FileZillaの日本語表示と、ファイル名が崩れるときの切り分け
「filezilla 日本語」という検索には、性質のまるで違う2つの困りごとが混ざって入ってくる。画面の表記を日本語にしたい、という話と、日本語のファイル名がサーバー側で崩れる、という話だ。前者は設定で終わる。後者は文字コードと名前の正規化という2つの層に分かれていて、触る場所を間違えると何をしても直らない。公式が公開している翻訳カタログの中身まで含めて、切り分けの順番を確かめる。
表示の日本語化は、公式の翻訳がそのまま使える
画面の表記については、開発元が言語ごとの翻訳カタログを公開している。翻訳ページに並ぶ一覧には日本語の行があり、訳し終わった文が1,810件、訳が入っていない文が98件と示されている。割合では94.8%が日本語になっている計算だ。翻訳の対象は全部で1,900件あまりなので、日常の操作で目にする表記はほぼ日本語で出る。
カタログには2005年から複数の訳者の名前が記録されており、直近の更新も続いている。翻訳が止まって10年前の表記のまま、という状態ではない。表示言語の切り替えは設定画面の言語の項目で行い、日本語を選んで再起動すると反映される。インストールの段階で日本語を選ぶ形ではないので、英語で立ち上がったからといって入れ直す必要はない。
表示言語を日本語にするかどうかは、好みだけの問題ではない。英語のままにしておくと、エラーの文をそのまま検索語にできるので、海外のフォーラムにある記録に当たりやすい。日本語にすると、社内で画面を見せながら説明するときに通じやすい。1人で使うなら英語、複数人で共有する手順書を作るなら日本語、という分け方をしている現場もある。どちらが正しいという話ではなく、誰に見せる画面なのかで決めればよい。
用語の訳し方も確かめておくと、あとの作業が速くなる。接続先をまとめる画面はサイトマネージャー、転送の待ち行列はキュー、そして今回の主題に関わる設定は「文字コード」と訳されている。サーバーごとの設定を開くと「このサーバーで使用されるファイル名の文字コード」という見出しがあり、その下に選択肢が並ぶ。日本語で検索するときは、この訳語をそのまま検索語に使うと、同じ症状の記録に当たりやすい。
文字コードのエラーだけ英語で出てくる理由
日本語表示にしているのに、文字化けの警告だけ英語で出てくる、という報告は珍しくない。これは不具合ではなく、訳が入っていない98件の中に、文字コード関連のメッセージがまとまって含まれているためだ。公開されているカタログを開くと、訳文の欄が空のまま残っている文が確認できる。
The entered encoding is not valid. Please enter a valid encoding name, such as CP1252, ISO8859-1, SHIFT-JIS, ... 出典: filezilla-project.org
同じように訳が空のまま残っているものに、サーバーの文字セットへ変換できないという警告、受け取った文字の並びが設定した文字コードと合わないという警告、接続先がUTF-8に対応していない場合はサイトマネージャーで別の文字コードを選べという案内がある。いずれも文字化けを追いかけているときに読みたい文ばかりなので、日本語で出ないことが混乱の元になっている。
一方で、同じ話題でも日本語になっている文はある。設定の見出しである「文字コード」、「カスタム文字コードを使用」、警告の題である「文字コードの問題」、「文字コードを指定する必要があります」、そして「コマンドをサーバーの文字コードに変換できません」は訳が入っている。英語の文が出たら、それは訳が付いていないメッセージだと分かっていれば、アプリの設定を疑って時間を使わずに済む。
訳の状況を自分で確かめる手順
どのメッセージが日本語で出るのかを、推測ではなく手元で確かめる方法がある。公式の翻訳ページは、言語ごとのカタログを2種類の形で配布している。編集用の.poと、アプリが読み込む形に変換した.moだ。前者はただのテキストなので、落としてエディタで開けば中身が読める。
見方は単純で、元の英語の行と、その下に並ぶ訳文の行が対になっている。訳文の欄が空のまま残っているものが未訳で、日本語表示でも英語のまま出る文だ。文字コードで検索をかけると、訳が入っている文と空のままの文が混ざっていることが一目で分かる。エラーの文言をそのままコピーして探せば、それが未訳かどうかも確かめられる。
この確認が役に立つのは、症状を人に伝えるときだ。英語のメッセージが出たという報告を受けると、設定が英語に戻っているのではないかと疑いがちになる。カタログを見て未訳だと分かっていれば、その疑いを最初から外せる。業務で複数のMacに配っている場合は、この点を手順書に1行書いておくと、同じ問い合わせが繰り返されない。
カタログの先頭には、どの版を元に作られた訳なのかという情報も入っている。アプリの版が上がって新しい文が増えると、その分だけ未訳が増える。訳の割合が少し下がるのは、翻訳が退化したのではなく、元の文が増えたためであることが多い。
ファイル名が崩れるときに触る場所
崩れる症状に対して触るべき場所は1か所に決まっている。サイトマネージャーで接続先を選び、文字コードのタブを開く。ここには、自動で判別する既定の状態、UTF-8を指定する選択、そして自分で文字コードの名前を入力するカスタムの選択がある。入力欄に入れる名前の例として、先ほどの英語のメッセージがCP1252、ISO8859-1、SHIFT-JISを挙げている。日本語環境で使うなら、この3つめが候補になる。
順番としては、まずUTF-8を明示する。多くのサーバーはUTF-8で名前を扱うので、自動判別が外れていただけなら、これで直る。直らない場合は、サーバー側が古い文字コードでファイル名を持っている可能性が高い。そのときにカスタムへ切り替えて、SHIFT-JISやそれに相当する名前を入力する。設定は接続先ごとに保存されるので、1つのサーバーのために全体の設定を変える必要はない。
サーバー側の構成を自分で変えられる立場なら、根本から揃える手もある。ファイル名をUTF-8で扱う設定に寄せてしまえば、接続する側の設定を個別に直す必要がなくなる。共有のレンタルサーバーで設定を触れない場合や、古い構成のまま長く動いている社内のサーバーが相手の場合は、接続する側で吸収するほかない。どちらに手を入れられるのかを先に確かめると、無駄な試行が減る。
注意したいのは、この設定がサーバーとのやり取りに使う文字セットの指定であって、手元のMacにあるファイル名を書き換えるものではない、という点だ。アップロードした先での見え方を変える設定なので、手元で崩れて見えるなら原因は別にある。逆に、手元では正しく、サーバー上のファイル一覧で崩れているなら、ここが第一の容疑者になる。
崩れ方を見て、原因を3つに切り分ける
症状の見え方で原因はかなり絞れる。1つめは、日本語の部分が記号や別の文字に置き換わっているか、疑問符の並びになっている場合だ。これは文字コードの取り違えで、前の節の設定で直ることが多い。サーバー側の設定がUTF-8ではない古い構成のままだと起きやすい。
2つめは、濁点や半濁点が1文字分ずれて見える場合だ。「が」が「か」と点に分かれて表示される、という形で現れる。これは文字コードの種類ではなく、同じ文字を表すときの並べ方の違いによるもので、文字コードの設定を変えても直らない。手元では正しく見えるので気づきにくく、サーバーへ上げてから、あるいは別のOSで受け取ってから発覚する。転送の前に名前を英数字に寄せておくか、名前を作る段階で揃えておくのが現実的な回避策になる。
3つめは、特定の1文字だけ通らない場合だ。全角の記号や、機種に依存する文字が混ざっていると起きる。転送そのものは成功していても、ファイル名の一部だけが置き換わる。この種類は設定では解決しないので、名前の付け方の取り決めで防ぐしかない。納品物の名前に使ってよい文字を、案件の最初に決めておく現場が多いのは、この事故が繰り返されるからだ。
症状を切り分けるときは、同じファイルを2通りの名前で上げてみるのが速い。日本語名のままのものと、英数字に直したものを並べて置く。英数字のほうだけ正しく見えるなら、原因はファイル名の文字であって、転送の設定や回線ではないと確定できる。1回の転送で判断がつくので、設定をあれこれ変える前に試しておきたい。
切り分けの順番は、手元での見え方を先に確かめ、次にサーバー上の一覧、最後に受け取った相手の環境で見るという流れにしておく。どこで初めて崩れたのかが分かれば、容疑者は自然に1つに絞られる。
名前の付け方をどこまで決めておくか
取り決めを作るときに悩むのは、どこまで厳しくするかだ。全部を英数字に統一すると、社内で探すときに読みづらくなる。日本語を許すと、外部へ渡す段で事故が起きる。現実的な線引きは、渡す相手で分けることだ。手元と社内で回すファイルは日本語を許し、サーバーへ上げるものと社外へ渡すものは英数字に限る。この2段構えにしておけば、読みやすさと安全のどちらも大きく損なわない。
英数字に寄せるときの形も決めておきたい。先頭に日付を8桁で置き、次に案件を表す短い語、最後に版を表す番号を並べる。区切りはハイフンかアンダースコアのどちらかに統一する。空白は入れない。全角の記号は使わない。この5つだけ守れば、文字化けで戻ってくる事故はほぼ起きなくなる。
決めた内容は、フォルダの中に置いた1枚のテキストに書いておくと守られやすい。別の場所にある共有ドキュメントに書くと、作業中に開かれないためだ。名前の付け方は覚えるものではなく、手を動かす場所のすぐ隣に置いておくもの、と割り切ったほうが続く。
転送より前の工程で名前を揃えるという手
3つの原因のうち、設定で直るのは1つだけだった。残る2つは、ファイル名をどう付けるかという手元の問題だ。転送ツールの設定を探し続けても答えは出ない。そう考えると、日本語のファイル名を扱う現場で本当に効くのは、上げる前に名前を整える工程を仕組みにしてしまうことになる。
具体的には、納品物のフォルダを作る段階で、日付と案件名を決まった形で並べ、日本語を含む名前は表示用のフォルダに閉じ込め、転送するフォルダには英数字の名前だけを置く。この作業を手で1件ずつ直していると続かないので、まとめて名前を変える操作が同じ画面でできるかどうかが分かれ目になる。どの操作が1つの窓で完結するのかはできることに整理があり、Finderや他のファイル管理との違いは他のファイル管理との比較で確かめられる。
名前を整える作業と、整えた結果を確かめる作業と、転送のコマンドを打つ作業が別々の窓に散っていると、往復の回数だけが増えていく。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある形にすれば、名前を直したその場で結果を確かめられる。日本語の表示そのものが気になる人は対応言語を、費用の形を先に知りたい人は料金を見ておくとよい。外出先から確認したい場面の動き方はiPhone・iPadから続きをに、細かい疑問はよくある質問にまとめてある。文字化けは設定の問題に見えて、実際には名前を作る工程の問題であることが多い。
よくある質問
FileZillaの画面を日本語にできますか?
できます。公式サイトの翻訳ページに日本語のカタログが公開されており、訳し終わった文が1,810件、割合では94.8%です。設定画面の言語の項目で日本語を選び、再起動すると反映されます。入れ直す必要はありません。
日本語表示にしたのに、エラーだけ英語で出るのはなぜですか?
訳が入っていない98件の中に、文字コード関連のメッセージがまとまって含まれているためです。公開されているカタログでも、該当する文の訳文欄が空のまま残っています。アプリの設定や入れ方の問題ではないので、英語の文が出たらそのまま読み進めて構いません。
サーバー上でファイル名が文字化けするとき、どこを直しますか?
サイトマネージャーで接続先を選び、文字コードのタブを開きます。まずUTF-8を明示し、それで直らない場合はカスタムに切り替えてSHIFT-JISなどの名前を入力します。設定は接続先ごとに保存されるため、他のサーバーへの影響はありません。
濁点がずれて見える症状も文字コードの設定で直りますか?
直りません。これは文字コードの種類ではなく、同じ文字を表すときの並べ方の違いによるものです。手元では正しく見え、サーバーや相手の環境で初めて気づくことが多い症状です。転送するファイルの名前を英数字に寄せるか、名前を作る段階で形を揃えるのが現実的な対処になります。