forklift 無料代替を探す前に確認したい5つの仕事

「forklift 無料代替」で検索する人の状況はだいたい同じところにある。試用期間が切れたか、以前買ったライセンスの更新期間が終わって新しいビルドが入らなくなったか、そのどちらかだ。そして「ファイルを動かすだけの道具に、また同じ金額を払う意味があるのか」という問いに行き着く。

この問いは正当だが、最初に置く問いとしては少しずれている。ForkLiftは1本のアプリではなく、性質の違う5つの仕事をまとめて引き受けている道具だからだ。無料の選択肢は、そのうちのいくつかは十分に代替できるが、残りはまったく代替できない。だから「無料で全部置き換えられるか」ではなく「自分が実際に使っているのはどの仕事か」から決めたほうが、答えははるかに早く出る。

無料の代わりを探す動きが増えている背景

Macのファイル管理アプリの市場は、この数年で価格の考え方が変わった。買い切りのように見えて、実際には更新を受け取れる期間が区切られている形が主流になっている。ForkLift 4はBinaryNightsが販売しており、シングルユーザーで更新1年付きが19.95ドル、更新2年付きが34.95ドル。ファミリーライセンスは29.95ドルと49.95ドル、スモールビジネスは69.95ドルと119.95ドルという区分になっている。

With the ForkLift lifetime license, you get free software updates for one or two years, depending on your choice. Once that period ends, you can keep using the latest version of ForkLift covered by your license indefinitely. 出典: binarynights.com

更新期間が切れても、そのライセンスで受け取れた最後のバージョンは使い続けられる。使えなくなるわけではない。ただしmacOSは毎年秋に大きな更新があり、ファイル管理アプリはシステムの深いところに触れるため、古いビルドのまま何年も無事でいられるとは限らない。「そろそろ買い直すか、無料に移るか」という判断が、数年ごとに回ってくる構造になっている。

同じ時期に、無料で使えるファイル管理アプリの層も厚くなった。オープンソースのものが増え、Mac App Storeから無料で入るものもある。選択肢が増えたぶん「どれを選ぶか」より「何を諦めることになるのか」を先に知っておく価値が上がっている。

有料ライセンスが引き受けている5つの仕事

支払っている金額の中身を分解すると、次の5つになる。

  • 2画面のローカル閲覧。キーボード中心の操作と、ショートカットの割り当て変更ができる
  • リモートの領域をローカルのディスクのように扱う機能。SFTP、FTP、WebDAV、Amazon S3、Backblaze B2、Google Drive、OneDrive、Dropbox、Rackspace Cloudfiles、SMB、AFP、NFSに対応している
  • フォルダ同士の同期。片方向と双方向の両方があり、ローカル同士でもリモートとの間でも動く
  • アーカイブの中身の閲覧、ファイルの比較、ファイル一覧上でのGitの状態表示
  • 作業レイアウトの保存。案件ごとの画面構成を呼び戻せる

重要なのは、無料の代わりを探している人の大半が、この5つ全部を使っているわけではないという点だ。毎日サーバーに配信している人はリモート側に住んでいて、接続マネージャーを開かない日はない。逆に、外付けドライブの中で大量の素材を仕分けている人は2画面側だけを使っていて、接続設定を一度も開いたことがない。

無料の選択肢は、まさにこの境界線で分かれている。だから「どちら側の人間か」を先に決めるだけで、候補は半分以下に絞れる。

無料で使えるファイル管理アプリと、諦めることになるもの

上の5つを1本でまとめて満たす無料アプリは、いまのところ存在しない。ただし1列ずつなら、十分な水準のものがそろっている。

名前 費用 2画面 内蔵のリモート接続 アプリ内のターミナル
Marta marta.sh から無料で入手 あり なし あり
Nimble Commander 無料。GPL-3.0。Mac App Storeにもあり あり FTP、SFTP、WebDAV あり
Commander One 基本は無料。PRO Packは29.99ドル あり PRO Packのみ PRO Packのみ
muCommander 無料。オープンソース。Javaが必要 あり FTP、SFTP、SMB、WebDAV なし
Double Commander 無料。オープンソース あり プラグイン経由 なし
Cyberduck 無料で入手可。寄付を案内される なし SFTP、FTP、WebDAV、S3ほか なし
Finder macOSに同梱 なし SMB、AFP、NFS、WebDAV、FTP なし

Martaは、ローカル側の代わりとしてはもっともmacOSらしい感触の無料アプリだ。macOS専用に書かれていて、キーボード中心で動き、テーマが5種類付属する。ZIPの書き込みに加えて、RAR、7Z、XAR、TAR、ISO、CAB、LZHの読み取りに対応し、Luaでプラグインを書けるAPIも公開されている。そして操作中のペインと作業ディレクトリが連動する内蔵ターミナルがある。Finderに戻ったときに真っ先に失われるのが、この連動だ。

Nimble CommanderはGPL-3.0のオープンソースで、Mac App Storeから無料で入る。ターミナルエミュレータを内蔵し、FTP、SFTP、WebDAVに対応する。ただしMac App Store版はサンドボックスの中で動くため、直接ダウンロードした版と比べて触れる範囲が狭い。システム領域をまたぐ作業が多い人には、この差が効いてくる。

Commander Oneは2画面の基本部分を無料で配り、接続マネージャー、クラウドストレージ、ターミナルエミュレータ、プロセスビューアをPRO Packに置いている。1台分で29.99ドル、5台分で99.99ドルという価格なので、ここまで来ると19.95ドルの有料ライセンスと比べる意味が出てくる。反射的に「無料だから」と選ぶのではなく、実際の金額を並べて確かめたほうがよい。

各アプリの守備範囲を横に並べた資料としては、他のファイル管理との比較が近い形で整理されている。乗り換え先を1本に絞る前に、比較の軸そのものを確認しておくと選び直しの回数が減る。

1本で置き換えるより、2本に分けるほうが現実的

実際に機能する組み合わせは、無料のローカル閲覧アプリ1本と、無料の転送クライアント1本を並べる形だ。フォルダの操作はMartaかNimble Commander、サーバーとのやり取りはCyberduckかFileZilla。どちらも無料で、どちらも手入れが続いており、それぞれの担当範囲では有料製品の該当部分に見劣りしない。

この構成で失われるのは、有料アプリが本当に得意にしている一点だ。リモートを1つのペインとして扱い、ローカルからリモートへ一度の操作でファイルを渡せること。分けた瞬間に、その操作は3手になる。月に2回しか配信しない人にとって3手は誤差でしかない。1日に20回渡している人にとっては、その3手こそがライセンス料の理由そのものになる。

判断は感覚ではなく数で出せる。1週間、ローカルとリモートの境界をファイルが越えた回数を数える。10回未満なら無料2本の構成で困らない。50回を超えるなら、境界を消す道具は贅沢品ではない。そのとき比べるべきは無料と有料ではなく、どの有料製品がその境界をいちばんうまく消すかになる。

分割構成では、あとから気づく落とし穴が2つある。1つは同期の設定が引き継げないこと。これまで1操作でそろえていたフォルダの組が、手作業の突き合わせか、シェルスクリプトか、いずれ途切れる習慣に変わる。もう1つは接続情報が2か所に散ることだ。ローカル側のアプリと転送クライアントがそれぞれ接続先の一覧を持つため、SSHの鍵を替えたときに2か所を直す必要が出る。片方を忘れると、設定の問題がサーバー障害のように見える形で表面化する。

どちらも致命傷ではない。ただ、乗り換えてから3週間後ではなく、乗り換える前に知っておく種類の話だ。

その無料アプリがまだ生きているかを確かめる

無料の道具は静かに終わる。停止の連絡は来ない。ビルドが出なくなるだけで、それが表に出るのはmacOSを更新した翌朝、アプリが起動しなくなったときになる。

見るべき場所は4つある。1つ目は最新リリースの日付で、サイトのフッターにある著作権表記の年ではない。18か月以上ビルドが出ていないファイル管理アプリが、次のmacOSに間に合う見込みは薄い。2つ目は更新履歴に現行のmacOSの名前が出ているかどうか。新しいシステムへの対応作業は具体的で目に見えるので、名前が出ていれば誰かが実機で試している証拠になる。

3つ目はAppleの公証を通っているかどうか。公証がなくても起動はできるが、Gatekeeperが絡むたびに余分な手順が要るうえ、配布の作法から作者が離れつつある兆候でもある。4つ目はオープンソースの場合の課題管理の様子で、ダウンロードページよりこちらのほうが正確だ。作者の返信が最近まで続いていれば手入れされている。未対応が100件積み上がったまま1年沈黙していれば、今日動くこと以外は期待しないほうがよい。

これは無料が悪いという話ではない。手入れが止まった無料アプリだけが悪い選択であって、その2つは数分の確認で見分けられる。

無料が無料でなくなる3か所

ダウンロードページに書かれない費用が3つある。

1つ目は乗り換えそのものの費用だ。ファイル管理アプリの操作は体で覚えているので、作り直すのに2週間ほどかかる。2週間ぶんの「少しだけ遅い仕事」を時給に置き換えれば、19.95ドルは簡単に超える。これは有料を勧める理由ではなく、試し打ちで3回乗り換えるくらいなら1回で決めたほうがよい、という理由になる。

2つ目は実行環境の手間だ。muCommanderはJavaの上で動くため、Javaの実行環境を用意して更新し続ける必要がある。開発者には何でもない作業だが、それ以外の人には十分に面倒な部類に入る。

3つ目は日本語まわりの確認だ。ファイル名の正規化、日本語を含むパスの表示、日本語入力中の挙動は、海外の個人開発アプリでは後回しになりやすい。実際のファイル名で確かめる必要がある。多言語への対応状況をどう見ておくかは対応言語に整理がある。

止まっているのはファイル管理ではないかもしれない

「forklift 無料代替」と検索している人の相当数は、実はForkLiftの話をしていない。フォルダの窓とシェルのプロンプトの間を1日中往復していて、その往復が1日のどれだけを食っているかに気づき始めた人たちだ。ファイル管理アプリは、その苛立ちが表面化する場所にすぎない。

問題の形がそちらなら、絞り込むべき条件は「現在のディレクトリに追従するターミナルがアプリの中にあるか」の1点になる。Martaにはある。Nimble Commanderにもある。Commander OneはPRO Packの側に置いている。Finderにはないが、キーボード設定のサービス項目から「フォルダに新規ターミナル」を有効にすれば、いちばん単純な形は補える。

その先にもう1段ある。フォルダの表示とシェルとAIが同じ作業ディレクトリを見ていて、やりたいことを言葉で書けば目の前のファイルに対してそのまま実行される窓だ。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある状態は、従来の2画面ファイラーとは別の分類になる。何ができる形なのかはできることにまとまっており、席を離れたあとに手元の端末から続きを見る形はiPhone・iPadから続きをで説明されている。無料の道具で前半だけを解決して落ち着く前に、この段の存在は知っておいたほうがよい。

10営業日で決着をつける試し方

機能一覧をにらんで想像で決めても当たらない。動かせば当たる。

候補は3本ではなく1本にする。導入して、可能ならフォルダを開く既定のアプリに設定し、10営業日のあいだ他を使わない。そして、その道具のせいで遠回りした瞬間をメモに残す。話せないプロトコル、越えられなかった権限の確認、開けなかった書庫の形式、存在しなかったショートカット。粗いメモでかまわない。

10日後、そのメモが答えになる。行数が少なければ、無料の道具で実際の仕事は足りていたということで、ライセンスは最初から不要だった。行数が多く、しかも同じ不満が毎日出ているなら、迂回の費用が数字として測れる状態になっている。そこまで来れば、その数字と一度きりのライセンス料を比べるのは2分の計算であって、好みの問題ではなくなる。現在の価格の並びは料金で確認でき、判断に迷いやすい点はよくある質問に集約されている。

決め方の順序は変わらない。無料で全部を置き換える1本を探すのをやめて、自分の1日がローカル側とリモート側のどちらに寄っているかを先に確定させる。そのうえで、寄っている側でいちばん強い無料の道具を1本だけ選び、10営業日そのまま使う。メモの中身が「フォルダとシェルと補助の道具を行き来している」という一点に集まるなら、次に見る対象は2画面ファイラーではなく、その3つが同じ窓に入っている種類の道具になる。

よくある質問

ForkLiftの機能を全部そのまま置き換えられる無料アプリはある?

現時点では存在しない。MartaやNimble Commanderは2画面のローカル閲覧とアプリ内ターミナルを無料でよく満たし、CyberduckやFileZillaは転送側を満たす。ただし、対応プロトコルの広さと双方向同期、リモートをローカルのディスクのように扱う機能を1本にまとめた無料アプリは見当たらない。

無料でうまくいかなかった場合、ForkLift 4はいくらかかる?

BinaryNightsの価格ではシングルユーザーが更新1年付きで19.95ドル、更新2年付きで34.95ドル。ファミリーが29.95ドルと49.95ドル、スモールビジネスが69.95ドルと119.95ドルとなっている。更新期間が終わってもその範囲の最新版は使い続けられるが、新しいビルドを入れるには買い直しが必要になる。

Nimble CommanderはなぜMac App Storeで無料なのか?

GPL-3.0のオープンソースとして公開されており、作者がストア版に課金しない方針を取っているためだ。その代わりストア版はサンドボックスの中で動くため、直接ダウンロードした版と比べてユーザーフォルダの外側に対する操作に制限がかかる点は把握しておきたい。

Finderの「サーバへ接続」だけで済ませられる?

FinderはSMB、AFP、NFS、WebDAV、FTPに接続でき、共有ドライブにときどきアクセスする用途なら足りる。ただし2画面の表示も、保存できる同期の設定も、内蔵ターミナルもない。ローカルとリモートの間を1日に何十回も往復する使い方では力不足になりやすい。

記事一覧へ戻る