Commander Oneの手順|最初に決めておくこと
Commander One の手順を調べている人がつまずくのは、操作の覚え方ではありません。入れる前に決めておくべきことが4つあり、そのうち2つは後から変えると手続きが増えるからです。どの版を入れるか、起動時に何を許可するか、試用の時計をいつ回し始めるか、キー割り当てをどう決めるか。この順番で先に決めておくと、あとの操作は画面を見れば分かります。公式の情報をもとに、決める順に並べます。
手順の最初は操作ではなく、入れる版を選ぶこと
入手できる版が4つあり、見た目は同じでも中身が違います。公式サイトの無料版、公式サイトの PRO Pack、Mac App Store の無料版「Commander One: File Manager」、Mac App Store の有料版「Commander One PRO: FTP & Cloud」です。
ここで先に知っておくべきなのは、App Store 版が制限を受ける点です。公式サイトの説明にこうあります。
Commander One from the Mac App Store has several limitations comparing to the PRO version from our website. 出典: mac.eltima.com
Apple のサンドボックス制限により、App Store 版では次の6つができません。プロセスの終了、iOS 端末のマウント、ターミナルエミュレータ、root での再起動、F1 から F12 のシステム設定を無視する動作、ローカルドライブの取り出しです。内蔵のターミナルを使うつもりで App Store 版を入れると、機能そのものが存在しません。
有料版の金額はどちらの経路も29.99ドルで同じです。同じ金額で中身が違うので、迷ったら次の判断で足ります。ターミナルを内側で使いたい、iPhone をつないでドライブとして開きたい、root で操作したいのどれかに該当するなら公式サイト版。該当しないなら App Store 版でも構いません。すでに App Store 版を買ったあとで公式サイト版の機能が必要になった場合は、サポート窓口に連絡するとサイト版のライセンスを出してもらえると公式に案内されています。
起動した直後に出る許可の要求を、まとめて片付ける
インストール後の最初の起動で、macOS がディスクへのアクセス許可を求めてきます。ここを後回しにすると、ファイルが見えない、特定のフォルダだけ空に見える、という状態のまま操作の練習を始めることになり、原因の切り分けに時間を取られます。
公式のバージョン履歴を見ると、この部分は開発側も繰り返し手を入れている箇所です。3.16 では「起動時にディスクアクセスの要求が繰り返し出る」不具合の修正が入り、最新の 3.17.2 では「起動時の権限要求」の修正が入っています。バージョンが古いと、許可したはずのダイアログがまた出るという挙動に当たる可能性があります。入れた直後に更新の有無を確認しておくと無駄が減ります。
許可を出す先はシステム設定のプライバシーとセキュリティで、ここの扱いは Apple 側の仕組みです。挙動の説明が要るときはAppleサポートの記載を確認すると確実です。許可を与えたあとは一度アプリを終了して開き直すと、状態が反映されます。
試用の15日は、使う予定が立った週に始める
有料機能を試せる枠は15日です。よくある失敗は、アプリを入れたその日に何となく試用を始めてしまうことです。試したいのは FTP の接続や、クラウドのマウントや、端末のマウントといった外向きの機能なのに、最初の1週間はローカルのファイルを動かして終わる、という時間の使い方になりがちです。
先に決めておくのは、試用のあいだに実際に通す仕事です。例えば次のような形です。
- サーバに置いてあるファイルを1回落として、直して、上げ直す
- 普段使っているクラウドを1つマウントして、Mac に落とさずに開いて編集できるか確かめる
- iPhone をつないで、写真を1つ取り出して書き戻す
- 普段扱う形式の圧縮ファイルを、実際の大きさで展開して速さを見る
この4つのうち、自分の仕事に該当するものだけをリストにして、それを実行できる週に試用を始めます。試用が終わったあとも、無料側の16項目はそのまま使えます。試用が切れてアプリが使えなくなるわけではないので、焦って決める必要はありません。
キー割り当ては、最初に3つだけ決めて増やさない
公式の機能表では、あらゆる操作に自分でホットキーを割り当てられる設定が無料側に入っています。ここは2画面の道具で一番効く部分ですが、最初から全部を設定しようとすると、覚えきれずに結局マウスに戻ります。
最初に決めるのは3つで足ります。1つ目は左右のパネルの入れ替え。2つ目は現在のフォルダを反対側のパネルに開く動作。3つ目は隠しファイルの表示切り替えです。この3つがあると、2画面の基本的な往復が指だけで回り始めます。慣れてから、自分が繰り返している操作を1つずつ足していく形が続きます。
表示モードの設定も同じタイミングで決めておくと効果が出ます。表示モードは3種類あり、名前を詰めて並べるモードにすると一画面に入る件数が大きく増えます。ダウンロードフォルダのような大量のファイルを見渡す場面ではこちらに切り替え、中身を確かめながら作業する場面では詳細表示に戻す、という使い分けを最初に決めておくと迷いません。よく使うフォルダはお気に入りに入れておくと、パスを打ち直す回数が減ります。
探し方は3通りある。どれを既定にするか決める
無料側には検索の入口が複数あり、使い分けを最初に決めておかないと、毎回どれを開くか迷います。公式の機能表に載っているのは、Spotlight 検索、正規表現に対応した詳細検索、そしてファイルの中身に対する検索です。中身の検索では文字コードを選べる設定があり、公式のバージョン履歴には UTF-8 で書かれた中身の検索に関する修正が 3.15 で入った記録が残っています。
決め方は単純で、名前の一部を覚えているかどうかで分けます。名前の断片を覚えているなら詳細検索で、規則性のある名前を拾うときは正規表現を使います。名前をまったく思い出せず、中に書いてあった言葉だけ覚えているなら中身の検索です。何も手がかりがなく、とにかく最近触ったものを出したいなら Spotlight 側が速く出ます。
圧縮ファイルの中まで探すかどうかも、設定で先に決めておく項目です。公式サイトには、圧縮された中身まで検索する設定を有効にしておくよう案内があります。既定のままだと、アーカイブの中にある目的のファイルが検索結果に出てきません。ZIP は無料側で扱えますが、RAR と 7zip と TarGz は有料側なので、普段扱う形式がどちらかによって、この設定が効く範囲も変わります。
接続の設定は、鍵と保存先を先に決める
有料側を使う場合、接続の設定をどう保存するかを最初に決めておくと後が楽です。公式サイトの説明では、サーバの設定は保存され、パスワードはキーチェーンに保管される形です。つまり Mac 側の仕組みに預けることになるので、複数台で使う場合は台数分の設定が必要になります。
鍵の扱いは、バージョン履歴から対応状況が読み取れます。3.9 で PuTTY 形式の鍵に対応し、FIDO 対応のハードウェアキーと2段階認証への対応が入りました。その後の 3.14 と 3.15 でも2段階認証まわりの改善が続いています。鍵の形式が古い環境から移ってくる場合は、手元の鍵がどの形式かを先に確認しておくと、接続できない原因を探す時間が要りません。
クラウドをつなぐときに決めておくのは、マウントで済ませるか手元に落とすかです。マウントは Mac のディスクを使わずに中身を開ける代わりに、ネットワークが切れれば見えなくなります。オフラインでも開きたいファイルがあるなら、それはマウントとは別に手元へコピーしておく判断が要ります。この線引きを最初に決めておかないと、移動中に開けないファイルが出てきて手が止まります。
2台目に入れる可能性があるなら、買う前に決める
台数の扱いは、入れたあとで変えると手続きが増える部分です。公式サイトの説明では、PRO Pack の Personal License は1台の Mac にのみインストールできる形で、複数台で使う必要がある場合は5台分の Team License を検討するよう案内されています。金額は Personal が29.99ドル、Team が99.99ドルです。
ここで注意が要るのは、台数の条件と用途の条件が別々に書かれている点です。Personal License は個人の非商業利用と非営利利用向けで、登録した本人のみが使う前提だと明記されています。業務での利用やチームでの共有は Team License 側の扱いです。仕事用の Mac が1台しかない場合でも、その作業が商用なら台数だけで判断できません。
更新の扱いも先に決めておく項目に入ります。公式の説明では、現行バージョン内のマイナー更新は無料、メジャー更新のときは優待価格の案内が出る形です。将来の全バージョンを無料で受け取りたい場合は、Lifetime Upgrades Guarantee という買い切りの追加項目を購入時にカートへ入れる選択肢があります。あとから足す手続きを避けたいなら、最初の購入のときに決めておくのが早道です。
決めた手順がどこで効かなくなるかも、先に見ておく
ここまでの手順を全部通すと、ファイルを動かす操作は指だけで回るようになります。それでも残る往復があります。コマンドを打つときと、何かを調べたり相談したりするときです。内蔵のターミナルエミュレータは前者の往復を短くしますが、後者は別の窓のままです。
手順を設計するときに数えておくとよいのは、1日のうちフォルダの窓とターミナルの窓と、相談する窓のあいだを何回移ったかという回数です。この回数が多い人は、キー割り当てをいくら増やしても総量が減りません。減らすには、窓の数そのものを変える方向の道具が要ります。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある形なら、往復の手順自体が消えます。
どちらの方向が自分に合うかは、いまの詰まり方で決まります。ファイルを動かす操作が遅いことが問題なら、ここまでの手順で解決します。作業が複数のアプリに散っていることが問題なら、他のファイル管理との比較で軸を確かめたうえで、1つの画面の中で何が扱えるのかを整理したできることを見ておくと、比較の前提が揃います。費用の考え方から先に決めたい場合は料金を、条件の細部はよくある質問を見ると必要な情報が揃います。
最後に、手順の順番をもう一度並べておきます。入れる版を決める、起動直後に権限をまとめて許可する、通す仕事を決めてから試用を始める、キー割り当てを3つだけ決める、接続の保存方法と鍵の形式を確かめる。この5つを先に片付ければ、そのあとの操作は画面を見ながら覚えられます。
よくある質問
インストールしたあと、最初にやるべきことは何ですか?
起動直後に出るディスクアクセスの許可を先に片付けることです。ここを後回しにすると、特定のフォルダが空に見えるといった状態のまま操作を覚えることになります。許可を出したら一度アプリを終了して開き直すと状態が反映されます。あわせてバージョンが最新かも確認しておくと、既知の権限まわりの不具合を避けられます。
15日の試用が終わるとアプリは使えなくなりますか?
使えなくなりません。試用で開くのは有料側の機能で、無料側の16項目はそのまま残ります。2画面の操作、タブ、ホットキー、正規表現検索、ZIPの圧縮と展開などは期限なく使えます。そのため試用は、外部サーバやクラウドや端末を実際に触る予定が立った週に始めるほうが判断材料になります。
ホットキーは最初にいくつ設定すればよいですか?
3つで足ります。左右のパネルの入れ替え、現在のフォルダを反対側のパネルに開く動作、隠しファイルの表示切り替えです。この3つで2画面の往復が指だけで回り始めます。最初から多く設定すると覚えきれずマウスに戻りやすいため、慣れてから繰り返している操作を1つずつ足す形が続きます。
App Store版を入れたあとで公式サイト版に移れますか?
公式には、App Store版を購入済みでサイト版のPRO Packの機能を使いたい場合はサポート窓口に連絡するよう案内されています。買い直しになるかどうかを自分で判断せず、先に問い合わせるのが確実です。ターミナルエミュレータやiOS端末のマウントを使う予定があるなら、入れる前にサイト版を選ぶほうが手間がかかりません。