の話を具体的にすると、ダウンロードフォルダと書類フォルダと外付けドライブを一度に走査したいのか、それとも案件フォルダ1つの中で確かめたいのか、という違いです。後者であれば、フォルダを選んでその中の重複を探す機能で足ります。実際、Path Finder 26のようなファイル管理アプリには、選んだフォルダの中の重複ファイルを見つける機能が加わっています。追加の料金なしに、範囲を絞った照合ができる形です。

写真は専用アプリを外してよい領域

重複の悩みが写真から来ている場合、判断は早く済みます。macOSの写真アプリに重複の表示が入っているからです。

サイドバーのユーティリティの下に重複という項目があり、そこに候補が並びます。行ごとに選ぶことも、全部を選んでまとめて統合することもできます。統合すると元の1枚が元の場所に残り、消えたほうは最近削除した項目に移ります。

Deleted duplicates appear in Recently Deleted, where you can recover them within 30 days or permanently delete them. 出典: support.apple.com

30日の猶予がある点が重要です。外部のアプリで写真ライブラリの中身を直接触ると、ライブラリが持っているアルバムや編集の履歴との対応が壊れることがあります。標準機能はライブラリの構造を知ったうえで統合するので、この心配がありません。写真が悩みの中心なら、代わりを探す前にこの項目を開くほうが早く終わります。

なお、この機能はライブラリの中だけを見ます。書き出したJPEGが書類フォルダやデスクトップに散っている状態は対象外です。そちらは別の工程として扱いますが、先に手を打てる部分があります。書き出し先を1か所に固定して、そこから先へ渡したら消す、という運用にしておくと、書き出しのたびに増える分が止まります。重複そのものを探す前に、増える蛇口を1本閉める形です。写真からの重複は、ライブラリの中と書き出した先の2か所で別々に発生するので、どちらの話をしているのかを先に分けておくと、道具選びで迷いません。

手放してよい3つの機能

有料の専用アプリが押し出している機能のうち、無くても困らないものが3つあります。

1つ目は自動での選択です。どちらを残すかを機械が決めて、まとめて印を付ける仕組み。速いのですが、残す基準が「新しいほう」「階層が浅いほう」といった一般則なので、自分の運用と合わないことがあります。書き出したファイルのほうが日付は新しく、元データのほうが古い、という並びは普通に起きます。自動選択を使わずに一覧を目で追う手順に変えても、判断そのものの時間は変わりません。

2つ目は削減できる容量の見込み表示です。画面に出る数字は、選んだ候補の大きさの合計であることが多く、実際に空く容量とは一致しません。ハードリンクで同じ実体を指している場合、同じ実体を消しても片方が残っている限り容量は戻りません。クラウド上にしか無いファイルを消しても手元の容量は動きません。この数字を目標にすると、合わない分を追いかける時間が生まれます。

3つ目は定期実行です。決まった間隔で走査して知らせる仕組み。重複が増える経路をふさがないまま定期実行だけ入れると、同じ作業を繰り返す予定が増えるだけになります。増える経路のほうを止めるのが先です。増える経路はたいてい数が少なく、同じ資料を探す代わりに落とし直している、書き出し先が2か所ある、同期の衝突で控えが作られている、作業フォルダの中にバックアップのフォルダが入っている、といったあたりに収まります。1本止めるほうが、走査の回数を増やすより効きます。

手放してはいけない2つの機能

一方、無料の候補に切り替えるときに確認すべき機能が2つあります。ここが欠けている道具に替えると、作業が速くなる代わりに事故の確率が上がります。

1つ目は中身の要約値による照合です。名前と大きさだけで同じだと判定する方式は、偶然の一致を拾います。同じ機械から連番で書き出した画像は、大きさが1バイトも違わないことがあります。macOSには標準で要約値を計算するコマンドが入っているので、道具の判定を疑ったときに自分で照合し直せます。無料のアプリを選ぶときも、この方式に対応しているかは確かめる価値があります。たとえばdupeGuruは無償で公開されていて、Apple Siliconでもそのまま動き、判定の方式を選べます。

照合の方式を確かめるときに見る点は2つです。名前と大きさだけで判定していないか。そして、判定の方式を自分で選べるか。方式が1つに固定されていて、何を見ているかが説明されていない道具は、結果が合っているかどうかを外から確かめられません。候補が出てきたら、そのうち数組を自分で照合し直して、道具の判定と一致するかを見ます。この確認は最初の1回だけで済み、以降はその道具の結果を信用してよくなります。

2つ目は、消す前に一覧を外へ出せることです。どのファイルを消す予定なのかをテキストとして書き出せれば、実行の前に別の場所で確かめられますし、実行後に何が消えたのかも残ります。自動で消して結果だけを表示する道具は、この記録が残りません。ゴミ箱に入れる設定にしておけば戻せますが、戻すべきものがどれだったかは、一覧が無いと分かりません。数百件のゴミ箱を前にして「どれかを間違って消した気がする」という状態は、一覧が1枚あれば起きません。書き出せる形式はテキストで十分です。

費用の形を並べ直す

料金を比べるときは、月額と買い切りを同じ軸に置かないほうが正確です。重複の整理は毎日する作業ではないので、使う頻度によって有利な形が変わります。

たとえばGemini 2の場合、国内の販売ページでは1台分が月額784円、年額3,605円、買い切りが7,046円という3通りです。年に1回の大掃除のためだけなら、月額を1か月だけ使って解約する形が最も安く、毎月動かすなら年額、数年にわたって同じ機械で使うなら買い切りが有利になります。同じ機能に対して、使い方で最適な形が変わるということです。

無料の候補は費用がゼロですが、代わりに調べる時間がかかります。内訳は3つで、導入の手間、判定方式が何を見ているかの確認、そして消す前の確認手順を自分で作る時間です。合計で数時間の見積もりになることが多く、この時間を自分の時給で金額に直してから有料の候補と並べるのが実際の比較になります。年に2回しかしない作業なら、一度作った手順を次に使い回せるので無料の側が有利になります。毎週のように納品物を整理する仕事なら、逆になります。また、複数のアプリをまとめた定額の仕組みに含まれている場合もあり、その場合は束の中で他に使うものがあるかどうかが判断材料になります。料金の形そのものをどう並べて考えるかは料金に整理してあります。道具ごとに何ができて何ができないかの線引きは他のファイル管理との比較にまとめてあります。

選ぶ工程だけが、道具を替えても減らない

ここまでの並べ方で見えるのは、代わりの候補が競い合っているのは前半の2工程だけだという点です。探す速さも、判定の方式も、無料の候補と有料の候補で差は縮んでいます。標準のコマンドまで含めれば、費用をかけずにほぼ同じ判定を作れます。

減らないのは3つ目の工程です。500組の重複が一覧に並んだとき、そのうち何組かは片方がバックアップで、何組かは片方が別案件のコピーで、何組かは片方が古い見積書です。どちらを残すかは、ファイルの属性ではなく、そのファイルが何のために置かれたかで決まります。大きさも日付も、この問いには答えません。

そしてこの工程のあいだ、手元では3つの窓が開いています。一覧を出している窓、中身を確かめるための窓、そして消す操作をする窓です。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある形が効くのは、この行き来が作業時間の大半を占めていると分かったときです。判定は機械の仕事ですが、判定の結果を読んで意味を当てる部分は、まだ手元に残っています。

だから代わりを選ぶ順番としては、まず自分の重複が写真なのか書類なのかを分けます。次に、範囲がフォルダ1つなのか手元全部なのかを決めます。この2つが決まれば、候補は自然に絞れます。そのうえで、選ぶ工程にどれだけ時間がかかっているかを一度測っておくと、次に何を変えればよいかが見えます。判断に迷いやすい点はよくある質問に、機能の粒度ごとの違いはできることに整理してあります。

よくある質問

専用アプリを使わずに重複を見つける方法はありますか?

写真であればmacOSの写真アプリに重複の項目があり、サイドバーのユーティリティの下から開けます。書類などは、macOSに標準で入っている要約値を計算するコマンドで一覧を作って突き合わせる方法があります。フォルダ単位で足りる場合は、その機能を内蔵しているファイル管理アプリでも間に合います。

無料の道具に替えると、何が足りなくなりますか?

広い範囲を一度に走査すること、似ているだけのファイルを同じだと判定すること、残すほうを自動で選ぶことの3つです。この3つが要らない作業なら、工程としては欠けません。逆に、中身の要約値で照合できるかどうかは無料の候補でも確認したほうがよい項目です。

削減できる容量として表示された数字と、実際の空きが違うのはなぜですか?

表示は選んだ候補の大きさの合計であることが多いためです。ハードリンクで同じ実体を指している組は、片方を消しても実体が残るので容量は戻りません。クラウド上にしか置かれていないファイルも、消しても手元の容量は動きません。

重複の整理で、いちばん時間がかかるのはどの工程ですか?

どちらを残すかを決める工程です。探すことと見分けることは計算なので道具で速くなりますが、残す側を決める判断はファイルの大きさや日付では決まりません。道具を替える前に、この工程に何分かかっているかを一度測っておくと、次に変える場所が絞れます。

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