写真と動画の整理の手順|最初に決めておくこと
写真と動画の整理は、書類の整理と同じ手順では終わらない。1枚が1ファイルとは限らず、日付は見ている場所によって違う値を指し、容量は書類の何十倍にもなる。手を動かし始めてから気づくと、途中でやり方を変えることになり、その時点で半端な状態のフォルダが残る。ここでは、フォルダを開く前に決めておくことを順番に挙げる。決める項目は多くないが、順番を間違えると後戻りが大きい。
書類と同じやり方が通らない理由は3つある
写真と動画に取りかかる前に、何が違うのかをはっきりさせておく。違いは3つある。
- 日付が1つではない。撮影した日、ファイルが作られた日、最後に変更した日が別々に存在する
- 1枚が1ファイルではない。撮り方によって、1回のシャッターで2つ以上のファイルができる
- 容量が桁違いに大きい。書類が数百キロバイトで収まるのに対し、動画は1本で数ギガバイトになる
この3つは、それぞれ別の失敗につながる。日付のずれは、時系列に並べたつもりの一覧が並ばない形で出てくる。1枚が複数ファイルであることを知らずに片方だけ動かすと、編集内容や音声が失われる。容量の問題は、整理の途中でディスクが埋まって作業が止まる形で出てくる。書類の整理で身についた手順をそのまま当てると、この3つに順番にぶつかることになる。
最初に決めるのは、原本をどこに置くかである
決めどころのうち、後から変えるのがいちばん重い項目がこれである。選択肢は3つある。
写真アプリのライブラリに取り込む方法は、重複の検出や日付ごとの表示が最初から用意されている。その代わり、ライブラリの中身はフォルダの窓からは1つの塊として見え、個々のファイルを直接触る運用とは相性が悪い。
フォルダにそのまま置く方法は、ファイル名も階層も自分で決められる。ターミナルからまとめて処理する前提があるなら、この形でないと手が出しにくい。その代わり、重複の検出も日付ごとの整列も、自分で仕組みを用意することになる。
3つ目は、原本をフォルダに置いたまま、閲覧だけをアプリに任せる方法である。両方の良いところを取れるように見えるが、原本の場所を後から動かすと参照が切れるため、置き場所を先に固定できる人向けである。
どれを選ぶにしても、決めるのは「原本がどこにあるか」の1点だけでよい。閲覧や編集の道具は後から変えられるが、原本の場所を途中で変えると、それまでに作った参照や共有リンクを追いかけることになる。
日付は、コピーの仕方だけで簡単にずれる
写真の整理でいちばん多い取りこぼしが、日付のずれである。どれくらい簡単にずれるかを、手元で確かめた結果で示す。
作成日と変更日を2024年1月2日に設定したファイルを用意し、3通りの方法で複製した。通常のコピーコマンドで複製したものは、作成日も変更日も実行した瞬間の日時に置き換わった。属性を保つ指定を付けたコピーと、ditto での複製では、元の日付がそのまま残った。zipに固めて展開し直したものも、変更日は保たれていた。
つまり、写真をフォルダ間で移す作業を何気なくやるだけで、日付が今日に書き換わることがある。一覧を更新日順で見ている場合、この瞬間に去年の写真が先頭に来る。
対策は2つある。1つは、撮影日を基準にすることである。撮影日は画像の中の情報として記録されているため、ファイルをコピーしても書き換わらない。もう1つは、撮影日をファイル名の先頭に書き写しておくことである。名前に入れてしまえば、どの経路で渡っても失われない。この2つを最初にやっておくと、以降の作業でコピーの方法を気にする必要がなくなる。
1回のシャッターで、ファイルが2つできることがある
写真の整理でファイルを1枚ずつ数えていると、数が合わないことがある。原因は、1枚に見えているものが複数のファイルでできているからである。
- 動きのある写真は、静止画と短い動画の2つで1組になっている。片方だけを移すと、動きが失われる
- カメラでRAWとJPEGの同時記録をしている場合、1回のシャッターで2つのファイルができる
- 端末上で切り取りや色の調整をすると、編集内容を記録した小さなファイルが別にできることがある
- 動画には、音声や字幕を別ファイルで持つ形式がある
整理を始める前に、自分の手元にこの種類が含まれているかを確かめておく。確かめ方は単純で、フォルダを拡張子ごとに数えるだけでよい。想定していない拡張子が一定数あれば、それが組になっているファイルである。写真しか入っていないつもりのフォルダに動画の拡張子が数百件並んでいたら、それは動きのある写真の相方である可能性が高い。逆に、静止画の枚数と動画の本数がほぼ同じであれば、ほぼ全数が組になっていると考えてよい。
数えた結果は、この先の作業の進め方も決める。組が少数であれば、組だけを別のフォルダに分けてしまい、残りを普通の写真として扱うのが早い。組が大半を占めるなら、分けるほうが手間になるので、組を維持したまま扱える手順を最初から組んだほうがよい。
ここで決めておくのは、組をどう扱うかである。組のまま残すのか、静止画だけを残すのか。残すと決めたなら、名前を付け直すときに同じ名前をそろえる必要がある。名前がばらばらになると、組であることが分からなくなり、あとから片方だけを削除してしまう。
重複は、名前ではなく中身で見つける
同じ写真が何箇所にもある状態は、写真の整理でいちばん量を減らせる部分である。ただし名前で探しても見つからない。端末から取り込むたびに同じ番号の名前が付き、受け渡しの経路によって名前が変わるためである。
写真アプリを使っている場合は、重複を探す機能が用意されている。
重複する写真やビデオをライブラリから簡単に削除できます。ライブラリに重複した写真やビデオがある場合は、「ユーティリティ」の「重複項目」コレクションに自動的に表示されます。 出典: support.apple.com
同じ説明の中に、結合した重複項目は「最近削除した項目」に移り、そこから30日以内なら戻せるとある。消える前に確かめる時間があるということなので、判断に迷ったら先に結合してしまってよい。
フォルダで管理している場合は、中身から計算した値で突き合わせる方法をとる。同じ値であれば、名前が違っても中身は同じである。この方法の利点は、判定に迷いがない点である。欠点は、同じ写真を後から縮小したものは別の値になるため、見た目が同じでも別扱いになる点である。縮小版まで含めて減らしたいなら、名前や撮影日でもう一段まとめる必要がある。
容量の逃がし先を、作業を始める前に決めておく
写真と動画の整理は、途中で空き容量が足りなくなって止まることがある。重複を消すより先に、コピーを作る作業が入るからである。
作業前に確かめる数字は2つでよい。整理する対象の合計と、いまの空き容量である。対象と同じだけの空きがない場合は、退避の場所を先に用意する。外付けのディスクでも、容量を追加したクラウドでもよいが、途中で用意しようとすると、コピーの待ち時間のあいだ作業が止まる。
減らす順番にも定石がある。まず動画である。数の上では写真が多くても、容量の大半は動画が占めていることが多い。次に、失敗した写真の連写である。1回の連写で数十枚が残っていることがあり、これを1枚に絞るだけで枚数がまとまって減る。最後に重複を扱う。この順で進めると、重複の検出にかかる時間そのものも短くなる。
端末側の容量が逼迫している場合は、元のデータをクラウドに置いて手元には表示用の小さなデータだけを残す設定もある。ただしこの状態では、手元にあるのは実体ではないため、フォルダから直接まとめて処理する作業とは相性が悪い。整理作業をしているあいだは、対象のファイルを実体として手元に降ろしておくほうが確実である。
書き出したときに名前がどうなるかを、先に確かめる
アプリの中で整理した写真を、あとからフォルダに書き出す場面は必ず来る。相手に渡すとき、別の道具で加工するとき、保管用に固めるときである。
ここで起きやすいのが、書き出した瞬間に名前が変わることである。アプリの中では撮影日や題名で管理されていても、書き出したファイルは連番になることがある。連番になると、書類の側で決めた命名規則との対応が付かない。
避けるには、書き出しの設定でファイル名の付け方を確かめておく。撮影日を名前に含める指定ができるなら、それを選んでおくと、書き出した先でも時系列が保たれる。指定できない場合は、書き出したあとに一括で名前を付け直す手順を組み込む。どちらにしても、最初の1回で決めておけば、以降は同じ手順を繰り返すだけになる。
書き出す形式も、このタイミングで決める。手元で見る分には効率の良い形式でよいが、相手の環境で開けるとは限らない。渡す相手がいる書き出しは、開ける可能性の高い形式に変換する設定にしておくと、後からの問い合わせが減る。
撮った写真と、受け取った画像を混ぜない
整理が終わったあとに、また散らかり始める場所がある。ダウンロードのフォルダとデスクトップである。
自分で撮った写真は、取り込みの経路が決まっているので、行き先を固定しやすい。散らかるのは、受け取った画像である。メールの添付、メッセージで届いた写真、Webから保存した画像、画面を撮った画像。これらは経路がばらばらで、どれも同じ場所に落ちる。
ここで決めておくのは、受け取った画像を写真の保管先に入れるかどうかである。入れると、あとから「自分が撮ったもの」だけを取り出すのが難しくなる。入れないと決めるなら、受け取った画像は書類と同じ扱いにして、案件のフォルダに置くほうが筋が通る。
画面を撮った画像は、さらに別に扱う価値がある。数が多く、ほとんどが短期間で用済みになるためである。保存先を専用のフォルダに変えておくと、写真の一覧に混ざらなくなり、一定期間を過ぎたものをまとめて処分する判断もしやすくなる。整理の道具がどこまでの一括処理を持っているかは製品によって差があるため、できることで扱える範囲を先に見ておくと、手作業で抱える部分の見当が付く。
確認と実行が別の窓に分かれていると、手が止まる
写真と動画の整理は、確認の回数が書類より多い。中身を見て判断し、日付を確かめ、組になっているかを見て、コマンドで動かす。この繰り返しになる。
一覧を見るのはフォルダの窓、日付や撮影情報を確かめるのは別の画面、まとめて動かすのはターミナル、という構成だと、1件ごとに窓を3つ行き来する。枚数が数千件になると、切り替えの回数だけで相当な量になり、途中で注意が切れて取りこぼしが出る。取りこぼしが怖くて手が止まる、という形で作業が進まなくなることもある。
フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある構成であれば、一覧で中身を確かめながら、そのまま撮影日で並べ替えるコマンドを打ち、結果を同じ画面で見られる。内蔵の処理がどこまで用意されているかは道具ごとに違うので、他のファイル管理との比較で、一括処理や検索の範囲を並べて確かめておくとよい。費用の目安は料金に、導入前に多い疑問はよくある質問に整理されている。
最後に、写真は撮る場所と整理する場所が離れているという特性に触れておく。撮った直後にその場で分類できれば、机に戻ってからの作業はほとんど残らない。外出先での扱いをどうするかはiPhone・iPadから続きをに考え方がまとまっており、日本語のファイル名やタグの扱いが気になる場合は対応言語を確かめておくとよい。決めることを先に決めてしまえば、あとは同じ手順を繰り返すだけになる。
よくある質問
写真アプリに取り込むのと、フォルダのまま置くのはどちらがよいですか?
重複の検出や日付ごとの表示を任せたいならアプリ、ターミナルからまとめて処理したいならフォルダが向いています。決めるべきなのは原本の置き場所だけで、閲覧の道具は後から変えられます。原本の場所を途中で変えると参照が切れるため、そこだけは先に固定してください。
写真をコピーしたら日付が今日になってしまいました。戻せますか?
撮影日は画像の中に記録されているため、そちらは書き換わっていません。撮影日を読み取って、ファイルの日付や名前に書き戻す方法で復旧できます。今後は属性を保つ指定を付けたコピーか ditto を使うと、作成日と変更日がそのまま残ります。
同じ写真がどこにあるかを調べるには、名前で探せばよいですか?
名前では見つかりません。取り込みのたびに同じ番号が振られ、経路によって名前が変わるためです。中身から計算した値で突き合わせると、名前が違っても同じ写真だと判定できます。写真アプリを使っている場合は、重複項目のコレクションが自動で候補を出します。
動画と写真は同じフォルダに入れてよいですか?
同じ基準で日付順に並べたいなら同居させて構いませんが、容量の逃がし先だけは分けて考えてください。容量の大半は動画が占めるため、外付けに移す判断は動画から先に行うと効率的です。連写の失敗分を減らすのは、その次の段階になります。