Finderのタグをどう選ぶか|4つの質問で決める分類の置き場所
Finderのタグの選び方を調べる人が本当に知りたいのは、どの色を何の意味に割り当てるかではありません。そもそもこの分類をタグでやるべきなのか、フォルダでやるべきなのか、名前に書くべきなのかという、置き場所の判断です。色から決め始めると、赤と青の意味は決まっても、半年後に付け忘れが増えて運用が止まります。ここでは、分類そのものの性質を4つの質問で測り、置き場所を機械的に振り分ける手順を示します。そのうえで、手で押せる枠の数から本数の上限を決め、本運用に入る前の試運転の方法までを扱います。
選び方の出発点は、ファイルではなく「あとで何と言って呼び出すか」
タグを設計するとき、多くの人は目の前のファイルを見ながら「これは何と呼べばいいか」を考えます。この順番だと必ず数が増えます。目の前のファイルには特徴がいくらでもあるからです。プロジェクト名、依頼元、種類、締切、状態、担当者。全部に名前を付けたくなり、結果として20を超える一覧ができあがります。
逆から始めると数は減ります。出発点は、将来の自分が何と言って呼び出すかです。「先週レビューが返ってきたやつ」「A社に出す前の最終版」「請求書だけまとめて」。この言い回しが、そのまま分類の候補になります。ここで重要なのは、口に出して自然な言い回しが5つも出てこないことです。実際に呼び出す軸は、たいてい3つか4つに収まります。20の特徴のうち、呼び出しに使うのはその一部でしかありません。
呼び出しに使わない特徴は、分類に昇格させないのが正解です。ファイルの中身を見れば分かる情報、たとえば拡張子や作成日は、わざわざ印を付けなくても検索条件で書けます。印を付けるべきは、ファイルを開かないと分からない情報のうち、しかも呼び出しに使うものだけです。この絞り込みを先にやっておくと、次の振り分けが一気に楽になります。
4つの質問で、置き場所を振り分ける
呼び出しの言い回しから候補を出したら、1つずつ次の4つの質問にかけます。答えの組み合わせで、置き場所が決まります。
- その分類は時間とともに書き換わるか。未処理から完了へ移るような印か、一度決めたら変わらない属性か
- その分類は複数のフォルダにまたがるか。1つのフォルダの中に収まるなら、フォルダ自体が分類になっている
- その分類は機械が判定できる条件に書けるか。拡張子・更新日・場所・本文の語で表現できるなら書ける
- そのファイルはMacの外へ出るか。渡す、USBに出す、他のOSと共有する予定があるか
4つの答えから、置き場所は次のように決まります。
| 書き換わるか | フォルダをまたぐか | 条件に書けるか | 置き場所 |
|---|---|---|---|
| 書き換わる | またがない | どちらでも | 状態ごとのフォルダ |
| 書き換わる | またぐ | 書けない | タグ(少数精鋭で使う) |
| 書き換わらない | またがない | どちらでも | フォルダの構造そのもの |
| 書き換わらない | またぐ | 書ける | 保存した検索 |
| 書き換わらない | またぐ | 書けない | タグ(本命の用途) |
4つ目の質問だけは、置き場所を決めるのではなく、決めた置き場所を却下する働きをします。Macの外へ出るファイルなら、上の表でタグに振り分けられた分類であっても、名前に書くほうが安全です。タグはファイルに付随する領域に書かれるため、経路によっては届きません。Appleの説明も、機能する範囲をMacとiCloud Driveに限って書いています。
タグは、ファイルやフォルダがMacに保存されているかiCloud Driveに保持されているかにかかわらず、すべてのファイルやフォルダで機能します。 出典: support.apple.com
この一文は、裏を返せばそれ以外の経路について何も保証していないという意味でもあります。社外に渡す資料の分類をタグに預けるのは、選び方としては筋が悪い判断になります。
条件に書けるなら、タグより保存した検索が有利になる理由
3つ目の質問で「条件に書ける」と答えが出た分類は、タグではなく保存した検索に置くのが定石です。理由は手間の差ではなく、効き方の差にあります。
タグは、付けたファイルにしか効きません。付けた時点で存在していなかったファイルには、当然ながら効きません。つまりタグは過去に対する操作です。一方、保存した検索は条件が残るので、あとから増えたファイルにも自動で効きます。こちらは未来に対する操作です。
Mac上で条件を満たすファイルを追加、変更、または削除すると、スマートフォルダ内のファイルのリストが自動的にアップデートされます。 出典: support.apple.com
この差は、分類の対象が増え続ける場面ではっきり出ます。たとえば「先月以降に受け取ったPDF」という分類をタグでやると、受け取るたびに付ける作業が発生し、忙しい日に取りこぼします。条件で書けば作業はゼロになり、取りこぼしも起きません。
Finderの検索は、条件を追加して絞り込み、その状態を保存できます。条件の追加方法と保存の手順はAppleのサポート文書にまとまっています(MacのFinderで検索結果を絞り込む)。選び方の観点で言えば、条件に書けるかどうかを先に確かめる習慣を付けるだけで、タグの本数は半分以下に減ります。減らせるものを減らしてから、残ったものにタグを割り当てる。この順番が逆になると、あとから整理し直す羽目になります。
本数の上限は、キーボードの枠の数で決まる
置き場所が決まったら、次は本数です。ここは好みではなく、手で押せる枠の数という物理的な制約で決まります。
Finderの設定には、よく使うタグを入れる枠が用意されています。設定ファイルの中身を読むと、枠は8つ並んでいて、先頭が空、残りがレッドからグレイまでの既定の名前です。先頭の空欄はすべて外す動作に対応しているので、実際に何かを割り当てられるのは7つです。
7という数字は、そのまま「見ずに押せるタグの上限」になります。枠に入っていないタグは、メニューから選ぶか名前を入力することになり、1件あたり数秒かかります。数秒は一見小さいですが、忙しい日に省略される程度には大きい。付け忘れはここから始まります。付いているファイルと付いていないファイルが混ざった時点で、絞り込んだ結果は信用できなくなります。
したがって選び方の実務的な結論は、常時使うタグを7本以内に収めることです。7本に3つの軸を詰め込むことはできません。1つの軸を選んで枠を渡し、残りの軸はフォルダと名前に逃がします。どの軸を選ぶかは、書き換えの頻度がいちばん高い軸です。頻度の高い操作ほど、押しやすさの効果が大きくなるからです。
名前の付け方で、半年後の見分けがつくかが決まる
本数を絞ったら、名前を決めます。ここで効くのは、意味の分かりやすさよりも、並べたときの見分けやすさです。
軸を接頭辞にする書き方が扱いやすくなります。「状態/未処理」「状態/確認待ち」のように、軸の名前を先頭に置くと、一覧が軸ごとにまとまります。軸が1つしかない設計にしたなら接頭辞は不要ですが、あとから2つ目の軸を足したくなったときに、接頭辞が無いと混ざります。
避けたいのは、似た名前を並べることです。「確認」と「要確認」、「済」と「完了」のような組は、時間が経つと両方が使われ、どちらで絞り込んでも半分しか出てこない状態になります。名前を決める段階で、意味が重なる候補はどちらか一方に寄せておきます。
色の割り当ては、意味と対応させるより、押す指の位置と対応させるほうが続きます。左から順に工程の順番で並べると、Control+1から順に押すだけで工程が進む形になり、色の名前を覚える必要がなくなります。色そのものに意味を持たせると、色数が足りなくなったときに破綻します。
もう1つ、検索する側から見た注意があります。Spotlightの索引に入るのはタグの名前だけで、色の番号は入りません。実際に索引の中身を読むと、赤のタグは番号が落ちて名前だけが記録されています。つまり色は表示のための情報であり、検索の手がかりとしては名前しか使えません。名前を適当に付けて色で見分ける運用は、検索の側から見ると何も分類していないのと同じことになります。
決めた設計は、2週間の試運転で確かめてから広げる
設計ができたら、全ファイルに適用する前に試運転をします。いきなり数千件に付けると、途中で設計を変えたくなったときに取り消す作業が膨らみます。
試運転の範囲は、直近1か月に触ったファイルだけで十分です。期間は2週間。この間に確かめるのは3点です。第一に、決めた軸だけで実際に呼び出せたか。呼び出すときに「そういえばあれは別の軸だった」と迷った回数を数えます。第二に、付け忘れがどれくらい出たか。試運転の終わりに対象範囲を見渡して、印の付いていないファイルの割合を見ます。2割を超えて付け忘れが出るなら、本数が多すぎるか、軸が実態と合っていません。第三に、7つの枠で足りたか。枠の外のタグを何回使ったかを数えます。
試運転で外れたら、タグを増やすのではなく減らします。増やす方向の修正は、ほぼ必ず失敗します。足りないと感じる場面の多くは、タグが足りないのではなく、その分類がそもそもフォルダか条件で表せるものだったという診断になります。
一覧の手入れも試運転のうちです。Finderの設定のタグ一覧が、そのMacに存在するタグの在庫表になっています。試運転で使わなかったタグは、ここから削除します。ただしこの削除は、そのタグが付いていたすべてのファイルから一斉に外れる操作なので、試運転の範囲外のファイルに同じ名前のタグが付いていないかを先に確かめます。
設計と実装を同じ窓の中で終わらせる
選び方の作業は、最後に必ず手を動かす工程に降りてきます。保存する検索の条件を書く。名前の規則を決めて既存のファイルに当てる。タグの在庫表を整理する。この3つは性質が違い、必要な画面も違います。ファイルの並びを見る画面、条件やコマンドを打つ画面、規則そのものを言葉にして詰める画面です。
3つを別々のアプリで開くと、確認のたびに窓を行き来することになります。往復の回数は対象ファイルの数に比例して増えるので、試運転の段階では気にならなかった手間が、本運用で数千件に広げた途端に効いてきます。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある構成なら、この往復が窓の中の視線移動に収まります。
どの画面がどう並ぶのかはできることに一覧があり、ファイルの一覧とコマンドの実行が同じ画面に載る形が確認できます。いま使っているFinderや他のファイル管理アプリと何が違い、何が同じなのかは他のファイル管理との比較に表でまとまっているので、置き換えるのか併用するのかの判断材料になります。分類の設計を出先で詰めることが多い場合は、同じ状態をiPhoneやiPadから続けられるかが分かれ目になるため、iPhone・iPadから続きをを先に見ておくと構成を決めやすくなります。日本語以外でファイル名の規則を作る場合は、扱える言語の範囲が対応言語にまとまっています。
費用の線引き、つまり無料で試せる範囲と有料になる範囲は料金にあります。既存のタグが付いたファイルをどう扱うかといった導入前の細かい疑問はよくある質問に整理されています。
選び方の結論を一行にすると、こうなります。分類を4つの質問にかけ、条件に書けるものを保存した検索へ、書き換わるものをフォルダへ逃がし、残った「フォルダをまたぎ、条件にも書けない判断」だけを7本以内のタグに載せる。この順番で決めておけば、Macを買い替えても、外付けディスクへ引っ越しても、分類が行方不明になりません。
よくある質問
Finderのタグは何個まで作れますか?
作れる数に実用上の上限はありませんが、続けられる数には上限があります。キーボードで押せる枠が7つしかないため、常時使うタグは7本以内に収めるのが現実的です。枠の外のタグはメニューから選ぶか名前を入力することになり、忙しいときに省略されて付け忘れの原因になります。まれにしか使わない分類は、タグではなく保存した検索に置くほうが安定します。
タグとフォルダとスマートフォルダは、どう使い分ければよいですか?
分類が時間とともに書き換わるならフォルダ、機械が判定できる条件に書けるならスマートフォルダ、フォルダをまたぐうえに条件にも書けない判断だけをタグに載せます。この順で振り分けると、タグの本数が自然に減ります。条件に書ける分類をタグでやると、あとから増えたファイルに付け直す作業が発生し続けます。
タグの色と名前は、どちらを基準に決めるべきですか?
名前です。Spotlightの索引に記録されるのはタグの名前だけで、色の番号は入りません。検索する側から見ると色は手がかりにならないため、名前が適当だと分類として機能しません。色は押す指の位置、つまりControl+1から順に工程が進む並びに合わせると、覚える手間が減って運用が続きます。
決めたタグの設計は、いつ見直せばよいですか?
まず2週間の試運転をして、直近1か月に触ったファイルだけに適用します。その期間の終わりに、付け忘れの割合と、7つの枠の外を使った回数を数えます。付け忘れが2割を超えるなら本数が多すぎる合図なので、増やすのではなく減らす方向で直します。本運用に入ったあとは、半年ごとにFinderの設定のタグ一覧を見て、使っていないものを外します。