Commander One 無料版の境界線|どこまで使えてどこから有料か
「Commander One 無料」で調べている人が知りたいのは、無料版が存在するかどうかではない。無料のままで自分の一日が回るのかどうかです。公式サイトの機能一覧を開くと、無料とPRO Packの線は38項目のうち16と22で引かれていて、その線の位置にははっきりした理屈があります。線がどこに引かれているかを先に知っておけば、15日の試用期間を「使えるかどうか」ではなく「何回使ったか」を数えるために使えます。
無料とPRO Packの線は「Macの中で閉じるか、外に出るか」で引かれている
開発元のElectronic Team社が公開している機能一覧は38項目あり、そのうち16項目が無料版に含まれています。中身を並べると、線がどこに引かれているかがすぐに分かります。
- 3つの表示モードを持つ2画面と、数に上限のないタブ
- 複数選択と、ファイル操作のキュー
- コピーや移動をしながらの名前の変更
- すべての操作に割り当てられるホットキー
- ローカルドライブとネットワークドライブの操作
- フォントと配色の変更
- Spotlight検索
- 隠しファイルの表示
- 正規表現を使える詳細検索
- ZIPの圧縮と展開とフルアクセス
- ネットワーク上のコンピュータ一覧
- ルートアクセス
- バイナリとHexを含む各種ファイルのプレビュー
- .ipa、.apk、.jar、.ear、.war を普通のフォルダとして開く操作
- Finder機能拡張への対応
この16項目に共通しているのは、どれもMacの中とネットワークドライブの中で完結する操作だという点です。言い換えると、Finderの代わりとして2画面で動かすという中核の部分は、まるごと無料側に置かれています。ホットキーの割り当ても、正規表現の検索も、ルートアクセスも、有料の囲いの外にあります。ここは他社の無料版よりも踏み込んでいる部分で、2画面のファイル管理を試したいだけなら、お金を払う理由は最初の数週間は出てきません。
逆に言えば、無料版で足りるかどうかは機能の数の問題ではなく、その日の作業がMacの中で閉じるかどうかの問題になります。社内のファイルサーバまでなら無料側、そこから先のインターネットに出る操作は有料側、と覚えておけばほぼ外れません。
PRO Packだけの22項目には、ターミナルとFTPが入っている
残りの22項目がPRO Packです。性質ごとに分けると3つの塊になります。
外に出る接続が10項目。FTPクライアント、Amazon S3、WebDAV、Dropbox(マウント、リンク共有、Business対応の3項目)、Google Drive、OneDrive(通常版とBusiness版)、Backblaze B2、OpenStack Swift、Box、そしてオンライン接続の暗号化への対応です。
デバイスのマウントが3項目。iOSデバイス、Androidデバイス、MTP接続のカメラ類を、それぞれドライブとして画面に出す機能です。
書庫とその他が残り。RAR、TarGz、7zipの3形式は、圧縮も展開も検索もPRO側にあります。ここにプロセスビューア、テーマ、そしてターミナルエミュレータが加わります。
止まる人がいちばん多いのはこの最後の2つです。ターミナルエミュレータとFTPクライアントは、Commander Oneを選ぶ理由としてよく挙がる機能ですが、どちらも無料版には入っていません。公式ページは「アプリの間を行き来せずにターミナルのコマンドを実行できる」と書いていますが、それはPRO Packの説明の中にあります。無料版でコマンドを打ちたければ、これまでどおり別の窓でターミナルを開くことになります。
書庫の線も実務では効いてきます。無料版で扱えるのはZIPだけなので、取引先からRARや7zで受け取る習慣があるなら、試用期間が切れた日に手が止まります。逆に、社内のやり取りがZIPで統一されているなら、この22項目のうち20項目は最初から自分に関係がないという結論になります。
15日間の試用では「使えたか」ではなく「何回使ったか」を数える
PRO Packは15日間、無料で試せます。ここで多くの人がやってしまうのは、全部の機能をひととおり触って「どれも動いた」と確認することです。それでは判断材料になりません。動くのは分かっているからです。
数えるべきなのは回数です。15日のあいだにFTPで接続した回数、iPhoneをマウントした回数、ターミナルをアプリの中から開いた回数を、それぞれ数えておきます。15日で数回しか触らなかった機能は、年間で見ても数十回です。その頻度なら、別の無料ツールで代用しても一日の形はほとんど変わりません。
もうひとつ、試用が切れたあとに何が起きるかも先に知っておく価値があります。切れるのは機能へのアクセスであって、ファイルが消えるわけでも、設定が初期化されるわけでもありません。無料版の16項目に戻るだけです。ただし、試用中にFTPの接続先を登録していた場合、その接続はPRO側の機能なので使えなくなります。試用のあいだに業務のフローをPRO前提で組み替えてしまうと、16日目に困るのは自分です。
試用の期間中にやっておくと後が楽なのは、接続先やパスワードをCommander Oneの中だけに持たせないことです。Commander Oneはサーバの設定を保存し、パスワードはキーチェーンに預ける作りになっていますが、それとは別に自分の手元の記録を残しておけば、無料版に戻っても別のツールへそのまま移せます。
買うときの値段と、見落としやすいライセンスの条件
購入ページに出ている価格は2種類です。1台のMacで使うPersonal Licenseが29.99ドル、5台まで使えるTeam Licenseが99.99ドル。国によっては付加価値税が別に加わります。50台以上が必要な場合は法人向けの問い合わせ窓口が案内されています。
支払いの形については、公式のよくある質問がはっきり書いています。
Commander One is sold as a one-time payment. Once you purchase the software, you can use it as long as you have the installer and the activation code. 出典: mac.eltima.com
買い切りで、月額や年額の請求は付きません。アップグレードは、同じバージョン内の小さな更新は無料、メジャーアップグレードのときは優待価格が案内される形です。将来のバージョンをすべて無料で受け取りたい場合は、Lifetime Upgrades Guaranteeという買い切りの追加オプションがカートに用意されています。
見落とされやすいのはここから先です。同じページのよくある質問には、Personal Licenseは個人利用、非商用、非営利の目的のためのもので、登録した本人の個人利用を想定している、と書かれています。業務で使う場合や社内で共有する場合はTeam Licenseが該当する、という説明が続きます。つまり、仕事で使う前提で値段を見積もるなら、比べるべき数字は29.99ドルではなく99.99ドルのほうです。無料版で足りるかどうかを考えている段階でこの条件を知っておくと、後から見積もりが倍以上になって驚くことがなくなります。
支払い方法はPayPalとクレジットカードで、銀行振込を希望する場合は営業窓口に連絡する形になっています。他社の類似ソフトのライセンスを持っている人向けに、移行割引の申請窓口も購入ページに用意されています。
ダウンロード先によって中身が変わる
Commander OneにはMac App Store版とサイト版があり、この2つは同じものではありません。公式のよくある質問は、Mac App Store版にはサイトで売られているPRO版と比べていくつかの制限があり、詳しい比較表はユーザーガイドにある、と説明しています。
これは検索でレビューを読むときに効いてきます。「Commander Oneでこれができた」「これができなかった」という書き込みが食い違うのは、書いた人が触った版が違うからです。読むときは、まずどちらの版の話なのかを確かめてください。
配布ページに載っている条件も押さえておきます。システム要件はmacOS 10.13以降。公式が案内している最新版は3.17.1(3990)で、リリース日は2025年10月13日、必要な空き容量は52.68MBです。macOSの側の要件は世代ごとに変わるので、自分のMacで動くかどうかはAppleのサポートでお使いのmacOSの版を確かめてから判断するのが確実です。
なお、公式サイトは英語のほかに日本語を含む8つの言語で用意されています。購入や問い合わせのページも日本語で読めるので、条件の確認で英語に詰まることはあまりありません。
無料のまま続けられる人と、続けられない人の分かれ目
ここまでの内訳から、判断の材料は3つに絞れます。
1つ目は、一日の操作がMacの中とネットワークドライブの中で閉じるかどうか。社内のファイルサーバまでなら無料版の「ローカルとネットワークドライブ」に入ります。外部のサーバやクラウドに毎日つなぐなら、そこで有料の線を越えます。
2つ目は、受け取る書庫がZIPだけかどうか。ZIPで統一されているなら無料版で完結します。RARや7zが混ざるなら、PRO Packを買うか、展開だけを別の無料ツールに任せるかの二択になります。
3つ目は、ターミナルを別の窓で開くのが苦にならないかどうか。ここが実は分かれ目としていちばん大きいところです。無料版でもファイルの操作そのものは十分に速くなりますが、コマンドを打つ瞬間には必ずアプリの外へ出ることになります。
3つとも問題がないなら、無料版のまま何年でも使えます。1つでも引っかかるなら、次に考えるのは「PRO Packを買う」ではなく「その引っかかりは本当にファイル管理アプリで解決すべきものか」です。
窓の数で考えると、無料か有料かとは別の答えが出る
無料版で困っている人の話を整理すると、足りないのは機能ではなく、窓がひとつ多いという形の不満であることが少なくありません。2画面のファイル管理を開き、その横にターミナルを開き、さらにブラウザとAIの窓を開く。合計すると4つの窓を行き来している状態です。この状態では、ファイル管理アプリを無料版から有料版に変えても、減るのは窓の数ではなく手数の一部だけです。
同じ問題に対して、ファイル管理とターミナルとAIを最初から同じ窓に置く作りの道具もあります。何ができるのかを一覧にしたできることのページを見ると、2画面や検索といった機能の話ではなく、窓の行き来を減らすという目的から機能が並んでいることが分かります。Commander Oneを含めた他のファイル管理と比べてどこが違うのかは他のファイル管理との比較にまとめてあり、無料版と有料版のどちらと比べるべきかも書き分けてあります。
金額の話に戻すと、29.99ドルや99.99ドルという数字は、ファイル管理アプリとしては高くも安くもない相場の中にあります。判断が難しくなるのは、その金額で買えるものが「機能の追加」なのか「一日の形の変化」なのかがはっきりしないからです。考え方の基準と金額の内訳は料金に載せてあります。買う前に条件を確かめておきたいことがあれば、よくある質問のほうが先に読むには向いています。
15日の試用が始まる前に決めておくとよいのは、試用のあいだに何を数えるかです。機能の有無ではなく回数を数え、その回数が年に何回になるかを掛け算してみる。その数字が出た時点で、無料のままでよいのか、有料版なのか、そもそも別の作りの道具なのかは、ほとんど自動的に決まります。
よくある質問
Commander Oneの無料版は期間の制限がありますか?
無料版そのものに期間の制限はありません。期間が決まっているのはPRO Packの試用で、こちらは15日間です。試用が終わると無料版の16項目に戻りますが、ファイルや基本設定が消えるわけではなく、PRO Pack側の機能だけが使えなくなります。
無料版でFTPやクラウドにつなげますか?
つなげません。FTPクライアント、Amazon S3、WebDAV、Dropbox、Google Drive、OneDrive、Backblaze B2、OpenStack Swift、Boxはすべて公式の機能一覧でPRO Pack側に置かれています。無料版で扱えるのはローカルドライブとネットワークドライブまでです。
無料版でターミナルのコマンドは打てますか?
打てません。ターミナルエミュレータはPRO Packの機能です。無料版でもファイルの操作は2画面で完結しますが、コマンドを実行する場面ではmacOS標準のターミナルなど別のアプリを開くことになります。
仕事で使う場合はどのライセンスになりますか?
購入ページのよくある質問では、Personal Licenseは個人利用と非商用、非営利の目的を想定していると説明されています。業務や社内での利用にはTeam Licenseが該当し、価格は5台で99.99ドル、国によっては付加価値税が別に加わります。