Finderとターミナルを同じ窓で|行き来をやめる作業の組み方
finder ターミナル で検索する人が知りたいのは、たいてい1つの操作です。いまFinderで開いているフォルダで、そのままコマンドを打ちたい。あるいはその逆で、ターミナルでいる場所をFinderで見たい。macOSはどちらの道も標準で持っていますが、既定では表に出ていないものがあり、探し方が分からないまま cd にパスを手で打ち込んでいる状態が続きます。この記事では、両方向の経路を全部並べて、どの場面でどれを使うかの基準を決め、そのうえで行き来の回数そのものを減らす組み方までを整理します。
2つの窓は同じものを見ている
FinderとターミナルはどちらもmacOSのファイルシステムを見ていて、扱っている対象は同じです。違うのは見せ方で、Finderは階層をアイコンと列で見せ、ターミナルは現在位置と文字列で見せます。
macをあんまり触ったことがない人向けに書くとfinderとはファイルシステムのことである(多分)。windowsにおけるエクスプローラ。ターミナルはコマンドプロンプト 出典: note.com
同じ対象を別の見せ方で扱っているだけなので、2つをつなぐ共通言語はパスの文字列1つです。Finderからターミナルへ渡すときも、ターミナルからFinderへ戻すときも、実際に運んでいるのはパスであり、どの経路も「パスをどうやって相手に渡すか」の違いにすぎません。
この見方をしておくと、経路を丸暗記する必要がなくなります。いま手元にパスがあるのか、それともパスを取り出すところから始めるのかで、選ぶ道具が決まります。
Finderからターミナルへ渡す4つの経路
Finder側で開いている場所を、ターミナルの現在位置にする方法は4つあります。
サービスから直接開く。 macOSのターミナルは、フォルダを右クリックしたときのメニューに項目を用意しています。日本語の環境では「新規ターミナルでフォルダに移動」と「新規ターミナルタブでフォルダに移動」という名前です。ただし既定では表示されないことがあるため、先に有効化します。システム設定の「キーボード」を開き、「キーボードショートカット…」から左の一覧で「サービス」を選び、該当する項目にチェックを入れます。ここで同時にキーの割り当てもできるので、よく使うなら1つ決めておくと右クリックの往復すら消えます。
フォルダをドラッグして貼る。 ターミナルで cd と打ち、半角スペースを入れたあと、Finderからフォルダをドラッグして落とします。パスの文字列がその場に挿入されるので、あとはReturnを押すだけです。空白や日本語が含まれるパスも、必要な引用符ごと入ります。手で打つとここで失敗するので、長いパスはこの経路のほうが確実です。
パス名をコピーする。 Finderで対象を選び、Optionキーを押しながら右クリックすると、メニューの項目が「パス名をコピー」に変わります。クリップボードに絶対パスが入るので、ターミナル側で貼り付けます。1件だけでなく複数選択でも使えます。
パスバーから拾う。 Finderの表示メニューで「パスバーを表示」を選ぶと、ウインドウの下端に現在位置の階層が並びます。ここに出ているフォルダをドラッグしてもパスが取れるので、深い階層で親フォルダを渡したいときに向きます。
4つのうち、日常的に使う価値があるのは1つ目と2つ目です。1つ目は起点がFinderに固定されているとき、2つ目はすでにターミナルで作業していて場所だけ知りたいときに効きます。
ターミナルからFinderへ戻す経路
逆方向は open コマンドが全部を受け持ちます。覚える形は3つです。
open . は現在位置をFinderのウインドウで開きます。ドットが現在のディレクトリを指す表記なので、別の場所を開きたければそこにパスを書きます。
open -R <パス> は、そのファイルを選択した状態で親フォルダを開きます。ファイル自体を開くのではなく、置かれている場所を確認したいときはこちらです。コマンドの結果に出てきたパスが本当に意図した場所なのかを目で確かめるとき、この1行が最短になります。
open -a <アプリ名> <パス> は、開くアプリを指定します。既定のアプリではなく別のもので開きたいときに使います。確認だけが目的で、いま作業している窓を前に出したくない場合は open -g を付けると、アプリを前面に出さずに開きます。
このほか、pwd | pbcopy で現在位置のパスをクリップボードに入れておく方法もあります。Finderに渡すためではなく、チャットやメモに貼るときに使える形です。
経路のほかに、表示の合わせ方も効く
パスを運ぶ経路が整っても、2つの窓が違うものを見ているように感じる場面が残ります。表示の前提が揃っていないためです。
Finderは既定で、拡張子と不可視のファイルを隠します。ターミナルの ls は拡張子をそのまま出し、ls -a を付ければドットから始まるファイルも並びます。同じフォルダを見ているのに件数が合わないとき、原因はほぼここにあります。Finderの設定で拡張子を表示する指定に変え、不可視のファイルはCommandとShiftとピリオドの同時押しで一時的に出せます。
並び順も揃いません。Finderは名前順に見えて、実際には人が読む順序に寄せた並べ方をします。ls は文字コードの順です。数字を含むファイル名で順番が食い違うのはこの差から来ています。どちらが正しいというものではなく、比べるときに同じ並びで見る必要があるという話です。
もう1つ注意が要るのは、Finderのウインドウが表示しているのが実体ではなく検索結果の場合です。検索結果の一覧からパスを渡そうとすると、見えている並びと実際の置き場所が一致しません。パスバーを表示しておけば、選んだ項目が実際にどこにあるのかがウインドウの下端に出るので、渡す前に確かめられます。
片方向だけ覚えていると詰まる
経路を覚えるときによく起きるのは、片方だけ覚えて反対方向で止まることです。Finderからターミナルへ渡す方法は記事が多いため覚えやすく、戻す側の open を知らないまま、Finderのウインドウを手で探して同じ場所まで降りている、という状態が起きます。
判断の基準は、いまどちらに情報があるかです。
- 目で見て選ぶ作業が先なら、起点はFinder。サービスかドラッグでターミナルへ渡す
- 条件で絞る作業が先なら、起点はターミナル。結果のパスを
open -RでFinderへ渡す - どちらでもない確認だけなら、
openで開いて見るだけにして、作業の場所は動かさない
3つ目が意外と効きます。確認のために作業の起点を移してしまうと、戻ったときにどこまで進んでいたかを思い出す手間が増えます。確認は確認として済ませ、起点は動かさない、と決めておくほうが早く済みます。
経路が増えても、切り替えの回数は減らない
ここまでの経路をすべて覚えると、パスを運ぶ手間は確かに減ります。ところが作業全体の時間は期待したほど縮みません。減ったのはパスを打ち込む時間で、窓を切り替える回数そのものは変わっていないためです。
実際の流れを数えると分かります。Finderで対象のフォルダを見つける。サービスでターミナルを開く。コマンドを打つ。結果に出たパスをFinderで確かめるため open -R を打つ。Finderが前に出る。中身を見て次にどうするかを決める。またターミナルへ戻る。1つの判断を挟むだけで、前面に出ているアプリが4回入れ替わります。
1回あたりの切り替えは1秒前後でも、問題は時間ではなく中断です。窓が切り替わるたびに、いま何をしていたかを思い出す工程が挟まります。同じ作業を10回繰り返す場面では、この思い出す工程のほうが合計で長くなります。
経路を増やす方向で改善できるのは、パスを運ぶ手間までです。切り替えの回数を減らすには、別の決め方が要ります。
数える基準を1つ決めておく
改善したかどうかを判断するには、測る対象を決めておく必要があります。作業が速くなった気がする、という感覚は道具を変えた直後に必ず出るので、基準にはなりません。
使える基準は、1つの判断に必要な前面アプリの入れ替え回数です。Finderで対象を選び、コマンドを打ち、結果を確かめ、次にどうするかを決めるまでに、前面に出ているアプリが何回入れ替わるかを1度だけ数えます。この回数は道具の配置で決まるので、体調や慣れに左右されません。
数えてみると、経路を覚えるだけでは回数が減らないことがはっきりします。減るのは打ち込む文字数のほうで、回数を減らすには配置を変える必要がある、という順序が見えます。
行き来をやめる3つの組み方
1つ目は、主従を決めることです。 Finderを主にするなら、コマンドを打つ場面をサービスの呼び出しに限定し、結果の確認もFinder側で行います。ターミナルを主にするなら、ls と open -R で済ませ、Finderは最終確認だけに使います。両方を対等に使うと、切り替えが最も多くなります。
2つ目は、よく使う組をキーに割り当てることです。 サービスにキーを割り当てておくと、右クリックまでの移動が消えます。同じことはシェル側でもできて、open -R を短い別名として登録しておけば、打つ文字数が減ります。回数の多い操作だけを対象にするのが要点で、全部を短縮しようとすると覚えられません。
3つ目は、そもそも同じ窓に置くことです。 フォルダの一覧とコマンドの入力欄が同じウインドウの中にあれば、パスを運ぶ工程も、前面のアプリが入れ替わる工程も、どちらも発生しません。Finderで選んでいるフォルダがそのまま現在位置になり、コマンドの結果に出たパスをその場でクリックして中身を見られます。
3つのうち、効果が続くのは3つ目です。1つ目と2つ目は人が決まりを守り続ける前提に立っているので、忙しくなると崩れます。配置そのものが変わっていれば、守る必要がありません。
AIを足すと窓が3つになる
ここに近年もう1つ増えた要素があります。ファイルをどう処理するかをAIに相談する場面です。
このとき窓は3つになります。フォルダを見る窓、コマンドを打つ窓、相談する窓です。相談の材料としてパスやファイル名を渡す必要があるため、コピーして貼る工程も増えます。渡す情報が増えるほど、貼り間違いも起きます。切り替えの回数は3つの窓を行き来する形になり、2つだったときより増えます。
フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある構成にすると、この3方向の行き来がまとめて消えます。選んでいるフォルダがコマンドの現在位置であり、同時に相談の対象でもあるので、パスを運ぶ工程そのものが要りません。何ができるようになるかはできることに、Finderや他のファイル管理との違いは他のファイル管理との比較に、費用の目安は料金にまとめてあります。手元で進めた作業を移動中に確認したい場合の考え方はiPhone・iPadから続きをにあります。
まず変えるとよいのは2点です。ひとつは、サービスの「新規ターミナルでフォルダに移動」を有効にして、キーを1つ割り当てること。もうひとつは、戻す側の open . と open -R を覚えて、Finderのウインドウを手で探すのをやめることです。この2つで運ぶ手間は減ります。そのうえで切り替えの回数が気になるなら、窓の数を減らす方向に手を付ける順序になります。
よくある質問
右クリックしても「新規ターミナルでフォルダに移動」が出てきません?
サービスの項目が有効になっていない可能性があります。システム設定の「キーボード」を開き、「キーボードショートカット…」から「サービス」を選んで、該当する項目にチェックを入れてください。またこの項目はフォルダを対象としたときに表示されるため、ファイルを選んで右クリックした場合は出てきません。フォルダ自体か、フォルダの背景を右クリックして確かめてください。
ターミナルでいる場所をFinderで開く方法は?
open . で現在位置がFinderのウインドウとして開きます。特定のファイルの置き場所を確かめたいときは open -R パス にすると、そのファイルを選択した状態で親フォルダが開きます。作業している窓を前に出したくないときは open -g を付けると、アプリを前面に出さずに開けます。
長いパスを手で打つと打ち間違えます。確実な方法はありますか?
2つあります。ターミナルで cd と打って半角スペースを入れたあと、Finderからフォルダをドラッグして落とすと、必要な引用符ごとパスが挿入されます。もうひとつは、Finderで対象を選びOptionキーを押しながら右クリックして「パス名をコピー」を選ぶ方法です。どちらも空白や日本語が入ったパスで失敗しません。
Finderとターミナルはどちらをメインにすればよいですか?
作業の性質で決めてください。目で見て選ぶ工程が多いならFinderを主にして、コマンドはサービスの呼び出しに限定します。条件で絞る工程が多いならターミナルを主にして、Finderは最終確認だけに使います。両方を対等に使うと切り替えが最も多くなるため、どちらかに寄せたほうが手数が減ります。