Finderのタグの代わりになるもの|置き換えられる4つと、代えがきかない1つ

Finderのタグの代わりを探す場面は、だいたい2つに分かれます。ひとつは色を付ける運用が三日で止まってしまい、付いているタグと付いていないファイルが混ざって信用できなくなった場合。もうひとつは、タグを付けたファイルを誰かに渡したり外付けのディスクへ出したりした瞬間に、色が消えていた場合です。この2つは原因が別物なので、対処も別になります。手がかりになるのは、タグという機能がひとつの仕事をしているのではなく、性質の違う4つの仕事をまとめて引き受けているという点です。分解すれば、他の手段に渡せる部分と、渡せない部分がはっきりします。

タグの実体は、ファイルに貼り付いた短い文字列と、Finderが持つ名前の一覧

タグは2箇所に分かれて保管されています。ここを分けて見ないと、代わりの立て方を間違えます。

ひとつ目はファイル側です。タグはファイルの中身ではなく、ファイルに付随する拡張属性という領域に書き込まれます。名前は com.apple.metadata:_kMDItemUserTags で、中身はバイナリ形式のプロパティリストです。ターミナルで取り出して展開すると、Red という文字と 6 という数字を改行でつないだ文字列が並んでいるのが見えます。赤に割り当てられている番号が6で、色を持たない自分で名付けたタグは番号の部分が付かないか、既定の色の番号が付きます。つまりファイル側にあるのは、名前と色番号の組を並べた配列ひとつだけです。

ふたつ目はFinder側です。どのタグが存在していて、そのうちどれをよく使う枠に置いているかは、ファイルではなくFinderの設定に入っています。com.apple.finder の設定を読むと FavoriteTagNames という項目に枠が8つ並んでいて、先頭が空、残りがレッド、オレンジ、イエロー、グリーン、ブルー、パープル、グレイという既定の名前になっています。この並びはキーボードの割り当てとそのまま対応します。

Control+1キーからControl+7キーまでを使用して、よく使うタグを追加(または削除)できます。Control+0(ゼロ)キーを押すと、ファイルからすべてのタグが削除されます。 出典: support.apple.com

先頭の空の枠がControl+0、つまり全部外す動作に対応しています。手で押せる枠が7つしかないという制約は、後で運用を設計するときに効いてきます。

この二層構造が分かると、代わりを考える範囲も決まります。ファイル側の配列は、名前とフォルダに置き換えられます。Finder側の一覧は、保存した検索の並びに置き換えられます。

タグが引き受けている仕事は、性質の違う4つに分かれる

同じ「タグを付ける」という操作でも、頭の中でやっていることは場面ごとに違います。分けると次の4つになります。

  • 状態の印。未処理、確認待ち、完了といった、時間とともに書き換わる印
  • フォルダをまたいだ束ね。ひとつの案件の資料が、請求書のフォルダと素材のフォルダと受信のフォルダに散っている状態をつなぐ
  • 目で見つけるための色。一覧を上から眺めたときに、探しているものが視界に飛び込んでくるようにする
  • 検索の入口。サイドバーのタグをクリックすれば、条件を打たずに絞り込みが終わる

4つは必要な性質がまったく違います。状態の印は書き換えの頻度が高く、1日に何度も付け外しします。束ねは逆にほとんど書き換わらず、代わりに取りこぼしが許されません。色は見た目だけの話で、機械が読む必要はありません。検索の入口は索引が作られていることが前提で、索引が無ければ何も返ってきません。

運用が続かなくなる原因は、たいていこの4つを1組の色で兼用したことにあります。赤を「急ぎ」の意味で使い始めた人が、途中から赤を「未確認」の意味でも使い、さらに別の月には赤を「A社の案件」の意味で使う。こうなると赤で絞り込んだ結果が3種類の意味の混ざった山になり、絞り込む価値が消えます。代わりを立てる前に、自分がどの仕事のためにタグを使っていたのかを分けて書き出すほうが先です。

4つの仕事を、それぞれ何に渡せるか

分けたあとは、仕事ごとに別の手段へ渡します。全部を1つの代替手段に押し込もうとすると、必ずどこかで無理が出ます。

タグが担っていた仕事 渡す先 手に入るもの 引き換えに失うもの
状態の印 状態ごとのフォルダ、またはファイル名の先頭の記号 コピーしても圧縮しても消えない。他のOSからも読める 1つのファイルが2つの状態を同時に持てない
フォルダをまたいだ束ね 条件を保存した検索(スマートフォルダ) 後から増えたファイルも条件に合えば自動で入る 条件に書けない分類は拾えない
目で見つけるための色 名前の先頭に並び順を作る番号や記号 並べ替えるだけで上に集まる。文字なのでどこでも読める 一覧の中で一瞬で目に入る強さは落ちる
検索の入口 検索条件をコマンドの別名にして残す 条件を細かく書ける。ターミナルからそのまま呼べる 最初に条件を書く手間がかかる

状態の印をフォルダに渡す方法は、いちばん地味で、いちばん壊れません。受信、作業中、完了の3つを作り、ファイルを物理的に移すだけです。移動という操作自体が記録になるので、印を付け忘れるという事故が起きません。名前の先頭に記号を置く方法も同じ効果があり、こちらはファイルを移動させたくないときに向きます。どちらも拡張属性を使わないので、ZIPに固めてもメールに添付しても情報が消えません。

束ねの仕事は、保存した検索に渡すのが素直です。Finderの検索結果は条件ごと保存でき、保存したものはサイドバーに並びます。Appleのサポート文書では、検索条件を絞り込む属性の書き方と、検索を保存してスマートフォルダにする手順が説明されています(Finderで検索結果を絞り込むスマートフォルダを作成する)。タグと違うのは、条件が残る点です。タグは付けたファイルにしか効きませんが、条件は将来のファイルにも効きます。

検索の入口は、ターミナル側に持っていくと扱いやすくなります。Spotlightの索引はコマンドからも引けるので、よく使う絞り込みを別名として登録しておけば、サイドバーのタグをクリックするのと同じ速さで結果が出ます。

代わりが用意できないのは、1つのファイルを同時に2つの場所へ置く仕事

4つのうち3つは、素直に他の手段へ渡せます。渡せないのは1つだけです。ひとつのファイルが、重複を作らずに複数の分類へ同時に属することです。

フォルダは木の構造なので、ファイルはどこか1箇所にしか置けません。同じファイルを2つのフォルダへ入れたければ、複製するか、別名やシンボリックリンクで見かけの入口を増やすことになります。複製は中身が枝分かれして古い版が残ります。リンクは元を動かした瞬間に切れることがあり、同期サービスを通すと実体ごとコピーされたり、リンクが壊れたまま同期されたりします。どちらも運用が続きません。

保存した検索は、条件に書けるものしか拾えません。拡張子、更新日、フォルダの場所、本文に含まれる語といった、機械が判定できる条件なら問題なく拾えます。拾えないのは「この資料は次の打ち合わせで使う」「この写真は採用候補」といった、人間の判断でしか付けられない分類です。この種の分類は、条件文に翻訳できません。

したがって、タグを残す価値があるのはこの一点に絞られます。機械が条件に書けない分類を、フォルダをまたいで付けたいとき。ここだけタグを使い、残りの3つは名前とフォルダと保存した検索に渡す。これが分解したあとの結論です。逆に言えば、自分の使い方を振り返って「条件に書ける分類しか付けていなかった」なら、タグを畳んでも失うものはありません。

手放すかどうかは、ファイルがMacの外へ出るかどうかで決まる

もうひとつ、機能の良し悪しとは別の判断軸があります。拡張属性は、ファイルシステムと、間に挟まる道具の両方に依存します。

実際に確かめられる例を挙げます。exFATで初期化したボリュームへタグ付きのファイルをコピーすると、ボリュームの上に ._a.txt のような連れ子のファイルが作られます。拡張属性はexFATに直接書けないため、macOSが別ファイルに退避させる仕組みです。手元で作った20MBのボリュームで試すと、この連れ子は4,096バイトで作られました。Macから読めば色は残りますが、同じUSBメモリをWindowsやLinuxで開いた相手には、中身の分からないファイルが本体と同じ数だけ増えて見えます。

圧縮も道具によって結果が変わります。zip -X で固めると拡張属性は落ち、展開したファイルにタグは残りません。macOS付属の tar は拡張属性を運ぶので、展開すると同じタグが付いた状態で出てきます。cp はそのまま運びます。つまり「圧縮したら消える」という言い方は正確ではなく、どの道具を通したかで結果が変わります。

索引の話も無視できません。Spotlightの索引が作られていないボリュームでは、ファイルにタグが書かれていても検索の側からは見つかりません。実際、先ほどのexFATのボリューム上のファイルは、拡張属性を持っているにもかかわらず、メタデータを読むコマンドから「見つからない」と返ってきました。サイドバーのタグをクリックしても何も出ないのに、ファイルを選んで情報を見ると色が付いている。この食い違いは、索引の有無で説明が付きます。

判断はここで決まります。そのファイルがMacの中だけで完結するなら、タグを残しても壊れません。相手に渡す、USBに出す、他のOSと共有する、複数の同期サービスを経由する。このどれかに当てはまるなら、その情報は拡張属性ではなく名前かフォルダに移したほうが確実です。名前は、どんなファイルシステムを通っても、どんな圧縮形式を通っても残ります。

置き換えたあとに残る作業は、条件を書いて保存すること

タグを畳んだ先に待っているのは、何もしなくてよい世界ではありません。残るのは、条件を書いて保存する作業です。保存する検索の条件、名前の付け方の規則、並び順を作るための番号。どれもテキストで、書けば残り、書かなければ何も起きません。

この作業には、性質の異なる3つの画面が同時に要ります。ファイルの並びを見る画面。条件やコマンドを打つ画面。規則そのものを考えて言葉にする画面です。3つを別々のアプリで開くと、フォルダを見て、ターミナルに切り替えて、結果を見てまたフォルダへ戻る、という往復が1件ごとに発生します。往復の回数はファイルの数に比例して増えるので、整理の対象が大きいほど、往復そのものが作業時間の大半になります。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある構成では、この往復が窓の中の移動に収まります。

具体的に何ができる構成なのかはできることに一覧があり、ファイルの一覧とコマンドの実行が同じ画面でどう並ぶかが載っています。Finderや既存のファイル管理アプリと何が違い、何が同じなのかは他のファイル管理との比較に表の形でまとまっているので、いま使っている道具を置き換える必要があるのか、併用でよいのかの判断に使えます。整理の途中でMacを離れる場面が多い人は、同じ状態をiPhoneやiPadから続けられるかどうかが分かれ目になるため、iPhone・iPadから続きをを先に読むと構成を決めやすくなります。

費用をかけずに済ませたい場合の線引きは料金にあり、無料で試せる範囲と有料の範囲が分かれています。導入前の細かい疑問、たとえば既存のタグが付いたファイルをどう扱うかといった点はよくある質問にまとまっています。

タグの代わりを探しているなら、最初にやることは道具を入れ替えることではありません。自分が4つのうちどの仕事でタグを使っていたかを紙に書き出すことです。書き出した結果、3つが条件に書ける分類だったなら、その3つを名前とフォルダと保存した検索へ渡す。残った1つだけをタグに残す。この分け方をしておけば、次にMacを買い替えたときも、外付けディスクへ引っ越したときも、印の付いたファイルが行方不明になりません。

よくある質問

Finderのタグを全部外したいとき、まとめて消す方法はありますか?

Finderでファイルを選んでControl+0(ゼロ)を押すと、そのファイルのタグがすべて外れます。複数のファイルをまとめて選んでから押せば一括で外せます。タグそのものを一覧から消したい場合は、Finderの設定にあるタグの一覧で対象を選んで削除します。この操作は、そのタグが付いていたすべてのファイルから一斉にタグを外します。

タグを付けたファイルをZIPで送ると、相手側でタグは残りますか?

使う道具によります。zip -X のように拡張属性を含めない形で固めると、展開したファイルにタグは残りません。macOS付属の tar は拡張属性を運ぶため、Mac同士なら残ります。相手がWindowsやLinuxの場合、タグを読む仕組みがないので、色の情報は事実上届かないと考えたほうが安全です。

タグは付いているのに、サイドバーのタグ検索に出てきません。原因は何ですか?

ファイルのある場所がSpotlightの索引に入っていないことが多いです。外付けのディスクやexFATのボリュームは索引が作られていない場合があり、そのときタグは書かれていても検索からは見つかりません。ファイルを選んで情報を見ると色が付いているのに検索に出てこない、という食い違いが目印になります。

フォルダで分けるのとタグを使うのは、どちらを先に決めるべきですか?

先にフォルダを決めます。フォルダは1ファイル1箇所という制約がある代わりに、コピーしても圧縮しても壊れません。そのうえで、フォルダの枠に収まらない分類、つまり複数のフォルダにまたがって同じ印を付けたい分類だけをタグに残します。この順番で決めると、タグの数が自然に絞られて運用が続きます。

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