写真と動画の整理の代わりになるもの|手放してよい機能
写真と動画の整理で手が止まるのは、枚数が多いからではありません。作業の種類が多いからです。日付でフォルダを切る、名前を付け直す、重複を消す、容量を空ける。この4つを全部自分の手でやろうとすると、どれも中途半端なところで止まります。実際には、このうち手作業のまま抱え続ける必要があるものは多くありません。ここでは、どの作業に代わりが立つのか、どの作業は代わりを立ててはいけないのかを分けて並べます。
枚数が増えたのに、整理の手間が減らなかった理由
写真と動画が増えた原因の一つは、保存形式が変わったことです。AppleはiOS 11とmacOS High Sierra 10.13から、写真にHEIF、動画にHEVCという形式を導入しました。JPEGやH.264より圧縮率が高く、同じ画質のまま容量を抑えられる形式です。撮影できるのはiPhone 7以降、iPad(第6世代)以降などの機種で、それ以前の機種でも表示や編集はできます。
容量あたりに入る本数が増えたことで、消す動機が弱くなりました。ディスクが埋まらなければ、要らない動画を探して削る作業は後回しになります。結果として、容量の問題は緩んだのに、探す時間だけが伸びていきます。
さらに、手元に溜まるファイルの種類も変わっています。macOS Tahoe 26以降を搭載した対応機種では、スクリーンショットアプリの取り込みフォーマットがHDRのとき、スクリーンショットはHEIF、画面収録はHEVCで保存されます。数年前に書かれた整理手順が「PNGとMOVを分ける」前提で作られていると、その前提はもう当てはまりません。
ここから導かれる方針は1つです。整理の目的を「きれいに分類すること」ではなく「探したときに出てくる状態を保つこと」に置き換えます。分類は人の手が要りますが、探して出てくる状態を保つ作業には、ほとんど代わりが立ちます。
日付でフォルダを切る作業の代わりになるもの
日付フォルダが崩れる原因は、日付が1つではないことです。1つのファイルには少なくとも3つの日付が付いています。撮影日時(EXIFのDateTimeOriginal)、ファイルの作成日、ファイルの変更日です。撮影日時は撮った瞬間に画像の中へ書き込まれますが、作成日と変更日はファイルシステムが持っている情報で、コピーや書き出しをすると更新されます。
手でフォルダを切るとき、人は画面に出ている日付を見ます。その日付がどれなのかを意識しないまま振り分けると、外付けにコピーした時点で全部が同じ日付に見える、という事故が起きます。
代わりになるのは、日付を条件として扱う仕組みです。macOSのSpotlightは撮影日時を kMDItemContentCreationDate という項目で拾っているので、ファイルを動かさなくても日付で絞れます。ターミナルからなら mdls で1件の項目を確かめ、mdfind で条件に合うものを列挙できます。写真アプリ側ならスマートアルバムが同じ役割を果たします。
この置き換えで手放せるのは、フォルダの階層を設計する作業そのものです。年と月のフォルダを作り、新しい月が来たら追加し、去年の分をどこへ動かすか悩む。この一連の作業は、条件で絞る仕組みを1つ用意すれば要らなくなります。
ただし条件で絞る方式には前提があります。索引が効いていることです。外付けドライブで索引を切っていたり、ネットワーク越しの場所に置いていたりすると、条件検索は空振りします。フォルダ階層をやめる前に、その場所で検索が返ってくるかどうかを先に確かめておきます。
名前を付け直す作業の代わりになるもの
カメラが付ける名前は IMG_ に4桁の連番です。連番は機種ごとに独立しているので、古いiPhoneと新しいiPhone、家族の端末が混ざると、同じ名前のまったく別の写真が並びます。フォルダにまとめた瞬間に上書きの確認が出るのはこれが理由です。
名前を付け直す作業には、目的が2つ混ざっています。1つ目は衝突を避けること、2つ目は中身を思い出せるようにすることです。この2つは分けて考えます。
衝突を避けるほうには代わりがあります。撮影日時を先頭に置く規則を1つ決めれば、それだけでほぼ衝突しなくなります。Finderで複数を選んで名前を変更する機能でも、連番や置換をまとめて当てられます。1件ずつ開いて打ち直す必要はありません。
中身を思い出せるようにするほうは、名前でやらなくて構いません。写真アプリにはキーワードを付ける機能があり、スクリーンショットやLive Photosをメディアタイプ別に絞る機能も用意されています。ファイル名は、人に渡すときに相手が読む文字列です。手元で探すためだけに全件へ名前を付ける作業は、ほとんど回収できません。
判断の目安はこうです。他人に渡す予定のあるファイルには名前を付ける。手元にしか置かないファイルは、連番のままにして条件で引く。この線を引くだけで、名前を付け直す対象は大きく減ります。
重複を消す作業の代わりになるもの
重複の削除は、代わりを立てる前に「何が重複なのか」を決める作業です。見かけ上ペアになっているだけで、消してはいけない組が複数あります。
- Live Photos は静止画と動画の組で1件です。2つのファイルがあるからといって、動画側を消すと動く写真ではなくなります
- RAWとJPEGを同時に記録する設定では、同じ画が2つ並びます。現像するならRAW、すぐ渡すならJPEGで、役割が違います
- カメラの設定を「互換性優先」にすると、新しく撮る写真やビデオはJPEGやH.264になります。設定を切り替えた前後で、同じ被写体が別形式で残ることがあります
- 書き出しやリサイズで作ったコピーは、元と同じ名前のまま別の場所にあることが多く、機械的な照合では拾いにくくなります
本当に同じものはバイト列が一致します。shasum で要約値を出して突き合わせれば、名前や日付が違っていても同一かどうかが確実に分かります。写真アプリ側にも重複した項目を削除する機能が用意されているので、ライブラリの中だけを対象にするならそちらで足ります。
もう1つ、前提が変わっている点があります。APFSではファイルの複製がクローンとして作られる場合があり、複製してもその瞬間には容量をほとんど消費しません。「容量を空けるために重複を消す」という動機は、同じディスク内の複製に関しては弱くなっています。消す理由が容量なのか、見つけにくさなのかを分けて考えると、作業量が変わります。
容量を空ける作業の代わりになるもの
容量の問題には、Appleが用意している選択肢がそのまま代わりになります。iCloud写真をオンにしたときのオプションです。
Macストレージを最適化: ストレージ領域が限られている場合に、Macには写真の小さなバージョンが保存され、オリジナルのフルサイズの写真はiCloudに保存されます。このオプションを選択すると、Macの領域が節約されます。 出典: support.apple.com
これを選ぶと、手元にあるのは小さい版で、原本は手元にありません。写真を見るだけなら問題になりませんが、書き出して納品する、動画を編集する、オフラインの場所へ持ち出すといった作業をする人は、必要なときに原本が落ちてくるのを待つことになります。逆に原本を手元に置きたい場合は、オリジナルをこのMacにダウンロードする側を選びます。
容量の話では、写真と動画を分けて考える価値があります。枚数の大半は写真ですが、容量の大半は動画です。数千枚の写真を1枚ずつ見直すより、長い動画を10本選んで置き場所を決めるほうが、空く容量は大きくなります。整理の手を入れる順番は、枚数ではなく容量の順に並べ替えると短くなります。
容量を空ける手段としてもう一段あるのが、ライブラリごと外付けへ移す方法です。こちらを選ぶときは、バックアップの取り方に注意が要ります。Appleは、写真ライブラリが外部ドライブにある場合、Time Machineでそのストレージデバイス自体にバックアップを保存しないよう警告しています。アクセス権が競合する可能性があるためです。
代わりを立ててはいけない3つ
ここまでは置き換えられる作業でした。逆に、自動の仕組みに任せると取り返しがつかなくなる部分が3つあります。
1つ目はバックアップです。iCloud写真は同期であって控えではありません。片方で消したものは、もう片方でも消えます。さらに、ライブラリの外に置いたままの画像は、ライブラリのバックアップでは保護されません。
重要: 画像ファイルのいずれかが写真ライブラリ以外に保存されている場合は、ライブラリのバックアップ作成時にそれらのファイル(参照ファイルと呼ばれます)のバックアップは作成されません。 出典: support.apple.com
2つ目はシステム写真ライブラリの指定です。iCloud写真にアップロードされるのはシステム写真ライブラリの中身だけで、別のライブラリを新しく指定してアップロードが済むと、結合を解除できなくなります。ライブラリを分けるかどうかは、自動化の対象にせず、手で決める場所です。
3つ目は削除の判断です。似た画が10枚あるとき、どれを残すかは中身を見た人にしか決められません。ピントが合っているか、目が開いているか、後ろに写り込んでいるものが問題ないか。どれも機械が代わりに決められる条件ではありません。機械にできるのは候補を並べるところまでで、最後の1回は人が押します。逆に言えば、候補を並べるところまでは任せてよい部分です。
何を任せて、何を自分で決めるか
作業ごとに整理すると、線はこうなります。
| 作業 | 代わりになるもの | 手放してよいか |
|---|---|---|
| 日付フォルダを作る | 撮影日時での条件検索、スマートアルバム | 手放せる |
| 名前を付け直す | 撮影日時を前置する規則、一括での名前変更 | 渡す分だけ残す |
| 重複を消す | 要約値での照合、重複した項目の削除機能 | 半分は手放せる |
| 容量を空ける | ストレージの最適化、外付けへの移動 | 条件付きで手放せる |
| バックアップ | 代わりはない | 手放せない |
| 残す1枚を選ぶ | 代わりはない | 手放せない |
この表で「手放せる」と付いた行は、どれも共通の性質があります。条件を1回決めれば、あとは同じ手順が繰り返されるという性質です。逆に手放せない行は、毎回違う判断が要ります。
繰り返しの側を減らすときに問題になるのは、作業の場所が分かれていることです。フォルダを見るのはFinder、条件で引くのはターミナル、判断に迷ったときに聞くのは別のアプリ、という具合に窓が分かれていると、置き換えた手順そのものを覚えていられません。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある形にしておくと、条件で引いてそのまま動かすまでが1か所で終わります。どこまでが1つの窓の中でできるのかはできることにまとめてあり、他の道具との守備範囲の違いは他のファイル管理との比較で並べて確認できます。
置き換えを決めるときに最後まで残る不安は、費用と、やめたときに何が残るかです。料金の形と含まれる範囲は料金に、権限や対応環境の細かい点はよくある質問にまとまっています。手放す作業を決める前に、この2つを先に見ておくと、あとから前提が変わって戻すことになりにくくなります。
よくある質問
日付フォルダをやめても、あとから困りませんか?
撮影日時はファイルの中に書き込まれているので、フォルダを分けなくても日付で絞れます。ただし検索の索引が効いている場所に限られます。外付けやネットワーク越しの場所では空振りすることがあるため、フォルダをやめる前に、その場所で日付の条件検索が返ってくるかを確かめてください。
重複を機械的に消しても大丈夫ですか?
名前や見た目が同じでも、中身が違う組があります。Live Photosの静止画と動画、RAWとJPEG、形式を切り替える前後のファイルがこれに当たります。要約値が一致するものだけを対象にし、それ以外は候補として並べるだけにしておくと、消してはいけないものを巻き込みません。
ストレージの最適化を使うと、作業に支障が出ますか?
手元に置かれるのは小さい版で、原本はiCloud側にあります。閲覧や共有なら問題になりませんが、書き出しや動画の編集、オフラインでの持ち出しがあるときは、必要な原本が落ちてくるまで待つことになります。原本を手元に置きたい場合は、オリジナルをダウンロードする側を選びます。
整理を仕組みに任せるとき、最初に決めることは何ですか?
原本の置き場所を1か所に決めることです。ライブラリの中なのか、素のフォルダなのかが決まっていないと、バックアップの対象から漏れるファイルが出ます。ライブラリの外に置いた画像はライブラリのバックアップに含まれないため、置き場所を決めてから残りの作業を組み立ててください。