Finderのタグがうまくいかないとき|確かめる順番と切り分け

Finderのタグの不具合として相談されるものは、実は原因の違う3つの症状がまとめて呼ばれています。印そのものが消えている場合、印は残っているのに検索に出てこない場合、印も検索も生きているのにサイドバーに表示されない場合です。この3つは壊れている場所が違うので、いきなり索引を作り直したりFinderの設定を初期化したりすると、当たりを引くまで時間だけが溶けます。ここでは症状を分けたうえで、ファイル側、索引側、表示側の順に確かめていく手順を示します。順番を守ると、たいてい2つか3つのコマンドで原因が特定できます。

まず症状を3つに分ける

切り分けの前に、いま起きていることを次のどれかに当てはめます。当てはめ方を間違えると、あとの手順が全部空振りします。

  • 症状A、印が消えた。ファイルを選んで情報を見てもタグの欄が空になっている
  • 症状B、印はあるのに見つからない。情報を見ると色が付いているのに、サイドバーのタグをクリックしても検索フィールドに名前を入れても出てこない
  • 症状C、印も検索も生きているのに並ばない。検索すれば出るのに、サイドバーにそのタグが表示されていない

判定に使うのは、情報ウインドウのタグ欄です。ここが空なら症状A、色が見えているなら症状BかC。BとCの区別は、検索フィールドにタグの名前を入力して結果が出るかどうかで付きます。結果が出るのに左のサイドバーに無いならC、結果自体が出ないならBです。

この3分割が効くのは、それぞれ壊れている層が違うからです。Aはファイルに付随する領域の話、Bは検索の索引の話、Cは表示の設定の話。層が違えば、確かめるコマンドも、直し方も変わります。

症状Aの確かめ方は、印が本当に無いのかを直接読むこと

情報ウインドウの表示は、Finderが解釈した結果です。解釈の手前、ファイルに書かれている生の状態を読むと、消えたのか、読めていないだけなのかが分かります。

タグはファイルの中身ではなく、ファイルに付随する拡張属性という領域に書かれます。名前は com.apple.metadata:_kMDItemUserTags です。ターミナルで xattr -l を実行すると、その属性が付いているかどうかがそのまま出ます。属性が一覧に無ければ、印は本当に消えています。属性はあるのに情報ウインドウが空に見えるなら、ファイルではなく表示の側の問題です。

印が本当に消えている場合、次に見るのは「そのファイルが何を通ってきたか」です。手元のmacOS 26で同じタグを付けたファイルを各経路に通して確かめた結果は、次のようになりました。

通した経路 タグの属性
cp でコピー 残った
ditto でコピー 残った
付属の tar で固めて展開 残った
付属の zip で固めて展開 消えた

「圧縮すると消える」と一括りにされがちですが、実際には道具ごとに結果が違います。同じMac同士のやり取りでも、zipを経由した瞬間に落ちます。メールに添付するときやクラウドストレージの共有リンクで渡すときは、途中でzipに固め直されることがあるため、受け取った側で印が無いのは正常な結果です。

同期サービスを経由した場合も同じ結果になることがあります。Appleがタグの働く範囲として挙げているのは、Macに保存されたファイルとiCloud Driveに置かれたファイルです。この説明は、それ以外の同期サービスやネットワーク共有について何も述べていません。別の同期サービスを往復したあとにタグが消えているのは、Mac側の誰かが消したのではなく、その経路が運ばなかったという結果です。判断に迷う場合は、1件だけタグを付けたファイルを往復させ、戻ってきた状態を読めば済みます。

もう1つ、症状Aに見えて操作が原因のものがあります。Control+0はファイルからすべてのタグを外す割り当てで、タグを付けるControl+数字のすぐ隣にあります。複数のファイルを選んだ状態で押すと、確認も出ないまま全部の印が同時に外れます。コピーも圧縮もしていないのにフォルダ単位で印が消えたときは、この操作を疑います。

もう1つ、保存先のボリュームが拡張属性を書けるかどうかも効きます。書けない形式のボリュームへコピーすると、macOSは属性を別ファイルに退避させます。Mac側からは色が見えるので気づきにくく、同じディスクを他のOSで開いた相手にだけ、中身の分からないファイルが増えて見えます。

症状Bは索引の問題で、確かめる場所を間違えやすい

印は残っているのに検索に出てこない。この症状の原因は、ほぼ検索の索引です。タグの検索はファイルを1つずつ見に行くのではなく、Spotlightが作った索引を引いているので、索引に載っていなければ何も返りません。

確かめ方は2段階です。まず、そのファイルが索引に載っているかを直接見ます。mdls -name kMDItemUserTags をファイルに対して実行すると、索引が持っているタグの名前が出ます。ここが (null) なら、ファイルに属性はあるのに索引には無い、という状態です。症状Bの正体はこれです。

実際に手元で確かめた例があります。同じ内容のファイルに同じ手順でタグを書き込み、一方をホームフォルダに、もう一方を一時ファイル置き場に置きました。ホームフォルダのほうは mdls がタグの名前を返し、検索でも見つかりました。一時ファイル置き場のほうは、拡張属性が付いているにもかかわらず mdls(null) を返し、検索しても0件でした。同じMacの同じディスクでも、置いてある場所によって索引に入るかどうかが変わります。

次に見るのはボリューム全体の索引の状態です。ここで多くの人がつまずきます。mdutil -s / だけを見て「索引が無効になっている」と判断してしまうケースです。同じMacで全ボリュームの状態を出すと、次のようになりました。

  • / は「Indexing disabled.」
  • /System/Volumes/Data は「Indexing enabled.」

いまのmacOSはシステムの領域と利用者のデータの領域が別ボリュームに分かれているため、/ が無効と表示されるのは正常な状態です。実際にファイルが置かれているのはデータ側で、そちらが有効なら検索は動きます。/ の表示だけを見て索引を作り直す操作に進むと、何時間もかけて索引を再構築したうえで症状が変わらない、という結果になります。全ボリュームの状態をまとめて出してから判断します。

索引に載っていないことが確定したら、その場所が索引の対象外になっていないかを確認します。一時ファイル置き場のような場所は既定で対象外です。対象外の場所にある業務ファイルは、タグに限らず本文検索にも出てこないので、置き場所ごと移すのが本筋の対処になります。

症状Cは表示の設定で、ファイルにも索引にも異常がない

検索すれば出るのにサイドバーに無い。この症状はファイルも索引も正常で、表示する対象の設定だけが外れています。

サイドバーに出すタグは、Finderの設定で選びます。設定のタグの欄に、そのMacに存在するタグの一覧が並び、右側のチェックボックスが入っているものだけがサイドバーに出ます。新しく作ったタグは、この欄のチェックが外れた状態になっていることがあります。

サイドバーに表示されるタグを変更するには、「Finder」>「設定」と選択して「タグ」をクリックしてから、表示するタグを選択します。 出典: support.apple.com

もう1つ、キーボードで押せる枠の並びが崩れている場合があります。Finderの設定ファイルを読むと、よく使うタグの枠が8つ並んでいて、先頭が空、残りがレッドからグレイまでの既定の名前になっています。先頭の空欄はすべて外す動作に対応する位置です。この並びを自分で入れ替えたあとにControl+数字で意図しないタグが付く場合は、枠の割り当てが想定とずれています。

この欄には、もう1つ注意すべき操作があります。一覧からタグを削除すると、そのタグが付いていたすべてのファイルから一斉に外れます。「使っていないから片付けよう」と削除した結果、別のフォルダにあった数百件の印がまとめて消えることがあります。削除の前に、そのタグで検索して件数を見ておくと事故を避けられます。

名前が似ているだけの別のタグ、という見落とし

3つの症状のどれにも当てはまらないのに結果がおかしい、という場合に多いのが、名前の違う2つのタグが混在しているケースです。

索引が持っているのはタグの名前だけで、色の番号は持っていません。実際に索引の中身を読むと、赤のタグは色の番号が落ちて名前だけが記録されています。つまり、同じ赤色に見える2つのタグでも、名前が違えば別のタグとして扱われます。逆に、名前が同じなら色が違っても同じタグとして検索に出ます。

よくあるのは、途中で表記を変えた場合です。「確認待ち」と「要確認」、「済」と「完了」のように、意味が重なる名前が両方存在すると、どちらで絞り込んでも半分しか出てきません。この状態は不具合のように見えますが、機能としては正しく動いています。Finderの設定のタグ一覧を開いて、意味の重なる名前が並んでいないかを確認します。

似た見落としに、他のMacから移行した直後の状態があります。移行してきたファイルには前のMacで付けた名前がそのまま残り、新しいMacの一覧に自動で合流します。前のMacで使っていた表記と、いま使っている表記が違えば、その時点で二重になります。移行のあとは、一覧を一度上から見て名寄せしておくと、あとで混乱しません。

直したあとに、同じ不具合を繰り返さないための置き方

原因が分かって直したあと、同じ症状を繰り返さないために決めることが2つあります。

1つ目は、印を付ける対象を索引の届く場所に置くことです。一時ファイル置き場や、索引の対象外にした場所に業務ファイルを置いたままだと、タグを付けても検索から見えません。これは設定で直す問題ではなく、置き場所を決め直す問題です。

2つ目は、Macの外へ出るファイルの分類を拡張属性に預けないことです。渡す、USBに出す、他のOSと共有する。このどれかに当てはまるファイルの分類は、名前に書いておくほうが確実です。名前は、どの経路を通っても残ります。

この2つを決めるには、実際にファイルの並びを見ながら、確かめるコマンドを打ち、置き場所の規則を言葉にする作業が要ります。3つの作業は必要な画面が違うため、別々のアプリで開くと、一覧を見てターミナルに切り替えて結果を見てまた戻る、という往復が1件ごとに発生します。不具合の切り分けは試行の回数が多い作業なので、往復の回数がそのまま所要時間に効いてきます。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある構成なら、この往復が窓の中の移動に収まります。

どの画面がどう並ぶのかはできることにまとまっていて、ファイルの一覧とコマンドの実行が同じ画面に載る形が確認できます。Finderや他のファイル管理アプリと何が違い、何が同じなのかは他のファイル管理との比較に表で整理されているので、置き換えるのか併用するのかの判断に使えます。切り分けの途中でMacを離れることが多い場合は、同じ状態をiPhoneやiPadから続けられるかどうかが効いてくるため、iPhone・iPadから続きをを見ておくと構成を決めやすくなります。タグの名前を日本語以外で付けている場合に扱える範囲は対応言語にあります。

無料で試せる範囲と有料になる範囲の線引きは料金にあり、導入前の細かい疑問、たとえば既存のタグが付いたファイルをどう扱うかといった点はよくある質問に整理されています。

不具合に見える現象の多くは、壊れているのではなく、印と索引と表示という3つの層のどこかが噛み合っていないだけです。症状を3つに分け、ファイル側から索引側、表示側の順に1つずつ確かめる。この順番を決めておけば、次に同じことが起きたときも、当てずっぽうで索引を作り直す必要がなくなります。

よくある質問

タグは付いているのに、サイドバーのタグをクリックしても何も出てきません。どこを見ればよいですか?

検索の索引にそのファイルが載っていない可能性が高いです。ターミナルで mdls -name kMDItemUserTags をそのファイルに対して実行し、結果が (null) なら索引に載っていません。次にボリューム全体の索引の状態を確認します。このとき / だけを見ると「無効」と出ることがありますが、いまのmacOSでは正常な表示なので、データ側のボリュームの状態もあわせて見てください。

ファイルをコピーしたらタグが消えました。どの操作で消えるのですか?

通した道具によって結果が変わります。手元のmacOS 26で試したところ、cpditto、付属の tar はタグを運びましたが、付属の zip で固めて展開すると消えました。メールの添付や共有リンクの経路では途中でzipに固め直されることがあるため、受け取り側にタグが無いのは異常ではありません。相手に分類を伝えたい場合は、ファイル名に書いておくほうが確実です。

Finderの設定でタグを削除すると、ファイルに付いた印はどうなりますか?

そのタグが付いていたすべてのファイルから一斉に外れます。1つのファイルだけから外したい場合は、そのファイルを選んでタグを編集する操作を使います。設定の一覧からの削除は在庫そのものを消す操作なので、実行する前に、そのタグで検索して何件付いているかを確認しておくと事故を防げます。

同じ色のタグなのに、検索すると一部しか出てきません。なぜですか?

検索の索引が持っているのはタグの名前だけで、色の番号は持っていないためです。同じ色に見えても名前が違えば別のタグとして扱われます。「確認待ち」と「要確認」のように意味の重なる名前が両方存在していないか、Finderの設定のタグ一覧で確認してください。別のMacから移行した直後は、前のMacで使っていた表記が合流して二重になっていることがあります。

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