重複ファイルの整理をどう選ぶか|条件の見方
ダウンロードフォルダに「請求書.pdf」「請求書-1.pdf」「請求書 のコピー.pdf」が並び、外付けディスクにも同じものがあるかどうか分からない。重複ファイルの整理 erabikataという検索は、たいていこの状態で始まります。結論から書くと、選ぶ順番は道具が先ではありません。目的、判定方法、残す側の規則、消し方、この4つを決めてからでないと、どの道具を入れても同じ場所で止まります。ここでは、その4つをどう決めるかと、決めた後に道具の何を見比べればよいかを整理します。
最初に決めるのは道具ではなく、何を減らしたいのか
重複を消す動機は、実際には3つに分かれます。ディスクの空き容量を増やしたい。探すときに同じ名前が何件も出てきて、どれが最新か分からないのをやめたい。人に渡すファイルを間違えたくない。この3つは似ているようで、取るべき手が違います。
容量が目的なら、狙うのは大きいファイルです。動画の書き出し、写真の元データ、仮想マシンのディスクイメージ。小さいテキストが1万件重複していても、空き容量はほとんど動きません。一方、迷いを減らすのが目的なら、サイズは関係ありません。書類フォルダに同じ名前の見積書が3つあることのほうが害になります。
この見極めを飛ばすと、道具選びが的外れになります。容量が目的なのに画像の見た目が似ているものを探す機能を重視したり、迷いを減らしたいのにハッシュ値が完全一致するものしか見つけない仕組みを選んだりします。目的を1行書いてから先に進んでください。「外付けSSDの空きを増やす」「書類フォルダで同名の書類を1つにする」という粒度で十分です。
なお、容量が目的の場合は、重複の削除より先に確かめることがあります。macOSにはストレージの設定があり、Appleは公式のユーザガイドで次のように説明しています。
Mac上で領域が必要になると、macOSは、安全に削除できるキャッシュとログの消去も行います。これには、一時データベースファイル、未完了のダウンロードファイル、macOSやアプリの古いアップデート、SafariのWebサイトデータなどが含まれます。 出典: support.apple.com
同じページには、ゴミ箱に入れてから30日が過ぎた項目を自動で消す設定も載っています。重複を探し始める前にこの欄を見ておくと、そもそも重複が原因ではなかった、という結論になることがあります。
何をもって「重複」とするかを、4つの判定方法から選ぶ
重複の判定には方式があり、見つかるものと見逃すものが方式ごとに違います。道具の説明書きに出てくる言葉は、だいたい次のどれかに対応しています。
| 判定方法 | 見つかるもの | 見逃すもの | 速さ | 誤って消す危険 |
|---|---|---|---|---|
| ファイル名だけ | 名前が同じもの | 名前を変えた複製 | 速い | 高い。別カメラのIMG_0001.JPGが同一扱いになる |
| サイズと更新日 | 何もせず複製したもの | 圧縮や書き出しで作り直したもの | 速い | 中くらい。偶然の一致が起きる |
| 中身のハッシュ値 | 1バイトも違わないもの | 書き出し設定が違う同じ写真 | 遅い。全部読む | 低い |
| 見た目の近さ | 加工した画像や縮小した画像 | 画像以外 | 遅い | 高い。似ているだけの別物が混ざる |
実務でよく使われるのは、サイズで候補を絞ってから、候補だけハッシュ値を計算する組み合わせです。全ファイルを読むより速く、名前に依存しません。写真の整理だけは事情が違い、見た目の近さで探す機能がないと、書き出しサイズ違いの同じ写真が延々と残ります。
ここで決めるべきは「どちらの間違いを許すか」です。本当は同じなのに見つからない見逃しと、別物なのに同じと判定される誤検出。仕事のファイルなら、見逃しを許して誤検出を避ける側に倒すのが無難です。
残す側を決める規則を、先に文章にしておく
見つけた後に手が止まるのは、ほとんどこの工程です。同じファイルが3箇所にあると分かっても、どれを残すかが決まっていないと1件ずつ悩むことになり、500件の候補が出た時点で作業が終わります。
規則は機械が判定できる形で書きます。使える材料は限られていて、実質は次の5つです。
- 作成日が古いほうを残す(元ファイルを正とする考え方)
- 更新日が新しいほうを残す(最後に手を入れたものを正とする考え方)
- 決めたフォルダの中にあるほうを残す(保管場所を正とする考え方)
- 階層が浅いほうを残す
- 名前に「のコピー」「-1」が付いていないほうを残す
このうち、迷いが少ないのは3番目です。「書類フォルダにあるものが正、ダウンロードフォルダにあるものは複製」と決めてしまえば、判断が場所の問題になり、1件ずつ中身を見る必要がなくなります。逆に、作成日と更新日はクラウド同期やコピー操作で書き換わることがあるため、単独の根拠にすると事故が起きます。
規則を決めたら、そのまま消さずに、一覧を出して目で確認する工程を必ず1回挟んでください。規則の抜けは、この一覧で見つかります。
消し方には段階があり、取り消せる形から試す
削除にも選択肢があり、道具によって用意されている段階が違います。安全な順に並べると次のようになります。
一覧を出すだけで何もしない方式が最初です。何が候補になったのかをテキストで受け取り、規則の当たり具合を確かめます。次がゴミ箱へ移す方式で、間違いに気づけば戻せます。3番目が、片方を消して残したほうへのエイリアスやリンクを置く方式です。見かけ上は両方の場所にファイルがあり、実体は1つになります。最後が完全な削除で、取り消しはバックアップからの復元しかありません。
選ぶときは、対象のフォルダが復元できるかどうかで決めます。Time Machineの対象に入っていて、直近のバックアップが取れているなら、多少強い方式でも戻せます。外付けディスクを対象にする場合は、バックアップの範囲から外れていることが多いので、一覧を出すだけの方式から始めてください。
削除の記録が残せるかどうかも見ておく点です。どのファイルをどこから消したかがテキストで残っていれば、後から「あの資料がない」となったときに、消したのか元から無かったのかが分かります。記録が残らない道具を使うと、以後の「見つからない」がすべて原因不明になります。
エイリアスやリンクで置き換える方式には、注意点が1つあります。見かけ上は両方の場所にファイルがあるため、後日その片方だけを別のディスクへコピーすると、中身のない参照だけが運ばれることがあります。外に持ち出す予定のあるフォルダでは、この方式を避けて実体を残すほうが安全です。容量を詰めたい保管用のディスクと、持ち出すフォルダとで、方式を分けて決めてください。
対象から外す場所を先に決める
全ディスクを対象にすると、消してはいけないものが候補に入ります。除外する場所を先に決めておくと、候補の数が一気に減って確認が現実的になります。
外すべきものは、たとえば次のようなものです。アプリの中身、写真アプリのライブラリ、メールの保存領域、開発用のフォルダ。開発用のフォルダには同じ内容の部品が大量に入っており、これは重複ではなく仕組み上必要な配置です。ここを消すと動かなくなります。
外付けディスクとネットワーク上の保存先も、扱いを分けて考える対象です。外付けは対象に入れる価値が高い一方で、バックアップの範囲から外れていることが多く、間違えたときに戻す手段がありません。ネットワーク越しの保存先は、中身を読む判定方式だと通信の速度がそのまま処理時間になり、有線の手元のディスクと比べて桁が変わることがあります。どちらも、最初の1回は一覧を出すだけにとどめてください。
クラウドと同期しているフォルダも、扱いを決めておく場所です。同期の設定によっては、ファイルの実体が手元になく、見出しだけが置かれている状態があります。この状態で中身のハッシュ値を計算しようとすると、全部をダウンロードしに行きます。通信量とディスクを両方使うので、対象に入れるかどうかは意識して決めてください。
対応している言語や、外部ディスクの扱いは道具ごとに差があります。日本語のファイル名で濁点の扱いが違い、同じ名前が別物として扱われることもあります。対応言語のような欄には、どの言語環境を想定しているかが書かれていることがあるので、日本語のファイル名が多い人は先に見ておくと判断が早くなります。
一度きりの掃除か、毎週回す仕組みか
ここが道具選びで最も差の出る分岐です。一度きりなら、手元にあるもので足ります。標準の検索で名前順に並べ、目で見て消す方法でも終わります。
問題は、重複が生まれ続ける場合です。ブラウザからのダウンロード、AirDropでの受け取り、書き出しのやり直し。発生源が止まらない限り、掃除は数週間で元に戻ります。この場合に必要なのは、探す機能ではなく、同じ条件を繰り返し実行できる形です。
繰り返し実行を前提にするなら、条件を保存できるか、コマンドとして書き出せるかを見てください。画面の操作でしか設定できない道具は、毎回同じ手順を人がなぞることになります。条件をコマンドの形で持てると、対象のフォルダを変えて同じ規則を当てられます。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある形の道具は、この繰り返しの部分を画面の外に出さずに扱える点が違います。
道具を比べるときに確かめる4点
候補が絞れたら、機能の一覧より先に確かめる点があります。提供が終わっていないか、新規の受け付けを止めていないか、運営会社が変わっていないか、料金が改定されていないか。この4つは公式ページを見れば分かり、しかも見落とすと選び直しになります。買った後に更新が止まっていた、という事態はこの確認で避けられます。
機能の比較は、先に決めた4つの条件に照らして見ます。判定方法は何か。残す側の規則を自分で決められるか。ゴミ箱へ移す段階があるか。除外する場所を指定できるか。この4つが揃っていない道具は、機能の数が多くても、決めた運用には乗りません。何ができて何ができないかはできることのような一覧に整理されていることが多く、他のファイル管理との比較の形で他の選択肢との違いをまとめているページもあります。両方を見ると、足りない機能が自分の運用に関わるかどうかが判断できます。
費用の形も見ておく点です。買い切りなのか、期間ごとの支払いなのか、台数はどう数えるのか。料金の欄には、無料で試せる範囲がどこまでかも書かれていることが多く、無料では一覧を出すだけで削除は有料、という区切り方をしている製品もあります。細かい制限や動作条件はよくある質問にまとめられていることが多いので、外付けディスクやネットワーク上の保存先を対象にしたい場合は、先に確認しておくと想定外が減ります。
最初の1週間で決められること
対象を1つのフォルダに絞ってください。ダウンロードフォルダのように、失っても取り直せるものが向いています。そこに対して、決めた判定方法で一覧だけを出します。この時点で、候補が何件出るか、そのうち規則で自動的に片が付くのが何件かが分かります。
次に、最初の実行を50件に区切って、ゴミ箱へ移す方式で試します。区切っておくと、規則が間違っていたときの被害が小さく収まります。結果を見て、規則の文章のほうを直してください。道具の設定ではなく規則を直すのが要点で、規則が固まれば道具は後から替えられます。
1週間後に手元に残るのは、消えたファイルの数ではありません。自分のファイルの重複がどういう理由で生まれているか、という情報です。ダウンロードのやり直しが原因なら、掃除より保存先の分け方を変えるほうが効きます。書き出しのやり直しが原因なら、書き出し先を毎回同じ場所にするだけで止まります。この見極めまで進めば、道具の選択は残った作業の量から逆算できます。
よくある質問
重複ファイルを消したのに空き容量が増えないのはなぜですか?
ゴミ箱に残っている場合と、元から実体が1つだった場合の2つが考えられます。macOSのファイルシステムでは、コピーしても中身が同じ間はディスクを二重に使わない仕組みがあり、見かけ上2つでも消費量は1つ分です。ゴミ箱を空にしても増えないときは、この仕組みが働いていたと考えてください。
判定はファイル名とハッシュ値のどちらで選ぶべきですか?
仕事のファイルなら中身のハッシュ値を基本にしてください。ファイル名だけの判定は速い代わりに、別のカメラで撮った同じ番号の写真を同一と見なすことがあります。サイズで候補を絞ってから候補だけハッシュ値を計算する方式なら、速さと安全さの両方を取れます。
写真の重複は同じ方法で探せますか?
探し方を変える必要があります。書き出しのサイズや形式が違う同じ写真は、中身のハッシュ値が一致しないため、完全一致を探す方式では見つかりません。見た目の近さで探す機能が要りますが、この方式は似ているだけの別の写真も候補に入るので、削除の前に一覧で確認してください。
無料の範囲だけで重複ファイルの整理はできますか?
探して一覧にするところまでは無料の範囲で足りることが多く、標準の検索やコマンドでも候補は出せます。有料の製品で差が出るのは、残す側を自動で選ぶ規則、除外の指定、取り消しの仕組みです。まず無料の範囲で候補の件数を出し、手作業で片が付く量かどうかを見てから判断してください。