Macのターミナルの使い方|フォルダを移動するところから
mac ターミナル 使い方で検索する人が本当に困っているのは、コマンドの一覧が手に入らないことではありません。一覧はいくらでも出てくるのに、どこから打ち始めればよいのか、いま自分がどこにいるのかが分からないまま画面を閉じてしまうことです。この記事では、開き方の3通りを比べたうえで、最初に覚えるコマンドを移動と一覧の2つに絞り、打ち間違いの直し方、消す操作の順番、Finderとの行き来を減らす方法までを、実際に手を動かす順番で整理します。
ターミナルはシェルを動かすための窓
ターミナルは、macOSにコマンドラインインターフェイスを提供するアプリです。窓が1つ開くたびに、シェルのプロセスが1つ立ち上がります。画面に出ている記号の並びはプロンプトと呼ばれ、ログインしているホストの名前、いま見ているフォルダ、ユーザ名、記号が並びます。
ターミナルは、黒い画面を見ただけでは難しく感じます。しかし、基本的な仕組みと安全な使い方が分かれば、Macでできることを広げてくれる便利なツールになります。 出典: note.com
シェルが何なのかは、最初は「打った文字をコマンドとして読み取る係」と考えておけば足ります。macOS 10.15以降で新しく作られたユーザアカウントは、既定のシェルがzshです。macOS 10.14以前はbashでした。別のシェルに変えたい場合は chsh -s で切り替えますが、ここを触る必要が出るのは当面ありません。既定のままで困ることは、ほとんど起きません。
プロンプトの末尾の記号は、zshなら %、bashなら $ です。ネットで見つけたコマンドの先頭に % や $ が付いていることがありますが、あれはプロンプトを書き写したものなので、その1文字は打ちません。この1点を知らないだけで最初のコマンドが通らない例が少なくありません。
開き方は3通りあり、Finderから開くのが一番速い
開き方は次の3つです。
- Dockのアプリケーションフォルダから開く。アプリケーションの中のユーティリティフォルダにターミナルがあります
- Launchpadを開いて検索フィールドに「ターミナル」と入力する
- Finderのパスバーから、いま見ているフォルダを指定して開く
3つ目が最も実務的です。Finderで表示メニューからパスバーを表示しておくと、窓の下端にフォルダの階層が並びます。そのパスバーのフォルダをcontrolキーを押しながらクリックし、「“ターミナル”で開く」を選ぶと、そのフォルダを作業フォルダにした状態で新しい窓が開きます。サービスの中から「フォルダに新規ターミナルタブ」を選べば、タブとして開きます。
この開き方が速いのは、移動のコマンドを打たずに済むからです。初心者がつまずく最大の原因は、目的のフォルダにたどり着けないことにあります。Finderで見えている場所からそのまま開けば、その入口がなくなります。
終わり方も先に決めておきます。窓の中でシェルだけを終えたいときは exit と入力してReturnキーを押します。アプリごと終えるなら、ターミナルメニューから「ターミナルを終了」を選びます。実行中のコマンドが残っているときは確認のダイアログが出るので、何も動いていないのに閉じられないという状態にはなりません。
最初に覚えるのは移動と一覧の2つだけ
覚えるコマンドは、最初は3個で足ります。いまどこにいるかを出す pwd、そこに何があるかを出す ls、場所を移る cd です。
実際に打つ順番は、pwd で現在地を確かめ、ls で中身を見て、cd で1つ下に降りる、の繰り返しです。1つ上に戻るのは cd ..、ホームフォルダに戻るのは cd だけを打ちます。この4つの動きで、Macの中のどこにでも行けます。
ls は引数を付けると出方が変わります。ls -l で1行1件の詳しい表示になり、ls -a で先頭が点で始まる隠しファイルまで出ます。設定ファイルの多くは点で始まるので、.zshrc を探しているのに見つからないときは、この -a が足りていないだけです。
長いフォルダ名を打つ必要はありません。数文字打ってtabキーを押すと、候補が1つに絞れる範囲まで自動で補われます。候補が複数あるときは、もう一度tabキーを押すと一覧が出ます。zshの補完はここが強く、手で全部打つのは時間の無駄になります。
パスを打つのが面倒なときは、Finderからフォルダをターミナルの窓の中へドラッグします。そのフォルダのパスがカーソルの位置に文字として入ります。cd と打ってから、半角スペースを1つ空けてドラッグするのが定型です。
打ち間違いと止め方を先に覚えておく
最初に覚えるべきは、正しいコマンドではなく間に合わせの直し方です。
打ち間違えたときは command not found が返ります。これは綴りが違うか、そのコマンドがこのMacに入っていないかのどちらかです。Appleの資料にも、opne -a TextEdit.app と打つと zsh: opne: command not found が返る例が載っています。返ってきた行の中に自分が打った文字がそのまま出るので、どこを間違えたかはその行を読めば分かります。
コマンドが動き出してしまって止めたいときは、その窓をクリックしてcontrolキーとCキーを同時に押します。ほとんどのコマンドがこれで終わります。画面が流れ続けて手が出せなくなったときも、まずこれを押します。
同じコマンドをもう一度打ちたいときは上矢印キーです。セッション中に打ったコマンドは保存されているので、上矢印を押し続けて目的の行を出し、Returnキーを押します。長いコマンドを打ち直すのは、ほぼ常に不要です。
行の編集もキーで動きます。行頭へ移るのはcontrolとA、行末へ移るのはcontrolとE、行を丸ごと消すのはcontrolとU、カーソルより後ろを消すのはcontrolとKです。これだけで、途中の1文字を直すために左矢印を連打する場面が消えます。
消す操作だけは手順を固定する
注意が必要なのは、消す操作と上書きする操作です。ターミナルからの削除は、Finderからの削除と違ってゴミ箱を経由しません。戻す手段が用意されていないので、打つ前に確かめる手順を固定します。
順番は次の通りです。
- 消す対象を
lsで表示して、出てきた一覧が本当に消したいものだけかを目で見る - 同じ条件で
echoを挟んで、対象のファイル名を並べて確認する - 確認できたら、はじめて削除のコマンドを打つ
ワイルドカードを使うときは特に効きます。* は「その場所にある全部」を指すので、打ち間違いが1文字入るだけで対象が広がります。先に ls で同じ条件を打ち、出てきた行数を数えてから実行すれば、範囲の取り違えはその場で分かります。
管理者の権限で実行する sudo は、必要が確認できるまで打ちません。権限が足りないというメッセージが出たときも、まずそのファイルの置き場所が正しいかを疑います。ホームフォルダの中で作業している限り、sudo が要る場面はほとんど出てきません。
もう1つの注意点は、コピーして貼り付けたコマンドをそのまま走らせることです。何をするコマンドなのかを1行で説明できないうちは実行しない、という線を引いておくと、後で困る操作はかなり減ります。
ファイルとフォルダの指定で止まる3か所
コマンド自体は合っているのに通らない場面は、指定の書き方に原因が集まります。
1つ目はスペースです。フォルダ名に半角スペースが入っていると、シェルはそこで区切りと判断します。My Documents は2つの単語として読まれるので、引用符で囲むか、スペースの前に \ を置いて逃がします。ドラッグで入れたパスには自動でこの処理が入るので、ここでもドラッグが安全です。
2つ目は日本語のファイル名です。Mac上の日本語のファイル名は、濁点や半濁点が分解された形で保存されていることがあります。画面では同じに見えても、文字列としては一致しません。名前を手で打って見つからないときは、tabキーの補完か、Finderからのドラッグに切り替えます。
3つ目は相対パスと絶対パスの取り違えです。/ で始まるものはMacの一番上から辿る絶対パス、~ で始まるものはホームフォルダから辿るパス、何も付かないものは現在地から辿る相対パスです。エラーの文面が「そのようなファイルやディレクトリはありません」であれば、パスの起点が思っている場所と違っている場合がほとんどです。pwd を打って現在地を確かめるのが最短の切り分けになります。
ショートカットで窓の往復を減らす
ターミナルは窓とタブを増やせます。新しい窓はcommandとN、新しいタブはcommandとT、窓を2つに分けるのはcommandとD、分けたパネルを閉じるのはshiftとcommandとDです。タブの移動はcontrolとtabで、閉じるのはcommandとWです。
| やりたいこと | キー |
|---|---|
| 新しい窓を開く | Command+N |
| 新しいタブを開く | Command+T |
| 窓を2つに分ける | Command+D |
| 前のタブに戻る | Control+Shift+Tab |
| 文字を大きくする | Command+プラス記号 |
| 実行中のコマンドを止める | Control+C |
覚える価値があるのは、この6つだけです。全部を覚えようとすると続きません。実務で押す回数が多い順に、必要になったときだけ足していきます。
ここまでの操作を覚えると、Finderでできることの多くがターミナルからも行えるようになります。ファイル名の一括変更、条件を付けた検索、同じ処理の繰り返しは、コマンドのほうが速い場面があります。アプリを開くのも open -a で済みます。求人の応募要件にコマンドラインの経験が並ぶのは、この繰り返し作業を人の手から外せるかどうかが業務の速さに直結するためです。
3つの窓を行き来する時間を数える
ここまでの内容は、ターミナルという窓の中の話です。実務でかかっている時間は、その窓の中ではなく窓と窓の間に落ちています。
典型的な流れはこうです。Finderでフォルダを開いて中身を見る。ターミナルに切り替えてコマンドを打つ。結果を確かめるためにFinderに戻る。AIに相談するために3つ目の窓へ移り、フォルダの一覧をコピーして貼り付ける。1回の切り替えは数秒でも、1日に何十回も起きれば、まとまった時間になります。
この往復が起きるのは、それぞれの窓が他の窓が何を見ているかを知らないからです。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある構成なら、いま見ているフォルダがそのままコマンドの作業フォルダになり、貼り付けの手順が消えます。窓の中で何ができるのかはできることに、標準のFinderや他のファイル管理アプリとの違いは他のファイル管理との比較に整理されています。
もう1つの待ち時間は、席を離れている間に処理が止まって確認を待っている場面です。手元を離れたときに続きを返す方法はiPhone・iPadから続きをにまとめてあります。費用の目安は料金にあります。
まず変えるとよいのは、コマンドを増やすことではありません。Finderのパスバーから開く癖を付けて、pwd と ls を打ってから次の操作に進む、という順番を固定することです。この2つが習慣になれば、どのコマンドも安全に試せるようになります。
よくある質問
ターミナルでいま自分がどこにいるか分からなくなったらどうしますか?
pwd を打つと、現在の作業フォルダのパスが1行で出ます。ホームフォルダに戻りたいときは cd だけを打ってReturnキーを押します。1つ上の階層に上がるのは cd .. です。この3つを覚えておけば、どこで迷っても最初の場所に戻れます。
最初に覚えるコマンドはいくつあればよいですか?
現在地を出す pwd、中身を並べる ls、場所を移る cd の3つで始められます。この3つで移動と確認ができるようになってから、コピーの cp、移動の mv、フォルダ作成の mkdir を足していく順番が無理がありません。一覧を暗記する必要はありません。
コマンドを打ったら command not found と出ました。原因は何ですか?
綴りが違うか、そのコマンドがMacに入っていないかのどちらかです。返ってきた行に自分が打った文字がそのまま出るので、そこを読めば綴りの間違いは分かります。ネット上のコマンドの先頭にある % や $ はプロンプトの写しなので、その1文字は打たないでください。
ターミナルで消したファイルはゴミ箱から戻せますか?
戻せません。ターミナルからの削除はゴミ箱を経由しないため、実行した時点で元に戻す手段がなくなります。削除の前に同じ条件で ls を打って対象の一覧を目で確かめる手順を固定してください。ワイルドカードを使うときは特に、先に件数を数えてから実行します。