Cyberduck 無料の意味|寄付とApp Store版4,000円の違い

「Cyberduck 無料」で調べている人の多くは、無料版で何ができて何ができないのかを探しています。ところがCyberduckの場合、その探し方そのものが空振りします。無料版と有料版という分け方が存在しないからです。公式サイトからダウンロードした時点で、FTPもSFTPもAmazon S3もすべて使えます。それなのに支払いの入口が3つあり、そのうちの1つはMac App Storeで4,000円です。この食い違いの理由が分かると、払うべきかどうかの判断がはっきりします。

機能制限版という意味での「無料版」は存在しない

Cyberduckは自由ソフトウェアとして配布されています。開発元のページは、利用者がソフトウェアを実行し、複製し、配布し、調べ、変更し、改良する自由のことだと説明していて、寄付によって無料での提供が続いている、と書いています。

Cyberduck is free software, but it still costs money to write, support, and distribute it. As a contributor you receive a registration key that disables the donation prompt. 出典: cyberduck.io

ここで書かれている支払いの見返りは、寄付のお願いを表示するダイアログが消えることだけです。機能の追加ではありません。接続できるサーバの種類も、同時に転送できる数も、暗号化の可否も、払った人と払っていない人で変わりません。

対応しているものを並べると、この配布方針の意味がはっきりします。FTP、SFTP、WebDAV、SMB、NextcloudとownCloud、Amazon S3、Google Cloud Storage、OpenStack Swift、Microsoft Azure、OneDrive、SharePoint、Dropbox、Google Drive、Box、Wasabi、Backblaze B2、DRACOON、Files.com、Spectra BlackPearl、iRODS、そしてローカルのファイルシステム。クライアント側で暗号化するCryptomatorの保管庫にも対応しています。これだけの接続先が、0円のまま全部開きます。

この構造を知らずに「無料版の制限」を探すと、いつまでも見つかりません。探す対象を「制限」から「支払いの理由」に切り替えたほうが、結論に早く着きます。

支払いの入口は3つあり、どれを選んでも機能は同じ

1つ目は寄付です。公式サイトの寄付ページから支払うと、登録キーが発行されます。最低額は10米ドルで、通貨はユーロと米ドルから選べます。台数を指定して寄付する形になっていて、支払い後に届いたキーを本人の名前で登録します。

2つ目はMac App Storeです。日本のApp StoreでのCyberduckの価格は4,000円です。開発元は「Mac App StoreまたはWindows Storeで購入する」ことを、寄付と並ぶ支援の方法として案内しています。

3つ目は、払わないという選択です。公式サイトから無料でダウンロードして、寄付のお願いのダイアログを毎回閉じながら使い続けても、規約の上でも機能の上でも問題はありません。

3つのあいだで変わるのは3点だけです。金額、更新の届き方、そして寄付のお願いが出るかどうか。10米ドルの寄付とApp Storeの4,000円を並べると、為替にもよりますが金額は数倍ひらきます。それでもApp Store版を選ぶ理由があるとすれば、更新がApp Store経由で自動的に届くこと、ファミリー共有に対応していて設定によっては6名まで使えること、そして経理上、寄付よりもアプリの購入として処理しやすいことです。逆に、複数台のMacに自分で入れて自分で更新する人にとっては、寄付のほうが安く同じ結果になります。

寄付のお願いはいつ出るのか、登録キーはどこまで使えるのか

寄付のお願いのダイアログが表示される場面は、公式の説明では「インストールまたは更新のあと」です。作業のたびに出るわけではありません。ここを誤解して「無料版は使うたびに広告が出る」と思っている人がいますが、そうではありません。

登録キーの条件も公式に明記されています。キーは複数のコンピュータで使えますが、個人に紐づくもので、他人と共有してはならないとされています。つまり自宅と職場のMacに同じキーを入れるのは想定の範囲で、同僚に渡すのは想定の外です。台数を増やしたい組織であれば、寄付のページで台数を指定して支払う形になります。

ここで判断に使えるのは、ダイアログが出る頻度です。Cyberduckの更新の間隔は、公開されている変更履歴から数えられます。最近の更新はバージョン9.5.4が2026年8月25日、9.5.3が8月4日、9.5.2が7月2日、9.5.1と9.5.0が6月18日。月に1回から2回の頻度で更新が出ています。つまり寄付のお願いを見る回数も、年に十数回という規模です。その頻度をどう感じるかは人によりますが、毎日の作業を止めるほどのものではありません。

更新の中身も公開されています。9.5.4では転送中にスリープへ入るのを抑える機能や、Azureの階層型の名前空間への対応が入り、AWS GovCloudへのログインの失敗やBackblaze B2で大きなファイルの比較に失敗する不具合が直っています。9.5.3ではCryptomatorでチェックボックスの状態に関わらずパスワードが保存されてしまう問題と、ブックマークの窓を開いたときのクラッシュが直りました。9.5.0では表示まわりの新しい仕様への対応が入っています。無料で配布されているからといって、更新が止まっているわけではないということです。変更履歴は公式の一覧に版ごとに残っているので、自分が困っている症状が既知のものかどうかは寄付を考える前に確かめられます。

無料のまま使うときに確かめる条件は2つだけ

機能の制限がない代わりに、動作環境の条件は確かめる必要があります。公式のダウンロードページに書かれている条件はこうです。

  • macOS版は、macOS 10.13以降で、Intel(64bit)またはApple M1が必要
  • Windows版は、Windows 10(64bit)以降が必要

macOS 10.13はHigh Sierraなので、要件としてはかなり緩い部類です。お使いのMacがどの版のmacOSなのかはAppleのサポートから確かめられます。

もう1つ、Mac App Store版の情報ページには、アプリのサイズが156.6MBと記載されています。開発元はDavid Kocher氏、年齢制限は4+、プライバシーの欄は「データの収集なし」です。公式サイトも「バックドアなし。登録もアカウントも不要」と書いており、無料で使うために個人情報を渡す必要はありません。ここは無料のソフトウェアを選ぶときに最初に確かめたい点で、Cyberduckは条件を満たしています。

対応言語も見ておく価値があります。Mac App Storeの記載では日本語を含む37の言語に対応しています。無料だからインターフェースが英語だけ、ということはありません。

全部使えるからこそ、選ぶ基準が「機能の数」から外れる

無料で全機能が使えるという構造は、比較のやり方を変えます。有料ソフトと並べるとき、普通は「この機能があるか」を数えます。ところがCyberduckが相手だと、接続先の数ではまず負けません。21種類の接続先に対応していて、それが最初から全部開くからです。

そうなると、比べる軸は別のところに移ります。実務で効いてくるのは次のような点です。

  • 転送の同時実行数を制限できるか、正規表現でファイルを絞り込めるか。Cyberduckはどちらもできます
  • 中断した転送を再開できるか。ダウンロードもアップロードも再開に対応しています
  • ローカルとリモートの同期を、実行前に対象を確認してから行えるか。これも対応しています
  • サーバ上のファイルを、手元の好きなエディタで直接開いて編集できるか。外部エディタとの連携があります
  • パスワードをどこに保存するか。macOSのキーチェーンにインターネットパスワードとして保存されます

暗号化の扱いも押さえておく価値があります。Cyberduckはクライアント側で暗号化するCryptomatorの保管庫に対応していて、ファイル名の暗号化とディレクトリ構造の隠蔽、そしてファイルごとの個別の暗号化を行う作りになっています。サーバの運営者に中身を見せたくないデータを預けるときの選択肢が、追加の支払いなしで最初から入っているということです。有料のクラウドストレージのサービスに同じことを求めると、上位プランの条件になることも珍しくありません。

共有のための機能も無料の側にあります。選択したファイルに対応するHTTPのURLをコピーしたり、ブラウザで開いたりでき、Amazon S3であれば署名付きのURLも扱えます。Amazon CloudFrontやAkamaiのCDNの設定にも踏み込めるようになっていて、配信の入口までを1つのアプリで済ませられます。NextcloudやownCloud、Boxのように共有リンクの作成に対応している接続先では、過去のバージョンを見て戻す操作もできます。

ここまで揃っていて無料なので、乗り換えを検討する理由は「機能が足りない」ではなくなります。実際に多いのは、サーバに置いたファイルを扱うのはCyberduckで足りるが、手元のフォルダの操作と、コマンドの実行と、AIへの受け渡しが別々の窓に散っている、という形の詰まりです。

Mountain DuckとCLIは別の勘定になる

もう1つ、無料の範囲を調べているときに混ざりやすいものがあります。同じ開発元が出しているMountain Duckです。こちらはリモートのサーバやクラウドを、Macのファイル管理の画面にディスクとして表示する製品で、Cyberduckとは別の配布ページを持っています。Cyberduckが無料だからといって、こちらも同じ扱いになるわけではありません。

コマンドライン版も別に用意されています。転送を自動化したい場合の選択肢になりますが、こちらを使い始めると、結局ターミナルの窓を開くことになります。

つまり、無料で済ませたい人にとっての実際の分岐はこうなります。サーバとやり取りするだけならCyberduckで完結し、支払いは任意です。ディスクとして常時マウントしたいならMountain Duckを検討することになり、そこは別料金です。自動化したいならコマンドラインに降りることになり、窓がもう1つ増えます。

支払いより先に、窓の数を数えたほうがいい

Cyberduckで詰まっている人の話を整理すると、金額の問題であることはほとんどありません。無料なので当然です。実際に手を止めているのは、Cyberduckの窓と、手元のフォルダを見る窓と、コマンドを打つ窓と、AIに聞く窓を行き来していることのほうです。転送のたびに4つの窓を横断しているなら、減らすべきは費用ではなく窓の数です。

ファイル管理とターミナルとAIを最初から同じ窓に置く作りの道具もあります。何ができるのかを目的から並べたできることのページを見ると、機能の数ではなく行き来の回数を減らすという考え方で組まれていることが分かります。Cyberduckのような転送専用のツールと役割がどう違うのかは他のファイル管理との比較に整理してあります。

金額の考え方については、無料のソフトウェアと比べるときに何を基準にすればよいのかを含めて料金に書いてあります。細かい条件を先に確かめたい場合はよくある質問のほうが早く読めます。

Cyberduckに寄付するかどうかの答えは単純です。年に十数回のダイアログが気になるなら10米ドル、App Storeの経路で管理したいなら4,000円、どちらも不要なら0円のまま。機能は3つとも同じなので、迷う理由はありません。迷うべきなのは、そのあとに残る窓の数のほうです。

よくある質問

Cyberduckは本当に無料で全機能が使えますか?

使えます。公式サイトからダウンロードした時点で、FTP、SFTP、WebDAV、Amazon S3、Dropbox、Google Driveなど21種類の接続先がすべて開きます。寄付や購入で増える機能はなく、変わるのは寄付のお願いのダイアログが表示されなくなる点だけです。

寄付するといくらかかりますか?

登録キーが発行される最低額は10米ドルです。通貨はユーロと米ドルから選べ、支払い時に台数を指定します。発行されたキーは複数のコンピュータで使えますが、本人に紐づくものなので他人との共有は認められていません。

Mac App Store版の4,000円は何が違うのですか?

機能は同じです。違うのは更新がApp Store経由で届くこと、ファミリー共有の対象になること、そして支払いがアプリの購入として処理されることです。金額だけを比べるなら10米ドルの寄付のほうが安く、同じように寄付のお願いが消えます。

古いMacでも動きますか?

公式のダウンロードページには、macOS 10.13以降でIntel(64bit)またはApple M1が必要と書かれています。macOS 10.13はHigh Sierraなので、かなり前の機種でも対象に入ります。Windows版はWindows 10(64bit)以降が必要です。

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