写真と動画の整理の費用|無料でできる範囲

写真と動画の整理で費用を調べ始めた人が最初に確かめるべきなのは、アプリの値段ではありません。この分野で毎月引き落とされていく金額は、ほぼすべて置き場の値段です。整理そのものはMacに最初から入っている道具で完結し、費用が発生するのは2つ目の置き場を持った瞬間からです。この記事では、その境目がどこにあるのかを金額で示します。

費用がかかるのはソフトではなく置き場

Macで写真と動画を扱う道具は、最初から入っています。写真アプリ、Finder、プレビュー、イメージキャプチャ、Time Machine。ここまでは追加の支払いがありません。ターミナルの側も同じで、画像の情報を読んだり大きさを変えたりする sips、ファイルの属性を読む mdls、検索の索引を引く mdfind、中身の一致を確かめる shasum は、いずれも標準で入っています。

つまり、名前を付け替える、日付でまとめる、重複を見つける、形式を変える、といった作業に対して、費用は発生しません。無料の範囲は「機能が制限された体験版」ではなく、作業そのものが最初から全部できる状態です。

では何に金がかかるのか。1つは容量で、もう1つは同期です。撮った素材が本体のディスクに収まらなくなったとき、あるいは別の端末からも同じものを見たくなったとき、初めて月額が動き出します。逆に言えば、本体のディスクに収まっていて、その1台でしか見ないのであれば、この分野の支出は0円のまま成立します。

費用の話に入る前に決めておくと無駄がないのは、素材のうちどれを常に手元に置き、どれを保管に回すかです。この線引きをしないまま容量を増やすと、増やした分だけ整理されていない素材が積み上がります。容量は時間を買う手段ではなく、判断を先送りにする手段になりがちです。

無料で使える置き場の上限

代表的な2つの無料枠を、公開されている情報から並べます。

Appleの場合、Apple Accountで最初にサインインした時点で付いてくる容量が決まっています。

ストレージは5GBが無料です。 出典: apple.com

この5GBは写真だけの枠ではありません。端末のバックアップ、書類、メールなども同じ枠を使います。iPhoneのバックアップだけで埋まることも珍しくなく、写真と動画の置き場としてあてにできる量ではない、と考えておくほうが現実に合います。

Googleの場合は15GBです。こちらもGoogle ドライブ、Gmail、Googleフォトで共有する枠で、公式のヘルプに「Personal account with up to 15 GB of storage which is shared among Drive, Gmail, and Photos」と明記されています。加えて1ファイルあたりの上限があり、写真は200MBまたは200メガピクセルまで、動画は10GBまでです。長い画面収録や編集用の素材は、容量の枠より先にこの1ファイルの上限に当たります。

置き場 無料の容量 枠を共有するもの 1ファイルの上限
iCloud 5GB バックアップ、書類、メールなど 公表なし
Google 15GB ドライブ、Gmail、フォト 写真200MB、動画10GB
本体のディスク 空き容量まで 他のデータすべて なし
外付けディスク 買った容量まで その用途のみ なし

自分の素材がこの枠のどこに収まるかは、推測せずに測ったほうが早いです。対象のフォルダで du -sh を実行すれば合計が出ます。無料枠に収まるなら支払いは不要ですし、桁が2つ違うなら無料枠の比較には意味がありません。

du -sh ~/Pictures ~/Movies ~/Downloads
du -sh ~/Pictures/*.photoslibrary

月額が動き出す地点と、年額に直した金額

無料枠を超えた場合、Appleの有料プランは公開されている金額で次のように並びます。

容量 月額 年額に直すと
50GB 180円 2,160円
200GB 540円 6,480円
2TB 1,800円 21,600円
6TB 5,500円 66,000円
12TB 11,000円 132,000円

年額の列は月額を12倍しただけの数字ですが、判断はこの列で行うほうが実態に合います。写真と動画は減らない性質のデータなので、一度上げた段を下げる機会はほとんど来ないためです。2TBの段に上がるということは、今年21,600円を払う決定ではなく、以後ずっと毎年その額を払う決定に近くなります。

段が変わる地点も押さえておく価値があります。50GBから200GBへは月に360円の差、200GBから2TBへは月に1,260円の差です。容量あたりの単価で見れば上の段ほど有利ですが、それは使い切った場合の話です。使っていない容量に払っている状態は、単価が安いこととは関係がありません。

なお有料プランは家族と共有できる形になっており、1つの契約を分け合えます。世帯で複数のApple Accountが同じ段を別々に契約している場合は、そこに重複した支出が眠っている可能性があります。

一度きりの出費と、毎月の出費をどう比べるか

外付けのディスクは買った時点で支払いが終わります。クラウドは使い続けるかぎり毎月続きます。この2つは同じ物差しに載らないため、容量あたりの金額だけで比べると判断を誤ります。

比べ方としては、次の3つを分けて考えるほうが実態に合います。

  • 取り出しやすさ。クラウドは回線があればどこからでも取り出せます。外付けは、つないでいるときだけ存在します
  • 壊れたときの結果。外付けは物理的に1つなので、壊れれば中身は消えます。クラウドは事業者側で複製されますが、契約が切れれば消えます
  • 移動の手間。置き場を変えるとき、外付けはつなぎ替えるだけです。クラウドは全量のダウンロードが必要で、容量が大きいほど時間がかかります

現実的な形の1つは、両方を役割で分けることです。編集中の素材と直近の撮影分は本体のディスク、完成した素材と過去分は外付け、端末をまたいで見たいものだけをクラウドの無料枠に置く。この分け方であれば、月額を払わずに運用できる範囲がかなり広がります。逆に、全部をクラウドに置いて全部をいつでも見られる状態にしようとすると、上の表の段を上がっていくことになります。

無料のまま減らせる費用がある

有料プランの段を1つ下げられれば、それは毎年その差額を払わずに済むという意味です。段を下げるために使える手段のうち、追加の支払いが要らないものを挙げます。

重複の削除がまず効きます。同じ素材が写真アプリのライブラリと書き出し先のフォルダの両方にある状態は、同じ容量を2回払っているのと変わりません。名前や大きさではなく、中身から計算した値で判定すれば確実です。

find ~/Movies -type f -exec shasum -a 256 {} + | sort | uniq -w64 -d

中間ファイルの整理も効きます。書き出しの途中で作った版、送るために圧縮した版、確認用に切り出した版。これらは元の素材があれば作り直せるため、残す理由が薄いものです。動画の場合、この種の中間ファイルが占める割合は小さくありません。

形式の見直しも手段の1つです。撮影時の既定であるHEICとHEVCは、同じ見た目を小さい容量で保持する形式です。古い形式に変換して保存している場合、その分だけ容量が増えています。ただし変換には劣化を伴う経路もあるため、保管用の原本に対して行う判断ではありません。

最後に、枠を共有している他の用途を見直す方法があります。無料枠が写真以外で埋まっているなら、写真のために容量を買う前に、そちらを整理するほうが先です。古い端末のバックアップが残っているだけで数ギガバイトを占めていることがあり、これは写真を1枚も消さずに空けられる部分です。何がどれだけ使っているかは、設定のストレージの画面で内訳として確認できます。

同期に払う金額と、保管に払う金額は別

料金を比べるときに混ざりやすいのが、同期の費用と保管の費用です。この2つは目的が違うため、片方の金額でもう片方を判断すると無駄が出ます。

同期は、同じ素材を複数の端末から見るための仕組みです。1台で消したものは他の端末からも消えます。これは不具合ではなく設計どおりの動作で、だからこそ同期は保管の代わりになりません。誤って消した場合に頼れるのは「最近削除した項目」の一時的な預かりだけで、そこにも期限があります。

保管は、元の素材とは独立した複製を別の場所に持つことです。Macの場合、Time Machineが標準で入っているため、外付けディスクを1台用意すれば追加の月額なしで成立します。写真と動画は撮り直しがきかない種類のデータなので、月額の段を上げる前に、複製が1つもない状態になっていないかを先に確かめる価値があります。

無料枠の合算ができない点も押さえておくべきです。iCloudの5GBとGoogleの15GBを足して20GBとして使うことはできません。素材を2つに割って別々のサービスに置けば容量としては収まりますが、探す場所が2つに増えます。費用は下がっても、この記事の最初に挙げた探す時間のほうが増える形になります。

見落としやすい費用

金額として請求されない費用もあります。判断に入れておかないと、安いほうを選んだつもりで高くつきます。

1つ目は探す時間です。整理されていない状態が続くかぎり、素材を探す時間は毎回かかります。月に何度も起きる作業であれば、年単位では無視できない量になります。この費用はどのプランを契約しても減りません。減らせるのは決め方のほうです。

2つ目は移動の時間です。クラウドの置き場を変える、あるいは解約して手元に戻す場合、全量のダウンロードが必要です。数百ギガバイトの規模になると、回線の速度によっては数日かかります。契約を始める前に、やめるときにどうなるかを見ておく価値があります。

3つ目は端末をまたぐときの手間です。Macの前を離れているあいだに素材を確認したい、あるいは撮ったものをすぐ手元に取り込みたい、という要件があるかどうかで、必要な置き場の形が変わります。ここが要らないなら、クラウドに払う理由の半分は消えます。

道具側の資料から読み取れること

この分野の道具が無料と有料をどこで分けているかは、公開されている料金の資料を見ると分かります。ファイル管理アプリの側では、試せる範囲と費用が発生する地点が料金に示されています。置き場の課金と道具の課金は別々に積み上がるため、両方を同時に見ておかないと、月々の合計を見誤ります。

道具に何ができるのかを先に確かめたい場合はできることに一覧があります。上で挙げた重複の削除や中間ファイルの整理は、どの道具でも同じ手順で行えるわけではなく、フォルダとターミナルとAIが同じ窓にあるかどうかで手数が変わります。同種のアプリの重心の違いは他のファイル管理との比較に並んでいます。

端末をまたぐ要件があるかどうかは、上で見たとおり支出の判断に直結します。Macを離れているあいだに続きを進められる形についてはiPhone・iPadから続きをが参考になります。契約の前に出やすい疑問はよくある質問にまとまっています。

写真と動画の整理で無料でできる範囲は、思っているより広いところまで届きます。作業そのものは最初から全部できて、費用が発生するのは2つ目の置き場を持つときだけです。まず手元の合計容量を測り、無料枠に収まるかを確かめる。収まらないなら、全部をクラウドに載せる前に、外付けとの役割分担で段を1つ下げられないかを確かめる。順番はこれで足ります。

よくある質問

写真と動画の整理そのものに、アプリの購入費用は必要ですか?

必要ありません。写真アプリ、Finder、プレビューに加えて、sipsmdlsshasum といったコマンドがMacに標準で入っており、名前の付け替え、日付での並べ替え、重複の判定、形式の変換まで追加の支払いなしで行えます。費用が発生するのは置き場を増やすときです。

iCloudの無料の5GBは、写真の置き場としてどのくらい持ちますか?

写真だけの枠ではないため、実際に写真へ使える量はさらに少なくなります。端末のバックアップ、書類、メールが同じ5GBを共有し、iPhoneのバックアップだけで埋まることもあります。写真と動画の保管先としてあてにするのは難しい量です。

外付けディスクとクラウドは、どちらが安く済みますか?

容量あたりの金額では比較できません。外付けは一度きりの支出で、つないでいるときだけ使えます。クラウドは毎月続く代わりに、回線があればどこからでも取り出せます。端末をまたいで見る必要がないなら、外付けに寄せるほど月額は下がります。

有料プランの段を下げるには、何から手を付けるべきですか?

重複した素材の削除と、中間ファイルの整理の2つです。写真アプリのライブラリと書き出し先のフォルダに同じものがある状態は容量を二重に使っています。中身から計算した値で判定すれば、名前が違っていても確実に見つけられます。

記事一覧へ戻る