Hazelの使い方|設定する順番を先に決めておく

「Hazel tsukaikata」で調べている時点で、多くの場合つまずいているのは機能の数ではなく、どこから手を付けるかの順番です。ルールを1本足す操作そのものは数分で終わります。一方で、どのフォルダを見張らせるか、ルールをどの並びに置くかは、後から直そうとすると手元のファイルが実際に動いてしまったあとになります。ここでは公開されている資料をもとに、設定を始める前に決めておくと後戻りが減る順番を整理します。

先に、この道具が前提にしているものを確かめる

Hazelは指定したフォルダを見張り、条件に合った項目に操作を加える常駐型の道具です。作っているのはNoodlesoft, LLCで、開発者のブログによれば最初の公開から20年が経っています。長く続いている道具ほど、過去の記事に書かれた手順と今の画面が食い違いやすく、ここが最初の混乱の元になります。

はっきりしているのは版と動作条件です。現行はHazel 6で、公式マニュアルのインストール手順には、macOS 12 Monterey以降が必要だと書かれています。古い記事では設定がシステム環境設定のパネルとして説明されていることがありますが、現在はアプリケーションフォルダに入る独立したアプリです。ディスクイメージを開いてアプリをインストールし、そこから設定していきます。

料金も先に見ておくと判断が早くなります。公式ストアでは、1本が42ドル、同じ世帯の5人まで使えるファミリーパックが65ドル、旧版からの移行が20ドルと提示されています。月額ではなく買い切りで、大きな版が変わるときに移行費用を払う形です。毎月の支払いを増やしたくない人と、初期費用をゼロに抑えたい人で、ここの受け止め方が変わります。

最初に決めるのはルールではなく、見張らせるフォルダ

設定の入口はルールではありません。どのフォルダを見張らせるかです。ここを広く取りすぎると、当たってほしくないファイルまで条件に触れます。狭く取りすぎると、目的のファイルが別の場所に降りてきて何も起きません。

実務では、入口になっているフォルダから1つだけ選ぶのが扱いやすい形です。ダウンロードフォルダ、デスクトップ、スキャナやスクリーンショットの保存先など、自分で置いたのではないファイルが増える場所が候補になります。逆に、すでに整理が済んでいる保管用のフォルダを最初の監視先にすると、動かしてはいけないものを動かす事故に近づきます。

もう1つ、この道具はスマートフォルダも監視先にできます。条件で集めた仮想的な一覧に対してルールを当てられるので、場所ではなく属性で拾いたいときに使えます。ただし公式マニュアルには制限があると明記されているため、最初の1本をここから始めるのは向きません。物理的なフォルダで動きを確かめてから広げる順番が無難です。

監視先を決めたら、そのフォルダに今入っている件数と種類を数えておきます。何本目のルールで何件が動いたのかを後から見比べる材料になり、ルールの効き方を目で確認できます。

ルールは上から順に見て、当たったら1本で止まる

ここが最も誤解されやすい部分です。この道具は、1つのファイルに対して当てはまるルールを全部実行するわけではありません。公式マニュアルの説明では、最初のルールの条件を1件目のファイルに当て、合えばそのルールの操作を順に実行して次のファイルへ移ります。合わなければ次のルールを試し、これを繰り返します。

つまり、1つのファイルに実際に走るのは最初に当たった1本だけです。名前がAで始まるものに赤いタグを付けるルールが上にあり、拡張子がpngのものをプレビューで開くルールが下にあるとき、Apple.pngというファイルには上のルールだけが走ります。下のルールは試されません。

両方を効かせたいときのために、「Continue matching rules」という操作が用意されています。これを上のルールに足すと、当たったあとも次のルールへ渡ります。ただし次のルールが当たった時点で、そこにも同じ操作が入っていない限り、そこで止まります。

この作りから、設計の要点は条件の書き方よりも並び順になります。目安として、対象が狭いルールを上に、広く拾うルールを下に置きます。「請求書という語を含むPDFだけを仕分ける」を上に、「PDFは全部この場所へ」を下に置く形です。逆順にすると、下のルールに一生届きません。ルールを増やしていくと必ず起きる詰まり方なので、最初から並び順を意識して足していくと後の手戻りが減ります。

動かす前に、当たり方を目で確かめる

ルールを保存すると、条件に合うファイルは実際に動きます。取り返しの付く操作かどうかは後述しますが、まず動かす前に確認する手段が2つ用意されています。

1つはプレビューです。ルールの編集中に「Preview Rule」を選ぶか、Command+Option+Pキーを押し、フォルダの中のファイルを1つ選んで当ててみます。ルール全体が合っていれば条件の上に合致した旨が表示され、条件ごとにも合否の印が付きます。印をクリックすると、その条件が見ている実際の値が出ます。日付や名前のどこがずれているのかは、ここで初めて具体的に分かります。プレビューは操作を実行しないので、確認だけで終えられます。無効にしてあるルールでも試せます。

もう1つは「Rule Status」の表示です。フォルダの中のファイルに対して、どのルールが当たるのかを一覧で見られます。プレビューが1件ずつなのに対し、こちらは全体の当たり方を見渡せるので、並び順を決めるときに向いています。

それでも思った通りに動かないときは、ログを見ます。ヘルプメニューから記録を開き、対象のファイル名で絞り込みます。さらに詳しい記録が要るときは、デバッグモードを有効にすると出力が増えます。原因の切り分けは、この3段階で大半が済みます。

元に戻せる操作と、戻せない操作を分けておく

自動で動く道具を入れるときに一番気になるのは、間違った操作が走ったときに戻せるかどうかです。現行版にはFinderの右クリックから「Revert」を選ぶ、あるいはメニューバーのアイコンから選ぶという戻し方が用意されています。ただし対象は全部ではありません。

戻せる操作 戻せない操作
移動、名前の変更、サブフォルダへの仕分け コピー、同期、アップロード
タグの追加と削除、カラーラベルの設定 エイリアスの作成
コメントの追加、拡張子の切り替え、ロックの切り替え 写真/ミュージック/TVへの読み込み
圧縮と展開 スクリプトなど自動処理の実行

戻せる側は、ファイルがどこにあるかを変えるだけの操作です。元の位置と元の名前に戻り、タグやコメントのような属性も戻ります。戻せない側は、外部に何かを作ってしまう操作だと考えると整理しやすくなります。アップロードした先のファイルまでは引き上げられません。

この区分は、最初に作るルールの選び方に直結します。移動と名前の変更から始め、動きが安定してからアップロードやスクリプトを足す順番にすると、失敗の代償が小さいうちに癖をつかめます。

サブフォルダの中は、言わない限り見ていない

もう1つ、知らないと原因の分からない挙動があります。監視フォルダの直下は見ていますが、その中のサブフォルダの中身は既定では見ていません。

公式マニュアルの例で言えば、ダウンロードフォルダを監視していて、その中にResearchというフォルダがあるとします。PDFをダウンロードフォルダに落とせばルールは当たりますが、同じPDFをResearchの中に直接落とすと当たりません。フォルダそのものはルールの対象になりますが、中身までは降りていかないためです。

中まで降ろしたいときは、サブフォルダを個別に監視先として追加するか、「Run rules on folder contents」という操作を使います。この操作を含むルールがサブフォルダに当たると、そのフォルダの中身にも同じルール一覧が適用されます。サブフォルダの名前が事前に分からない場合や数が多い場合は、後者のほうが現実的です。

ここで先ほどの並び順が効いてきます。中に降りるためのルールは、他のルールより上に置く必要があります。下に置くと、サブフォルダが先に別のルールに当たって止まり、中身まで届きません。

権限とゴミ箱の扱いは、設定の最後に決める

インストール直後、いくつかのフォルダへのアクセス許可を求める表示が出ます。ここで許可しないと、見張らせたはずのフォルダの中身が読めず、ルールが1本も当たらない状態になります。

ゴミ箱まわりの機能を使う場合は、さらにフルディスクアクセスの許可が要ります。この道具のゴミ箱管理には、一定期間より古い項目を消す設定と、ゴミ箱の合計サイズが上限を超えたら古い順に消す設定の2つがあります。どちらも完全な削除にあたるため、公式マニュアルでも最初は期間も上限も余裕を持たせるよう案内されています。

似た働きは、macOS自体にも用意されています。

Macからゴミ箱に入れた項目は、ゴミ箱を空にするまで残っています。Finder設定でゴミ箱を自動的に空にすることを選択できます。 出典: support.apple.com

Finder側の設定は30日という決まった区切りで働きます。期間を自分で決めたい場合や、合計サイズで止めたい場合に、専用の道具を使う意味が出てきます。逆に、そこまでの調整が要らないなら、この機能のためだけに権限を広げる必要はありません。アプリを捨てたときに残る設定ファイルを探して一緒に捨てる「App Sweep」も、同じくゴミ箱まわりの権限に含まれます。

試用の区切りを、設定作業の前に知っておく

登録せずに使い始めると、最初は評価モードで動きます。公式マニュアルによれば、この状態はルールの書き出しを除く全機能が使え、14日続きます。そのあとはデモモードに切り替わり、監視できるフォルダが1つ、有効にできるルールが2本までになります。読み込みと書き出しも止まります。

この区切りの意味は、試す順番に関わります。評価期間のうちに複数フォルダの構成まで作り込むと、期限を過ぎた時点で大半が止まった状態になり、何が効いていたのかを見失います。試すときは、フォルダ1つにルール2本という形で判断できる設計にしておくと、期限が来ても手元の状態と実感がずれません。

設定に入る前に、自分が減らしたい手間を1つに絞ることも同じ効果があります。ダウンロードしたPDFを毎回同じ場所へ移している、スクリーンショットの名前を毎回付け直している、といった具合に、1つの繰り返しを選ぶと2本で足ります。

2台目のMacに同じルールを持っていくとき

複数台で使う場合、ルールの書き出しと読み込みのほかに、外部ファイルへの同期という仕組みがあります。共有できる場所にファイルを置けば、片方で変えたルールがもう片方にも届きます。ただし条件がいくつかあります。

同期できるのはフォルダ単位のルール一覧全体で、ルール1本ずつではありません。有効と無効の状態は同期されないため、同じ一覧を持ちながら台ごとに効かせるものを変えられます。新しく足したルールは、他の台では無効の状態で現れます。そして、2つのルール一覧を混ぜることはできません。片方の設定をファイルにして、もう片方でそのファイルを使うと、もう片方が持っていたルールは上書きされます。

台ごとにフォルダ構成が違う場合、この上書きは事故になりやすい部分です。2台目に移す前に、そちらのルールを書き出して控えておくと安全側に倒せます。

自動で仕分けたあとに、まだ残っている手間

ルールが安定して動き出すと、ファイルは正しい場所に着きます。それでも作業の体感が大きく変わらないことがあります。理由は、仕分けのあとの動作が別の窓に移るからです。届いた場所を開き、中身を確かめ、必要ならターミナルに移ってコマンドを打ち、結果をまたフォルダで見る。この往復は、仕分けが自動になっても減りません。

同じ課題への別の答え方として、フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある形のファイル管理があります。何ができるのかはできることに一覧があり、ルール型の道具と何が違うのかは他のファイル管理との比較で並べて確認できます。仕分けの自動化を足すのか、往復そのものを減らすのかで、次に触る場所が変わります。

判断の材料として、いま自分が1日に何回フォルダとターミナルを行き来しているかを数えてみると輪郭がはっきりします。往復が少なく、届く場所だけが問題なら、ルール型の道具で足ります。往復のほうが多いなら、仕分けを完璧にしても体感は変わりません。費用の前提を先に押さえたい場合は料金に、導入前に引っかかりやすい点はよくある質問にまとまっています。

よくある質問

Hazelは無料で使い続けられますか?

登録しない場合、最初の14日間は評価モードでほぼ全機能が使えます。その後はデモモードになり、監視できるフォルダが1つ、有効にできるルールが2本までに制限されます。制限を外すにはライセンスの購入が必要で、公式ストアでは1本42ドル、世帯5人まで使えるファミリーパックが65ドルと提示されています。

ルールを作ったのに何も動きません。どこから調べればよいですか?

まずルールの編集画面でプレビューを使い、条件が実際のファイルに合っているかを確認します。条件ごとに合否の印が出るので、日付や名前のどこがずれているか分かります。それでも原因が見えないときはログを開き、対象のファイル名で絞り込みます。監視フォルダへのアクセス許可が出ていない場合も、同じように何も起きません。

ルールが2本とも当たってほしいのに、片方しか実行されません。

この道具は1つのファイルに対して、最初に当たったルールだけを実行する作りになっています。両方を効かせたい場合は、上のルールに「Continue matching rules」という操作を足すと次のルールへ渡ります。対象が狭いルールを上、広く拾うルールを下に置くと、意図した順で当たりやすくなります。

間違って移動されたファイルは元に戻せますか?

移動、名前の変更、サブフォルダへの仕分け、タグやカラーラベルの変更などは、Finderの右クリックから「Revert」を選ぶと元の位置と名前に戻せます。ただしコピー、同期、アップロード、エイリアスの作成、写真やミュージックへの読み込み、スクリプトの実行はこの対象外です。最初は戻せる操作だけでルールを組むと安全側に倒せます。

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