Macのファイルマネージャーアプリに要る4つの機能|Finderで足りるか
mac ファイルマネージャーアプリという言葉で検索が始まるのは、たいてい具体的な一場面です。並び順が毎回変わる。ターミナルに貼るためにパスを打ち直している。中身を確かめるためだけに重いアプリでファイルを開いている。ここで製品名を比べ始めるのは早すぎます。先にやるべきは、ファイルを見る窓が担う仕事のうち、どれが失敗しているのかを切り分けることです。4つのうち2つは設定で解決し、1つはショートカットの覚え直しで済み、道具を替える理由になるのは残りの1つだけだからです。
探す人が増えている背景にあるのは機能不足ではない
macOSのファイル管理を別のアプリに替えたいという需要は、以前とは違う理由で増えています。かつては2画面で大量のファイルを動かしたいという、Windowsの操作感を求める声が中心でした。いまは、ターミナルを日常的に使う人と、AIのやり取りを仕事に組み込んだ人が増えたことで、窓の往復そのものが問題として意識されるようになっています。
作業の形が変わったことは、扱う対象の変化にも表れています。ソースコード、設定ファイル、書き出した中間ファイル、ログ。いずれも中身を見ないと判断できず、かつパスを文字列として別の場所に渡す必要があるものです。写真や書類だけを扱っていた頃には必要なかった動作が、日常の中心に来ています。
一方で、Finder自体の機能はこの10年で確実に増えています。タブ、タグ、スマートフォルダ、クイックルック、クイックアクション。不足しているのは機能の数ではなく、機能同士のつながり方です。したがって「Finderは使いにくいから替える」という判断の前に、どの動作で手が止まっているのかを名指しする作業が要ります。名指しをしないまま道具を替えると、系統の違う製品を選んでしまい、数週間で元に戻ります。
ファイルを見る窓が担っている4つの仕事
どのOSのどのファイル管理アプリでも、窓の中では4つの別々の仕事が同時に走っています。同じ長方形の中で起きるため混ざって見えますが、対処の方法はそれぞれ違います。
- 現在地を知らせる仕事。いまどこにいるかを、クリックせずに常時示すこと
- 中身を見せる仕事。開かずに、そのファイルが目的のものかを判断させること
- まとめて手を加える仕事。1件ずつではなく、数十件を1回の操作で変えること
- 次の道具へ渡す仕事。いまのフォルダを、ターミナルやリモートの環境や別のアプリへ引き継ぐこと
Finderへの不満は、ほぼ例外なくこの4つのどれか1つに対応します。並び順が保たれないのは1つ目と2つ目の設定の問題です。アドレスバーがないのは1つ目の問題で、部分的な代替が用意されています。ターミナルにパスを打ち直しているのは4つ目の問題で、ここだけは標準機能が明確に手前で止まっています。
失敗している仕事を先に名指しすることが、乗り換えを定着させる条件です。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある形の道具は4つ目にはよく効きますが、3つ目にはほとんど効きません。逆に2画面型の道具は3つ目に強く、4つ目の往復回数は1回も減らしません。
現在地を知らせる仕事は、設定を3つ入れると変わる
Finderには常時表示されて編集できるアドレスバーがありません。代わりになる仕組みが3つあり、いずれも既定では目立たない位置にあります。
パスバーは、ウインドウ下部に階層をすべて表示する帯です。表示メニューから、またはOptionキーとCommandキーとPキーで出せます。各段はクリックで移動でき、ファイルをその段へドラッグすると上位フォルダへ直接移せます。3階層上へファイルを移す操作が、1回のドラッグで終わります。
パスを打って移動するのはShiftキーとCommandキーとGキーです。チルダの展開も、Tabキーによる補完も効きます。絶対パスの貼り付けも受け付けます。欠けているのは常時表示だけです。
見落とされやすいのがパスのコピーです。ファイルを選んでOptionキーを押しながら編集メニューを開くと、コピーの項目が「パス名をコピー」に変わります。キーボードではOptionキーとCommandキーとCキーです。この1つを覚えるだけで、パスを手で打ち直す場面の大半がなくなります。
それでも残るのは、現在地がテキストとして常に手元にある状態を作れない点です。フォルダの表示とコマンドラインの間を1日に何度も往復する働き方では、この隙間は設定では埋まりません。道具を替える検討に入ってよいのは、この条件に当てはまるときだけです。
開かずに中身が分かる仕事は、標準機能が最も厚い
4つの仕事のうち、Finderが最も得意なのがこれです。乗り換え先の候補として挙がるアプリの多くは、この部分ではむしろ弱くなります。
中心にあるのはクイックルックです。ファイルを選んでスペースバーを押すと、書類、画像、動画、音声、ソースコード、圧縮ファイルの中身が重ねて表示されます。表示したまま矢印キーで隣のファイルへ移れるため、ダウンロードフォルダの仕分けが数秒で終わります。Appleのユーザガイドは、Finderの表示について次のように説明しています。
Finderウインドウでは、項目の表示を選択できます。たとえば、項目をリスト表示する必要がない場合は、ギャラリー表示でファイルやフォルダを視覚的にパラパラとめくって表示できます。 出典: support.apple.com
表示形式は4種類あり、それぞれ答える質問が違います。アイコン表示は画像を見るため、リスト表示は日時やサイズで並べ替えるため、カラム表示は不慣れな階層をたどるため、ギャラリー表示は似た見た目のファイルを流し見るためのものです。特にカラム表示は、右端の列が選択中のファイルのプレビューになり、左側の列が通ってきた経路を保持するため、探索と確認を同時に行えます。
判断の前に変えておきたい既定値が2つあります。Finderの設定の詳細タブにある「すべてのファイル名拡張子を表示」と、「名前順に表示するときにフォルダを上部に表示」です。どちらも新規インストール時は無効です。前者は種類の推測をなくし、後者はフォルダとファイルの並びを予測可能にします。
残る弱点は、表示形式と並び順がフォルダごとに記憶される点です。表示オプションのパネルで「デフォルトとして使用」を選ぶと新しいフォルダには適用されますが、既に固有の設定を持っているフォルダはそのままです。
探す動作も、現在地を知る仕事の一部として設計されている
検索の期待が最もずれやすいのは、Spotlightがファイル名だけでなく中身も索引しているためです。文書の中の一文から目的のファイルを見つける用途では強く、ファイル名の断片を打ちながら候補が絞り込まれていく用途では期待と噛み合いません。
この差は、上位候補を先に見せる設計から来ています。1つを見つけるには適していますが、条件に合うものを全部見渡す用途には向きません。ファイル名で絞り込む使い方に近づけるには、設定と検索条件を2つ変えます。Finderの設定の詳細タブで「検索実行時: 現在のフォルダ内を検索」を選ぶと、プロジェクトの中で始めた検索が勝手にMac全体へ広がらなくなります。さらに検索ウインドウでプラスボタンから条件を追加し、「名前」が「次を含む」に一致する形にすると、本文の一致が結果から外れます。
この条件を保存しておけば、ファイル名の絞り込みに近い動きになります。ただし1文字打つごとに一覧が更新されるわけではありません。この点は設計の違いであり、不具合ではありません。道具を替える理由にするかどうかは、実際にその挙動が1日に何回必要かで決めることになります。
複数のファイルに一度で手を加える仕事は、どこまで標準で届くか
一括操作は、軽い使い方と重い使い方の差が最も早く出る領域です。標準機能は良くできていますが、途中で止まります。
名前の一括変更は用意されています。複数のファイルを選んで右クリックし、「項目の名前を変更」を選ぶと、文字列の置換、前後への文字の追加、名前と連番の組み合わせが選べます。スクリプトを書かずに済む範囲は広い一方、条件付きの変更、たとえばファイルの中の日付を読んで名前に入れるような処理はできません。
タグは、色と語をファイルに付けてサイドバーから引ける仕組みです。1つのファイルに複数付けられ、移動しても消えません。それでも運用が続かないのは、ファイルが届いた瞬間に付ける必要があるのに、付け忘れを知らせる仕組みがないためです。何にも強制されない分類の習慣は、数週間で薄れます。
スマートフォルダは、条件を保存しておくと中身が自動で集まる仕組みです。ファイルメニューから作れます。「直近1週間に触った表計算ファイル」のようなフォルダが1分で作れるにもかかわらず使われていないのは、作成の入口が目立たないためです。
クイックアクションは、右クリックのメニューに変換や回転などの処理を足す仕組みです。ショートカットアプリやAutomatorで作った処理も並びます。ここまで到達する人は多くありませんが、足りないと思われている機能の一部は、実際にはこの層に存在します。
次の道具へ渡す仕事だけが、設定では埋まらない
4つ目は、道具を替える判断に直結する部分です。
現在のフォルダでシェルを開く動作は、購入ではなく設定で足せます。システム設定のキーボードから、キーボードショートカット、サービス、ファイルとフォルダの中に「フォルダに新規ターミナル」があります。有効にすると、任意のフォルダの右クリックからそのディレクトリにいる状態のシェルが開きます。開いているターミナルの窓にフォルダをドラッグしても、パスが貼り付けられます。
リモートの場所はCommandキーとKキーの「サーバへ接続」が担当し、SMBとWebDAVに対応します。接続したボリュームはローカルのフォルダとほぼ同じように扱え、クイックルックも効きます。標準では扱えないのがSFTPで、サーバ上の作業がある人はここで別の道具を持つことになります。
新しく増えた条件が、AIとのやり取りを含む働き方です。フォルダの窓、ターミナル、対話の窓の3つを開き、パスを手で写して回すのが標準的な形になっています。1回あたりの手間は小さく、回数は小さくありません。窓を速くするのではなく、写す動作そのものをなくす方向の道具は、この4つ目にだけ効きます。どの機能がその範囲に入るかはできることに整理されており、系統ごとの違いを先に見たい場合は他のファイル管理との比較のほうが判断材料になります。
10分で終わる確認表と、閲覧データから見える分かれ目
次の表を上から順に確かめると、設定の問題なのか設計の問題なのかがその場で分かります。
| 仕事 | 確かめること | 標準の状態で止まる場所 |
|---|---|---|
| 現在地 | パスを見て、そのままコピーできるか | パスバーが既定で無効。常時編集できる欄はない |
| 中身の確認 | 開かずに目的のファイルか判断できるか | クイックルックとカラム表示で足りている |
| 一括操作 | 50件を1回の操作で変えられるか | 名前の一括変更は単純な置換まで |
| 受け渡し | 現在のフォルダが1手でシェルに届くか | 設定1つで足せる。SFTPと同一窓は対象外 |
上の3行に失敗が集まる場合、答えは設定とショートカットであり、費用をかけても変わりません。4行目に集まり、しかもそれが1日に何度も起きる場合だけ、窓そのものを替える判断が成り立ちます。
比較ページの閲覧の動きを見ると、この分かれ方は実際の行動にも表れています。設定やショートカットの解説を読んで離脱する層と、比較の一覧から対応環境や費用の情報へ進む層に分かれ、後者は既に往復の存在を自覚しています。前者に必要なのは製品ではなく操作の型です。
決める順序は、設定を入れる、1日数える、系統を選ぶ、最後に費用と環境を確かめる、の4段階です。環境の条件を最後に置くのは、機能の検討が終わっていれば比較が単純になるためで、表示や操作の言語の一覧は対応言語に、費用の形は料金にまとまっています。導入前に出やすい疑問はよくある質問に並んでいるので、迷いが残る箇所だけ拾う読み方が向いています。
よくある質問
Finderにアドレスバーを出す方法はありますか?
常時表示されて編集できる欄はありません。近いのは表示メニューの「パスバーを表示」で、ウインドウ下部に階層が出てクリックで移動でき、ファイルのドロップ先にもなります。パスを打って移動したいときはShiftキーとCommandキーとGキーで一時的な入力欄が開き、現在地を文字列で取りたいときはOptionキーとCommandキーとCキーでコピーできます。
ファイル管理アプリを替えると、保存や読み込みの画面も変わりますか?
変わりません。保存と読み込みのダイアログはmacOSと各アプリが提供しているため、どのアプリを入れても標準の動きのままです。乗り換えで変わるのは閲覧と移動に使う窓だけで、Finderは背後に残ります。全面的な置き換えを期待していると、ここで食い違いが出ます。
同じフォルダを開くたびに見た目が変わるのはなぜですか?
Finderが表示形式と並び順をフォルダごとに記憶しているためです。好みの表示にしたうえで表示オプションのパネルで「デフォルトとして使用」を選ぶと、固有の設定を持たないフォルダには適用されます。既に自分の設定を持っているフォルダは、そのフォルダで指定し直すまで変わりません。
無料の道具で足りますか、それとも有料の道具が要りますか?
詰まっている仕事によって分かれます。現在地の把握、中身の確認、一括操作の3つは、標準の設定とショートカットで費用をかけずに大きく改善します。フォルダの表示とターミナルの間を1日に何度も往復している場合だけは設定で埋まらないため、その分断を解消する道具に費用を払う判断が成り立ちます。