FileZillaのアンインストールで、残る設定と接続情報の消し方
Macで「filezilla アンインストール」と調べる人の多くは、アプリをゴミ箱へ入れたあとで検索している。消したつもりなのに設定が残っているのではないか、接続先のパスワードはどこへ行ったのか、という不安が残るからだ。この不安には根拠がある。消す順番を逆にすると、いちばん残したくない情報だけが手元に残る。公式の配布形態とアプリの機能から、正しい順番を確かめる。
消す目的を先に1つ決める
手を動かす前に決めておきたいのは、何のために消すのかだ。目的は3つに分かれ、それぞれ手順が違う。1つめは、Macを譲るか返却するので情報を残したくない場合。この場合は接続情報を消すことが本題で、アプリ本体が残るかどうかは二の次になる。2つめは、動きがおかしいので入れ直したい場合。このときは設定だけを退避し、アプリは入れ直す。3つめは、もう使わないので片付けたい場合で、控えを取る必要が無い代わりに、残骸まで消し切ることが目的になる。
この3つを混ぜたまま進めると、必ずどこかで手が止まる。譲渡のつもりで消し始めたのに、あとで使うかもしれないと思って設定を残す、といった中途半端な状態が生まれる。目的を1つに決めて、それに合う順番だけを実行する。迷ったら、控えを取ってから消す側に倒しておけば、あとから選び直せる。
もう1つ、消す前に確かめておきたいのが、同じ接続先を他の道具でも使っていないかだ。サーバーへの接続情報は、転送ツールだけでなく、エディタの転送機能やコマンドの設定ファイルにも書かれていることがある。転送ツールだけを消しても、別の場所に同じ情報が残っていれば、目的は達成されない。
Macにはインストーラが無いので、アンインストーラも無い
公式の配布ページを見ると、macOS向けに置かれているのはアプリ本体を圧縮した書庫だ。IntelのMac用とApple Silicon用の2種類が並び、拡張子はtar.bz2になっている。安定版の番号は3.71.1で、動作要件はmacOS 10.13.2以降と記載がある。この形は、展開して出てきたアプリをアプリケーションフォルダへ移すだけで導入が終わる代わりに、導入時に何をどこへ置いたかという記録が残らない。
インストーラを使わないので、当然アンインストーラも付いてこない。Windowsであればプログラムの追加と削除の一覧に現れるが、Macではその仕組みに相当するものが無い。結果として、アプリをゴミ箱へ入れる操作だけが「アンインストール」として広まる。アプリ本体は確かに消えるが、アプリが動いている間に書き出した設定は、アプリとは別の場所に残る。
パッケージ管理の仕組みで入れた場合は事情が少し変わる。導入した経路が記録されているので、同じ経路から消せる。残骸まで片付ける指定を付けて実行すれば、設定ごと消える。手で書庫を展開して入れたのかコマンドで入れたのか、まずそこを思い出すのが第1歩になる。
残るのは、いちばん残したくない情報
残るものの中身を具体的に押さえておきたい。このアプリが保存しているのは、接続先のホスト名とユーザー名、接続方式、そして設定によってはパスワードだ。接続先をまとめるサイトマネージャーの内容、クイック接続で打ち込んだ履歴、転送キューの状態、再接続のための情報、ファイル名のフィルターの設定、画面の並び方も同じ場所に保存される。
つまり、アプリ本体だけを捨てると、サーバーへの入り口の一覧だけが手元に残ることになる。Macを譲るとき、返却するとき、あるいは共有の機体で作業していた場合、この残り方はまずい。逆に、入れ直す予定があるなら残っていたほうが便利なので、どちらの目的で消すのかを最初に決める必要がある。
パスワードの扱いについては、アプリ側に3つの選択肢が用意されている。パスワードを保存しない、そのまま保存する、マスターパスワードで保護して保存する、の3つだ。設定画面にそれぞれの項目がある。保存しない設定で使っていたなら、残骸に含まれるのはホスト名とユーザー名までになる。マスターパスワードで保護していた場合も、鍵を知らなければ中身は読めない。まず自分がどの設定で使っていたかを、消す前に確かめておきたい。
アプリを捨てる前に、アプリの中から消す
いちばん確実な順番は、アプリを起動できる状態のまま、アプリの機能で個人データを消してしまうことだ。編集メニューには「個人データのクリア」という項目がある。開くと「クリアするカテゴリ」として4つの選択肢が並ぶ。クイック接続の履歴、再接続の情報、サイトマネージャーエントリ、転送キューだ。必要なものにチェックを入れて実行すると、確認のダイアログが出る。
本当にサイト マネージャー エントリと転送キューを削除しますか? 出典: filezilla-project.org
戻せない操作なので、文面のとおり確認が入る。4つすべてを消してからアプリをゴミ箱へ入れれば、残骸に接続情報が含まれる心配はほぼ無くなる。この順番を踏むだけで、あとからフォルダを探し回る作業が要らなくなる。
時間の見積もりも押さえておきたい。アプリの中から個人データを消してゴミ箱へ入れるだけなら、作業は5分で終わる。先にアプリを消してしまってから探す場合は、検索と確認で20分から30分かかることもある。順番が逆になるだけで手間が数倍になるので、まだアプリが起動できるなら、先に中から消すほうがよい。
もう1つ知っておきたいのは、逆の操作も用意されていることだ。ファイルメニューにはエクスポートとインポートがあり、書き出せる対象はサイトマネージャーのエントリ、設定、転送キュー、フィルターに分かれている。入れ直す予定があるなら、まずエクスポートで1つのファイルに書き出し、それを安全な場所へ置いてから消す。新しいMacへ移す場面でも同じ手が使える。控えを取ってから消す、という順番は、ここでも守る価値がある。
消したあとに残骸を探す手順
アプリを先に捨ててしまった場合は、手元を探すことになる。公式の配布ページには、設定の置き場所についての記載が見当たらない。ダウンロードのページも機能の一覧も、導入と機能の説明で終わっている。そのため、置き場所を断定した情報を信じて特定のフォルダだけを消すより、名前で探して実際にある場所を確かめるほうが確実だ。
ターミナルで、ホームフォルダの下を名前で検索する。find ~ -maxdepth 4 -iname "*filezilla*" 2>/dev/null と打つと、該当する名前のファイルとフォルダが列挙される。深さを4に区切っているのは、時間を短くするためと、バックアップの中身まで拾わないためだ。出てきた行を見て、設定が入っているフォルダなのか、キャッシュなのか、アプリの残りなのかを名前から判断する。
検索の結果を見るときは、名前だけで判断しないほうがよい。フォルダの中を開いて、設定を書いたテキストが入っているのか、一時的なファイルだけなのかを見る。設定の側には接続先の名前が書かれているので、開けばすぐに分かる。逆にキャッシュの側は、消しても情報が漏れるような中身ではない。優先して消すべきは、接続先の名前が読める側だ。
候補として現れやすいのは、隠しフォルダとして置かれる設定の置き場、ライブラリフォルダの中にあるアプリケーションサポート、環境設定、キャッシュ、保存された状態の4か所だ。消す前に、フォルダごと別の場所へ移して、しばらく様子を見る手もある。入れ直したときに設定が戻らなくて困る、という事故を避けられる。いきなり削除しないという原則は、このアプリに限らず有効だ。
共有のMacと業務の機体で気をつける点
自分だけのMacなら手順は単純だが、共有の機体や会社から貸与された機体では確かめる順番が増える。まず、同じMacに複数のユーザーアカウントがあるかを見る。設定はアカウントごとに保存されるので、別のアカウントで使っていた分は自分のアカウントからは見えない。全員分を消したいなら、それぞれのアカウントで同じ手順を踏むことになる。
次に、管理者が配布の仕組みで入れたアプリかどうかを確かめる。資産管理の仕組みで配られている場合、手元で消しても次の配布で戻ってくる。戻ってきた時点で設定は初期化されるので情報は残らないが、消したつもりが消えていない状態は混乱を招く。管理者に一報を入れてから消したほうが早い。
返却の前なら、消したことを記録に残しておくとよい。どのアプリを、どの手順で、いつ消したかを1行書いておく。あとから接続情報の扱いを問われたときに、手順を説明できる状態にしておけば足りる。作業そのものより、説明できるかどうかが問われる場面のほうが多い。
入れ直す前提で消すときの順番
不具合の解消のために入れ直すなら、手順を分けて考えたい。まず控えを取る。エクスポートで接続先の一覧を書き出し、書き出したファイルが読める大きさになっているかを確認する。次にアプリを終了し、設定の置き場だけを別の場所へ移す。この段階でアプリを起動すると、初期状態で立ち上がる。症状が消えていれば、原因は設定側にあったと分かる。
症状が残っていれば、設定ではなくアプリ本体か、接続先の環境に原因がある。その場合は移した設定を元に戻してよい。ここまで切り分けてから、最新版を落として入れ直す。版が上がると設定の形が変わることがあるので、古い設定を戻す前に、新しい版で一度立ち上げておくと安全だ。
入れ直しの効果を過大に見ないことも大事だ。転送が止まる、名前が崩れる、接続できないといった症状は、アプリを入れ直しても直らないことが多い。回線や接続先の設定、ファイル名の文字コードが原因であることのほうが多いためだ。入れ直しは、設定が壊れた疑いが具体的にあるときの手段と位置づけておきたい。
アプリの版が古いまま長く使っていた機体では、設定の中に今は使っていない接続先が積み上がっていることもある。消す前に一覧をざっと見て、まだ生きている接続先と、案件が終わって不要になった接続先を分けておくと、入れ直したあとの見通しがよくなる。全部を戻さず、必要な分だけをインポートするという選択もできる。
消したあと、同じ作業を何で続けるか
アンインストールを調べている人の半分くらいは、代わりに何を使うかも同時に考えている。転送そのものが不満なのか、転送の前後の作業が不満なのかで、選ぶものは変わる。サーバーへ上げる回数が週に数回で、上げる前の準備に時間がかかっているなら、置き換えるべきは転送ツールではない。
準備の工程は、書き出したファイルを1か所に集める、名前を揃える、不要なものを外す、という手元の作業だ。この作業がフォルダの窓とコマンドの窓に分かれていると、往復の回数が増える。どの操作が1つの窓で完結するのかはできることに整理があり、Finderや他のファイル管理との違いは他のファイル管理との比較で見比べられる。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある形にすると、集めて名前を直してから上げるまでが1つの流れになる。
費用の形を先に知りたいなら料金を、表示言語を確かめたいなら対応言語を見ておくとよい。外出先から続きを触る場面の動き方はiPhone・iPadから続きをにあり、細かい疑問はよくある質問にまとめてある。消す作業は、次に何をどう置くかを決めてから始めたほうが、二度手間にならない。
よくある質問
アプリをゴミ箱へ入れるだけでは不十分ですか?
不十分です。macOS向けの配布は書庫を展開する形でインストーラが無いため、アンインストーラも付いてきません。アプリ本体を捨てても、接続先のホスト名やユーザー名、設定によってはパスワードを含む個人データが別の場所に残ります。消す目的がMacの譲渡や返却なら、先に個人データを消す必要があります。
接続情報を確実に消す手順はどれですか?
アプリを起動できる状態のまま、編集メニューの個人データのクリアを使います。クイック接続の履歴、再接続の情報、サイトマネージャーエントリ、転送キューの4項目を選んで実行し、確認のダイアログに答えます。そのうえでアプリをゴミ箱へ入れれば、残骸に接続情報が含まれる心配はほぼなくなります。
すでにアプリを消してしまいました。残りを探せますか?
ターミナルでホームフォルダを名前で検索すれば見つかります。深さを区切って検索すると時間が短くて済みます。公式の配布ページには置き場所の記載が見当たらないため、特定のフォルダを決め打ちで消すより、実際に出てきた場所を確認するほうが確実です。見つけたフォルダは、削除せず別の場所へ移して様子を見る手もあります。
入れ直す前に設定の控えを取れますか?
取れます。ファイルメニューのエクスポートで、サイトマネージャーのエントリ、設定、転送キュー、フィルターを書き出せます。書き出したファイルを安全な場所に置いてから消し、新しい版で一度起動したあとにインポートで戻します。新しいMacへ移すときも同じ手順が使えます。