写真と動画の整理をどう選ぶか|条件の見方

写真と動画の整理の道具を選ぶとき、機能の一覧を横に並べても決まりません。並べた項目のほとんどが、どの道具にも付いているからです。違いが出るのは、機能があるかどうかではなく、その道具が自分のファイルにどう触るかという点です。ここでは、選ぶ前に確かめておくと後戻りしなくなる条件を、確かめる順に並べます。

選ぶ前に決めるのは、原本をどこに置くか

最初に決めるのは道具ではありません。原本の置き場所です。macOSでは大きく2つに分かれます。写真アプリのライブラリの中に入れるか、素のフォルダに置いたままにするかです。

この分かれ目が効いてくるのは、iCloudとの関係です。Appleは、iCloud写真を使う場合にアップロードされる対象を限定しています。

重要: iCloud写真を使用する場合は、システム写真ライブラリ内の写真とビデオだけがiCloudにアップロードされることを念頭に置いてください。必ずすべての写真ライブラリのバックアップを作成してください。 出典: support.apple.com

ライブラリは2つ以上作れますが、システム写真ライブラリとして指定できるのは1つだけです。別のライブラリに切り替えると、iCloud写真と共有アルバムは自動でオフになります。しかも新しく指定したライブラリの中身がiCloudへ上がったあとは、結合を解除できなくなります。

ここが決まっていないうちに道具を選ぶと、ライブラリの中を前提にした道具と、素のフォルダを前提にした道具の両方を試すことになり、比較そのものが成立しません。先に置き場所を決めて、その置き場所を扱える道具だけを候補に残します。

情報をどこに書くかで、道具は2つの型に分かれる

次に見るのは、付けた情報がどこに残るかです。日付・キーワード・評価・並び順といった情報の書き込み先には、2つの型があります。

1つ目はファイル自体に書く型です。画像の中のメタデータ欄や、隣に置くサイドカーのファイルに書きます。別の道具に移っても、そのファイルを読める道具なら情報が付いてきます。

2つ目はアプリが持つ台帳に書く型です。ファイルは触らず、アプリの中のデータベースに紐付けを記録します。動作は速く、元のファイルを壊す心配もありませんが、その台帳を読めるのはそのアプリだけです。

macOSの標準機能でも、この2つは混ざっています。Finderのタグはファイルの拡張属性に書かれるため、同じディスクの中では付いて回ります。一方で写真アプリのアルバムやキーワードは、ライブラリの中に記録されます。

どちらが良いという話ではありません。決め方は、その情報を何年使うつもりかで変わります。半年で作り直す分類なら台帳型で十分です。撮影年ごとに残していく記録なら、ファイル側に書ける道具を選んでおくほうが、あとで移せます。候補の道具については、付けた情報を書き出せるか、書き出した形式を他の道具が読めるかを、導入前に1件で試しておきます。

権限の要り方を先に見る

macOSはアプリごとにアクセスできる範囲を区切っています。写真と動画を扱う道具は、この境界に何度もぶつかります。確かめる点は次の通りです。

  • 写真アプリのライブラリを読むには、写真へのアクセス許可が要ります。許可の粒度は、全部を許すか選んだ分だけ許すかで分かれます
  • デスクトップ・書類・ダウンロードの各フォルダや、外部ボリュームへのアクセスは、それぞれ別の許可です
  • ディスク全体を横断して探す種類の機能は、フルディスクアクセスを求めることがあります
  • ネットワーク越しの保存先は、接続が切れた瞬間に対象が消えます。索引を持つ道具では、消えた状態が記録に残ることがあります

許可を求める画面の数は、その道具が何に触るつもりかを表しています。すべてを許さないと1つも動かない作りなのか、必要な範囲だけで動く作りなのかは、試用の初日に分かります。ここを飛ばして導入すると、あとから許可を外したときに機能が黙って止まり、原因の切り分けに時間を取られます。

撮影日の扱いは道具ごとに違う

同じ写真でも、道具によって表示される日付が違うことがあります。参照している値が違うからです。撮影日時、ファイルの作成日、ファイルの変更日、取り込んだ日という4種類があり、どれを既定にするかは道具の設計次第です。

確かめ方は単純です。撮影日が分かっている1件を、その道具に読ませて、表示された日付が撮影日と一致するかを見ます。一致しないなら、その道具はファイルシステム側の日付を見ています。

もう1つ見るのは、時差の扱いです。旅行先で撮った写真に付く撮影日時は、端末の設定によって現地時刻のこともあれば、日本時間に直されていることもあります。並べ替えたときに前後が入れ替わって見えるのは、この差が原因であることが多くあります。海外で撮る機会があるなら、時差をまとめて補正できるかどうかを条件に入れます。

形式の対応も同じ場所で確かめます。HEIFとHEVCはiOS 11とmacOS High Sierra 10.13から導入された形式で、iPhone 7以降などの機種で撮影できます。古い道具の中には、この形式を読めないまま一覧に出さないものがあります。カメラ側を互換性優先にすればJPEGとH.264で撮れますが、その場合は容量が増えます。道具に合わせて撮影設定を下げるのか、形式に対応した道具を選ぶのかは、最初に決めておく条件です。

動画を入れた瞬間に条件が変わる

写真だけを想定して選ぶと、動画を入れた日に条件が崩れます。写真と動画では、道具に求められるものが違うからです。

1件あたりの大きさがまず違います。写真が数メガバイトなのに対し、動画は数百メガバイトから数ギガバイトになります。一覧を出すたびにサムネイルを作り直す作りの道具では、写真では気にならなかった待ち時間が、動画では画面が固まる長さになります。試用のときは、写真だけのフォルダではなく、動画が50件ほど混ざったフォルダを開かせて反応を見ます。

次に違うのが、中身の読み方です。動画の撮影日時や長さは、画像とは別の場所に書かれています。写真のメタデータは読めても動画は読めない道具があり、その場合、動画だけが日付なしの塊として一覧の端に固まります。

再生の可否も条件です。HEVCで記録された動画は、macOS High Sierra 10.13以降なら表示や編集ができますが、古い道具が独自の再生機能を持っている場合、そちらが対応していないことがあります。プレビューが出ないだけなのか、ファイルとして扱えないのかは、試用時に1件で分かります。

最後に、動画は置き場所の判断も変えます。容量が大きいぶん、原本を手元に置くのか外付けに出すのかを写真とは別に決めたくなります。写真と動画を別の場所に置けるかどうかは、道具によって可否が分かれる条件です。

取り込みの経路も条件に入れる

見落とされやすいのが、ファイルが手元に入ってくる経路です。カメラを接続して取り込む、イメージキャプチャで吸い出す、AirDropで受け取る、共有アルバムから保存する。経路ごとに、付く名前も、置かれる場所も、日付の扱いも違います。

ここで問題になるのは、経路が複数あると同じ素材が別の場所に増えることです。整理の道具を入れる前に、取り込みの経路を1つに決めておくと、重複そのものが生まれにくくなります。

道具を選ぶときは、その道具が取り込みの段階から関与できるかを見ます。取り込みと同時に名前の規則を当てられるなら、あとから一括で直す作業が要りません。取り込みには関与せず、すでに置かれたものを整理するだけの道具なら、取り込みの規則は別に決めることになります。どちらでも構いませんが、どちらなのかを知らずに導入すると、同じ作業を2か所でやることになります。

料金の形と、やめたときに何が残るか

料金は金額だけを見ても比べられません。見るのは3つです。買い切りか継続課金か、更新が止まったあと使い続けられるか、そしてやめたときに手元に何が残るかです。

買い切りの道具でも、大きな更新は別売りになることがあります。継続課金の道具でも、解約後に読み取り専用で開けるものがあります。この違いは、次にOSが上がったときの費用に直結します。

やめたときに残るものは、先に書いた書き込み先の型で決まります。ファイル側に書く型なら、道具をやめても情報はファイルに残ります。台帳型なら、書き出しの経路があるかどうかがすべてです。

もう1つ、料金とは別に確かめておく点があります。バックアップの対象から漏れるファイルです。

重要: 画像ファイルのいずれかが写真ライブラリ以外に保存されている場合は、ライブラリのバックアップ作成時にそれらのファイル(参照ファイルと呼ばれます)のバックアップは作成されません。それらのファイルのバックアップは必ず個別に作成してください。 出典: support.apple.com

原本をライブラリの外に置く道具を選ぶなら、バックアップの経路を別に用意することが条件に加わります。

料金以外に確かめる4点

候補が絞れたら、その道具が今も普通に手に入るかを確かめます。見る点は4つです。

  • 提供が終わっていないか。更新が数年止まっている道具は、次のOSで動かなくなる可能性があります
  • 新規の受付が止まっていないか。既存の利用者だけが使える状態になっていることがあります
  • 運営が変わっていないか。開発元が変わると、料金の形や方針が変わることがあります
  • 料金の改定が予告されていないか。現在の価格だけを見ると、契約後に条件が変わります

価格が同じでも、この4点のどれかが動いていれば前提は変わっています。公式のページと更新履歴を開いて、最後の更新がいつなのかを見るだけで、大半は判別できます。

条件表を自分の状況に当てる

ここまでの条件を1つの表にすると、候補の絞り込みが数分で終わります。

確かめる条件 見る場所 分かれ目
原本の置き場所 写真アプリの設定 ライブラリの中か、素のフォルダか
情報の書き込み先 書き出しの有無 ファイル側か、アプリの台帳か
必要な権限 初回起動時の要求 部分的に許せるか、全部か
撮影日の参照元 1件の表示日付 撮影日時か、ファイルの日付か
形式の対応 HEIFの表示 読めるか、一覧に出ないか
やめたときの出口 書き出しの形式 他の道具が読めるか

この表を埋めていくと、機能の多さで選んでいたときには見えなかった差が出ます。特に、権限と出口の2行は、導入してから半年たって効いてくる場所です。

作業の形そのものを変える選択肢もあります。写真と動画の整理では、一覧を見る、条件で絞る、まとめて動かす、という3つの動作を行き来します。この3つが別々のアプリに分かれていると、条件を決めても手順が続かないことがあります。フォルダとターミナルとAIが同じ窓にある作りなら、絞った結果に対してそのまま操作を当てられます。何が1つの窓に収まるのかはできることに整理されており、外出先から途中の作業に戻れるかどうかはiPhone・iPadから続きをで確かめられます。

最後に残るのは費用と対応範囲の確認です。プランごとの違いは料金に、権限や動作環境についての細かい点はよくある質問にまとまっています。条件表の6行を埋めたうえでこの2つを見ると、候補は大抵1つか2つに落ちます。

よくある質問

写真アプリのライブラリと素のフォルダは、どちらを選ぶべきですか?

iCloud経由で複数の端末から見たいならライブラリ側、ターミナルや他のアプリから直接ファイルを扱いたいなら素のフォルダ側が合います。iCloudへ上がるのはシステム写真ライブラリの中身だけで、切り替えると共有アルバムなどが自動でオフになるため、先に置き場所を決めてから道具を選んでください。

付けたキーワードは、道具を変えても残りますか?

書き込み先によります。ファイル自体やサイドカーに書く型なら、別の道具でも読めます。アプリの台帳に記録する型は、その道具を離れると失われるため、書き出しの経路があるかどうかを導入前に確かめてください。1件だけ試して書き出すのが確実です。

撮影日がずれて表示されるのは道具の不具合ですか?

不具合とは限りません。撮影日時とファイルの作成日・変更日は別の値で、道具によってどれを表示するかが違います。コピーや書き出しをするとファイル側の日付は更新されるため、撮影日が分かっている1件を読ませて、どの値を見ているのかを確かめてください。

料金以外に、契約前に確かめることはありますか?

提供が終わっていないか、新規の受付が止まっていないか、運営が変わっていないか、料金の改定が予告されていないかの4点です。価格が同じでも、このどれかが動いていれば前提は変わります。公式ページの更新日と履歴を見れば大半は判別できます。

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